81. 極北の怪異
ドキュメンタリー映画の元祖にして、その構造を暴露してしまっている映画だ。つまりドキュメンタリーは編集によって作られるということ。アザラシを解体するナヌーク一家とけたたましく吠える犬、イグルーで眠る一家と夜の北極圏を耐える犬、これらはおそらく別の時間帯に撮影されたもので、犬が吠える対象はアザラシの肉ではないだろう。あの表情は敵を威嚇するものだ。不偏不党を押し付けられることが少なくないドキュメンタリー映画の本質は演出と編集なの! [DVD(字幕)] 5点(2016-05-31 00:41:43) |
82. アデュー・フィリピーヌ
あふれる生命力に気圧されるも、いまいち乗りきれないまま終了。クライマックスの「青春の終わり」感はとても好き。 [映画館(字幕)] 5点(2016-05-31 00:35:56) |
83. ブロークバック・マウンテン
《ネタバレ》 心の底から愛している人と一緒になれない。理由は時代もあるし住んでいる場所のこともある。本人たちにはどうしようもない理由だというのが切ない。イニスの妻・アルマの辛さも想像に難くない。愛する夫を素性も知れない男に奪われてしまったのだから、そりゃあ荒れるだろう。あの時代ならイニスがバイセクシャルだということを町の住民にバラしてしまえば復讐できたのに、それをしなかったのはアルマが最後までイニスを愛していたからなのか?うーん。 [DVD(字幕)] 7点(2016-05-31 00:34:53) |
84. 姿三四郎(1943)
検閲がなければどれだけ面白い映画だったのか。小津安二郎が「100点満点中120点!おめでとう!」と喝采したほどの映画がこのような形でしか残っていないのは本当に残念だ。 [DVD(邦画)] 6点(2016-05-24 08:35:12) |
85. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
日本映画屈指の娯楽作。 [DVD(邦画)] 7点(2016-05-24 08:32:40) |
86. ジュラシック・ワールド
《ネタバレ》 登場人物がバカばっかりで辟易させられるんだけど、クライマックスのインドミナスレックス対ティラノ&ラプトルの熱い戦いと衝撃の結末が激アツだったのでこれくらいの点でもいいかなと。それにしても、ハリウッドのアクション映画はなぜクライマックスのバトルシーンが夜とか暗い場所での戦いになるんだろうか。 [映画館(字幕)] 8点(2016-05-24 08:30:51) |
87. 河内山宗俊
原節子の魅力の片鱗が見えるというだけでも価値ある映画だけど、物語も面白ければ演出も良し、役者の演技はいわずもがな。キャラクターの設定も魅力的で、さすが山中貞雄だな、といった感じ。ハラハラする場面をあえて見せない演出にはやきもきさせられて、妄想がはかどります。 [DVD(邦画)] 7点(2016-05-24 08:28:16) |
88. ジキル博士とハイド氏(1931)
演出はなかなか面白かった。ジキル博士がハイドに変身してしまうショットはふしぎだねー。 [DVD(字幕)] 7点(2016-05-24 08:25:11) |
89. 女囚701号 さそり
溜め込みが長すぎて途中で飽きてしまった。マゾヒズムが過ぎるのではないかと思う。 [DVD(邦画)] 6点(2016-05-24 08:24:10) |
90. 戦場のメリークリスマス
《ネタバレ》 トム・コンティが何言ってるのか全然わからなかった……デヴィッド・ボウイが坂本龍一にキスした後の例のショットはとても良かったのですが、彼らの友情がいまいち理解できませんでした。トム・コンティとたけしの友情が普遍的なものだったのに対して、ちょっと難しい。 [DVD(邦画)] 6点(2016-05-24 08:22:12) |
91. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
《ネタバレ》 『ALLWAYS 三丁目の夕日』の大ヒットを受け、昭和がブームになった。誰もが古き良き時代を懐かしみ、昭和を扱ったテレビ番組は好視聴率を記録し、展覧会などもさかんに開催された。私は思春期まっただ中にこの空気を体感し、昭和はそんなにいい時代だったのか、と思ったものだった。しかし、昭和には負の側面もたくさんあったのだ。戦後に絞っても、公害、冷戦、イデオロギーの暴走など、忘れてはならない事象がたくさんあった。しかし、昭和ブームはこれらを忘れさせ、架空の「昭和」に人々を誘った。オトナ帝国は2000年代中盤に実在したのだ。年々少年犯罪が増えているとコメンテーターは語った。しかし、戦前の少年犯罪は常軌を逸したものが多数あり、今よりもはるかに治安は悪かったのだ。郷愁は負の側面を忘れさせる。まさか子供向けアニメがこのことを題材にしていたとは知らなかった。どことなく「架空の懐かしさの雰囲気」をまとうスタジオジブリ作品への抵抗も込められていたのかもしれない。クレヨンしんちゃんらしいギャグの数々に笑い、ひろしが見た回想に泣いた。子供たちが抱く不安、無邪気な時代に帰りたいという大人の抑圧された願望の両方がわかる20代前半を生きる私だからこそ湧き上がる感情というものにすっかりやられてしまった。音楽もいいし、明言も多いし、素晴らしい映画だと思う。無性に「翳りゆく部屋」が聞きたくなった。 [インターネット(字幕)] 9点(2016-05-03 02:06:52)(良:1票) |
92. 戦艦ポチョムキン
演出の力が凄まじく、今の映画と比べても全く引けをとらない映画であることは間違いないけど、面白いとは思えない。 [DVD(字幕)] 4点(2016-04-30 20:58:10) |
93. レヴェナント 蘇えりし者
これほどクオリティの高いサバイバル映画がかつてあっただろうか?さいとう・たかをの「サバイバル」を読んでいる時のような興奮がIMAXで味わえてとても幸せだった。物語自体はそれほど面白いとは思わないし、復讐劇もいまいち盛り上がらなかったけど、映像で十分に魅せられたので満足しています。タルコフスキーへのオマージュは、タルコフスキーがそれほど好きな映画作家ではないのでピンとこず。おそらくイニャリトゥは物語よりも映像で魅せるタイプの監督になるのだろうな。 [映画館(字幕)] 7点(2016-04-30 03:09:17) |
94. 青春の殺人者
《ネタバレ》 汚いものを徹底的に汚く描いているというだけでも評価したい。市原悦子きたねーよ!死体もきたねー!水谷豊は顔だけだし、原田美枝子は体だけ。演技がうまいのは順ちゃんの両親くらいなもんだった。 それにしても、本作で描かれる狂気じみた愛は何なのだろう。順ちゃんの両親は理由もなくケイ子を敵視し、過保護にもホドがあるほど一方的な愛情=正義を振りかざして彼を束縛しようとする。ケイ子はケイ子で彼の邪魔になるようなことばかりして、彼は自分の思い通りの人生を歩むことができない。クライマックスの自殺未遂は異常なほどの愛情に包まれながら死にゆく彼の理想、本来歩むはずだった人生の自殺を表現しているのかな。トラックの荷台に乗ってどこかへ去っていく彼はもうあの街に戻ることはないだろうし、理想的な人生も歩めない。死んだも同然の心と頭で生きていくしかないとは、しかも罪から逃げながら…。恐ろしや。 [DVD(吹替)] 8点(2016-04-30 03:06:35) |
95. クラウン
まあまあ。ホラー映画的な怖さというよりも自分が自分ではなくなってしまう恐怖を描いた前半と、納得行かない展開のオンパレードの後半では満足度が段違いなので、この点数にしています。ジョン・ワッツの実力はよくわからなかった。今後のハリウッドの中心人物になることが確定している人ではあるので、注目していきたいと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2016-04-30 03:00:46) |
96. 恐怖と欲望
話はつまらんけど、冷めた人間観はこの頃からずーっと一貫してる。 [インターネット(字幕)] 4点(2016-04-30 02:56:20) |
97. ファンタスティック・プラネット
すげえ気持ち悪いけど、誰でも一度はあんな生き物がいる世界を想像したことがあるのでは?ヨーロッパ的美術のせいで人間がコジコジみたいな格好をしてるのはどうかと思うけど、瞑想中に体がぐちゃぐちゃになるシーンはしばらく忘れられないだろうし、毒ガス噴出基のフォルムなどの人間虐殺兵器が面白かったので高得点。すごくいい。 [インターネット(字幕)] 8点(2016-04-04 00:52:12) |
98. メイン・テーマ
嫌いにはなれないけど、賞賛することもできないという微妙なラインですね。森田芳光らしい映画文法の破壊活動じみた演出(俳優の素人演技やセリフと口の動きが合わない編集、意味不明なワンカット挿入など)は好きなんだけど、いかんせん話が面白くない。ロードムービーの難しさはエピソードを羅列していく時のバランスの取り方だと思うけど、森田監督はバランスを壊してなんぼの人だから、題材と監督がミスマッチかな。 [インターネット(字幕)] 5点(2016-03-30 20:31:03) |
99. マトリックス レボリューションズ
酷い。ザイオンに微塵も興味がわかないし、アクションも微妙です。CGで描いた生物がウジャウジャ出てくるのはいいけど、そいつらとの戦いには興味ないよ。ブルース・リーの精神がちっとも入ってないじゃないか!詐欺だ! [インターネット(字幕)] 1点(2016-03-24 18:45:39) |
100. マトリックス リローデッド
1作目よりも哲学性が増し、所見で理解できるやつなんているのかよ?と思ってしまうレベルにまで到達してしまったのが惜しい。やっていることはハリウッド印のCGアクションなので、思慮深い話なんか誰も求めていないのでは……。ネオが前作のクライマックスで究極体に進化してしまったことが二部作の制作に負の影響を与えてしまったことは否めません。物語とは、誰かが穴に落ち、這い上がるか、そのまま穴にとどまってしまう過程を描写したものです。ネオも確かに穴に落ちるんだけど、スーパーマン以上に万能な男ですから、「そんなこと言ってもトリニティーが助かる未来しか見えねえんだけど」と思わざるを得ません。実際、ネオはクライマックスでSFだからと言ってもなあ……というレベルの驚異的な能力を観客に見せ付けてしまいます。あのシーンは気持ち悪いし、ちっとも感動的じゃないよ!こいつ何でもできんじゃん!フリーウェイでのアクションは見応え充分でしたが、その他はダメダメ。ネオが超人化した1作目で終わらせておけばよかったんだよ。成長の余地がない主人公なんて興味持てねえよ! [インターネット(字幕)] 3点(2016-03-24 18:42:50) |