4.冒頭でビートルズのカバーである「Helter Skelter」から幕を開け、その後は怒涛の勢いで迫力あるライブパフォーマンスが展開されます。俺はこれまでU2はとても好きなアーティストだけどバラード曲が多くライブではそれほど盛り上がらないだろうなと勝手に思ってましたがそれは大きな間違いでした。劇中の彼らはまさに正真正銘のロックバンドそのもの。ボノがタイトルの「魂の叫び」の如く熱い歌声を聴かせ、誰も真似できないエッジのギターの鋭いギターサウンドもライブでは輝きを増している。ベースのアダムとドラムのラリーのリズム隊もU2サウンドの根幹をしっかり支える素晴らしい演奏。レッド・ツェッペリンの映画を観たときも感じましたが、U2もこの4人でなければU2の音楽は成立し得ないと言う法則がはっきりと感じ取れました。リハーサル形式で披露される「Desire」、エッジのリードボーカル曲「Van Diemen's Land」、ゴスペルグループとの掛け合いが美しくオリジナル版とはまた違った素晴らしさを感じた「I Still Haven't Found What I'm Looking For」、B.B.キングとの競演の「When Love Comes To Town」、ストーンズの名曲を織り交ぜた「Bad」、この映画のタイトルを1番象徴していたと感じれる最強の名曲「Sunday Bloody Sunday」、照明の演出が神々しく曲の世界観を見事に演出していた「With Or Without You」、ライブのラストを見事に飾った「Pride(In The Name Of Love)」。そしてモノクロのライブ映像が続いた後に雰囲気が一変して画面がカラーとなり「Where The Streets Have No Name」のイントロが鳴り始めたときは鳥肌が立ち、心の底から感動を覚えました。カバー曲もどれもオリジナルに負けないほどの完成度でこの映画の魅力の一端を担ってたと思います。見所がとても多くまだまだ書き足りないほどです。この映画を観て一生に一度でいいからU2のライブを生で体感したい衝動に駆られました。今(2006年12月現在)ちょうどメンバーが来日していて、さいたまスーパーアリーナで3日間ライブが展開されていますが、何故今回そこだけで関西には来てくれないの・・・(号泣)次の来日に期待します!
3.『Sunday Bloody Sunday』で”革命なんてファックだ”と叫び、続く『Pride』で大観衆と合唱。凄い、ライブでもスクリーンでもないテレビ画面なのに、迫力とパワーに圧倒され、興奮する。考える事は誰にでも出来る。知ろうとする事だって誰にでも出来る。だけどその先、実際に行動に移れる人間というのはそう多く無い。Bonoはその活動により、テロの標的リストに名を連ねていたそうだ。彼らはまさに命をかけて、その魂を叫び続ける。命がけだからこそ伝わるものがある。『All That You Can't Leave Behind』でU2を初めて聴いた自分にとって、この映画はクラシック。昔のU2はCDでしか知らない。確かに『POP』と『War』ではビックリするぐらい音楽が違うが、どちらも同じぐらい好きだ。変化とは前へ進む事であり、変化を恐れる者は進む事が出来ない。命をかけて自らの意思を貫く事、口では言えても実際にやり抜く事の何と困難なんことか。その音楽、その生き様、Bonoは自分が最も尊敬する人間の一人。
1.「これは映画じゃない」という意見には、反論するすべを知りません。これはどこからどう見てもミュージックビデオです。でも劇場公開されているので、かろうじて映画と言うこともできます。さて内容ですが、U2の良い所が全て詰まっています。彼らの音楽のルーツを探る旅に合わせて曲が挿入されます。全曲素晴らしいですが、見所は何といっても「Where the streets have no name」です。オープニングからモノクロ映像が続いてこの曲のイントロに合わせてカラーに変わるシーンは、まさに鳥肌モノです。あと、個人的は「Bad」が良かったです。アルバムバージョンから大きく変更があるのですが、これに収録されているライブバージョンの方が断然訴求力があり、素晴らしいです。U2ファンはご存知だと思いますが、この映画(又は同名アルバム)を最後にU2は音楽的に大きく変質します。今までのメッセージ性の強い、ルーツに忠実なスタイルを完全に捨てて、まるでチープなポップスターを演じるようなアルバムを次々とリリースします。この映画(又はアルバム)を最後にU2に見切りをつけた人は多いと思います。実は私もその一人です。U2の集大成とも言えるこの映画を是非一人でも多くの音楽ファンに観てもらいたいものです。