《改行表示》 1.ネタバレ 江戸末期、天然痘が猛威を振るっていた時代。漢方が主流で蘭学はまだ馴染みがないその当時、 町医者であった主人公は「種痘」という予防法があることを知り、私財を投げ打って種痘の苗を福井へと持ち込もうとする。 奉行所に嘆願するも聞き入れてもらえず、なんとか人の伝手を頼りに、という展開。 この種痘、牛の膿を人に植え付けるという手法のため、こんなことをする医者は頭がおかしいとか、 親御さん達からはツノが生えるだの牛になるだの言われ、子供達の命を救う一心でやってるのにその子供達から石を投げられる始末。 それでもめげずに人を救いたいという一心での努力が最終的には実るわけですが、このお話のテーマは 慣例を変えることへの抵抗や反発、無理解からくる偏見等、いつの時代であっても繰り返されるであろうテーマであり 映画にすることの意義は確かにあると感じます。ただ映画としてどれほど面白かったかと言われると、正直地味だなぁと。 前半は前述した奉行所への嘆願で占められ、後半は本作唯一の山場であろう雪山を越えて苗を届けるというシーン、 見所はここだけだったかなと。途中、輩の集団に襲われて全員成敗するシーンが出てくるのですが、 全体としてあまりに地味すぎるので時代劇らしいシーンをせめて入れて盛り上げようとした感が強かったです。 日本には偉人の実話映画が少ないようにいつも感じているので本作のような映画は増えて欲しいなと思っているのですが、 実話映画として面白く見てもらうための工夫のような映画文化もまた乏しいように感じます。 本作でいえば、想像でもいいので主人公の葛藤やドラマを掘り下げる要素がいつくかあってももいいのではと思いました。 【あろえりーな】さん [インターネット(邦画)] 5点(2025-05-23 16:09:40) 《新規》 |