みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
69.1930年代のあまり景気のよくないLAの風俗を見事なまでに再現している秀作と言えるだろう。この作品の意外な拾い物は、名監督ジョン・ヒューストンのふてぶてしいまでの演技でした。まぁ正直言って納得のいく演技ではなかったものの、欲の塊と化した大富豪の老人を見事に演じていたと思う。ロマン・ポランスキー監督の見事な手腕を発揮したベストワークとも言えるし、また主演のジャック・ニコルソンとフェイ・ダナウェーも良かったと思う。実はこの映画のニコルソン、どこにでも首を突っ込むしがない私立探偵を嫌味なく巧い具合に上品に演じていたと思う。またフェイ・ダナウェーは激しい台詞の応酬ではなく、30年代の貴婦人を気品高く演じていたと思う。ただこの映画に10点を挙げられないのは、ただ釈然としないラストのおかげである。 【チャーリー】さん 9点(2001-06-18 20:50:38)(良:1票) 68.《ネタバレ》 この映画「チャイナタウン」は、レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルドへのオマージュを込めたハードボイルド探偵映画の傑作だと思います。 この映画「チャイナタウン」の舞台となっている1930年代のロサンゼルスは、アメリカ社会が東海岸から西海岸へと発展の波を広げて行った時期に、太平洋岸最大の近代都市を形成しつつありました。 だが、そうした急速な膨張の反面には、かなりの無理がまかり通って来るもので、当然の事ながら、そこには不当な利権や醜い政治的な裏取引が蔓延して来ます。 この映画は、そのような時代背景の中に、それぞれの数奇で不条理な宿命とでも言うべき運命を背負って、哀しみの中で生きる人間たちの苦悩、葛藤をスリリングに、尚且つドラマティックに描いています。 レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルドという二人のハードボイルド・ミステリー作家へのオマージュを込めて、しかも、ロバート・タウンのオリジナル脚本によって、それまでのどの映画よりも1930年代のロサンゼルスのハードボイルド探偵映画らしく映画化されていて、複雑で錯綜する話の内容をハードボイルド的なサスペンスでたたきこんでゆくので、一時たりとも画面から目が離せません。 ストーリーや当時の風俗やしぐさが、それらしいだけではなく、この映画製作に携わった人々は、"ハードボイルド的世界の精神"をきちんとつかんでいるし、主役の過去を秘めた虚無的な私立探偵ギテスを演じるジャック・ニコルソンの"シニシズムと人間臭さ"がまた映画好き、探偵小説好きにはたまらない魅力があります。 この映画は、1930年代のロサンゼルスの陽光きらめく太陽の底に淀む、退廃的なムードと虚無感に満ちた、陰湿な世界が展開されていますが、脚本のロバート・タウンは、そのレイモンド・チャンドラー的ハードボイルドの世界を見事に再構築していると思います。 監督は「戦場のピアニスト」、「ローズマリーの赤ちゃん」の名匠ロマン・ポランスキーで、彼は1933年生まれのポーランド系ユダヤ人で、第二次世界大戦中にその子供時代を過ごし、母親をナチスの強制収容所で失うという、悲惨で哀しいトラウマを抱えた過去を持っています。 この映画のラストの30分の思いがけない意表を衝く結末については、これは有名な話ですが、監督のポランスキーと脚本のロバート・タウンで意見が分かれ、ポランスキーの主張する不幸な結末でなければ、この映画のテーマが台無しになってしまうという意見が通り、この結末になったそうですが、やはりラストはこの結末以外には考えられません。 警察も手が出せない政財界の大物であるクロス(ジョン・ヒューストン)が、「時と所を得れば人間は何でも出来るのだよ」という神をも恐れぬセリフは、ポランスキー監督の人間不信の言葉でもあるような気がします。 このクロスを「マルタの鷹」等のハードボイルド映画の監督でもあるジョン・ヒューストンが、実に憎々しげでアクの強い人間像を演じて見事です。 そして、クロスの娘であり、また女でもあるという"複雑で哀しい宿命を背負い、妖気と虚無的で退廃感の漂う"人妻イブリンを演じるのが、フェイ・ダナウェイで、彼女が十字架として背負う哀しい宿命は、彼女の左の緑の瞳の中の小さな黒点として象徴されています。 彼女の瞳の中にその黒点を認めた時、共に暗く哀しい過去を持つギテスとイブリンは、宿命の糸で結ばれます。 しかし、その愛はほんの束の間で、急速に回転し出した運命の歯車は、一気にカタストロフィへ突き進んで行きます。 車でロサンゼルスから逃れ去ろうとするイブリンを背後から撃った警官の銃弾が撃ち抜いたのは、彼女の左目である事を我々観る者は見落としてはいけないと思います。 映画の題名である"チャイナタウン"が、この映画の舞台になるのは、この最後の10分程の短いラスト・シークェンスにすぎませんが、なぜ、このチャイナタウンを映画の題名にしたのかという事を考えると、"チャイナタウン"は、アメリカの街の中の異境であり、迷路のようなこの街の中に、ポランスキー監督は、ポーランドでのゲットーと同じ安らぎを見出し、併せて、自分の妻のおぞましい惨劇を引き起こしたアメリカへの批判をしているとしか思えてなりません。 紙屑が舞い、野次馬が去って行く薄汚いチャイナタウンの夜のシーンは、哀しさと怒りを込めた、静かな中にも深く、優しさに溢れた名ラストシーンだと思います。 【dreamer】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2023-08-24 17:08:11) 67.ハードボイルドと称する小説や映画、世間的に名作と言われる作品でもことごとく合わず、苦手なジャンルでしたがこの作品は面白かった。何よりまず、レビュワーの皆さんもご指摘されている通りロバート・タウンの脚本が優れているからだと思います。本筋からなぜか途中サイドストーリーへ、どんどん脇道に逸れるのがこのジャンルの常套だけど、この映画は逸れながらも最後まで興味を削がれることがない。謎の仕掛け方が巧いんですよね、きっと。美しい盛りのダナウェイ、演り過ぎ感のない時期のニコルソン、ここでは怪優の面目躍如たるところを見せる長身馬面ヒューストン監督の三つ巴競演。乾ききった当時の退廃的な雰囲気を漂わす撮影の妙味もあり忘れがたい印象を残す、映画として第一級の出来。『マルタの鷹』『三つ数えろ』ですら受け付けなかった、自分のようなハードボイルドアレルギーの方も是非! 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 8点(2022-08-13 08:48:00) 66.《ネタバレ》 探偵役のジャック・ニコルソンのかっこよさを堪能できた。 晴れやかでないエンディングも映画っぽくて好きです。 ただ、女への暴力がひどすぎる。その点は今の時代に合わないと思います。 【ほとはら】さん [DVD(字幕)] 6点(2022-04-30 19:20:43) 65.《ネタバレ》 探偵ものとしてのサスペンスにあふれた雰囲気がいいが、ストリー的には十分理解できませんでした。殺すほど痛めつけた相手がいるのに、自宅で平気で過ごしていられるのだろうか。妹の悲劇も特にどう関連するのか納得できず、最後に、逃げ切れたかと思ったのに撃たれて、俺たちに明日はないのように死んでしまったなんて、この後、残された人たちはどうなるんじゃと叫びたくなりました。 【黒部の太陽】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-04 17:14:09) 64.《ネタバレ》 悪役の印象があるジャックニコルソンが巨悪を暴いていくのが面白い。 悪役のジョン・ヒューストン、ロマン・ポランスキーも印象的。 老人ホームの入居者の名前を使っての土地転がし、水道利権に絡む不正、近親相姦、、、、 さらなる巨万の富、欲望を追い求める影の権力者。 数々の悪事を暴いていきながら最後に依頼主は死んでしまい、娘も連れ去られてしまう。 なんとも言えない虚無感・・。流れる音楽も素晴らしい。 「怠け者の街だ」 「忘れチャイナよ、ここはチャイナタウンだ」 【ume0214】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-13 20:21:00) 63.ウィキペディアで背景を読んでおかないとついていけないと思う。 だがウィキペディアを読んでも乗り気がしなかった。 ストーリーに起伏がなく、つまらない。 80分くらいのところで、ニコルソンとダナウェイのラブシーン、ここでもうウンザリ。 見るのやめようかと思った。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-02-20 00:46:19) 62.アクの強い悪役のジャック・ニコルソンを見慣れてきたせいか、アクは強いが悪を暴こうとする本作の役どころは新鮮に映りました。こうして見ると、けっこうイケメンです。 少しずつ不気味な核心に迫っていく期待感・緊張感と、それを煽る音楽が秀逸。現実の社会問題と愛憎劇が絡み合って、なんとも不条理な世界観でした。そして衝撃のラスト、徒労感と理不尽さを感じずにはいられません。 聞くところによると、ニコルソンの鼻を斬りつけたチンピラ役を演じたのは、監督本人とのこと。やたらリアルな死体の描写といい、あまりに虚しいラストといい、この巨匠監督の精神構造にはたいへん興味深いものがあります。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-10 02:35:52) 61.《ネタバレ》 かのJ・ニコルソンが主演ということで観たが、観終えてみれば紛うことなきロマン・ポランスキーの映画だ、という感想に落ち着く。金と色と権力が蔓延る街、ロマン・ポランスキーの情念と怪奇趣味、J・ニコルソンとF・ダナウェイのむせ返るような"大人の色気"。およそ結びつかない要素が、あまりにも美しく"調和"したように思う。娘であり妹。一言聞いただけではピンとこないが、その意味に気づけばそれはあまりにも悲しく、それは不思議な、じっとりとした切ない余韻を残す。悲しくも美しきフィルム・ノワール、それは子どもたちは見てはならない世界、それは大人たちには極上の世界。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-03-06 22:53:24) 60.《ネタバレ》 久々に見返したが面白い。音楽も相当いい。出てくる役人は皆、カネまみれで買収されており、こんなもんなのかな〜、とため息が出てしまった。ニコルソンはアタマの切れるこういう役が似合いますね。ラストに判明するヒロインの生い立ちとあのクラクションが鳴り響くシーンはずっと記憶に残る。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-04-09 09:55:36) 59.ミステリーは好きなので、観ていてつまらないことはなかったのですが、逆にこの程度では物足りなさの方が大きいかな。 暇つぶしにみるのであれば、ダークなネタが絡まない分「コロンボ」の方が良いと思います。 【マー君】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-11-08 14:38:08) 58.《ネタバレ》 この監督はねちっこいなーというのが一貫しての感想。 ジャックニコルソンに似てるなーと思っていたら本人だったという。 終盤の展開は、監督自身がロリコンだから(訴えられてたし)仕方ないのかなーとか。 ヒロインが無惨に殺されるのは納得いかない。 【Sugarbetter】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-11-28 22:21:33) 57.《ネタバレ》 警察が金で買い取られている世界の息苦しさは、まさにフィルムノワールである。メランコリーが非常にいい、ニコルソンが善悪を超えそうで踏みとどまっている感じがいい。物語がいまひとつつまらない分2点減点。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-10-07 11:33:04) 56.《ネタバレ》 う”…痛そうだ、いやーたまんない、こんなとこ切られたくない(ホントは切ってないと思うけど)…こんなシーン初めてみた…(溜息)。バート・ヤング出てましたね、あらら最初だけか?とか思ってたら最後にしっかり又出てきてました。この人はいつもこういうキャラな気がするけど(苦笑)。巨大な水利権にからむ陰謀を暴くかと思いきや、意外にそこらへんにはあまり興味は無く、ただ事の真実を知りたい、かつ強欲ジジィからイブリン(フェイ・ダナウェイ)を守りたい一心で動く…しかしそこで驚愕の事実が判明。。。なかなかホントよくできた展開だわ、賞とるだけのことはある(感心)。最後はチャイナタウンでのこれ以上ないバッドエンディングときたら、いやーポランスキー監督の悪趣味さが存分に発揮されてますね。独特の退廃的な雰囲気とジャック・ニコルソンのかっこよさにしびれた次第でゴザイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-27 08:18:13) 55.《ネタバレ》 映画脚本のお手本のような作品。 謎が少しずつ明らかになって衝撃の真実にたどり着くまでが丁寧に描かれ、サスペンスの王道といえる。 伏線がきっちり張られていて、もう一度見直すと見落としていた伏線が幾つもあることに気づく。 ラストの片目を打ち抜かれるところにも、見直せばそこに至るまでに幾つかの伏線が。 悪が完全勝利するという後味の悪さはあるが、余韻のあるエンディング。 好きな映画には入らないものの、完成度の高さには感心してしまう。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-03-17 19:53:48) 54.《ネタバレ》 脚本のしっかり絡めたすばらしさ、ニコルソンに限らず俳優のセクシーで、ダンディーな演技で楽しめたのに、ラストシーンで完全にやられました。ああ、チャイナタウンだったんですね。 【min】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-03-02 20:06:34) 53.《ネタバレ》 むっちゃシビれました…。そら脚本賞取るわな。何か謎が1個だけ出てきては1個解決し、1個だけ出てきては…って感じで、ずっと1個ずつしっかり解決してくれるので見てる方としては分かりやすくてよかったです。てかこの映画、絶対2回以上見た方がいいです。さりげないセリフとかが伏線になってたりして、1回目で見逃した細部の仕掛けとかに気づいた時、よりこの映画の構成の緻密さを理解できます。最後、運命の綾が主人公を思い出したくない警官時代の勤務地チャイナタウンへと導き、そしてまた彼に起こる悲劇…。怒りや呆然をも通り越した虚脱感の無表情、「as little as possible…」「Forget it Jake!! It's chinatown!!」…。勧善懲悪の真逆というか、ハッピーエンドの正反対の極みですね。フィルム・ノワールって言葉は初めて聞きましたが、この退廃感すげー好きっす。 【TK of the World】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-05-16 23:38:04) 52.ジャック・ニコルソンのダンディズム,セクシーさにやられてしまった良作。後半に判明する,ある家族関係に何とも言えない不快感を感じさせられますが,それもあの結末には必要な筋書きだったのでしょう。それにしても幅がある俳優というのは本当に素晴らしいものですね。キレてる変人キャラしかしらなかったので,前から好きではいても,まさかジャック・ニコルソンにときめいてしまう日がくるとは思わなんだ・・・。 【さそりタイガー】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-02-23 22:54:58) 51.《ネタバレ》 痛い。痛い。鼻はやめてくれ!いや、鼻というより顔をやるのは勘弁して欲しい。あっ!雰囲気そのものは好きです。ただ、やっぱり鼻にあんなことするのは見ているだけで痛さまで伝わってきそうです。 【青観】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-12-18 19:03:56) 50.《ネタバレ》 アメリカンニューシネマの看板俳優二人が共演して、アメリカ映画の大事な柱であるハードボイルドものをやったってところに、伝統の伝承と言うか、当時の意義があったんでしょうな。ラストのクラクションへ向けてゆっくりゆっくりネジを巻いていくようなテンポが心地よく、そうなんだよな、今のハリウッドではアレグロの映画しか作られないが、もっといろんなテンポの映画があったはずなんだ。ビデオやDVDや映写時間を見る側が操作できる時代になって、ゆったりやってると飛ばされちゃうという心配に製作者は突き動かされ、どんどんテンポが上がってしまったんじゃないか。あと70年代の映画らしいところは、主人公が中盤でずっと鼻にバンソーコーをつけてること。私たちの時代はもうボギーのころとは違うんです、と自己批評しているように感じたが、違うかな。J・ニコルソンはリンチまがいの仕打ちを受け、F・ダナウェイは車で銃撃を受ける、とそれぞれの代表作を回顧しているようなところがあるのは、まあ偶然でしょう。私はどうもハードボイルドものの展開を理解するのが苦手らしく、『三つ数えろ』もけっきょくどういう話だったのかを説明することが出来ないくらいで、本作も事件の全容を理解できたのか心もとない。社会的悪の背後からヒロインが受けた別種の悪が浮かび上がってくるところを味わえればいい、と勝手に思ってるけど、やっぱり何か味わい残した気分。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-09-23 10:24:12)
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