4.ネタバレ 追記:この映画このレビューについては私のミスリードです。しかし故あって、このレビューは晒しておきます。自戒。以下原文・・・・・ 笑(嘲笑?)票をもらっておいてなんだが、【黒猫~】さんと【すぺるま~】さんの意見にインスパイアされたので全面的に書き直す。ごめんなさい。原作にはグランド・ゼロは登場しないが、スパイク・リーはあえてそれを登場させることでモンティとNYの姿をダブらせ、ひいては「がんばろうNY」というメッセージを贈りたいと思ったはずだ。彼はモンティが因果応報と強調するが、ならば「モンティ=NY」である以上、NYテロも因果応報ということになる。しかし、モンティは自業自得だが、NY市民を含め、NYテロで死んだ人は自業自得とはいえないだろう。少なくとも、スパイク・リーおよび観客に彼らの死を「自業自得」と決め付ける権利はないと思うし、百歩譲って「自業自得」だとしても、NYのそれとモンティのそれはレベルも悲しみも全く違うはずだ。つまり「NYの希望」と「自業自得の男の希望」は全く別の動機から生まれた全く別種なもので、それを考えれば「モンティ=NY」というのがそもそも無理な設定なのだ。「がんばろうNY」という狙いのもとでグランド・ゼロを絡ませた時点で、もともと私小説的な性格を持つ原作を換骨奪胎した映画になったといっていいと思うし、スパイク・リーもそれを狙っていたと思う。しかし、そもそも前提にこのような無理がある以上、彼の狙いが成功したとはやはりいえないだろう。皆さん好評価だが、失礼ながらそれは「グランド・ゼロ」をモンティの自業自得ぶりと切り離すか、あるいはグランド・ゼロ自体を無視することで成り立っているのではあるまいか?スパイク・リーの狙いとがっぷり四つに組んで鑑賞すれば、「余計な色気を出さずに原作の良さを活かして撮れ」という結論になると思うのだがいかがだろうか?。もし、彼がそうしていたなら【ともとも】さんが言っていることに尽きる。蛇足になるが、もしこれが「自分自身への応援歌」だというのなら、そんな下らないものをカネとって見せる神経がそもそもおかしいと私なら思う。・・・原文終わり。汗。 |
3.スパイク・リー監督のNYに対する強いメッセージというか愛が感じられた。ちょうど1ヶ月ほど前に私自身がNYに行って、グラウンド・ゼロを見てきたのでこの映画はとても衝撃的だった。エドワード・ノートンの演技はいうまでもなく素晴らしいというか圧巻でした。 【いざ、ベガス】さん 9点(2004-01-30 23:18:49) |
2.スパイク・リーがとうとうニューヨークをめった斬りにしましたね。この罵詈雑言は、愛情の裏返し。愛して愛してやまないからこそ、ここまでとことん言えるのです。スパイク・リーでなければ出来ないことです。その狂おしいまでの愛情を、演技者として全て背負ってのけたエドワード・ノートン、ブライアン・コックス、素晴らしいです。これまではコミュニティを通して人々を語ることの多かったスパイク・リーですが、今回はアイルランド系、ロシア系、ヒスパニック系と意図的に人種の坩堝を目指したように思います。NYをボロクソにこき下ろすシーンでは、さらにアジア系、アフリカ系など様々な人々が槍玉に挙げられます。その全てがジグゾーパズルのようにNYを作りあげている、その全てを憎んで憎んで、怒りの全てを吐き出している、これほど強い愛情を私はこれまでどの映画にも見たことがありません。この作品の主役はNYそのものではないかと思います。スパイク・リーはこれからもまだまだ傑作を撮るでしょうが、この作品を越えて行くことが彼自身にとっても試練になるのではないかと思いました。 【anemone】さん 9点(2004-01-27 00:28:36) |
1.ネタバレ 監督との衝突など何かとトラブルが多いエドワード・ノートンだが、彼が「本気」を出して挑んだ作品というのはどれも凄い。そして本作もその例に漏れることはない。 真上から見下ろされたワールドトレードセンターの跡地。9.11が人々に与えた傷が今も深く根付いていることを痛感する。「全ては星条旗の名の下に」、民族、言語、宗教、多種多様な価値観が混在し、貧富の格差は増す一方の超大国アメリカ。響くのは主人公の行き場の無い激しい叫び。失意と怒りが漂うニューヨーク、これほどまで等身大にこの街を見せてくれる映画はそうは無かった。モンティの先に広がるのはやり直す事の許されない苦痛に溢れた未来。どんなに悔やもうが罪は消えず、未来を変えることはできない。だがしかし、ボロボロになってどん底から見上げたニューヨークには、それでも小さな光があったのだ。バスに乗っていた子供の笑顔に若干だが救われたような気さえした。父親が語る幻の未来、ささやかな幸福。どんなに堕ちようとも必ずやり直すことが出来る、そうボロボロの状態で拾われたドイルのように。ただの絵空事でしかないのかもしれないが、それでも自分は力強い希望と願いを感じたのである。 【紅蓮天国】さん 8点(2004-01-25 14:18:48) (良:1票) |