7.ストーリーは単純極まりないB級感たっぷりの『復讐もの』です。それもそのはずで、70年代に流行った香港のショウブラザーズ映画や、日本映画の「修羅雪姫」、マカロニウエスタンの「女ガンマン」等の、タランティーノが個人的に好きな作品を集大成した作品だからだ。 復讐ものでのアホ映画ではセガールの「沈黙シリーズ」、アクションでのアホ映画ではバンダムの作品が有名だが、それらの作品との違いは「映像センス」と「徹底した遊びっぷり」、更には「音楽センス」ではないだろうか。 映像に関しては、色んな映画の名場面をパクッているので非常に格好いい。嫌、むしろ格好良くて当たり前である。そして、その場面に適した曲を当て込む。曲も過去の作品からパクッているのだが、時には自分の好きな曲をシーンに合わせて入れることもあるようだ。 そして何と言っても凄いのが「遊びっぷり」です。ユマやルーシーに片言の日本語で喋らせるが、これが非常に面白くて笑わずにはいられない。ヤクザの会合のシーンでは、ルーシーの英語演説をファタールがご丁寧に通訳しています。これは明らかに日本の記者会見での通訳をパロッて笑い飛ばそうとしています。飛行機にしても作り物バレバレで(しかも機内には刀差しが!)、これに対して本気で突っ込んでいる人はタランティーノの悪ふざけにまんまとハマッています。 あと、血しぶきが飛んだり、腕が飛んだり、首が飛んだりとグロテスクなシーンが指摘されていますが、多少映画を知っている人ならタランティーノの作風が昔からそうであることは常識ではないのでしょうか?? 【おはようジングル】さん 9点(2004-08-24 17:38:04) (良:3票) |
6.馬鹿映画だ荒唐無稽映画だと、口々に賛辞とも酷評ともつかぬ意見が飛び交う本作品。しかしその表層的なイメージにとらわれては何も生まれない。タランティーノ監督はこの不可思議な映画を通して、一体何を訴えようとしたのだろうか。俺はひとえに「一つの意志を貫き続ける精神」がテーマだったのではないか、と考えてやまないのだ。主人公・通称ブライドは男に復讐を挑むために、長い道のりを歩むことを決意する。その節々において、彼女は感情の機微を晒け出し葛藤するようなシーンが皆無であることに注目したい。一つの意志を貫く決意はかくも人間を強くし、大いなる行動結果を生み出すのに繋がるのだ。それをしっかりと心に踏まえつつ、俺はこの映画にこう叫ぶのだ。「四年間同じ着メロかよ!!!」 【コバ香具師】さん 9点(2004-06-01 14:32:47) (笑:3票) |
5.今までの作品で映画ファンや業界関係者からの信用を築いてある程度の金と権力を手にしたオタクが「うふ、そろそろやっちゃおっかな」とスケベ心を出し調子に乗って、純粋な自分の趣味世界に走って作った作品。ウォシャウスキー兄弟が「暗殺者」や「バウンド」で信用を売り、本当にやりたかった「マトリックス」にまでこぎつけた、というのとある意味被る。だが、この独自世界を観客が追えるのかというのはかなり疑問だ。このあまりにも奇妙な日本描写はもちろん思いっきり確信犯なのだろうが、でもやはりあのアゴにょにょーんの変てこなアメリカ人は、自分が思っているほど日本通ではない。彼が知っているのはやっぱりどうしてもB級映画の日本で、好きなのは外人受けしそうな奇妙で独特なノリとオリエンタリズム。それ以上の歴史的なものや深い精神性などには興味がないのだろう。この作品で描かれるのも、いわば日本のどこにもなく日本人誰もが知らない日本だ。パラレルな日本。そのノリを楽しめる人にはこの作品は最高だろう。日本のB級映画に対するオマージュが満載なのだから。私はと言えば、ウィークエンダーのキュゥ~ン♪キュゥ~ン♪が鳴り始めた時は完全にツボに入ってしまい、笑いをこらえるのが必死だった。その掴みから最後までは一気に楽しみながら観てしまった。ある意味観客不在のところで進行する映画だが、運良くそれに感応出来たので楽しめた。滅茶苦茶な好き放題映画。いいですよ。愛を感じます。偏愛ですが。ただ、2度はこの手は使えない。タラにはもう2度とこんな映画を作らせてはいけない。厳重注意。 【ひのと】さん 9点(2004-01-12 14:42:18) (良:2票) |
4.この作品を見終わって言いたいのは「タランティーノ監督ありがとう!」と言いたい。それは良い映画を見たから?いえいえこの映画とても良い映画とは言えません。わたしの為に撮ってくれたように感じてしまうほど趣味のあった映画だからです。映画ファンならご存知のとうりタランティーノはかなりの映画オタクです。今回の作品はそんなオタクなタランティーノが自分の好きな映画を確信犯的なパクリやオマージュなんかで固めた作品なのです。特に深作欣二監督への愛は痛いほど感じます。最後の舞台となる青葉屋なんか、まさに”間違った日本”っていうか、これ「蒲田行進曲」のあれじゃないの?見たいな世界ですから、とてもリアリティなんかあったもんじゃありません。アクションも過剰でチャンバラもメチャクチャだけど”ゴーゴー夕張”との一騎打ちはなかなかの名勝負。音楽の選曲もかなり良いです。ユマとルーシーの日本語での会話もモタモタしていて必見!かな?とにかく、まじめに評価するような映画ではありません。だってこれはタランティーノが自分が満足したくて作ったような映画ですもの、気楽に見ましょう。もっとも、平気で刀を機内に持ち込んでる時点で「これはそう言う映画なんだ」と理解すると思いますが。 【カズゥー柔術】さん 9点(2003-10-27 01:33:46) (良:2票) |
3.必要以上に飛び散る血飛沫、吹っ飛んでいく手、首、足。ヘタな日本語で啖呵を切り合うユマ・サーマンにルーシー・リュー。ヘタな英語でベラベラ喋る千葉真一。刀置きがある飛行機、なぜかそこだけ雪が降り積もる日本庭園。栗山千明扮するGOGO夕張の鋭い眼光に、最後に流れるド演歌。あぁ、きた、ツボだ。日本人にしか分からない笑いにちょっと優越感。経験したことの無い映画の面白さを見せ付けてくれたタランティーノ監督に大感謝。 【紅蓮天国】さん 9点(2003-10-25 19:26:03) (良:2票) |
2.のっけからよし、テンポよしで120分はあっという間。そして全身ぐったり。「キルビル」の世界すべてに共感できたわけではないけれど、隅々までもれなく見所でほんとおもしろかった。ただ、「オレは前世日本人だったと思う」と何かでタランティーノが言っていたけど、きっと前世もアメリカ人なんじゃねえかなあ、異様に日本かぶれの。 【ドレミダーン】さん 9点(2003-11-21 20:18:43) (笑:1票) |
1.一体、この映画はナンなんだろう?という不思議な感覚は、やがて記憶の奥底を刺激し、ノスタルジーを誘うものになりました。昔、土日の午後のテレビで見ていた、どこの誰が作ったのかも定かでない、映画史などとは無縁のB級の映画達。本来、忘れ去られてゆく筈のものに対して愛情を向けたこの映画、「笑えた」という意見が多いなか、私は妙に泣けてきてしまって、仕方なかったのでした。映画を見る眼を研ぎ澄ましてきた人にはダメ映画として映りそうですが、どんな映画でも、どうしても切り捨てる事ができないまま生きてきた人には最高の映画なんじゃないでしょうか。【追記】再度スクリーンで見たところ、初見の時よりも更に印象アップしました。実は意匠が非常にしっかりしていたんですね。特にクライマックスでのブライドとオーレンの対決シーン。ブライドが映る画面は障子から洩れるオレンジの光が、オーレンの映る画面は雪が散りばめられた空のブルーが常に背景にあって、熱さと冷たさが対比されています。怒りに燃えたぎるブライドの温度と、冷たく情を捨てて生きてきたオーレンの温度。単なる日本映画のエッセンスを置いてみました、というのではなくて、その映像に「日本映画の血」を確実に見たのでした。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2003-11-21 11:30:24) (良:1票) |