163.ネタバレ “Orgy Of The Dead”『死者の乱交騒ぎ』。オージィは古代ギリシャやローマの“酒の神”を祭る秘儀。狂喜乱舞、酒池肉林の宴会騒ぎがモトのようです。それを盆踊りって…まぁ、大昔は『盆踊り禁止令』が出たくらいなイベントだったようです。盆踊り好きですか?道民の場合、夏の夕方に「そよろ そ~よ風 牧~場に 街~に~♪」(♯子供盆おどり唄)って唄が流れてくると「あぁ、夏だなぁ~~」って、子供の頃の楽しい思い出がしみじみと思い出される方も多いかと思います。私も盆踊り大好きです。あの唄が聞こえてくると、ついつい会場に向かってしまいます。公園の真ん中に簡単なやぐらが組まれてて、屋台では焼きそばやらおでんやら…すごく夏。…でも最近では踊る人って少ないです。時代だからかなぁ?私もいつも、会場を見るだけで満足して、踊らずに10分くらい見て帰ります。私が子供の頃は延々と踊らされましたっけ。もう10分くらいで踊り飽きてるんだけど、最後にお菓子の詰め合わせが貰えるから、およそ1時間、頑張って踊ってました。そう考えると、昔も今も、私は盆踊りを本当に楽しんでいたんでしょうか?ただ夏のあの時期の雰囲気が好きなのであって、盆踊りが楽しいか?って言われると、どうなんでしょう?…怪しくなってきました。さて映画の話。死霊の盆踊り好きですか?映画好きなら「嫌い」という人は少ない気がします。私も映画史上最低の作品だと思っていますが、「好きとは言えない」けど、嫌いか?というと「嫌いじゃない」って答えるでしょう。公開当時、ポルノ映画ではなく一般の映画で女のヌードを出すには、ポルノじゃないよって逃げ道が必要だったみたいです。例えば“登場人物自身は服を脱がないが、主人公の妄想の中で彼女が裸になってしまう”って理由。なるほど、登場人物は実際脱いでない。妄想なら仕方ないよね?って感じでしょうか。実に男の子らしい発想です。本作では“夜の帝王の開いた宴にて、現世を彷徨う女の死霊が、永遠の地獄に突き落とされないよう、帝王を満足させるため、裸になって必死に踊る”って逃げ道。なるほど、裸なのは女自身でなく、その女の『霊魂』か…だったら仕方ないよね?って感じでしょうか。これは驚きです。死霊って事にすれば一般映画でもヌード出し放題。これってアダルトゲーの、どう見てもロリキャラだけど112歳の老魔女だからオッケー!と同じくらいの大発明です。「また適当に話し膨らませて…」ってお思いかもしれないが、その証拠に、作中のまだ生きてる女・シャーリーは、闇の女王に脱がされそうになるけど、間一髪で助かります(※片乳ポロリはしています)。この映画は、当時の一般映画の逃げ道ルールを守ったうえで、男どもが大好きなおっぱいを、92分間の中で目一杯プルンプルンさせた、意欲的な映画だったのです。…まぁ、出来上がったモノは、思った以上に退屈な作品です。十人十色の美女たちの裸踊り、実際目にすると、こんなにも退屈なんて…踊りが始まり10分くらいで飽きてました。これって本当の盆踊りに似ていますね。夏にあの唄を聞くとワクワクが止まらないのに、実際10分でおなか一杯になり、満足してしまう。子供の頃は最後のお菓子に釣られて頑張って踊ったんです。そして今の私は、レビューを書くため、この映画を再度観たんです、わざわざDVD買って(これで4回目の視聴)。この変な義務感。そして変な達成感。あとなんか知らんワクワク感。子供の頃も、大人になった今も、な~んも変わってないや。今まで映画は観るだけだった私に、多くの気付きを与えてくれた『みんなのシネマレビュー』。当サイトが書籍化された当時『死霊の盆踊り』は11件くらいしかレビューが無かった(たぶん本に載せるには選外扱いだった)みたいです。※ちなみにワースト1は『北京原人』で、31件・1.19点。後発レビュワーの私にしたら、サイトの最盛期に、読む側でなく書く側として、皆さんと一緒に盛り上がれなかったのが心残りでした。レビューを書く私の目標のうちの2つが、映画レビューを大台の1000本ぶん書くこと。と、死霊の盆踊りに0点を付けること。でした。製作者の作品愛を考えると、0点は付かないハズ。このサイトの0点は、死霊の盆踊りの為だけにある点数、様式美に思えます。稚拙ながらやっと1000本目のレビューが書けました。そして私が観た映画の中で、唯一の0点をここに刻めました。これで何も思い残すことはありません。今までありがとう、みんなのシネマレビュー。
162.やっと私も見ることができました。ほぼ都市伝説と化している「死霊の盆踊り」ですが、自分の目で見てみるとなるほど納得の内容でした。まず第一につまらない。これに尽きます。しかしながらダンサーは全員引き締まった身体をしており、プロかそれに準じた人物であったことが推察されます。それなりにキャストを選んでいたという点ではまあまあ驚愕させられました。第二に原題「Orgy Of The Dead(乱交する死者、もしくは大騒ぎする死者)」を”死霊の盆踊り”とした邦題の素晴らしさ。正直、この日本語タイトルが無かったら現代の日本で日の目を見ることはなかったのは明らかです。そういった意味ではこの邦題は素晴らし過ぎました。(ただし、この作品はビデオスルーではなくきちんとロードショー公開されています)夜の帝王(クリズウェル=Wikiでは霊能力者らしい)の気だるさ、闇の女王(ファウン・シルヴァー)のやるせなさが作品に花を添えていて、踊りに飽きた頃にこの二人のイミフな会話が差し込まれます。さらには小説家のボブ(ウィリアム・ベイツ)と恋人のシャーリー(パット・バリンジャー=黄金女も兼用)の、心底どうでもいい会話もチョイチョイ挟まれるのが軽くイライラさせられ、これらを繰り返すことで90分もたせるテクニックはある意味絶妙というかなんというかといった感じでした。この作品は1965年に公開されていますが、1965年といえば007ゴールドフィンガー、サウンドオブミュージック、ドクトルジバゴなど一流の大作映画がそれなりに排出されつつあった年代です。映画が本格化しつつあった時代にあえて?時代に逆行し、まるで学芸会レベルの映画を撮ったという意味ではなんとも絶妙に攻めまくった映画だったんだといえなくもありません。(金が無かっただけ?)私が勝手に感じ入っているだけですが、この映画を見た人だけが「趣味は映画観賞ですが?ナニカ?」と堂々といっても良いのではないでしょうか。この映画を知らない人はまだまだアマチュア、モグリです。個人的には全映画鑑賞ファン、全レビュアーたちの登竜門的な意味合いで考えると高得点に値しますが、、あくまでこの作品に敬意を表して0点とさせていただきました!