85.僕も初めて見た溝口作品はコレ。それまで黒澤狂いで、邦画の最高傑作といえば「七人の侍」だと信じて疑わなかったからこの映画の凄さには衝撃を受けた。ラストの田中絹代のナレーションによる独白が悲しくて印象的。この映画を見て昔の日本映画を黒澤作品意外にももっと見てみようと思った。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2025-05-24 19:56:01) 《更新》
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84.ネタバレ 戦国時代。人が集まる町では、節度ある町民たちによって、繁栄が保たれているものの、農村は落ち武者の襲撃に会い、道中は賊が跋扈する混沌とした世界設定。時代の動乱の中、農村に暮らしながらも、野心を胸に、動かずにはいられない男たちと、平和と安定を望む女たちを描いているのですが・・・最終的に女の生き方の強さを、まざまざと感じさせる作品ですね。常に焦燥感に駆られて足掻いている男の生き方ってなんなの的な。あと、とにかく、映像がすばらしいです。農村から町に向かう道中、船で漕ぎ進む先の霧に煙る水面の幻想的風景。主人公が迷い込んでしまう、朽木屋敷での妖艶な誘惑。直接的な表現を排して、なお妖しく艶やかなところは、海外作品では、なかなか見られない日本映画の真骨頂でしょうか。シーンのつなぎでの地を這うカメラワークは印象的でした。また家屋内での、蝋燭を光源とした光と影の繊細なコントラスト。白黒映画で、これだけ幻想的魅惑的表現が可能なのかと驚きました。日本映画のスペクタクルに付き物の安っぽさが微塵も感じられないことも驚きでした。もう、日本映画は新作でも半分は白黒でいいんじゃないかと思ってしまいました。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 8点(2024-10-10 18:23:27)
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《改行表示》 83.ネタバレ 過去何度も観ているので今更書くこともないが、溝口監督の様式美の集大成的な映画です。内容的には他にも優れた作品を撮っておられるが、原作が古典なので内容が教示的でストーリーに深みが無いのは仕方がない。 只、京マチ子の妖艶な演技には圧倒される。同時期の羅生門でも似たような役柄を演じており、やはり強烈な印象を残している。 又、私の大好きな男優森雅之の存在がgoodです。やはりこの方が出ると作品に重厚感が感じられる。 日本映画に一番勢いがあった時代、まさに黄金期の傑作です。 【とれびやん】さん [インターネット(邦画)] 9点(2023-12-19 11:11:11)
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《改行表示》 82.10年以上前にDVDを借りて観たときも宮川一夫らしい映像だな、という以外何も残らなかった。 今回、甲斐荘楠音展を観て、甲斐荘楠音がアカデミー賞の衣装デザインでノミネートされていたということを知り、興味を持って再鑑賞。そうすると宮川一夫もそうだが甲斐荘楠音もいい仕事しているんだなあ、と初めて気が付かされた。 また、その気づきのおかげで、この時代の日本の俳優の所作がものすごく丁寧で美しいことにも気が付かされた。 とはいえ、やはり凡作は凡作としか感じられなかった。 私程度の感性の持ち主は、よほど色々な視点を獲得してからでないと、この映画を評することはできないのだと理解した。 【みんな嫌い】さん [インターネット(邦画)] 5点(2023-10-12 20:13:57)
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《改行表示》 81.ネタバレ 映画の作り、名優らの演技はすばらしいですね。本当の当時の時代を感じさせる。 今、大河ドラマを筆頭に、戦国時代ものがあまりにも健美とコメディ、チャンバラ踊りを映していて、 戦上で村民、町民の家財略奪、強姦が当たり前であった姿を 今のドラマ制作者はただ一人も表現できていない。 日本の時代劇も、どんどんファンタジーものとなり下がった。 今一度、現在の時代劇製作者は誰か一人でもよいので、中身のある、過去の時代の生きざまを 映す者が現れてほしい。 【cogito】さん [インターネット(邦画)] 7点(2023-06-11 23:17:06)
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《改行表示》 80.ネタバレ 久し振りに再見しましたが、やはり面白いですね。特にラスト、源十郎が村に帰って来て宮木と一夜を過ごすシーンは、改めて観ると(技巧的にも演技的にも)最初から最後まで凄まじい完成度だと思いました。もちろんそこまでも(全体としてもコンパクトサイズなワリには)お話の内容も含蓄もミチッと詰まっていて(=人の物語としても、或いは人でないモノの物語としても)その点でも完成度が高いなあ、と。 中でもやはり、京マチ子さん演じる亡霊とゆーのは、このごく生々しい物語の中でも一際「超常のモノ」たる存在としての好い意味での「浮いた」感じが見事でした。それは彼女が備える類稀なルックスの効果も確かに大きいとは思うのですが、もう一つ、所作の巧みさも非常に効果的だったと(今回改めて)感じたのですよね。劇中でも実際に能を舞うシーンがありましたが、その他のシーンでも多分に日本舞踊的とゆーか、着物を着たうえでの滑らかで・しとやかで・かつ艶やかな種々の動作とゆーのが、実に美しくも妖しく(スペシャルなモノに)感じられたのですね。コレは類似の映画として『怪談』の雪女役・岸惠子さんを観た時にも感じたコトなのですケド、だからコレって現代で年頃の役者に演らせよーとしたってモ~ちょっと中々に無理だろーな…とは思ってしまいましたよね。。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 9点(2023-02-26 17:02:05)
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79.ネタバレ 『雨月物語』は上田秋成の九編からなる怪異譚集だが、その中の二編をピックアップして再構築した脚本、モーパッサンの短編からもインスピレーションを受けているそうです。幽霊屋敷で男が女幽霊に好かれて憑りつかれるという原作『蛇性の婬』がメインプロットとなっていますが、これは『耳なし芳一』などの古くからある怪談のパターンで王道と言えば王道です。森雅之が体に梵字を書いてもらって危機を脱するところなどは、まさに『耳なし芳一』の影響を感じます。『雨月物語』は昔読んだ記憶ではもっと無常観というか辛口の語り口だったけど、全体的に教訓めいたお話しに落とし込んだ感が強いですね。これは溝口健二は人間の本性のダークな面を強調する脚本にしたかったけど、会社というか社長の永田雄一の要望でマイルドな方向になったらしい。その代わりというか撮影にはいっさいの妥協なしで、構図と言いカメラアングルも名手・宮川一夫のキャリアでも最高の仕事と言っても過言じゃない。田中絹代が落ち武者に槍で突き殺されるシーン、こと切れる田中の遠景の下方の田んぼでは落ち武者たちが奪ったおにぎりを喰らっているのがはっきり映っているのは驚愕のショットでした。はっきり言って日本人にはあまりインパクトは感じない題材ですけど、欧米人には絶賛され高評価を得ているのはなんか判る気がします。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-09-18 22:34:38)
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《改行表示》 78.ネタバレ 溝口健二、代表作である。 まだ、こんな傑作を観てなかったか、と唸ってしまった。 見事、この一言に尽きる。 田中絹代を本で調べていたら、次のような記述があった。 撮影後、溝口が森雅之に、その演技の見事さにライターで火をつけたという。 田中は「私だってうまいと言わせてみせる」と思ったらしい。 まさしくラストの霊の田中は絶品である。 以後、溝口と田中は映画界で、力をみせつけあうかのように、張り合い、 田中絹代は同年、「恋文」(未見)という映画で監督までしてみせるのである。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2021-06-30 23:36:15)
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77.BS4Kシアターで鑑賞。(おそらく)綺麗に再現された映像は、モノクロながら驚きました。怖いタイプの日本昔話を見ているような話で、人間の欲望への戒めが描かれています。名作と云われていますが、なぜか私はあまり心に残りませんでした。京マチ子にもそんなに魅力を感じないし、映像ではなく内容に古さを感じたのでしょうか。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-06-08 06:33:31)
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《改行表示》 76.とんだ通俗映画だ。どうしてこんなものを取り上げて喜ぶんだ。 雨月物語が泣いている。 【浅田荷葉】さん [DVD(邦画)] 2点(2019-03-25 14:57:21)
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75.ネタバレ 溝口の代表作で傑作。映像が凄い。これこそ、幽玄の美。京マチ子も凄い。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 9点(2019-01-04 22:56:37)
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《改行表示》 74.私は日本人ですので、外国映画祭の審査員ほどにはジャパネスク・ロマンに「おおっ」とシビれたりしないのですが。でも、この映像の幽玄なこと湿度の高いこと、目を瞠りました。ストーリーは「まんが日本昔話」をいくつか合わせたようなもので、驚くほどの展開は無いんだけれど、件の名アニメを実写したらこうなるんだろうなあと思わせるほど雰囲気が似ています。 廃屋だったはずの朽木屋敷に誘われ、いつしか凛とした豪邸に落ち着いているとき、こちらもいつの間にやら幻惑されているのです。明かりの灯る夕刻や、先代の兜の発する気や、妖女そのものの京マチ子らに金縛りに遭わされました。怖く美しかった。 戦が庶民らにとっていかに苛酷であったか、その描写も容赦なく厳しい。里に残した妻が槍の犠牲になる場面は俯瞰ショットで音も無く、素っ気ないけれどとても恐ろしい。 妻が遭遇した残酷さ、弟夫婦らが辿る愚かさと不条理、そして主人公が出会う異界。「昔話」のテーマがてんこ盛りの、見事な映像作品でありました。 【tottoko】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2018-02-27 00:12:43)
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《改行表示》 73.ネタバレ 観るのは5度目くらい。最初はVHSのvideoで画面もセリフも荒くて良く解らなかったですが、リマスターされた溝口健二生誕祭だったりDVDでも格段に見やすくなりました。カメラワークと光の使い方が凄すぎです。 森雅之と京マチ子の「朽木屋敷」のシーンは衣装・美術・照明・カメラ・音楽を含めての形式美が素晴らしい。溝口のサイレント作品時にはドイツの表現主義(ガリガリ博士等)に影響を受け「光と影」をかなり応用していたのですが、朽木屋敷でも姿を影で隠したりと伺えます。 また台詞を途中でフェイドアウトして流れるカメラで次のシーンを繋いだり、森雅之の入浴シーンでも京マチ子が着物を脱いで湯に入る所を影で描写し、カメラは逆の方向に流れてそのまま広い庭で寛ぐ二人へ繋ぐシーンなど絵巻のようだ。 カメラの連続移動で時空を越えるというのはテオ・アンゲロプロス監督ですが、影響受けたはず。 また、森雅之が故郷に戻ってからのシーンも秀逸で、森が家をグルッと一周するのを追うカメラワーク、田中絹代の陰影、彼女の表情と所作、それらが嵌り最高のシーンだと思います。これだけ計算してやられると俳優さんが大変じゃないかと思います。 なお、溝口監督は出来上がりに不満があったようで『「雨月」はもっとカラいものなんだよ。小沢栄の男ね、あれもラストであんな改心したりしないで、もっと出世を続けて行くように書いたけど、会社から「甘くしろ」と指示があった』と(キネ旬より)。 確かに男二人の欲の渇望からも、最後には見事に改心するという流れは溝口作品からすれば甘いと思ったのが、それでも前述の田中絹代のシーンで観る者を救済したのだからOKでしょう。 いずれにせよ、このような映画はもう作れないと思います。死ぬまで何度も観るのだと 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 10点(2018-01-10 01:08:45)
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72.もっと怪しげな雰囲気を期待していたんだけど。ストーリーも取り立てて面白くない。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-02-15 23:05:32)
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71.四回目ですが、見るたびに細々ながら見落としてるような部分が発見につながり、だんだん良くなっていく典型的な名作でしょうか?亡霊との接触部分は、何とも気だるく見事な雰囲気を醸し出してくれています。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-05-20 23:20:04)
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70.筋立ては皮肉と示唆に満ちていてなかなか面白いのだけど、場面進行があまりにもそのまんまなので、せっかくの筋が生きていない。今となっては、参考作品扱いだと思います。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-05-09 03:53:18)
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69.ネタバレ 出だしの古びた映像から始まって、主人公が謎めいた屋敷で怪しげな女のもてなしを受けるあたりまでは結構引き込まれます。しかし、武士になる夢を叶えた義弟が遊女になっていた自分の妻と再会して悔改めるあたりから、人間臭さが希薄になって教訓めいてきます。期待していただけにちょっと物足りなさが残ります。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-04 23:56:40)
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《改行表示》 68.ネタバレ 家族との幸せが何よりも大事、というテーマに沿った映画だが、幻想的な面もあってなかなか見せるものになっている。 でも、古い映像が分かりにくさを助長しているので序盤は物語に入りにくい。 こういった分かりやすいストーリーは旧い映画の方が合う、とも言えるけど。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-05-01 23:13:11)
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《改行表示》 67.地道に家族と一緒に暮らすのが一番、分不相応な望みは身を滅ぼすということか。 溝口健二監督の名作だが、琴線には触れなかった。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2014-04-26 22:18:32)
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66.ぱっと見で登場人物の外見の区別が付きにくく、途中で人物が混同してしまいます。 【K】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-03-26 20:10:30)
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