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プロフィール
コメント数 304
性別 男性
自己紹介 つたない文章力で自分なりのレビューを心がけます。映画館で観た作品は自然と評価が高くなりがちです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  死霊館 《ネタバレ》 左右、上下反転するカメラアングルは、視覚的にも話自体にも平衡感覚を失わせる機能を果たしていた。 はっとするような恐怖表現はあまりなかったが、除霊場面のともすればコメディ、パロディにもなってしまうような全てが度を越して過剰な恐怖描写はサービス満点で、とても楽しめた。[DVD(字幕)] 5点(2017-01-28 16:56:35)《改行有》

22.  マジカル・ガール 《ネタバレ》 少女がコスチュームを欲しがらなければ、コスチュームがもう少し安価なら、父親が失業していなければ、あの日あの時、宝石店に強盗に入ろうとしなかった。バルバラに出会う事はなかった。 そして、バルバラがダミアンと再開しなければ。 途切れる事のないコミュニケーションの不和と不足、断絶の中で、全てが負に働く原因と結果が重なり最悪の結末を招く。 そこに残ったのは、録音された音声=マクガフィンという実在したのかも分からない空虚な中心だけ。 物語の山場となり得る、エロスとタナトスを直接的に見せない(ルイスを射殺する場面では発砲を見せない、バーの店員と客を射殺する場面ではドアという遮蔽物によりはっきりと見えない)、若しくは省略する事で、登場人物や映画全体の温度を低く保ち、それは物語の空虚さだとか無常感という負の側面を際立たせる為にも効果的な役割を果たしていた。 発砲描写においては銃を手に取る音を使い、撃つ側と撃たれる側を音と映像により同時に一画面に収めるという表現方法は新鮮だった。[DVD(字幕)] 6点(2017-01-28 01:10:38)《改行有》

23.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 七海の母親、勤めていた学校の生徒、元旦那とその母親。社会にある悪意の代表としてこの人々を配置したのだろうが、言動が極端な悪意に満ちていてステレオタイプすぎるのではないか。 社会の闇、人間の弱みや闇、隙間に入りこむ天使とも悪魔ともつかない安室、言葉からは伝わらない人生の深みを感じさせる真白の母親という魅力的な人物二人とは対照的に、旦那らの描き方が浅薄であり、話しの展開の為に人が配置されている印象が際立った。 結婚式に関して言えば、式直前の七海と鉄也のとってつけたような会話、観ているこちらが恥ずかしくなるような両親への花束贈呈シーン、あの場面ではノイズにしかならない司会の軽部アナなど結婚式場面の演出はどれも酷かった。 そして物質的(人里離れた屋敷)にも精神的にも文字通り社会と断絶し、夢のような世界で真白と生活する後半。 ホモソーシャル的で社会への潔癖性を全開にした後半は、岩井監督特有の世界観であり映画と言うより、小説や詩、PV的とも言える。 病的なまでに抽象化された、二人だけの結婚式から真白の死がその最たるもので、この雰囲気に依る所も大きい作家性は、好みの問題であり是非を語るのは野暮なのだろうか。 現実世界との糸である、引きこもりの生徒とのやり取りを最後まで丁寧に描いたのは素晴らしい。 このやり取りやその変化で、かろうじて繋がる七海と社会との距離感を図る事ができる。 夢のような時間が終わり、陽の光が差し込む部屋の中から七海は再び社会へと踏み出す事が出来るのか。 空へと解放されたカメラ、視点は彼女の行く末を語っているかのようだった。[DVD(邦画)] 5点(2017-01-21 20:52:40)《改行有》

24.  ドント・ブリーズ 《ネタバレ》 ひと気がない整然と並ぶ家々を俯瞰して見下ろす映像から、カメラが下降し老人が女性を引きずる様子を映し物語は始まる。この台詞なしのワンショットのみで異様な空気、不吉な予感を漂わせる。 時折不気味なゴーストタウンのショットを挟みながら物語は進み、三人は老人の家に進入する。 家に入ってからの舐めるようなカメラワークの長回し。緊張感の演出もさることながら、観客にあらゆる物の配置、間取りを覚えさせるという機能も果たしている。ここで恐怖の下地が整う。 そこからは恐怖があらゆる感覚を通じて、連続で続く。 視覚による恐怖。痛覚の恐怖。嗅覚(老人が嗅ぎつけた香水であろう匂い)による恐怖。触覚(怪力で盲目の老人に触れられる事で逃げられない)の恐怖。聴覚(物音を立てる事ができない)の恐怖。 沈黙の間の中押し寄せる恐怖の連続は観ている側にも、息をつき物音を立てる事を許さない。 人物設定も素晴らしい。過去に娘を事故で亡くした盲目の退役軍人と獰猛な番犬という補って余りある補完関係は、主人公達との力関係を絶妙なラインでシーソーのように揺れ動かせる。そして妹と現状を抜け出す為にどうしても金がいるロッキーは、人間の罪や弱さを背負う。そのどちらもがサスペンス要素を伴いそれを増長させる。 そして計算されつくした舞台設定。 一軒家という限定された空間、薄いガラスの天窓、一人しか通れない幅の地下通路、鍵束、ホームセキュリティ、格子付きの窓、通気口など挙げればキリがないセットはどれもが物語に十二分に機能していく。 何から何まで作り込まれた物語、状況設定に、あらゆる感覚を刺激されるという、今までに感じた事のない恐怖体験だった。[映画館(字幕)] 8点(2017-01-17 23:46:42)(良:1票) 《改行有》

25.  スポットライト 世紀のスクープ キリスト教信者にとって教会、神父がどういった存在であるかは日本で特に何の宗教への信仰心もなく生きる自分にとっては真の意味ではわからない。しかし作中で語られるようにそれが神を意味する存在であるのなら、そして自分が救いを求める者であるならば、それは遠い世界の話しではなくなる。 そして、この事件自体何が原因とはっきりと断定できない程、根深く大きな問題であり、人間は神ではないという事は十分に伝わってきた。 何にせよ自浄作用があるかないか、言論、報道の自由があるかないかで、世界は大きく変わるのだろう。[DVD(字幕)] 6点(2017-01-17 18:16:47)《改行有》

26.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 あの時あの人と結婚していれば、繋いだ手が反対だったら、8月6日もう少し早く広島に帰っていれば...。 問題の大きさや深さは比べ物にはならない。 でもそれは現代の日本に生きる自分と何も変わらない、尽きる事のない後悔と良かったの連続。そしてそのどちらとも割り切れない感情。 あの時違う学校に入っていれば、告白していれば、あの会社に就職していれば。 それが「自分で選んだ道の結果=径子」であるか、「流されて辿りついた場所=すず」であるかは分からない。 結果がどうであるにしろ、2017年私は今いる場所で今ある現実を生きていく。 人生に対する普遍的なメッセージもさることながら、それを語る語り口も鋭くスマート。 同一アングルのショットを経時的に映すことで、街並みの変化を捉え、食事の内容や食卓を囲む人々の変化を通して、戦況、社会情勢を語る。 そしてその食事を摂るという行為が、そのままどんな状況であっても「生きる」という強烈なメッセージをも提示している。それは、他の日常生活動作を通じても伝えられる。荷物を持ち上げ運ぶ、歩く、走る、話す、洗濯をする。そして自然である草、木、空、水、虫、鳥。 それら全てが細やかに身体性を伴い実在感を持って描かれる為、生の尊さがより際立つ。 そして主人公すずの魅力。すずにとっての絵を書くという辛い現実を和らげる行為、生きていく術。それは周り(周作や晴美や水原)をも動かし癒していく。それを為す右手は失くしても、頭の中で自由に絵を描いていくその姿はあまりにも強くたくましく、優しかった。[映画館(邦画)] 10点(2017-01-15 22:45:13)(良:2票) 《改行有》

27.  はじまりのうた 《ネタバレ》 冒頭のグレタの演奏シーン。二つの視点からそれは映される。 いきなり始まる演奏はお世辞にも上手と言えるものではない。多くの人が聞く事に集中せず、談笑をする中一人立ち上がる男性。 直後その男性の1日が語られ、先程の演奏シーンに結びつく。 彼の頭の中で流れるアレンジ。今まで体たらくだったダンとグレタの才能が結びつく瞬間。 二人だけが分かる世界で、物語が始まる瞬間の感動は言葉では言い表せない。 それこそが音楽が持つ力であり魅力なのだろう。そして視点を変えた反復とズレという映画の持つ力もここで表現される。 鬱屈とした思いの中、スティーヴの部屋で曲が生まれる瞬間も忘れられない。 そしてアルバム制作シーン。日常の雑踏の中で即興を交えながら、生の人が集まり演奏されるその様は音楽の原点であり、一つの到達点なのではないだろうか。 何よりも誰もが音を楽しんでいる。 現代の一から十まで計算され作り込まれた音楽に異論を唱えつつも、それすらも含めて音楽を愛している事が伝わってくる素晴らしい映画だった。[DVD(字幕)] 8点(2017-01-14 18:25:57)(良:1票) 《改行有》

28.  ヴィジット 《ネタバレ》 非日常で起こった恐怖の中で、兄弟の成長、そして他者、自分に対する赦しを描いた作品。 過去に起こった両親の離婚、母の15年前の家出という二つの大きな出来事を通して、親子三人がそれぞれ癒せない傷を背負っている事が次第に明かされていく。 姉は鏡に映る自分を見る事か出来ない。自分の存在を認める事が出来なくなってしまった。 弟は8歳の時のアメフトの試合で自分が犯したミスによって父親が出て行ってしまったと信じている。 母は両親との決別を悔いている。 物語は進み、入院中には本物の祖父母に相談をしていたのであろう、老人二人との対決を迎える。 姉は鏡の中の自分と向き合う事で老婆を倒す。 弟は前は立ち向かえなかった、敵に向かっていく事で老爺を倒す。 二人が昔の自分を超え成長を遂げた瞬間。 皮肉にもそれは間接的に祖父母の手によって、為されたのだろう。 迎えたクライマックスであの頃の家族が映る。娘は父を赦した。 父を赦した娘、偽物の祖母の独白を撮影する娘によって母は赦された。 そして弟がラップを披露する後ろで姉が髪をとかし物語は終わる。 POV形式を取る事で、この映画自体が娘の意思を表している。その言葉で語らない意思表示、メタ構造も素晴らしい。 子供からみた老人の恐怖も、ホラーとコメディが表裏一体である事も、緊張感の中でうまく表現されていた。[DVD(字幕)] 6点(2017-01-08 19:20:33)《改行有》

29.  ちはやふる 下の句 《ネタバレ》 個で戦おうとする千早に対して、個人戦であってもチームとして支えようとする瑞沢高校の面々。 ノートを渡すという形で思いを繋ぐ北央学園。 一人で戦うのではなくチームで戦うという事を伝えようとし、繋がりを尊重としたいというのは理解できる。 ただそのメッセージを強調すればするほど、対比として個で戦う若宮を悪としようとしすぎなのではないか。 原田と新の会話、若宮と新の会話からは説教臭さ、団体=善、個人=悪という構図をどうしても感じとってしまう。 自分がかるたを誰よりも純粋に好きであり、みんなで何かをしたいという手段がかるたであるに過ぎない、という若宮の主張も自分には理解出来る。 そしてその主張は今の日本におけるハロウィンの現状やサッカーのW杯においての騒ぎ方に対する居心地の悪さに通ずるものも感じる。 だからより一層、二元論的な決めつけに違和感を覚えた。 ただ緊張と緩和のコメディー要素、若宮の圧倒的な存在感は素晴らしく、若宮と千早の対決は動作の一つ一つが美しくも迫力がありとても見応えがあったし、二作合わせて観れば青春映画として素晴らしい作品である事は間違いないと思う。[DVD(邦画)] 5点(2017-01-07 00:47:03)《改行有》

30.  ちはやふる 上の句 《ネタバレ》 前置きとして原作も下の句も未見です。 ちはやふるという映画、少なくともこの上の句に限って言えば、この映画は千早の物語ではなく、太一と机君の物語となっている。 千早という天真爛漫で太陽のように光り輝く存在に照らされ周りを回る衛星のような存在である太一。 才能、実力では新には及ばす、かるたに対する情熱、直向きさでは千早には及ばない。そして自分の思いも千早には届いていない。 心に常に揺らぎを持ち、悪く言えば芯がない不安定な存在。 しかしだからこそ、同じ様な悩みを抱える自分と重ね合わせ感情移入をしてしまう。そして彼が魅力的に思えてしまう。 机君の心情を誰よりも早く察知し、そこに寄り添えたのは、机君と同様に彼が揺らぐ存在であったからこそだろう。 そして彼らは、それぞれが抱える負の側面(太一は卑怯者である自分、机君は他者との関係を断絶し自分の殻に籠る自分)を超える。 その自分との戦いにこそ感動し、持たざる者の私は勇気づけられる。 持っている者、主人公の視点で進む青春映画が多い中、持たざる者に焦点を当て丁寧に精神的成長を描く物語は貴重であると思う。 かるた競技中の静と動、緊張感のある間の取り方もメリハリがあり素晴らしい。 下の句には太陽である千早の物語をどう描くかを期待したい[DVD(邦画)] 7点(2017-01-06 19:14:29)《改行有》

31.  恋人たち(2015) 《ネタバレ》 問題が解決したわけではない。状況が好転したわけでもない。 世間には相変わらず偏見も差別もあり、不条理な出来事が溢れている。 でもふと顔を上げた時に空が青く綺麗だったり、今まで理解し合えなかった厳しかった人の人間らしさ、優しさを垣間見たり。 誰かの何げない一言が何故か心に響いたり。 食べ物が美味しかったり、心に残る良い映画を観たり。 多くの悪い出来事の中に少しだけある悪くない出来事に心を動かされながら、今日も何とか生きていく。[DVD(邦画)] 8点(2017-01-04 19:46:00)(良:2票) 《改行有》

32.  クリムゾン・ピーク 《ネタバレ》 ギレルモ・デル・トロ監督は、多くの作品で共通して、幽霊や普通の人間とは異なる異形なる者を負の象徴や恐怖の対象としてではなく、人間を導く者、救う者として描く。 そして同時に、それらが良き事をどれだけしようとも、真の意味で救われてはいないという悲哀も映す。 世間では普通、優れているとされている人間に対する憎悪や劣等感、憧れ。 異形なる者への底知れない愛情。 しかしその愛情は決して盲目的なものではない。 大多数である普通の人々の中では、異形なる者は陽の目を見る事がないかもしれないという無慈悲な事実を常に客観した視点で捉える。 その自己批評を含んだ客観性があるからこそ、内輪向きではない作品の魅力に繋がり、詩的な情景、映像美と相まって悲哀はより増す。 そして共通する思いを感じ生きる自分の心にいつも響いてくる。[DVD(字幕)] 6点(2016-10-11 16:09:06)《改行有》

33.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 アニメ的な決めゼリフ、芝居掛かった演技、大事な事を台詞で言わせてしまう脚本。 石原さとみに代表される違和感のある人物造形、舞台のような台詞回しと細かいカット割りの中でのアップの多用、それらは悪い意味で気になった。 ただそれ以上に魅力的な部分が多かった。 災害時の政府の動き、次第に波及する被害とそれに比例して事が大きくなる社会情勢は現実味があった。 攻撃を開始するまでのじれったいまでの溜めは日本という国の法制度、日本人らしさをよく表しているし、なにより緊張感を生み出している。 ゴジラの見せ方、造形も魅力的。人間の視点からゴジラを捉えながら、なめるように移動するカメラ。 見知った現実の街並みの中にいるゴジラは圧倒的な迫力と絶望感をもち、多摩川決戦で感じた高揚感は忘れられない。 そして生物としての生々しさ実在感を伝える皮膚から落ちる体液。闇夜の静寂の中から発せられた光、そして全てを破壊する光線。この一連の流れは、間の取り方も含めて圧倒的に素晴らしく、恐怖と同時に美しさ、ゴジラという一つの生物の崇高さすら感じさせる。 人類が生み出した負の側面の象徴であると同時に希望を生み出すものとしてのゴジラは初代ゴジラを彷彿とさせるし、作り手の熱い思いも感じた。 様々な災害を経験した今の日本における海外への返答であり、挑戦状。そして自らへの鼓舞。 凝固したゴジラは観光スポットになるだろう。それほど日本人、人間は良くも悪くも強かで環境に適応しやすく、たくましいはずだしそうであると信じたい。 そして人類を破壊する災厄と共存するという道を選んだ点も、震災後の現在の日本の姿とどうしても重ね合わせてしまう。[映画館(邦画)] 8点(2016-08-01 10:41:24)(良:1票) 《改行有》

34.  渇き。(2014) 気持ちが悪い映画。 記号的な悪意に溢れた若者描写、音楽の使い方、隙間も余韻も抑揚もない断続的な映像の連続と台詞回し、どれもが自分には合わない。 この映画が映像の流れで語る事はない。台詞と意図的なクローズアップでしか物語を語らず、それは全て扇動的なものとして表現される。 倫理的に正しい映画かどうかはどうでもいい。 ただこの監督がどこまでも意図的に映画に対して不誠実で、人間の悪意を声高に薄くスタイリッシュに見せようとしているその姿勢がひたすら不愉快だった。[DVD(邦画)] 3点(2016-07-13 19:32:30)《改行有》

35.  ばしゃ馬さんとビッグマウス 《ネタバレ》 馬渕にとって松尾は未来の自分であり、天童は過去の自分である。そして、その逆もまた然りの鏡像関係。 だから馬渕は松尾に叱咤激励され、天童に厳しく当たる。みんな過去の自分が憎くもあり、愛おしくもあるから。 そして夢はバトンタッチされる。シナリオの取材という名の告白を通して、過去の自分に夢を託す。 松尾は馬渕を振り、馬渕は天童を振る。 夢を諦めた者は、夢を追う者に振り向く事はない。夢に振り向いてしまったら、夢を諦められなくなってしまうから。 だから馬渕は振り向かず歩く。それは、天童(過去の自分)に対しての決別でもある。 天童の未来は、また誰かに夢を託すのか自分自身で夢を叶えるのかは分からない。 ただ言える事は、夢をひたむきに真っ直ぐ追う者は眩しく美しい。そして痛々しく、残酷でもある。[DVD(邦画)] 6点(2016-07-06 02:12:01)(良:1票) 《改行有》

36.  映画 みんな!エスパーだよ! 《ネタバレ》 ドラマ版は大好きな作品です。 そして今回の映画版。真剣にふざけるのと、適当にやるのは全く違う。 本当に何から何まで酷いが、一番気になったのは話しの核である嘉郎の変化。 世界を救うのが嘉郎ではなかったのか。自分を救う事が、結果として世界を救う事になるのが感動的だったのではないか。少なくとも自分はひたすら不器用ながらも熱い思いを抱き行動し続ける、彼に心を動かされた。 しかし今作にはただ受動的な彼しかいない。運命をただ待つだけ。待ってたら実はみんな運命の人でした、という落ちもさる事ながら、誰と結ばれる事もなく、最後は再び自分の世界(部屋)に閉じこもり、自分をただ慰め現実から逃避する事に耽る様には心底がっかりした。[DVD(邦画)] 1点(2016-07-02 05:01:25)《改行有》

37.  ディストラクション・ベイビーズ 《ネタバレ》 柳楽優弥が街にでて始めて獲物を探す場面。背中越しに構えられたカメラ、長く持続するカット、途中で止まる音楽。そして、振り向いた柳楽優弥の笑った顔が映され、獲物へと向かう。 息をもつかせぬ緊張感、全てが異様でしかない空気をセリフなしで捉える。 そして、暴力を通してしか他者とコミュニケーションをとれない男を、皮膚感覚も含めて提示する。 それからは、ひたすら暴力が続く。暴力の描写も鋭い。ロングショットの長いワンカットで捉えられるその様子は、鈍重さ、暴力の美しくない姿をしっかりと映す。 柳楽は相手を選ぶ事なく、ただ楽しさを求めて、喧嘩を繰り返す。そして戦い毎、成長する姿は悟空に近いものすら感じる。 彼にとって生きる事は、喧嘩をする事なのだろう。暴力を通して痛みを感じる事でしか、生を実感できないのだろう。ミュージシャンにリベンジを果たした後の、生に満ち溢れた眩しい太陽がそれを物語っている。 暴力の連鎖の果てで長身の男を倒し、一つの絶頂を迎える。 絶頂の後、菅田将暉と行動を共にするようになった物語中盤から一気に暴力の質が変わっていく。 秩序から無秩序へ、純から不純へ。 そしてその変化と反比例するように、柳楽の存在は小さくなり、菅田や小松菜奈の物語における存在が大きくなっていく。 菅田は自分より強い相手に喧嘩を挑まないだろう。自分より有利な状況の相手とは戦わないだろう。 小松は自己防衛の為なら何でもするだろう。そしてその二人が限りなく一般人に近い存在なのだろう。 エスカレートする暴力の中で人が死に、事故が起きる。警察に嘘をつく小松。弟に対するいじめ。柳楽よりは自分に近いであろう、普通の人々が映るたびに、柳楽の存在が恋しくなっている自分がいる事に気付く。 長い不在の後、満を持して故郷に凱旋する柳楽。 闇夜に照らされたその姿は、崇高ですらある。 負の側面だけには収まりきらない、暴力の魅惑を強烈に突きつける怪物がそこにはいた。[映画館(邦画)] 8点(2016-07-01 19:59:03)(良:1票) 《改行有》

38.  サンドラの週末 《ネタバレ》 自分を犠牲にしてまで相手に尽くす事ができるか。という、答えの出ない問い。 本作はその問いを投げかける。そして、主人公は自分の生活、復職を犠牲にして、自分を守ってくれた人を最後に守る。 否定のしようのない立派な行動と結末。 だがその不変的な問題に対する、暴力的にも思える圧倒的な正論が、困窮してるようには見えない主人公一家共々どうしても上辺だけの浅薄な結末に思えてしまう。[DVD(字幕)] 4点(2016-07-01 02:02:12)(良:1票) 《改行有》

39.  予告犯 《ネタバレ》 社会に負けた若者達が、社会に一矢報いる。その行動に移す事になった理由や行動の過程が過去と並行して描かれる物語終盤までは、心躍ったし引き込まれた。(過去の生田斗真と関わる人たちの悪意ある態度が極端だったのは気になったものの) 戸田恵梨香が生田斗真を追跡するシーンも「その男、凶暴につき」を思い出すような長回し、追う側の粘着性、追われる側の徒労感をよく表現していた。 ただ終盤に向かうにつれて明かされる真実が、シンブンシに免罪符を与える事に終始しすぎではないか。平たく言えば「本当は良い人」にしようとしすぎではないか。 どんどん物語が個人的な問題に収束し矮小化していくし、彼らの行動を正当化するにしては、もうあまりにも多くの犠牲が出てしまっている。 最後まで感動に頼らず、ダークヒーローとして突き通して欲しかった。 そしてその攻撃的な姿勢こそが他にはないこの映画の魅力になるのではないか。[DVD(邦画)] 5点(2016-06-27 19:22:14)(良:1票) 《改行有》

40.  日本で一番悪い奴ら 《ネタバレ》 「凶悪」とは一転してのコメディ色が強い本作。 それもこれも映画内で綾野剛がほぼ全てのシーンに出続け、常に主人公視点で話が進むため、綾野剛の人物描写がそのまま作品の性質となるからだろう。 ただそれが一本調子、緊張感の欠如にも繋がる。 銃の取り締まりの潜入捜査から、事が次第に大きくなり、状況としては緊迫していく。 しかし、作品全体の空気が緊迫するかと思えば、どこか緊張感を欠いたまま話しは進む。 幼児性を持ち純粋な存在である綾野剛が、緊迫化に歯止めをかけているからだろうし、それは意図的なものと取れる。 それに加え、アクションで魅せるでも、殺人描写があるわけでもない為、物語はアンチカタルシスの構造を保ち続ける。 そして銃が中心の物語であるにも関わらず、終始銃が道具として機能せず役割を失ったままで終わる。 機能しない事で不在の中心であり続ける銃、アンチカタルシスな物語が、煮え切らない居心地の悪さを生み出す。 その居心地の悪さこそがこの事件の本質であり、機能しない銃は良くも悪くも古くからあった男性性の消失を象徴しているのだろう。 そしてそれがドラマではない現実ということ。 終盤の、馬が走る→人が走る→自殺という、より動的なものから究極の静的なものへのスムーズな移行。 映画の観客=一般市民に向けられた挑発ともとれる、綾野剛の逮捕場面でカメラにぶつけられるペットボトル。 そのような細かい描写も魅力的だった。[映画館(邦画)] 6点(2016-06-26 01:37:04)(良:1票) 《改行有》

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