10.ネタバレ ひねくれ者と思われるかもしれないが、最近のジブリ映画より10倍は面白い (確か、千と千尋がアカデミー賞を受賞した日に放送してた) とにかく声優陣が素晴らしい。観客動員のためにへっぽこ芸能人や知名度だけの大根役者ばかり声優に使い、作品の質を下げているジブリも見習ってもらいたい。もし芸能人を声優に使うとしても、今作の雨上がり決死隊のようにチョイ役でいいのだ。もはやスタジオジブリの「志」はテレ朝のアニメ部門以下。声優は、プロまたは声優経験の豊富な舞台俳優にすべき(オタ向けの声優は勘弁だけど)。 その「志」の高さが「オトナ帝国」や「戦国大合戦」を傑作にしているのだと思う。そればかりでなく、映画本編も面白い。前半はギャグまたギャグのいつものしんちゃんなのだが、後半からは涙なしには見れません・・・・・(私は本編95分中3回泣いた) その中でも特に泣いたのは・・・・お姫様の最後の台詞 「おい、青空侍・・・・」アニメでこんなにも泣くとは自分でも少し驚いた。タオルが必要なくらい泣いた。キーボードを打つ今も泣いている。もうこんな素敵な映画には二度と出会えない。本当に素晴らしい映画です。涙・・・涙・・・涙・・・
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9.ネタバレ こんな作品を子どもの頃に観たかったと思う。そして大人になってから、もう一度観返したかった。それがいちばん幸せな観客でしょう。
姫が池のほとりに佇んでいるだけの、一切の台詞がないプロローグだけでちょっと感動。又兵衛と姫の関係そのものがそうだけれど、大事なことを言葉にしていない。というより言葉にしたら失われるような微妙な心の動きを、徹底して人の動作や、その目に映っているであろう風景を通して表現している。とてもやわらかで、細やかな視線だ。
侍と姫の恋物語はとても素朴で、単純とすらいえる。けれどもその繊細な描写が二人の息遣いまでも伝えるようで、素直な物語のなかにも汲みつくせない美しさがある。「言わぬが花」という言葉が、ほんとうの意味で生かされた作品だ。
また本編の主役であるしんのすけが脇役でしかないという批判もあるようだけれど、ちょっと違うと思う。
たとえばいざ合戦となって野原家が脱出しようというとき、悲壮な表情の両親とは対照的に、しんちゃんはあっけらかんとしている。つまり幼さゆえに絶望的な戦であることが理解できていないわけで、だから戦場の真っ只中に巻き込まれても両親ほど怖がったりはしない。それがラストで又兵衛が倒れて初めて、大声で泣き喚く。あのときようやく、〝死〟というものがしんのすけのなかでリアルになった。
つまりこの物語は侍と姫の悲恋譚である一方で、幼い少年が初めて〝死〟を知るまでの成長物語でもある。
この映画には子どもからはわかりにくい部分も確かにあるだろう。けれど、子どもにとっては世界はわからないことだらけであるのが当たり前のはず。そんななかでしんのすけは、大人の恋や死といったままならない出来事を垣間見て、少しだけ大人になる。人生は楽しいことばかりじゃなく、どうしようもなく失われていくものがあって、だからこそ輝きがあるということを知る。ほんとうの成長はいつも、苦い。
この映画が子ども向きではないという意見もあるようだけれど、ほんとうにそうでしょうか? これはとても真っ当に、本気で子どもに届けられた作品だと思います。 【no one】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-04-14 13:28:16)
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8.皆さんが言いたいことを全て書いてしまっているので自分なりにひとつ。勝って戻ってきたしんのすけたちにお姫様が手を振るシーンで、ばあやが「まあはしたない」と慌てながらお姫様の袖を上げるシーンありますよね。あれを見たとき、静かに感動しました。何気ないシーンですが、時代考証をきっちりやっていないと二の腕=はしたないという考えはわかないでしょう。「大人帝国」でもお菓子を食べまくったひろしが、テーブルの上を横切ってから寝っころがるシーンで同じことを思いました。テーブルの上を歩くという行為は、常識のある大人はやらないですよね。あれでひろしが「今、普通の状態ではない」ということが端的に表れていると思います(「大人帝国」のレビューに書くべきですが、ご容赦を)どうやらクレしんはまたもとのギャク路線に戻るようですが、この監督さんにこの路線でつくり続けて欲しいと個人的に願います。 【かなかなしぐれ】さん 9点(2003-10-29 19:47:23)
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7.ネタバレ ストーリーはクレしんらしい単純さ。 戦国時代が舞台というと「雲黒斎の野望」を思い出す。あの映画も戦闘描写が凝ってて面白かったぜ。 本作も「クレしん」らしからぬリアリティ、「クレしん」らしい散々笑ってアホみたいに泣かされる。
タイムスリップした先が戦国時代で、そこに居合わせた武将と姫を野原一家が助けるというシンプルなもの。 だが今回のクレしんは馬鹿馬鹿しいドタバタや「陳腐」を「爆笑」に変える破壊力は控えめ。 論点になって来るのが、クレしんの単純な娯楽性に「戦国時代の「リアリズム」をねじ込んだ点。
確かに合戦の様子はリアル。 当時の合戦のルールを娯楽映画の「お約束」として利用する方法は素晴らしい。
とまあ、合戦に関するリアリティは良いが、肝心の姫様側はリアルとは言えない。
何故なら姫君がそのまま後を継げばそれで良いのだから。 実際の戦国武将は、後継に男がいなければ女でも城主になれた。 巴御前や甲斐姫といった女武将がまかり通っていたなら、女城主が認められないわけがない。 鶴姫という実例もあるし。 本多忠勝の姪だか妹も城を任されていたっけな。 あと秀吉の嫁の茶々とか淀殿とか。 あの上杉謙信だって「実は女だったじゃないか」と疑惑が向けられるほどだ。
まあ余りにリアルにしすぎたらそれこそ「つまらない」。 「七人の侍」のようにリアリティとありえない描写をマッチングさせた「娯楽活劇」とするか、 「乱」みたいな城下町すら無い「悲劇」を描くか。 その点で言えば本作は「親子に見てもらいたい」からこそリアリティをねじ込んだ。
でも、それよりも大きな論点はラストの「唐突な最期」だろう。 戦場のリアリティにこだわった結果、いつものクレしんには無い哀しみが訪れた。 いままでの「クレしん」からは予想も出来ない事さ。 俺だってガキの頃は又兵衛があんな事になって泣いたよ。 ちくしょうちくしょうって悲しくなった。 死ぬ間際に大切な刀をしんのすけにあずけてさ・・・。
戦国武将のクセに女に弱かったりさ、人間臭い又兵衛。 静かな静かな幕引きはちょっと切ない。
クソ・・・もう100回見ても又兵衛のシーンで泣く自信があるぞコンチクショウ。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:20:13)
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6.ネタバレ ずっと見たくてずっと見てなかったのですがようやく観賞。 想像以上にコンパクトに纏められていましたが、色々な思いが凝縮された傑作と思いました。
時代考証を相当やりこんだとのことですが、合戦シーンはさすがの一言。 無駄にBGMを載せずに淡々と、ゆっくりと展開していく闘い、派手ではないものの勢いを感じました。
要所要所に細かく光る演出も見事。 これは声優さんの力量もあると思うのですが、侍と姫の許されざる恋物語が空気で伝わってくる、いい。 下手な恋愛映画より全然切なく、感情移入できる。
野原家の使い方も好き。 主役ではなく脇役、だけどやっぱりいなくてはいけない存在。 5歳の子どもが戦争を理解できるわけがない。それが最後の最後で涙を流す。 苦くて辛いけれども子どもが大人への階段を上った様子が突き刺さるほど伝わってくる。
唯一気になったマイナス点は、しんのすけに対する両親の対応。 戦場に飛び出したしんのすけを追いかけ、捕まえるひろし。あそこは本気で怒ってほしかった。 何やってんだ、馬鹿野郎!くらいの怒りと愛情が欲しかったなぁ。 【HIGE】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-06-24 14:53:40)
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5.戦国時代の男女の悲哀さは誰もが理解できるモチーフであるが、それをここまでしっかりとドラマ化した作品がかつてあっただろうか。さらにしっかりとした考証に基づいた合戦描写はそれだけでこの映画の価値。ドラえもんのび太の海底鬼岩城を見た時に感じた、かつてのドラえもん映画はあわよくば大人も楽しませてやる、泣かせてやるという気概があった。この映画のスタッフにはその気概がある。子供はこれを楽しめるのだろうか、というかなぜクレヨンしんちゃんなのだろうか。子供向けアニメということを忘れた大暴走、そして戦国映画屈指の名作。 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-04-25 17:15:33)
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4.ネタバレ 実は初めて劇場で観たときはちょっと物足りなさを感じていました。春日部防衛隊やひまわりがほとんど活躍していなかったりすることもあるのですが、何よりもラストの「死」が唐突なものだと感じたからです。 でも再度観たら全然違う印象になった。しんのすけは命を存続させただけではなく、彼や周りの人間をちょっとだけ変えていて、戦争や死があふれている世界の中で彼らの人生をよりかけがえのないものにしていた、と実感できたからです。 さらにしんのすけは全然戦争や死を知らなかった、これはしんのすけが愛する人の死を知るまでの物語でもあると思う。人の死で安易に涙を誘わせる映画とは全く違います。 ラストの余韻も素晴らしく、争いのない世の中が幸せであることを教えてくれる映画です。傑作。 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-08-03 23:07:19)
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3.これやばい。何がやばいかって?そこらへんどこにでもいる高校生の俺を泣かせてしまうほど、しんちゃんがいい男だったからさ。 【ばっじお】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-01-12 17:37:44)
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2.ネタバレ 笑えて泣けて、心に残る正統派時代劇。戦国時代の世相を背景にした、又兵衛と廉姫の切なく悲しい恋物語を主軸に、野原一家も助演としてキラリと輝く活躍ぶり。結局しんちゃん達がタイムスリップをしても歴史は何も変えられなかったけれど、彼のおかげで一人の武士がほんの数日のあいだでも存命し、野原一家を通じて家族の絆を感じ取り、身分の壁を越えて愛する人への想いを解き放つことができた。それだけでも十分だと思う。これから先、私がふと青空を見上げて、ぽっかりと浮かぶ白い雲を見つけた時は、どうしても井尻又兵衛という戦国の世に生きた侍を思い浮かべてしまうんだろうなぁ。 【ライヒマン】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-04-12 21:34:59)
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1.ネタバレ 監督が「クレしん」というカンヴァスの上で自由に作品を作っている感じ。ところどころに散見されるこだわりもいい。5歳児の目に映る戦国時代の合戦というのはあまりにむごいものがある。とどめに井尻又兵衛の暗殺。「殺し」の多いアニメに過剰に反応する大人がいるが、こういうものは積極的に観せるべきだと思う。未来の日本はいい国になっている、という廉の台詞がいい。それから、映画のひろしはかっこ良すぎる。最高です。 【アイカワ】さん 9点(2003-11-07 06:13:49)
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