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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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981.  ザ・セル 《ネタバレ》 
映像美は圧巻でした。グロいんだけど独特の美しさがあり、斬新なアイデアに満ちた精神世界はもちろんのこと、SWATが出動し、ヘリが飛び回る現実世界の描写もリドリー・スコット作品のようで非常にかっこよかったです。ジェニファー・ロペスもかつてないほど美しく撮られており、この監督のビジュアルセンスはスコットやフィンチャーをも超えているように思います。ただし脚本のツメが甘く、作品全体としてはもうひとつ及ばぬ出来なのが残念。本作は「羊たちの沈黙」と「マトリックス」を比較対照とすると弱点がよくわかるのですが、事件に対する登場人物たちの思いや姿勢があまり描かれていないこと、また「煽り」が不足していたことが問題だったと思います。他人の精神世界にダイブするという非現実的な仕事を観客に受け入れさせるには、それに従事する人々がどのような覚悟や姿勢を持ってこれにのぞんでいるかを掘り下げる必要がありますが、まずこれをやっていません。また、生死の危険を冒してまで被害者を救おうとするキャサリンの、事件に対する思いや覚悟も描き方が甘かったように思います。同時に、彼女が行おうとする「リバース」と呼ばれる処置がいかに危険であるかの煽りが不足していたため(「それは危険だ」と同僚の研究者が警告するのみ)、これを断行する際の緊張感や、「いよいよ最後の禁じ手を使うか」という高揚感が出ていませんでした。また精神世界へのダイブにおいて、彼女の個性のどんな面が強みとなっているのかが明確に説明されていないため、スターガーの悪の面と対決する際の彼女の武器が観客に伝わっておらず、戦いにメリハリがありませんでした。さらに、タイトルにもなっている「セル」によるタイムリミットも作品の面白さにはほとんど貢献しておらず、せっかくの設定を一刻を争うような緊張感につなげていなかったのは残念でした。
[DVD(吹替)] 6点(2009-07-26 18:25:42)
982.  ファニーゲーム 《ネタバレ》 
「ファニーゲームは物凄い!狂っている!」という噂を聞き猛烈に関心があったものの、長期に及ぶ廃版状態により、DVDを入手して鑑賞するまで5年待ちました。人は見られないものほど見たくなる。期待パンパン、さぞかしショッキングな映画なんだろうと身構えて鑑賞したため、衝撃はそれほど感じませんでした。「得体の知れないヨーロッパ映画として鑑賞できれば」と、とても残念に思いました。要するに監督がやりたかったのは、暴力がギッシリ詰まった娯楽映画を見て「楽しい」と喜んでいる一般の観客達への嫌がらせでしょうか。デンジャラスのノッチに似ている不快極まる兄ちゃんは、普段暴力的な映画を見て喜んでいるあんた達の姿なんだよと。。。若者二人は、天の上から家族に不幸を与えます。逃げられるかも、警察に通報されるかもという、被害者と同一次元にいる加害者であれば持つであろう不安や迷いは一切ありません。自分たちがゲームを支配し、ゲームは必ず自分たちの思い通りに終わることを分かって行動している以上、彼らは映画固有の登場人物というよりも、映画を作っている人間や、それを眺める観客に近い存在だと考えられます(自分の作品に突如割って入る手塚治虫や鳥山明みたいなもの)。彼らはゲームが単調では面白くないから、被害者を泳がせ、哀れな家族にも一応「ゲームに勝つ」チャンスを与えます。しかし被害者が予想外の反撃をすれば、巻き戻して自分たちのシナリオに戻します。これは、結末のわかりきった話、設定が少し違うだけで中身はどれも大差のない娯楽作を飽きもせず何本も見て喜んでいる観客への皮肉でしょうか。まったく同じ映画であってはいけないがお約束は守って欲しい、自分たちが期待する内容でなければ不満に感じるという短絡的な観客たちへの。そんな頭空っぽの観客たちが、刺激を求めて「美化された暴力」を消費することの空恐ろしさ。これを、「美化」というオブラートを取り払った形で観客に提示します。「あんたらが喜んで見ている暴力って、そんなに楽しいものかね?」。本作から10年後、監督はまったく同じシナリオでファニーゲームをリメイクしました。わかりきった結末の映画を見て喜ぶ観客への嫌味はまだ終わっていないようです。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-23 20:48:07)(良:2票)
983.  もしも昨日が選べたら
人生をDVDのメニューのように自由に操作できるリモコンというアイデアは秀逸です。このアイデアにアダム・サンドラーの腕前も加わり、コメディ部分は非常に楽しめました。時間を止めている間に気に入らない相手をビンタしたり股間を蹴り上げたりとサンドラーらしいギャグが多くあって、志村けんのバカ殿様を見ている時のような抜群の安定感を感じました。ただし人情話になると途端につまらなくなったのが残念。「ブルース・オールマイティ」などもそうでしたが、独特のアイデアを活かしたコメディ部分は面白いのに、どうしてオチは毎回「日常こそ得難い幸福。家族を大切に」というありきたりな説教になってしまうのか。アメリカ人はこういう説教が好きなのでしょうか?最後まで人を食ったような話にしてもよかったと思います。また説教映画にするならするで、もう少しやりようがあったと思います。ルックスも性格も最高の奥さんと、素直でかわいい子供が二人も家にいるのですから、サンドラーが家庭に不満を持つ背景がイマイチ弱く感じました。ケイト・ベッキンセールが家にいれば幸せだろ!と誰もが感じたはずです。また、仕事が悪として描かれている点も、何か倫理感がズレているような気がしました。お父さんは家族を養うために仕事をし(職場は決して楽しい場所ではありません)、奥さんも子供もお父さんが頑張って仕事をしてくれているおかげで豊かな生活を送れているのですから、仕事は悪、家族のために何が何でも時間を持つべきという価値観にはあまり賛同できません。本作におけるサンドラーの仕事ぶりは決して極端なものではなく、家族を養うための範囲を逸脱しているように感じなかったため、このメッセージを伝えたいならもっと極端な仕事中毒にすべきだったでしょう。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2009-07-21 19:49:15)(良:1票)
984.  ファーゴ
監督が何を言いたかったのかよくわからない映画でした。もしかしたら、ド壷にハマる人間を眺めるブラックコメディをやりたかっただけなのかもしれませんが、コーエン兄弟の映画にはコメディとは思えない度の過ぎた毒があり、最後に明確なオチやネタバラシもないため、「これは一体どういう映画だったのか」と自分の中で消化しきれない部分が残ります。脚本や演出の技術は非常に高いため、「よくわからなかったが、何か良いものを見たのだろう」という錯覚すら抱かせます。。。以上、全体の総括ができなかったため高い得点は付けませんでしたが、本作を構成するパーツは魅力的です。失態を重ねる無能な犯罪者と、さほど苦労もなく彼らを追い詰める田舎の妊婦所長(体を張って犯罪に立ち向かう一般的な警察像へのアンチテーゼ?)という構図からしてよく出来ています。一般の映画に出てくる犯罪者は頭のキレるプロフェッショナル揃いですが、現実的に考えると、頭の良い人間は犯罪に手を染めません。マトモな頭があれば、犯罪はリスクが高すぎることがわかるのです。よって、場当たり的に行動し、ちょっと考えればわかるようなミスを山ほど残していく本作の犯罪者は、ある意味で真を突いています。他方これに対する妊婦所長は、この手の映画にありがちなウルトラC級の推理などは披露しません。現場の状況から常識的に推測できることをつなぎ合わせ、それを辿ることで難なく犯人へと行きついてしまいます。殺人の現場に立っていてもランチやおやつの心配をしたり、捜査の過程でよその街に寄ることがあれば昔の友達に会ったりと、決して執念の捜査というわけではなく、また平気で人を殺す犯罪者への怒りを口にすることもなく、田舎のお役所仕事という側面が強いことにも独特のリアリティがあります。他にも、ガラスの外に現れた覆面の男を見ても状況が掴めず、誘拐犯が家に侵入する様子をボーっと眺める被害者のリアクションなど、映画としては掟破りだが確かにリアルだという描写が多く、監督達の鋭さには舌を巻きます。
[DVD(吹替)] 6点(2009-07-21 19:05:49)
985.  アミスタッド
脚本はよく作り込まれています。奴隷商人、アメリカ海軍、スペイン王室らの利益が複雑に絡み合い、さらに国際条約や国家間の力関係、アメリカ国内の対立までが影響を及ぼすかなり厄介な裁判をテーマとしながら、事件を取り巻く環境の交通整理がうまくなされています。マシュー・マコノヒーに「この裁判の本質は所有権争いである」と言わせ、どうすれば黒人奴隷達が裁判に勝てるのかを観客に対して事前に提示したことで、話がグっとわかりやすくなっています。このようなストーリーテリングの工夫には好感が持てます。証拠や論理を積み重ねていき、裁判を有利に導く様は小気味よく、法廷ものとしてなかなかのレベルです。しかし残念なのは、当のスピルバーグが本作を法廷ものとして描く気がなく、法廷で論理を積み重ねることよりも、いかに感動的なセリフを言わせるかを重視したこと。感動過多というスピの悪い癖がここでも出ています。また、アフリカ出身で西洋文明には馴染みがないはずの黒人奴隷が聖書に関心を持ったり、西洋の価値観である「自由」を叫んだりと、黒人の白人化が目に付きました。「奴隷制度に反対を叫んで、奴隷達そのものに無関心な人間」という印象的なセリフがありましたが、本作の作り手達にもこれを自問していただきたいところです。一方、スピお得意の残酷スペクタクルのインパクトは絶大で、本作の壮絶さはシンドラーのリストをも超えています。言葉でのみ語られてきた歴史を、迫真の映像で見せられるとここまでショッキングなものかと驚きました。ロスト・ワールド、プライベート・ライアン、そして本作と残酷描写が際立つ作品を3つもほぼ同時に作り上げたスピの絶倫ぶりは、さすが巨匠なのです。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-18 21:22:05)
986.  マイ・ボディガード(2004)
主人公が動き出す時には誘拐事件は終わっており、復讐のために闘うという変わった着眼点の作品ですが、圧倒的な殺人スキルでやりすぎなくらい暴れ回る主人公の姿には爽快感すら感じました。敵は子供の命を飯の種にし、権力を傘に法の追及を逃れるという汚い連中。こんな奴らは殺して当然、苦しみを味わわせて当然。「この事件に関わったやつ、甘い汁を吸ったやつは全員殺す」というデンゼルの処刑人宣言には燃えましたとも。この手の映画にありがちな「殺しはダメだ」などという薄甘い良識は一切なく、法で裁けない極悪人は殺すしかないという実に正直なバイオレンスとなっています。普段は人畜無害なアクション大作を撮りつつ、たまに「リベンジ」や「トゥルーロマンス」のようなウルトラバイオレンスを作ってしまうトニー・スコットの、ブラックな面がドバっと出ています。ただ血生臭いだけでなく、悪者の体内に仕込んだ爆弾のカウントダウンが画面に表示されるなど、「北斗の拳」かというような悪趣味な映像テクニック満載で飽きさせません。デンゼルの怒りに合わせてテロップの文字が変わるなど、映像でイメージを伝えることに長けたMTV出身ならではの強みも発揮。「ナチュラル・ボーン・キラーズ」でオリバー・ストーンがやろうとしていたバイオレンスと映像ギミックの融合を、スコットはより器用にやってのけています。またスコットのようなベテランが監督したことにより、直情的な話ながら丁寧に作るべき部分はきちんと作り込まれています。「心に傷を負ったボディガードと、それを癒す少女の触れ合い」というベタベタな前半部分を、安易な仕上がりにしていないのは見事なものです。俳優の動かし方もうまく、ダコタ・ファニングは出演作中最高の演技を見せており、またクリストファー・ウォーケン、ミッキー・ロークの使い方も完璧です。上映時間から予想していた長さもさほど感じず、バイオレンス映画としてはかなり上質な部類の作品だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-18 14:06:57)
987.  トランスフォーマー/リベンジ 《ネタバレ》 
自分は前作を評価していないのですが、前作とまったく同じ路線ながら特盛り状態でやりきった本作には脱帽です。相変わらずコメディがくどいし、暗号の謎や人類とロボットの歴史などは実にどうでもいいし、脚本の出来が今ひとつなのは相変わらずですが、しかし評価できるのはロボットの描写が圧倒的に良くなっていること。アニメのトランスフォーマーが愛された最大の理由はロボットに個性を持たせたこと、味方だけでなく敵方のキャラクターも充実させたことにあります。前作ではオプティマスとメガトロン以外のロボットは個性がないに等しい状態でしたが、本作ではきちんと各ロボットのキャラが立っています。特に、古参兵スカイファイヤー、途中から人間方へ寝返るウィーリーは映画を面白くしています。情報収集を行うサウンドウェーブのクールさも気に入りました。また、アニメではおなじみの場面も再現されています。アニメにおけるコンボイは、デストロン航空部隊に悩まされると「なんでうちには飛べるのがいないんだ」と元も子もないことで怒り出したり、「私にいい考えがある」と言って提案する作戦がたいていしょーもなかったりと天然の部分があったのですが、今回の映画版においてはその天然ぶりも再現。「人間の君の言うことなら聞くだろう」と、いち大学生のサムにオバマ大統領を説得しに行かせようとします。またメガトロンによるスタースクリームへの容赦のない罵倒、「覚えとけよ~」と情けなく戦場を後にする様もこの映画にはあります。そして男子の心を燃えさせたのは、「変形」と並んでロボットには欠かせない「合体」が盛り込まれたことです。7体合体の超巨大トランスフォーマー・デバステーター登場には「これが見たかったんだ!」と心底感動しました。そしてオプティマスとスカイファイヤーの合体には、感動を通り越して若干涙目になってしまいました。元は敵方にいたスカイファイヤーとの合体ですから、これは両軍のテクノロジーが合わさった究極の合体なのです。合体後のベラボーな強さ、「動きにくくないか?」というほどのゴテゴテしたデザイン、どれも私のツボでした。よくぞここまでロボット好きの期待に応えるものを見せてくれたものです。ベイのアクションは相変わらずド派手で、たまに美しさを見せるものの、長い長い戦闘シーンがひたすら同じリズムなのでもう少し流れを意識したアクションにすべきでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2009-07-14 19:22:22)
988.  ニューオーリンズ・トライアル 《ネタバレ》 
知的なのだけど分かりやすく、言葉のやりとりにアクション映画のようなキレがあり、また観客が集中力を維持できる程度に上映時間が抑えられていたりと、レベルの高い娯楽作となっています。ほんの僅かな登場ながら銃撃の被害者となった証券マンに感情移入させたり、それなりに人数のいる陪審員たちの個性や背景を短時間で描いていたり、多くの思惑が絡む話ながら交通整理がうまくなされています。法廷サスペンスという括りながら、フィッチのチームが活動する際にはブラッカイマー作品のような編集がなされていて、これにより単調になりかねない法廷ものののビジュアルが面白いものとなっています。残念なのはキューザックの家が荒されるなど直接的な暴力が描かれた点で、百戦錬磨の法律家が捕まったらおしまいの愚かな戦い方はしないでしょう。また、ダスティン・ホフマンの助手や盲目の陪審員など、せっかくの前振りはあったのに本筋に絡まない登場人物が多く存在することも残念でした。上映時間を抑えるために割愛されたのでしょうが、動かせば面白くなりそうなキャラもいただけに、余計なアクションを入れるくらいならこちらに時間を割くべきでした。極端なフィクションとはいえ、この映画を見るとアメリカの裁判制度はガタガタであることを実感します。裁判とは、審議している案件が法律に違反するか否かを吟味する場であるはずなのに、どのような嗜好を持った陪審員が選ばれるか、口のうまい弁護士やフィクサーがこの陪審員をどう誘導するかで結論が変わってしまうのは裁判と言えるのか。銃メーカーが悪い、タバコメーカーが悪いと、善意ある商売とは言えなくとも、ともかく法律に違反しているわけではない企業を訴える消費者がいて、時にバカな訴訟にも付き合う弁護士がいて、彼らの要求する法外な賠償金を認める法廷がある。銃が簡単に手に入る社会を容認してきた国民側の責任はないのか、体に悪いことを知りながら喫煙をやめない自分に責任はないのか、そのような当然の理屈をすっ飛ばし、「かわいそうな被害者がいるから」で陪審員の同情を買って合法的な企業が悪者にされるおそれがあります。となると企業側が過剰な自己防衛に走り、フィッチのような人物が現れるのも理解できます。そして彼らが裁判に勝つため汚い手を使い、本当に裁きの必要な案件まで握りつぶしてしまうという悪循環が発生し、評決は金で買うものとなっています。
[DVD(吹替)] 7点(2009-07-04 09:48:43)(良:1票)
989.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 
【激しくネタバレしています】 テレビシリーズにおいては、毎回使徒を殲滅する爽快なアクションや学園ものとしての明るい面が強調されたパートに当たり、またシリーズ中最大の盛り上がりとなった最強の使徒との戦闘→初号機の覚醒もあって、かなりおいしい部分に当たるのがこの「破」です。というわけで初っ端から見せ場の連続、「序」を見てしまっているのでビジュアルへの驚きは薄くなりましたが、意表を突くような使徒のデザインや(時計の針みたいなやつまで登場)、細かいところまでこだわり抜いたアクション、音楽と渾然一体となったキレのいいカットにはやはり大興奮なのです。ハリウッド大作でもここまで見せるものは少なく、日本はやはりアニメの国なんだなぁと実感しました。本作より新劇場版はオリジナルとは異なる展開となりますが、かと言ってまったく新しいことをやるのではなく、オリジナルにあったパーツを組み替えることで意味合いを変えていくという、いかにもファンを喜ばせる遊びをやっているのはさすがです。そうして中盤まではテレビ版を踏襲した作りとしていただけに、テレビとは大きく変わったクライマックスの戦闘にはかなり驚かされました。使徒がエヴァを捕食するというテレビと逆の関係になっていたり、「覚醒」が「ビーストモード」としてエヴァのオペレーションに組み込まれていたり(しかも今回はエヴァが負ける)、極めつけは旧シリーズのクライマックスだった初号機の神格化及びサードインパクトがここで発生しており、「おいおい、もうはじまっちゃったか」とかなり意表を突かれました。さらにシンジとレイの行動原理を明確にお互いへの愛情としたため、前回の気の重くなるようなサードインパクトから一転、えらく前向きで力強い意志をもったサードインパクトとなっています。今回はシンジとレイの成長が大きな鍵となっていますが、一方でシンジをレイに持って行かれ、加持さんも心の恋人ではないアスカの冷遇ぶりはお気の毒でした。また新キャラであるマイは主要な登場人物にほとんど絡んでおらず、オリジナルに比べて微妙となったアスカ、立ち位置のはっきりしないマイ、登場のタイミングが大きく変わったカヲルが今後どのような形で話に絡んでくるのか、「Q」も見逃せない終わり方となっています。今回のように2年も空けることなく、できれば半年以内にでも見せてくれれば嬉しいんですけどね。
[映画館(邦画)] 8点(2009-07-01 22:30:10)(良:2票)
990.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
キャラも話も見せ場も大きな変更はなく、新しいものは特にないのに、舐めるほどオリジナルを見ていた人間を納得させるだけの映画にしているのですから、エヴァという素材がいかに強力であるか、また新劇場版がいかに優れた娯楽作であるかがわかります。時間的にはかなり端折られているにも関わらず話の要点は外しておらず、また駆け足感もさほど感じない要約の絶妙さ、一方でエヴァの特徴である意味深なセリフや内面描写、「謎」への振りは、劇場での鑑賞でも消化できる程度の適度な密度に抑えていたりと、ストーリーテリングのレベルは相当なものだと思います。オリジナルを製作している時点において、監督たちのエヴァに対する理解は必ずしも統一されていなかったということですが(その混乱が、見る側にいくつもの解釈の余地を与える奥深さにつながっていましたが)、エンターテイメント志向の今回は話をまとめるつもりで作っているようで、極度に混乱させるような展開はなくなって見やすい作品となっています。編集は冴えに冴えており、ヤシマ作戦においてシンジがトリガーを引く瞬間に向けてドラマやアクションがきれいに収斂されており、実写でもここまで盛り上げる編集は滅多にないなぁと感心しました。そして、やっぱり凄いのがビジュアルの強化です。おおまかな流れは変わっていないものの、気の利いた追加や修正により驚くほどかっこよくなっています。最大の変更点は、シンジ、レイ以外にも使徒と戦っている人々の描写を充実させたことで、ヤシマ作戦に向け、大破した初号機を急ピッチで修理したり、シンジに陽電子砲を撃たせるため日本中のインフラが動員される描写が入ったことで、作戦の規模や重要性がより際立ちました。14才にしてこれだけのミッションを背負わされるのですから、「乗りたくない」というシンジの気持ちも理解できます。また要塞都市たる第三新東京市の防衛システムの描写が大幅に増えており、使途vs従来兵器は怪獣映画のようなひとつの見せ場となっています。細かい点では、エヴァ出撃シーンでのオペレーションをいくつか増やしており、ロボットものの重要な見せ場である「発進」が格段にかっこよくなっています。当初は必ずしも好意的には受け止められていなかった新劇場版ですが、公開されるや多くの人を振り向かせたパワーはさすがのものです。
[映画館(邦画)] 8点(2009-07-01 20:26:54)
991.  時計じかけのオレンジ 《ネタバレ》 
暴力がはびこる社会と、政府が人間性まで管理することで秩序が保たれる社会、一体どちらが良いのか?前半に繰り広げる残虐行為の数々は群を抜いていますが、血が飛び散るような映像的なショックではなく、クラシックに乗せての暴力や「雨に唄えば」等、キューブリックの並外れたセンスによりこれらが表現されます。アレックスの設定についても光っており、恵まれた家庭環境に育ち、両親に対しては良い子の振る舞いをするし、学校の成績が悪いわけでもない。満たされないがゆえの犯罪ではなく、ただ好きで暴力の世界にいるという、ある意味では真の悪人と言えるでしょう。息子が夜出歩いていることに関心を示さない両親の姿を見ると、アレックスがその衝動を抑えることなく暴力をまき散らしている原因がどこにあるのかは察しがつきます。そんなアレックスが後半ついに報いを受けることとなりますが、ここで映画はふたつの疑問を投げかけます。「洗脳により無害になることが、罪の償いといえるのか?」「政府が人の思考をいじってもいいのか?」。前者については、無害化すれば人殺しでも社会に戻ってもいいというやり方は違わないか?他人や社会に対して罪を犯した以上は、いかに更生・反省しようがそれに見合った苦痛や不利益を受けるべきではないか?というものです。人間とは機械のように合理的に物事を捉えることができず、「不合理であっても犯罪者には報いを受けてもらいたい」という復讐感情が常にあります。日本で少年法が問題になる理由はこれで、道を誤った少年を更生させて社会に復帰させることが少年法の精神ですが、「罪の報いを受けさせる」という点がスッポリと抜けたこの法律に、多くの人が気持ち悪さを感じています。アレックスの世界の政府は日本の少年法と同じ理屈で犯罪者を処理し、空きのできた刑務所には、永久に社会に戻ってきて欲しくない政治犯をブチ込むという計画です。このように国民の行動をコントロールしようとする政府にロクなものはないということが後者です。無害になったアレックスは、被害者や社会による暴力を受けます。結局人間の本質は暴力的であり、社会から暴力性を排除するということをつきつめると、全員を洗脳するしかなくなります。そんな社会が良いのだろうか?アレックスが公衆の面前で暴力を受け、また女性の裸を見せられるという異様な光景で、キューブリックはその薄気味悪さを印象的に表現します。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-19 21:02:38)(良:1票)
992.  テキサス・チェーンソー ビギニング
「ビギニング」と言っても、レザーフェイスの生い立ちについては「セブン」風のタイトルバックで断片的な情報が与えられるのと、精肉工場からチェーンソーを持って帰るエピソードぐらいで、これぐらいなら誰でも想像がつきますよねという範囲のもののみです。要するに、そのルックスからいじめに遭って性根が歪んだウォーズマンみたいなやつだということです。今回レザーフェイスの出番は少なく、代わって前作でも輝いていたホイト保安官が映画を席巻します。キューブリックも惚れたリー・アーメイ先生の容赦のない罵倒、不条理を不条理とも思わない揺るぎのなさ、巨乳のお姉ちゃんがいれば躊躇せず乳を揉むストレートな人柄が炸裂。その暴れっぷりは「フルメタル・ジャケット」を完全に超えており、レクター博士やダースベイダーが物分かりの良い穏健派に思えるほどの壮絶な悪者ぶりを披露します。前作はレザーフェイスとの追っかけがメインでアクション映画のようになっており、ショックシーンの連続ではあるもののビジュアルへの偏重が恐怖の底にもなっていました。しかし本作は気の狂った人間から無茶を言われまくる不条理さが大幅に強化されたことで恐怖が底なしとなり、さらにパワーアップしたゴア描写との併せ技により、ホラー映画としては史上最高レベルに達しています。残酷慣れした私の友人も「これは怖かったなぁ」と大絶賛でした。不条理さが支配する独特の空気を作り上げ、また観客の先読みをリードして話を進めるなど、脚本はかなり練り込まれています。特にすごかったのが、一家の母さんとデブのおばちゃんが、足元に女の子が転がってるのに気にも留めず世間話をしているところ。このとんでもない世界観、被害者たちの絶望感は他にありません。そこからの逆転のカタルシスもきっちりと描いており、体に力が入りっぱなしの90分でした。
[DVD(吹替)] 8点(2009-06-19 19:03:56)(良:1票)
993.  バッファロー'66 《ネタバレ》 
女性に縁のなかった30男の前に、勝手に自分を好きになってくれる女性が現れる男のファンタジー。…と普通ならありえない話なので、脚本や撮影にデフォルメ化の工夫が凝らされています。ビリーの登場からして独特で、なんとおしっこのエピソードで彼の人となりが紹介されます。「このトイレは使うな」と言われれば素直に従い、清掃中の公衆トイレに無理矢理入ったりもせず、限界に近いのに立ちションもしないという律儀な性格。ようやく入ったトイレで「俺のもん見ただろ」とブチ切れますが、幼い子供はち○こが大きいことにコンプレックスを抱き、大人になると小さいことにコンプレックスを抱くと言われており、立派なものを持っているのにこれを見られることを極端に嫌うビリーは、歳だけとっていても中身は子供なのです。ビリーが大きな子供である原因、それは両親にありました。ふたりとも100%の悪人ではなく、息子の奥さんを快く受け入れたり、お節介を焼きたがる面もあるのに、一方で息子のアレルギー体質のことも覚えておらず、ビリーやレイラがバレバレのウソをついても詮索しない。息子に対する関心が極度に欠けており、ビリーは30歳をすぎた今もこの両親を振り向かせるために必死です。人生ではじめて自分を無条件に愛してくれるのは両親なのですが、この愛情を受けられなかったビリーは自分が人から愛されるということをなかなか理解できません。そんな彼を辛抱強く待つレイラはまさに天使ですが、レイラはなぜビリーを好きになったのか?そのとっつき憎さから、多くの人はビリーの良さに気付く前に距離を置こうとします。しかし誘拐というシチュエーションにより、レイラはイヤでも彼を近くから観察することになります。またレイラ自身も変わり者で、ダンス教室でもみんながダンス用のウェアを着ている中、彼女だけは私服で踊っています。ふくよかな体型に何かを間違えたメイクと華やかな人生を送っていないことは察しがつきますが、ビリーはそんな彼女を捕まえて「奥さんになれ」と言い、また乱暴な態度の彼がレイラの見た目や性格について文句を言うことは一度もありません。これはビリーが一方的に愛情を受ける話ではなく、レイラにとってもビリーは人生で欠けていたものを補ってくれる存在であり、孤独に生きていた人生に突然現れた天使なのです。
[DVD(吹替)] 7点(2009-06-18 14:54:53)(良:7票)
994.  墨攻 《ネタバレ》 
原作未読の私にも、要約に苦労したことがよくわかる出来となっています。敵意むき出しだった王子が革離に傾注したり、革離暗殺を命じられた農民たちが革離に信頼を寄せるまでの過程がスッポリと抜けていたりと、唐突な展開が多々見られます。一方で荒っぽい要約が吉と出ている部分もあって、前半、革離が次々と知略を披露して敵を撃退する様は、矢継ぎ早な展開のおかげで彼が戦略家として際立った人物であることを強く印象付けます。アンディ・ラウは革離役に抜群にハマっており、ただ理屈を述べるだけではなく、人々を引きつけるカリスマ性も兼ね備えた人物にきちんと見えます。対するアン・ソンギもアンディ・ラウにまったく見劣りしない悪役となっています。弱小の梁国相手に負けを重ねるという下手すれば無能に見えかねない役柄であったにも関わらず、知性と人間性を併せ持った名将に見えるのですから、この役柄を脚本以上の人物にしてみせたと評価できます。後半は革離の影響力を恐れた梁王一派が粛清をはじめるという興味深い展開を迎えるものの、ここで映画はいったん失速します。基本的に本作はアンディ・ラウとアン・ソンギが引っ張っているため、ふたりが不在となるこの部分が致命的につまらないのです。脚本レベルでは人間の普遍的な残虐性や愚かさを提示しようとしたと思われるこのパートも、良い役者が不在であったり展開に深みがないため、梁王をはじめとした本作固有の登場人物がただ暴走しただけにしか見えません。王子を失った梁王の悲しみや怒り、また革離を排除せよとの命令にいったんは反対するものの、梁王への忠義からその先頭に立つこととなる将軍の葛藤など描くべきものは多くあったにも関わらず、お手軽なドラマ作りのために残虐な処刑等で不快な気持ちにさせられるのみです。しかし、アンディ・ラウとアン・ソンギが戻ってくると映画は再び息を吹き返します。どんな戦闘シーンよりも彼らのやりとりは見ごたえがありました。また、梁王によって反乱軍と見なされ、いったんは国を離れた部隊が趙軍を撃退するのですが、解放された民衆は過ちを犯した梁王を再び担いでしまうという皮肉な展開をとってみせたことには驚かされました。逸越をニアミスで殺してみせたり、民衆の愚かさにさすがに愛想尽かし孤児を連れて梁を後にする革離等、見る側に考えさせるバッドエンドは満点の締めだったと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2009-06-16 22:39:11)(良:1票)
995.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
物陰に隠れてレーザー光線を撃つのが精一杯のもっとチマチマした戦争をイメージしていただけに、潜水艦を司令部にし、空中戦もやってみせる人類の予想以上の健闘ぶりに燃えました。部隊と共にヘリから降り立つジョンの登場シーンでは「これは戦争映画だ!」という監督の心意気を感じ、「こういうのを待ってたんだ」となぜか涙目になる私。大小揃ったロボの充実ぶりに、巨大ロボからモトターミネーターが分離するギミック、また輸送船からHKが分離するギミックと、「ロボットの醍醐味は分離・合体である」という重要な基本を押さえた素晴らしいシーンの連続に感動しました。またマーカスという新キャラも良く考えられています。2003年までの記憶しかない彼が観客と世界観の橋渡しの役割を果たしており、彼が見聞きするものが情報として観客へ提供されるという巧い構成になっています。彼が頼もしい用心棒として大アクションを繰り広げる前半は旧3部作のアップグレード版であり、この過程で観客はマーカスに感情移入します。またジョン役にクリスチャン・ベールを得られたことも幸運で、本作の実質的な主人公はマーカスであり、相対的にジョンの出番は少なく、また一時的にマーカスを殺そうとするヒールの立場にもなるのですが、ベールの存在感によりカリスマ性ある人物にきちんと見えています。カイルとの出会いは素晴らしく、「命を捨てて母を守ってくれた偉大な父にようやく会えた」というジョンと、「憧れの指導者が目の前にいる」というカイルの視線が交錯する時の、ベールの表情が物凄く良いのです。カイルとの出会いに続いてT-800州知事モデルの登場でさらに因果な展開を迎えますが(なんでこのサプライズをCMで見せるんだ!!)、ここで脚本は残念なミスを犯します。2、3と「スペックで劣る善のターミネーターが、サラやジョンとの関わりの中でスペックを越えた力を見せ、新型を倒す」という展開で来ており、このバトルもそれを踏襲したものだと言えますが、マーカスの中身はT-800と同様のものなのか、それよりも劣る機体なのかを説明するセリフがないため、前作のような燃える展開になっていません。また、生前のマーカスが犯した罪についても言及されないため、「今度は良いことをしたい」というマーカスの行動もしっくりきません。死ぬ前にでもこれを告白させるべきでした。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-15 10:05:43)(良:3票)
996.  ジェシー・ジェームズの暗殺 《ネタバレ》 
伝説的アウトローを撃ち殺した男の物語という着眼点の良さ、撮影の美しさ、俳優の演技の良さ等見るべきものの多い作品となっていますが、いかんせん長い。シンプルな話なのにどうしてここまで長くややこしい映画になったんだろうかと、テレンス・マリックの映画を見ている時と同じ感覚を味わいました。映像は綺麗だし、役者は良い表情してるし、何かを感じ取るべき場面なのはわかるけど、いくつかのシーンでそれを見せてくれれば十分伝わるわけで、映画の最初から最後までずっとその調子でやられるとさすがに飽きてしまいます。また長い割に話の整理が出来ておらず、前半などはさほど登場人物が多いわけでもないのに「で、今は誰の話をしてるんだっけ」と何度も話を見失いそうになりました。時間配分も適切とは言い難く、ジェシーが疑心暗鬼になるきっかけとなる仲間内のトラブルや隠し事を必要以上に丁寧に描く一方で、このテーマにおいて重要であるはずの、ジェシーを殺した後のロバートの人生や彼の葛藤については駆け足のナレーションで説明され、それまでイヤというほど見せられた冗長なカットもここにはありません。憧れの対象にいざ出会うと幻滅し、最終的に殺すに至ってしまうというテーマはすごく良いので、もっとストレートな映画にすべきだったと思います。本来わかりやすい話をわざわざ回りくどくすることは、「俺たち芸術的なもの作ってるぞぉ」という監督やプロデューサー(インディーズ作品を好むブラピ)の自己満足のような気がします。映画の外見にこだわって話を難しくする中で、一体何を見せたいのか、見た人に何を感じ取って欲しいのかという意識が薄くなっていったのではと思います。映画の流れを観客の生理に合わせることや、主張を浮き立たせるために映画全体のバランスを計算することは、娯楽作でなくとも重要なことです。
[DVD(吹替)] 5点(2009-06-13 22:11:49)
997.  Mr.&Mrs. スミス 《ネタバレ》 
ブラピ&アンジーという豪華キャスト(しかも単純な娯楽作を敬遠する傾向にあるふたり)を揃えながら、意外なほどストレートなアクションコメディとなっています。また、監督がダグ・リーマンだけに一筋縄ではいかない作品になるのかと思いきや、最後まで軽いノリを通しているのが好印象です。この手の作品にありがちな「絆を再確認する夫婦の感動的な姿」みたいなホロっとさせる展開も入れておらず、アクションコメディはこうあって欲しいという仕上がりとなっています。豪邸に住む美男美女の殺し屋夫婦という浮世離れした設定ながら、これを違和感なく演じてみせるブラピ&アンジーのスターオーラは大したもので、高い服を着こなしたり、夫婦の軽いやりとりをしたり、激しいアクションをやったりとどれも様になっているのはさすがです。ボーン・アイデンティティの時に「もっと見たい」と思ったダグ・リーマンのアクションもたっぷり楽しめます。この人のアクションに独特のクセはないものの、美しさと合理性、武器へのこだわりが調度いいバランスで同居しており、なかなか良い見せ場を作ります。またコメディ部分もただバカバカしいだけではなく、夫婦というものがきちんと描けています。片方の話をもう片方がほとんど聞いていなかったり、悪意なくとっさに出た一言(ここでは一発の銃弾)が相手に火を点けたり、一方が優しくなった時にもう一方が意固地になってトゲのあることを言ったり(そして直後に後悔)、日本もアメリカも夫婦のやることは同じなんだなぁとしみじみしました。ジョンはガレージに、ジェーンはキッチンにと、家の中なんだけど男(女)にはわからない場所に武器を隠してあるのもツボでした。残念なのは夫婦ゲンカが終わって二人が力を合わせる後半になると、途端に話がつまらなくなること。会話の面白みはなくなるし、アクションも大味でありきたりなものとなります。「二人を相討ちさせるために全部組織が仕組んだものだった」というオチは完全に蛇足で、そんな気の長く不確実性の高い罠を張るくらいなら、直接殺した方が早いわけです。またスミス夫婦は「逃げずに戦おう」と決心したのでてっきり組織の中枢に襲撃でもかけるのかと思いきや、ショッピングモールで刺客を返り討ちにして終了(ど真ん中に突っ立って一心不乱に撃ちまくったら敵が全滅という投げやりなアクション)で、大変な肩透かし感がありました。
[映画館(字幕)] 7点(2009-06-13 13:46:58)(良:2票)
998.  ジャッキー・ブラウン 《ネタバレ》 
タランティーノ作品においてダントツで影の薄い作品ですが、彼の才能やクセがよく現れ、キャリアの分岐点となっている作品だと思います。とにかく長いこの映画。パルプ・フィクションも同じ155分でしたが、あちらは4つのエピソードを組み合わせているのに対し、こちらはワンエピソードで長尺を引っ張っており、本来B級の素材で2時間半は長すぎるように思います。しかしこれが絶対的な欠点でもないのが難しいところで、ムダに上映時間が長いのではなく、登場人物を丁寧に描いた結果がこの長さとなっています。タラのキャラ描写は独特で、ただテレビを見たり、ヤクをやってボーっとしているだけという「何も起こっていない」様子を映すことで、彼らの特徴を示します。そのため話は常に進んではおらず、完璧に止まっていることもあります。こうした、話全体にとっては何の意味もない描写により登場人物は特有の存在感を放っており、例えば同時期に製作されたアウト・オブ・サイトと比較すると、こちらの方がずっと印象に残るし、映画自体も楽しいものとなっています。問題は、タラが観客の生理に合わせた映画を作ろうという意思を持っていないことでしょうか。好きなキャラクター、好きな音楽、好きな場面をコラージュし、自分流の映画を作ることについては完璧。また、タラは変わった映画を作る監督として認識されていますが、ショッピングモールで紙袋をすり替えるシーンなどは、銃撃や追っかけが起きているわけでもなくただ紙袋をすり替えるだけなのに、ハンパではない緊張感に包まれており、正攻法の演出の才能もズバ抜けたものであることがわかります。しかし一本の映画としてのトータルのバランスはあまり意識していないようで、ショッピングモールで映画のテンションが最高潮に達した後に30分もダラダラと映画を続けてしまったことは失敗でした。一方でレザボア・ドッグス、パルプ・フィクションと初期作品はバランスのとれた娯楽作となっていることから、タラは娯楽ができない人ではなく、やろうと思えばできるけど、自分の描きたいものを優先して全体のバランスを犠牲にしてしまう人なのだと考えられます。本作以降はさらに好きなものに突っ走り、当初評価されていた抜群の構成力まで捨てつつあります。才能あるクリエイターが迎合しすぎず好きなことをやるのは良いのですが、最初の2本だけが傑作という状況はもったいないように思います。
[DVD(吹替)] 7点(2009-06-11 17:25:38)(良:4票)
999.  ターミネーター2
小学生の時のレンタルビデオが初見でしたが、圧倒的な面白さに家族全員がテレビの前から動けなくなったことをよく覚えています。すぐに寝てしまう祖母も、30分もテレビを見ていられない妹も、2時間以上の長尺を微動だにせず見入っていました。当時の標準的な娯楽作よりも2つか3つぐらいレベルが上の作品だったと思います。製作から18年が経過し、娯楽作全体のレベルも進化している現在において見返しても十分面白いのですから、本作がいかに優れた作品であるかがわかります。役者もよくハマっています。第一作当時は無名だったシュワ氏もその後6年でコメディまでこなすようになっており、もう一度悪役をさせても前作同様のインパクトを残すことは不可能だっただけに、善玉に転換したことは良い判断でした。また、重い宿命を背負った人生を送り、前作とはまるで別人となったサラ・コナーをリンダ・ハミルトンが演じきっています。そして収穫だったのがエドワード・ファーロングで、輝かんばかりのルックス、大スター・シュワを相手にしてもまったく見劣りしない演技力と、これ以上望めないほどハマっています。…と、本作がきわめて優れた娯楽作であることは明らかなのですが、何度か見るうちに気になった点もいくつか。最大の問題はT-800を人間臭くしすぎたことで、良い子守りとなり、最終的には「行かないで、ロボット」までやってしまうのは違和感がありました(ファーロングの力により、陳腐にはなっていませんが)。その点でいえば、「サラを殺すもジョンを守るもプログラムが違うだけで、ターミネーターとしての本質は変わらない」という描き方だった第3作の方が合理的でした。また、核戦争を阻止すべくサイバーダイン社を破壊しにいくという展開は、さすがに話が飛躍しすぎです。ジョンの保護を任務としているT-800が、警官隊に囲まれ、T-1000が来ることも予想される襲撃にジョンを連れて行くことはありえないでしょう。自分の生みの親であるスカイネットの破壊に、ターミネーターが進んで手を貸すことにも違和感があります。「未来は自分の力で変えられる」というメッセージがラストに提示されますが、今の社会が続けば犯罪者の母親と不良少年にすぎないサラとジョンにとっては、予定通り核戦争が起こって人類の救世主となる未来の方が良かったんじゃないのとも思えるので、ハッピーエンドとも言い切れないモヤモヤが残ります。
[ビデオ(吹替)] 8点(2009-06-11 16:32:10)
1000.  ハプニング 《ネタバレ》 
死にたくなる毒素が撒かれるというアイデアがまず凄い。異様な死に方の数々はかなり衝撃的で、他の映画とは違うもの、今までなかったものをちゃんと作り上げているのですからシャマランはやはり何かあるクリエイターだと思います。生き延びるためには集団から離れていなければならないというルールも秀逸で、群れをなす性質のある人類にとって、追いこまれるほど集団に依拠できず個人で対応するしかないのは恐ろしいことであり、またその状況で生き延びている他人は常日頃から集団に馴染まない変わり者であったり、人に手を貸さない自己中心的な人物である可能性が必然的に高くなるのですから、人間関係も非常に不安定なものとなります。主人公達は人智の及ばぬ現象と、常識の通用しない理不尽な人間を同時に相手にせねばならないわけですから、「ゾンビ」と「悪魔のいけにえ」の良いとこ取りが可能な、極めて秀逸な設定を作り出したと言えます。人間の描き方も相変わらずユニーク。夫婦の絆の再生というありがちなテーマをとりつつも、この夫婦の亀裂は他愛のないもので、一度ティラミスを食べに行った相手が勘違いして彼氏気取り、それを必要以上に後ろめたく思って旦那に言い出せない奥さんと、その話を聞いて機嫌を悪くする旦那という、「この深刻な世界観でそんな話かい」と呆れるほどどうでもいいものです。シャマラン作品の登場人物は皆平凡で、映画向きではない普通の人たちが常識を超えた現象に立ち会い、これに戸惑い、時にちぐはぐな行動をとり、そして最後には成長してこれを乗り越えるというパターンをとりますが、人間の描き方が抜群にうまいため、SF設定とほのぼのドラマという普通は馴染まないものを綺麗にまとめてみせます。子役の扱いも毎度うまいもので、映画に登場する子供は嫌味なほど良い子か、劇中のイベントを起こすためわがまま放題かの両極端なのですが、本作の子供は緊急事態であることを認識し、何も言わずひたすら大人についていくという現実的な描かれ方となっています。本作で残念なのはラストがあまりに安直だったことで、かなりの人口が失われたはずの街が何事もなかったかのように復興していたり、現象の正体を必要以上に説明してくれたりと、危機の余韻がまるでありません。三人仲良く暮らして新しい子供を妊娠しましたというのもありきたりで、ここで一気にドラマの良さも失われたように感じました。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2009-06-08 14:53:41)
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