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コメント数 644
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ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

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221.  カンパニー・マン 『CUBE』はあまり評価できないオイラですが、コレは凄かった~! 何が凄いって、全く知らない俳優だったジェレミー・ノーザムの壮絶な演技力がとんでもない! 人畜無害のボンボン顔で始まって、「正直顔」から「嘘つくの下手なんです顔」まで、表情ひとつで明快に演じ分けるオープニング。スパイとして採用され、ジャック・サーズビーという仕事用の新しい人物像は自分で決めなさいと言われ、誰にも見られないようにニコッとする場面、ハイここでタイトルが入ります。何を見せたい映画なのか、非常に明快なオープニングでした。もちろんノーザムの演技の幅はストーリーに従ってガンガン広がっていきます。「スパイ初日で垢抜けないけどテンション上がってます顔」「オレは新しい人間に目覚めたんだ家庭の事でゴチャゴチャ言うなよ顔」「ボクいま何も見てません聞いてませんよ顔」…これはもう、ストーリーなんかじゃなくて演技だけでおなかいっぱいになる傑作。っていうかこういう卓抜な演技に支えられて、自分のアイデンティティを洋服並みに入れ替えていく主人公の姿は、もはや快感ですらあります。実存のザルと呼んでいいかもしれない。テンポとキレのいい、シャープなクローネンバーグって印象でした。やっぱり『ハイ・ライズ』は期待しちゃうナタリ~。[DVD(字幕)] 9点(2006-06-15 23:00:02)(良:1票)

222.  BATS 蝙蝠地獄 題名でおわかりの通り、劇場未公開のB級動物パニックです。が、ラストショットの「改めて自己紹介させて頂きますが、実は私B級映画なんですわ」という感じのオチが史上最強。本当に、このオチだけで9点つけてます(2008/3/16、バランス取りで8点に変更…DVD売ったしな…)。そのために新規登録までしてしまったのです。モンスター映画は今後も作られ続けるでしょうが、これを超えるB級なエンディングは当分出ないと思います。それくらい、B級を満喫できる作品です。[DVD(字幕)] 8点(2006-06-15 22:29:53)(笑:1票)

223.  ピッチブラック 《ネタバレ》 以下、かなりマニアックなレビューで、あんまり映画評になってませんが。 実は数年前、予告を見た時点で「コレは当たり」と判定して、あえて観ずに残してありました。 まあSFを読み込んだ人なら元ネタは即出て来るでしょうな…『夜来たる』×『アヴァロンの闇』×『死の世界』という、豪快な変化球。ついでに前半で、砂漠に異様なオブジェが林立する絵造りはもしかしてキンザザ狙ってますか? …って感じで、SFスリラーな展開にもかかわらず相当にマニアックな映画でした。 ただSFファンへのサービスが前半に集中しているのが残念。夜が来るタイミングも、もう少し遅くてもよかったと思うな。ちょっとサプライズに欠けました。 ストーリーを語って愚痴になるのはつまらないので、プロダクトデザイン関連について書きますか。惑星不時着時に、宇宙船のオペレーション体系をいろいろ考えてあるのはナカナカでした。タトプロスのモンスターデザインは『アヴァロンの闇』のグレンデルをベースにした(未成熟期・成熟期で巣を分けてるし、ちゃんと共食いシーンあるし~! なぜか常時ターボが効いてますが…)爬虫類型ながら、オリジナルな要素として音波を出す長い突起が左右にある。後半で明らかになる奴らの弱点は、このモンスターデザインから来ているワケっすね。リディックの「異星生態系の中で自分が生き延びるためには、どこまでも冷酷になる」という人物像は(日本ではもう絶版して久しいですが)往年の名作『死の世界』シリーズを思い出させます…つうかまあ、ここまでマニアックなシナリオ&監督なら、きっとアレをイメージして作ったんだろうなぁ。 こういうリスペクトの集大成も、SF映画のあり方としてOKでっせ、オイラ的には。よって、『2001年宇宙の旅』と同じ配点とします。 [DVD(吹替)] 8点(2006-06-12 00:05:02)《改行有》

224.  バッドサンタ どうやら昨日は飲みすぎたらしい。確か、仕事仲間と居酒屋でジョッキ3杯&焼酎3本くらい空けたはずだ。激しい頭痛と共に目を覚ましたけれど、どうやって帰ってきたのか全く記憶にない。そして枕元にはGEOのレンタル袋に入った『バッド・サンタ』が転がっていたのでした。酔っ払って借りてきたらしいんだけど、もちろん憶えてなんかいるもんか。 「しがない中年男」が「二日酔いの土曜日の午前中」に見る映画として、これほど情けないチョイスはまずないだろう。冒頭、リアルにゲロる主人公の姿に、自分のイメージがかぶるかぶる。うあっ、い、いまオレ小便漏らしてないか…と思わず股間を確認したくなるくらいに、今の自分の内面が映像にさらけ出されて超シオシオなムードで鑑賞しました。ソーントンが酒を煽るたび、史上最強の梅干を食べてしまったようなしょっぱい顔になってしまって、やりきれない気持ちが湧き上がってくる。ああ、あんなに飲むんじゃなかった。SUNがボトル一本1240円ってのに調子に乗りすぎたなあ。あんなに飲み食いして一人4000円は安かったけど、安い焼酎は絶対次の日に残っちゃうんだよなあ…。 この時、オイラの延長線上にあった「こんな人間にだけはなりたくない」という最悪のサンタ像は、もはや悪趣味を越えてリアルに胸に(いや胸焼けに)迫ってきたのれす。クリスマス・ストーリーだからラストがハッピーエンドになるのはわかってましたが、どう考えても好転しそうにないどん底の状況から、よくまああんな展開に持っていったもんです。てゆーかあの終わり方で本当によかった。アレでなきゃ、コンビニに安酒買いに行っちゃってたかも(笑)。 こんな映画をプレゼントしくさった泥酔中の自分に幸アレ。[DVD(吹替)] 5点(2006-06-10 22:39:51)《改行有》

225.  10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス さてコッチの方は… 「結婚は10分で決める」5点:今回はコレを基準作にしました。 「ライフライン」10点:まさか10分の映画でボロ泣きするハメになるとは~! いつも通りの作風ですが、100分相当の作品として通用します(でも「あと10年は撮らないよ」なんて言わないで下さいね)。 「失われた一万年」4点:あいも変わらず密林ですか…しかも、まんまドキュメンタリーだから、彼独特の狂える迫力が出てない。10分で自分の世界を表現できないからって、投げちゃいけやせんぜ監督。 「女優のブレイクタイム」4点:ジャームッシュに浸るような心の余裕は、オイラにはない。 「トローナからの12マイル」8点:うぉー濃密~。これも、一作分の長編映画に展開できる作品ですなぁ。 「ゴアVSブッシュ」3点:この映画で初めて知りましたが、ゴア君はブッシュたんに向かって一度は敗北宣言したんじゃん。まあアメリカン人でないからどーでもいいですが…。 「夢幻百花」9点:イッセー尾形さん家の引越し(笑)。コレがラストを締めるとは意外でした(ヴェンダース作品の方がよかないか?)が、見応えありました。 そして結果はこのように…。[DVD(字幕)] 7点(2006-06-03 22:00:51)(良:2票) 《改行有》

226.  10ミニッツ・オールダー イデアの森 平均点方式で行きますか。願いましては…。 「水の寓話」3点:おいおいまた東洋趣味すか。 「時代×4」9点:4倍濃厚で最高。マイフェイバリットな引き込まれる映像。 「老優の一瞬」5点:本作を基準点としました。お手本的逸品。10分で終わる『ニューシネマ・パラダイス』ですな。 「10分後」8点:やるなサボー! あんたが長回しで来るとは思わなかったよ。 「~との対話」7点:正直よくわかんなかったんだけど、一番印象に残る。 「啓示されし者」4点:展開は面白いが、ナレーションは不要では? 「星に魅せられて」7点:正直面白くないんだけど、そのストレートっぷりでサービス点。 「時間の闇の中で」2点:こらこらこらこらこら! …しめて、この点になりました。[DVD(字幕)] 6点(2006-06-03 18:15:49)《改行有》

227.  クール・ワールド(1992) 《ネタバレ》 こりゃ~すげえや。ブラピ、ガブ、ベイジンガーと実力派を集めたアニメ実写合成モノ。以前から気にはなってたんだけど、イマイチ評判を聞かないので「こりゃスカだろう」と放ってありました。オープニングの段階で、ある種の凄い匂いが漂ってきます。この段階、本編に入る前から4割くらいの率で確信しました。この作品で言う《クール》ってのは「クールガイ」等の用法の方じゃなく、ダウナー系ドラッグをキメた時のクールを意味してるんだ…とね。 これを理解すると、マンガのクセに故意にアダルティな展開に持って行ったり、かと思えば分裂症患者のような意味不明の論理が通用したり…という、本作を覆い尽くしている(英俗語で言うところの)「クール=らりぱっぱ状態」を見切る事ができます。この作品が目指すベクトルは『ロジャー・ラビット』や『スペース・ジャム』じゃなく、『裸のランチ』『トータル・リコール』『カリガリ博士』の方向性なんです(余談だけどオイラは『ギャラクシー・クエスト』も相当意地悪な分裂症テーマ作品だと思うよぉ)。 で、本作の凄かった点は徹底した「狂気の肯定」。これに尽きます。クライマックスで博士の言った通りにヒーローになってしまうガブ君は、もう『裸のランチ』のエンディングを通り越して向こうの国にイっちゃってますからねー。ラストがこんな凄い現実否定で終わる物語は貴重ですよ。また、対するブラピ君は刑事として登場する時点で、既にクール・ワールドに取り込まれて「狂って」いるっていう点も、観客へ余計な恐怖感を与えずに世界を案内できるというメリットがあり秀逸。ベイジンガー演じるホリー・ウッドは『花嫁はエイリアン』と同系のハマリ役ですね。まさに彼女のためのキャラでした。エッ、ラジーショー? ウッソ... しっかし、アニメ版『指輪物語』を監督したラルフ・バクシが、こんなぶっ壊れた精神世界を描くだなんて…描写に彼らしいねちっこいクドさがあって、ハナシが何ともスムーズでないのが満点に届かない理由。そこだけは本当に残念でした。ホリーの動画だけ信じられないくらい気合い入ってるのが笑えますけど。クール・ワールドで彼女に会えるなら、ちょっと狂ってみてもいいかな。←既に作者の手の上 ●追記:"cool ドラッグ" で用法をぐぐってみてるんすが「非ハイ=クリア状態」の用法しか出てこない…90年代に結構使われてたと記憶してるんだが…。[DVD(字幕)] 8点(2006-05-31 00:14:10)《改行有》

228.  ウディ・アレンのバナナ 面白かった~。最近、観客としてのヒネクレ度がさらにUPしてしまったオイラですが、ここまで観客を置いてけぼりにしてくれれば文句なし。ナンセンスのレベルが、今のオイラに一番合ってるのかもしれないっす。どこにストーリーが流れて行くか全く読めない上に、序盤で出てきたテーマがブーメランのように帰ってくるあたりが、ナカナカにマイ・フェイバリット。問題は『スリーパー』と内容がほとんど同じだった事かな…面白さを取れば『スリーパー』、全体構成の巧みさを取れば『バナナ』っすかねー。それにしてもスタローンはこんな無名の端役時代からキャラが立ってたんだねえ。まるでカメオ出演のようでした。本作一番のサプライズかな。[DVD(字幕)] 5点(2006-05-27 01:38:47)

229.  ハスラー この映画を見たのは20歳の時。 なにぶんバリバリの理系でしたから、当然「世渡りってのはナ、才能だけじゃダメなんだよ。図太く悪どく生きなきゃなァ」っていうこの映画の肝の部分には反感を持ったワケですね。ある意味、この映画は自分の人生に枠をはめてしまったかもしれない。恐ろしいまでのメッセージ性でした。ポール・ニューマンを真似して、一万円札をクシャクシャにしてポケットに突っ込んでおいたり、若い頃はこの映画の影響がけっこう大きかったかな。 今じゃすっかりジャッキー・グリーソンの世代になり、彼の言う事の端々が実感できるようになってきました。世の中、甘くはないしキレイでもない。泣き言並べたって、聞いてくれるのは同じ境遇の負け犬だけ。ファッツ曰く「才能なんて、誰にでもある」…そうだよ。蹴落としたい奴にコッソリ後ろから近づいて、頭を思いっきり殴りつけるのは、誰にだってできる。そして長い人生のある場面では、明日を迎えるためにソレをやんなきゃなんない…それがわかるまで、けっこうな時間を費やしました。 今でも、この映画に対しては敵愾心というか、認めてやりたくない気持ちがありますね。世の中はキレイで、素晴らしくあるべきだ…この映画は一生、自分の敵に回るのかもしれない。いや、この映画を越える事が大事なのかも。 本作が「人生」という競技に与えられた、かなり難易度の高いエクササイズである事は間違いないトコロでしょう。 [映画館(字幕)] 6点(2006-05-24 22:31:42)《改行有》

230.  ALWAYS 三丁目の夕日 何しろすごい人気でしたからねえ。一館だけですが、札幌ではいまだに上映されてます。早目に見ておきたかったんだけど…ちっくしょォ~。 さて、チケットを買うために並んでいた時のコト。朝一番の上映だってのに、二組前が50代くらいのおばちゃん一人なんですよ。「あーこりゃリピーターだなあ」と思って眺めてたら、おばちゃん半券落としちゃったんです。すかさず後ろにいた親子連れが気付いて、男の子が拾いました。立ち去りかけるおばちゃんに向かって、チケットを持つ手を90度に上げ、直立不動で「おばさん、落としました!」…今どきそんなガキがいるかよ…こっちの方が確実にリピーターだなあ…。親父さんの手が坊やの頭へ軽くポンと乗ったのも、見逃しませんでしたとも。 上映中のコト。シネコンではありますが、久々に「前から三列目」というかぶりつきの位置で鑑賞しました。同じ列には年配の上品な叔母様がひとり。未来小説、宅間先生の帰宅、お守り、サンタ…泣き所に来るといちいち身をググッと乗り出します。確実にリピーターです。だもんで、何も言われなくても展開が読めすぎ(笑)。いやブームに乗り遅れたオイラが悪いんです、自戒自戒。 上映が終わった時のコト。照明がついても観客が全然立つ気配がない。映画館のおじさんが入口を開けて、「ありがとうございましたァ」と声をかけると、やっと腰をあげるという有様の推定15名…おじさんわかってんじゃん。もしかしてここの館、リピーターだけのために今でも上映続けてるとか? 喫煙コーナーで一服して外に出た時のコト。札幌白石区の国道沿いの光景に一瞬、目が眩みました。街の中心から地下鉄で4駅ほど離れたギリギリ「郊外」のあたりなんですが、それでも風景が違いすぎた。木造二階建ての古臭い軒並みもなく、路面電車も三輪オートもなく、駄菓子屋もない、妙によそよそしい町並み。しばらくの間、本物の風景には見えませんでした。 オイラは先に『力道山』を観て「昭和30年代の仕掛け人の側」を知ってしまっている手前、リピーターにはならないでしょう。でも順序が違えば明日もここに来ていたかも知れない。この映画の力に騙される事はなかったけど、それが残念でもあり、寂しくもあり…。 ●6/4追記:リピーターになっちゃいました…しかも前から2列目…この館、もはや知った仲同士の楽しい空間と化しております。●DVD発売になったのにまだ上映してる…。[映画館(邦画)] 7点(2006-05-21 15:03:55)(良:1票) 《改行有》

231.  クジョー 原作至上主義ですから低得点なのです。この話、ホラーじゃないんです。恐怖じゃなく、絶望がテーマなんです。そこがわかってないから、ラストがあんなになっちゃうんです。特に今じゃ、キングが書いたラストを無視して原作以上の重圧感を引き出した『ゴールデン・ボーイ』という傑作があるので、無難なあたりに落とした本作の価値はなおの事激減しちゃったのです。 ぶっちゃけ、奥さん視点で描きすぎ。確かに、あまり窓から見えないクジョーは恐怖ではありますが…小説はそれで良かったけど、映像化するならクジョー視点(つまり車の外のカメラ)を増やすべきだったと思うっす。もうひとつは、旦那さん側の物語があんまり推理小説してない点がまずい。原作が持っていた「二つのジャンル《ミステリー》×《不条理パニック》という組合せが、どこまでも平行線を走って行く恐ろしさ」…これがない。小説での絶望感は二人が別の物語世界にいるために起こるものです。そこの原理を無神経に無視したんじゃ、狂犬クジョーの魅力も半減ですわ。 …とは言え、映画館で始めて観た時は感動したんですよ。それまで製作されたキング映画で、最も原作のムードに近かったからです。主人公一家の食卓にエーワンソースなんかの調味料がゴチャゴチャっと乗っかってる、普通さ、さりげなさ。この普通世界が捻れて行く所に、他のホラー作家が描かないキングの恐ろしさがあります。そういう意味ではかなり気を配って作られた映画でした。同時に、小説では膨大な文章を必要とする「普通の」生活描写を、さりげないワンカットで済ませてしまえる映画というメディアの性質が、「キングの原作は加工しないと映画らしい魅力を出せない」という大問題を教えてくれたワケですが…。 だから、クジョーにもっと「語らせる」べきだったと思うんです。『シャイニング』で、ニコルソンが狂った後も親父視点が多かったのは、キューブリックなりの計算の結果じゃないですかね。ま、オイラは『シャイニング』は『クジョー』より評価してませんけどね…。[映画館(字幕)] 4点(2006-05-20 05:00:26)(良:1票) 《改行有》

232.  アタック・オブ・ザ・キラートマト かつて、映像作品は神聖だった。どんなクズ映画だって作っている側は真剣そのものだった。エド・ウッドはシャレで『死霊の盆踊り』を製作した訳ではない(少なくとも酒代を儲けたかった)。石井輝男は遊びで『江戸川乱歩全集~恐怖奇形人間』を監督した訳ではない(彼はいつだって本気)。ハーシェル・ゴードン・ルイスは無為に『血の祝祭日』を撮った訳ではない(彼も生活がかかってた)。ラリー・ブキャナンは何の下心もなく『火星人地球大襲来』を企画したわけではない(あれはストリップ映画を撮るための口実)。若松孝二はドブに捨てるつもりで『天使の恍惚』を世に出した訳ではない(そのトンデモなさで評論界から睨まれはしたが)。etc,etc…。 だがしか~し! 70年代のある晴れた日の事(あくまで想像)である。我らがジョン・デ・ベロは映画を神聖だなんてこれっぽっちも思わなかった。創作行為が芸術だなんて、映画配給がビジネスだなんて、そんなセオリーぶったゴタクには耳も貸さなかった。代わりに、彼はかつてない手段で「映画」というメディアを処理した。ニヤニヤと笑いながら(あくまで想像)各地の大都会のパニックシーンをたった1カットで撮り上げ、ビーチでの凄惨なトメィトォ襲撃シーンは究極のリアリズムで挑む。彼はハリウッドが積み上げてきた伽藍の塔を、作中では事も無げに突き崩してしまった。 「ラクガキするな」と言われればデカい筆で大書してみたくなる。廊下だって走ってやりたい。みんながやらないのは、単に後ろ指をさされたくないからだ。だからオイラは今でも、こんなに楽しげに廊下を爆走する彼(あくまで想像だって)の姿に、分類不能のある種の感動と羨望を憶えるのだ。 こんな幸福な人物は滅多にいないと思う。 彼は世界で初めて、一点の曇りもない遊び心から、無為に、下心もなく、シャレで映画を作ってドブに捨てた。映画界にでっかくラクガキしたのだ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-19 20:11:20)(良:3票) 《改行有》

233.  インデペンデンス・デイ 《ネタバレ》 頭の中でシナリオにまで戻してやると、主要キャラクターの塑像は実に素晴らしい。かつて勇猛な戦闘機パイロットだったのが、今は政治ゲームに明け暮れて優柔不断になってしまった大統領。天才的な技術力を持っているが、為さざるを最上として隠者のように世間を愚痴りながら生きる、ギークなテレビ技術者。友人や、果ては息子たちからバカにされ、トレーラーハウスで酒びたりの暮らしを続ける飛行機乗り。そんな、現状に屈した人物の行き交う物語でただ一人、直線的に、自分の生きたい生き方を貫き通す空軍士官…本来のシナリオは「ヒラー大尉の英雄的な行動に触れて、エリア51に集まった全員が自分を見つめ直す」という展開だったんじゃないだろうか。 だとすれば、この映画最大の欠陥は全体構成である。4日間の物語で、1日目が50分もある。人物を描く余裕がないのだ。敵の目的が明らかになる2日目の展開がアッサリし過ぎているため、大統領が戦闘機に乗るくだりは「ただの死にたがりのバカ」にしか見えない(実際には大統領は、最後の作戦が失敗すれば政府など不要になってしまう事を理解しているはずだ)。蝿男ゴールドブラムもキャラが立ちすぎて安心感が漂いすぎ。もっとナヨってる色白のユダヤ人技術者でなければ、後半の盛り上げ役にはなれない。アダプテーション男ラッセル・ケイスも、コメディリリーフではなく、もっと深刻な自己喪失に直面しているべきだろう。ヒラー大尉もウィル・スミスでは軽すぎる。彼に出会って改悛する奴なんて皆無のはずだ。 …このあたりの人情の機微は、ドイツ人のエメリッヒの理解できなかった部分じゃないんだろうか。彼の才能は、都市破壊までの複雑なシーケンスをわかり易くまとめた部分で遺憾なく発揮されているが、物語の根幹はエリア51の奥底で起こる、人間的なドラマなのだと思う。だがそこを描くにはエメリッヒの力量では全体で4時間必要だし、物語の本質をドラスティックに見切った英断が、良くも悪しくも本作の「軽快でバカな持ち味」に寄与した事は否定できない。素材が贅沢なのでハンバーガーにするにはちょっと惜しかったとは思うが、映画とは人を呼んでナンボなので、やはり彼は勝ったのである。 ●追記:どーでもいいけど、ここの投稿制限文字数も、本作を語るには短すぎるってば…。[DVD(字幕)] 6点(2006-05-14 12:56:44)(良:2票) 《改行有》

234.  激突!<TVM> ここのリスト見て、スピルバーグのデビュー作ではなく第3作だというのを知りました。そうか3作目が『激突』か…キューブリックの3作目は『突撃』だったっけ。←睡眠不足[地上波(吹替)] 7点(2006-05-08 04:07:48)

235.  リトル・ドラマー・ガール この原作、ル・カレの3本の指に入る傑作だったのに…なんて事を~! 観客にわかりやすく見せようとし過ぎだってば。何が本当のミッションかわかんなくなって行くくらい、話が嘘で塗り固める所が醍醐味でしょう、これ。嘘の上に嘘を塗り、主人公がだんだん宮廷ドラマのヒロインみたいになっていくシチュエーションが、バッサリ明快になってしまった。おかげでラストも小ぢんまりしちゃってます。これ、やっぱりイギリスで製作するべきだったんじゃないかなあ…。[ビデオ(字幕)] 4点(2006-05-08 01:18:51)

236.  太陽の帝国(1987) 《ネタバレ》 信じるもの、心惹かれるものがことごとく壊されて行く少年期。絶対の強者なき流動的社会。極東のエキゾチックな混合文化。《世界一冷酷な状況観察者》J・G・バラードはそこで誕生した。スピルバーグが頑張って与える彩りも、最後には全て無に還っていく。この虚脱感、そして虚無感。ラストはまさにバラ色の絶望と呼ぶにふさわしい。この後、成長した彼が「世界の破滅」ばかり描き続けたのは、こうした理由のある事だと納得できる。彼の小説には決して悲惨さはない。彼は反戦家ですらない。他の同世代の子供達と違い、バラード少年はこの時、傷ついたのではなく悟りを得てしまったのだろう。スピルバーグは、求道者が老僧へ教えを乞うように、バラードから悟りを授かりたかったのかも知れない。後に『シンドラーのリスト』を撮った時の彼の視線は、バラードのそれに、かなり近い。 …てゆーかそこまで入れ込んだんならだよ、儲けた金で『ハイライズ』とか『結晶世界』とか『残虐行為展覧会』とか『コカイン・ナイト』とか『コンクリートの島』とか映画化してやれよ~! いまだにバラード作品の映画化はクローネンバーグの『クラッシュ』だけっつー悲惨な状況なんだからさー。 ●追記:そう思ってたら、ナタリ監督の次回作が『ハイライズ』ぅ? 大道具費削減王ナタリか…また『クラッシュ』みたいにババかもな…健闘を祈る。[映画館(字幕)] 8点(2006-05-06 05:50:01)《改行有》

237.  丹下左膳(2004)<TVM> 面白かったっす。面白すぎて、いま原作を読み始めたところです。ふむふむ、左膳の赤い襦袢は、原作から既に女物を着用してるんですな~。 …どうでもいいんですがコレ映画の豊川悦司版と間違って借りてました(レビューまでしっかり入れてた)。TVMだと知って内容的にも納得だし、展開の軽さに愛着が湧きます。かなり面白かったと言えます。 ●追記:名作の誉れ高い戦前の大河内傳次郎版を観ました…コッチの中村獅童版が活劇講談なら向こうは人情落語。それくらい天と地の差がありました。原作の左膳のアウトローっぷりがよく出てるのはコッチの方です…アウトローを強調するためか政治性が強くなっていて、観る人を選びそうですが。 それでも獅童版には傳次郎版を凌駕する魅力を感じます。それが一番巧く出ているのは《殺陣》。隻腕の左膳が主人公の物語なのに話が「壷の争奪戦」ですから、斬り合い時に壷を持つ左膳がどう剣を捌くかが非情に興味深い。獅童の殺陣はそのあたりを考え尽くした、片腕ならではの荒っぽさや美学がありました。 こりゃ、他の左膳映画も観たくなってくるなあ。[DVD(邦画)] 7点(2006-05-05 23:05:46)《改行有》

238.  トウキョウ アンダーグラウンド 登録して、長らくレビューするの忘れてました。まあその程度の映画ですが。六本木の外人ホステス界を舞台にしたヘタクソな『不思議の国のアリス』。ドイツ映画の欠点が全て詰まったダメ作品。だが現実にルーシーさん事件が起こってしまっている事だし、気持ち的にコレ以下の点数はつけられんです。あと主役の女の子は映画は初めてだそうですが、本業がモデルさんだけあって、このレベルの映画にしては華がある上、プロポーションも素晴らしい(胸でかっ!)。演技力がないのが残念。[DVD(字幕)] 4点(2006-05-05 16:19:11)

239.  宇宙戦争(1953) この時代、この時期、なぜ『宇宙戦争』を映画化しなければならなかったのか。もちろん大戦が終わり、誰もが宇宙開発競争を予期していただろう。原作者H.G.ウェルズが46年に死んで、どんな片寄った脚色でも文句をつける奴もいなくなった。そして何よりも世界一有名なSF小説だ。そこでジョージ・パルはこの映画がタイムリーであり、新時代の幕開けに相応しい正統的なSFである事を、こんなナレーションに託して冒頭に飾った。 「二つの世界大戦は人類に多大な被害を与えて終わった。その間にも兵器は発展し続けている。やがて第三次世界大戦が起こるだろうが、その前に我々は宇宙との戦争に巻き込まれるだろう…」 映画を観ていて、一番イヤになる瞬間だ。ウェルズが描きたかったのは他民族を人と思わない精神が虐殺や戦争を生んだという、その原理だったのだ。パルは、やっとそういう精神世界が崩れて落ち着こうとしていた時代に、新たな仮想敵を探すのに躍起になっていた。ショービズに骨まで染まったそんな根性、くだらなくて涙が出る。 どうしてこの時期にウェルズ最後のSF『解放された世界』を映画化できなかったのか、問い詰めてみたい。あれは半世紀前の時点で世界大戦を予測し、核戦争を予測し、そこからプリサーゴ国際会議によって平和になる道を描いた「20世紀のシナリオ」だったのに。彼は国際連盟を提唱し実現させた。人権宣言書簡を書き、それがやがて世界人権宣言になった。SF作家をやめた後の彼は平和に至るまでの世界史を直接「書いて」いた。 戦後、パルの手で復活したウェルズは、ハリウッドで望まぬ「第二の人生」を歩き始める事になる。パルの視野がもう少し広ければ、その後の映画史は変わったかも知れないし、歴史だって違っていたかもしれない。新たな戦争ではなく、最終的な平和を謳うべきだったと思う。それが夢でも構わない。そもそも映画ってそういうもんじゃないのか?[地上波(吹替)] 0点(2006-05-05 11:43:20)(良:3票) 《改行有》

240.  ティム・バートンのコープスブライド ごめん、点低くて本当にごめん。アニメだし、最初はチョロいと思ったんだ。マンガ喫茶の3時間パックで楽勝で観終わるはずだった。結果は、いろいろ構成上の仕掛けを理解するのに3回観直して、超過料金1400円取られました。こりゃDVD買えたなあ…私的にはバートンの業の深さにむずがゆさを覚えながら鑑賞したので、この点にします。バートンあんた、そろそろ死体萌えから卒業しなさい。あと、全キャラの中で死体が一番ナイスバディというのは反則。イエローカード。[DVD(字幕)] 3点(2006-05-04 12:52:08)(笑:1票)

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