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プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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【製作年 : 1920年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
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変更日付順12

1.  思ひ出 《ネタバレ》 ルビッチといえば「ドア」ですが、この作品は「窓」。ラモン・ナヴァロ演ずる皇太子がお城から見る窓外の世界を、未知と自由に溢れた手の届かない世界としてまず描く。ノーマ・シアラーが、去りゆくナヴァロを玄関先からではなく、窓から見つめるのは、彼とけっして結ばれることはないことを暗示する。ラスト、馬車から眺める彼の視線の先に見えるのは、叶わない恋、手に入らない自由、そして運命の受諾。二人は窓で切り取られた四辺の中に、恋人の姿が永遠に“思ひ出”として生き続ける。恋の喜び、自由への憧れを、咲き乱れる花の斜面や学生達の祝杯などで、詩情豊かに、ユーモアたっぷりに描いたルビッチに花束を、祝杯を。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-11-15 17:38:00)

2.  グリード(1924) デスバレーのギラギラした太陽や、鳥かごを見つめる猫のアップのショットやゴールドや調度品を愛でる手のイメージショットなど、グリードを象徴的に見せるシーンがさりげなくそこに治まっているかのように、フィルム全体がグリードに染まっていますが、けっしてどぎつくなく、人間を根源的に見つめる真摯な視線を感じます。食べる飲む、愛憎、金銭、乗物、鳥の解放・・・様々な次元が絡み合い人は生き、いつの時代も人が人であることに変わりなし。[ビデオ(字幕)] 10点(2006-10-02 11:16:11)

3.  あれ イットガールで名を馳せたクララ・ボウ、アイシャドウの効いたパッチリ大きな目が魅力の女優さん。キャラクター「ベティ・フープ」はこの人がモデルだそうですが、そういやソックリですね。「つばさ」でご存知の人も多いと思いますが、この人は上品というより活発なお嬢さんといった雰囲気です。さてこの「あれ」は、デパートガールのボウが若社長を誘惑しちゃうラブコメディ。遊園地ではしゃぐ無邪気な彼女の姿からは、スキャンダルにまみれ没落した実生活の彼女は想像できません。ここではスカートが突風にまくれるモンローの原型を見ることができます。豊かなボウの表情を中心に切り取りながらスピーディなカット割で話は進み、ドボンと海に転落したボウを救出する男、二人に挟まれた「IT」の文字、なかなかあれな閉め方ですね~。「あなたに“あれ"があれば必ず愛する人を獲得できます」、作中に実際に登場するエリナー・グリン女史がそう言っております。あなたに“あれ”はありますか?[ビデオ(字幕)] 8点(2006-02-16 00:14:55)(良:1票)

4.  三悪人 「アイアン・ホース」に引き続くフォードの西部劇。スケールではアイアン・ホースに及ばないものの、迫力あるシーンの数々は「三悪人」が上をいきます。ダコタの土地早取り競争でスタートに並んだ幌馬車、馬、それらをゆっくりとパンで捉えた横列の長さには唖然としますが、スタートしてからが凄い。地面に据えられたカメラの横を幌馬車が猛然と通り過ぎていく。置き去りにされた赤ちゃん(←土地争奪の前では赤ちゃんも形無し)に襲い掛かる幌馬車隊、さあ危機一髪。さてタイトルとなる三悪人ですが、最初に逆光のシルエットで颯爽と登場するのはいいのですが、どうも間が抜けてるし、助けた女性に花婿を見つけてやろうと気が優しい。しかしやる時はやっくれます、命を賭してからが恰好いい。彼らを弔うように揺れる麦畑、赤ちゃん・・・。「三人の名付親」とセットでどうぞご覧あれ。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-02-15 21:22:01)(良:2票)

5.  アイアン・ホース アメリカ大陸横断鉄道建設の夢と希望の固まりに、冒頭10分で愛と復讐の人間ドラマが絡みつくことが予示され、レールが延びるとともに待ち受ける苦難困難に、遥か大平原のロングショットが詩情的に絡みつくサイレントという名の饒舌な映画です。その舌の上で、大量エキストラの鉄道工夫、インディアン、勇壮な牛の大群、酒場の喧騒、ロッキーの雪山が豊潤に溶けていき物語を彩ります。オマハから出発したユニオン・パシフィック鉄道とサクラメントから出発したセントラル・パシフィック鉄道が金のスパイクで結ばれ祝福されたのは、小文字な男と女の再会と、大文字なアメリカ、リンカーン大統領であり、実際使われた本物のアイアン・ホースのキッスは、人間ドラマという小文字の物語と国家という大文字の神話の甘い蜜月関係の始まりであり、“ランド・オブ・プレンティ”なアメリカの始まりにも見えたのでした。媒酌人はジョン・フォード。[ビデオ(字幕)] 10点(2006-01-23 17:53:49)(良:3票)

6.  ココナッツ 『我輩はカモである』で初めてマルクス兄弟に触れた時は、そのほとんど荒唐無稽で理不尽な破壊力に全身を散弾銃で打ち抜かれたような感覚を憶えたものですが、何作か見るうちに、その造形が素晴らしく調和と均衡のとれた美的感覚に裏打ちされたものであるかのように思えてきます。登場するだけで胡散臭さを撒き散らすグルーチョは、マルクス三男であるにもかかわらず長男に見えてしまうことからも、そこにいるだけで信頼を拒み何も寄せつけない美すら感じさせ、そのグルーチョが喋りまくるのとは対称に押し黙ったままのハーポが繰り広げるギャグと、両者を繋ぎとめるチコ、それを傍観するように存在感のないゼッポ、そこには互いの引力により見事に均衡が保たれた宇宙が見えてきます。このマルクス兄弟の銀幕デビュー作『ココナッツ』は舞台で鍛え上げられた演目であり、二つの部屋を介して三つの扉が開閉されるシークェンスは扉が叩く音のリズムを持って反復の美に昇華されていて、合間合間のレビューシーンはここから始まる彼らの映画宇宙旅行の幕開けを祝い成功を祈る祝祭の儀式として見る者を魅了するのであります。旅立ちに乾杯![LD(字幕)][DVD(字幕)] 8点(2005-12-03 12:09:17)

7.  ゆすり(1929) 電話ボックスの内外など音の生殺に自覚的な作品ですが、殺人シーンにおいては殺される者の悲鳴や呻き声といった“音”を消すことで、殺した者の心理、臨場感を盛り上げています。そしてニョキッと出た腕と道化のような絵が視覚的に殺人者の心理を支配し、その緊張感に音がまとわりついてきます。大英博物館での追跡シーンは、後年の自由の女神やラシュモア山を想起させ嬉しくなってきますね~。ラストの絵はBlack Mailに添付された画像のようで、向けられた刃は彼女に、見る者に深く突き刺さり、差出人名を確認するとヒッチコックとなるのです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-15 12:48:08)(良:2票)

8.  山の王者 ルビッチなのにこんなに純愛で悲恋でいいのか~、と唸りたくなる作品。なんてったって原題が「Eternal Love」なんだから。効果音付サイレント映画で、鉄砲の音を利用した場面転換、ドアをノックする音による心理描写などを巧みに取り入れています。山男ジョン・バリモアが断崖でエーデルワイスを摘むシーンを崖下から撮り上げ、恋人の存在と親密度が分かるところなど、ルビッチは外に出ても大丈夫、ドアだけじゃないぞ。雄大なロケーション撮影と雪山のセット、「陽気な巴里っ子」でも見せた群舞シーン、湯気が立つ暖かな食事と冷めた食事の対比、仮面舞踏会の仮面を利用した見せない演出など見所はほんとに盛りだくさん。粗野なジョン・バリモアと清教徒的なカミルラ・ホルン、その恋路をあの手この手で妨害するそれぞれに想いを寄せる男女が登場するハンス・クレイリーの脚本もよく出来てますね~。男なるもの好きな女性には断崖のエーデルワイスを摘むぐらいでなきゃな~、ってやっぱり私は単純です。〔英語版DVD〕[DVD(字幕)] 10点(2005-08-09 23:54:40)(良:1票)

9.  キートンのマイホーム(文化生活一週間) 13日の金曜日、と言えばこの作品!? 染之助染太郎の「いつもよりよけいに回っております!」ばりのマイホームの回転には唖然とするしかなく、家の中であっちこっち振り回される人間には笑うしかなく、線路のギャグは一旦安心させておいてからというタイミングのセンスに感心するほかなく、入浴シーンでにゅ~っとカメラを遮る手のひらは遊び心いっぱいで、とにもかくにもキートンが一杯詰まった1週間をテュラテュラテュララ~♪とお楽しみください。[DVD(字幕)] 10点(2005-05-13 17:16:39)(笑:1票)

10.  群衆(1928) アメリカ映画、サイレント期の傑作と称される今作は、日常誰もに起こり得る人生の禍福をスターではない二人を起用することにより、より無色へと近づけることを狙いとした映画です。見ている観客のすぐ隣りの人かも知れない手の届きそうなドラマを切り取っていくという手法を映画に取り入れたキング・ヴィダーとゴーサインを出したタルバーグにはやはり感嘆符をつけずにはおれませんね~。ビルの外観から窓へと流れ、フロアへと吸い込まれていくカメラは、多数の机が整然と並べられたオフィスを捉え、主人公が群衆のワンオブゼムに過ぎないことを印象づけます。それは赤ちゃんが生まれた時の多数のベッドを捉えたショットに受け継がれ、累々とした歴史が刻まれていることを語ります。2階建バスの2階からサンドイッチマンを見下ろしあざ笑うシーンを伏線とした浮き沈みを際やかに描きあげるセンス、ナイアガラの滝でロケーションされたラブシーンも楽しく、ラストの劇場で主人公のアップからカットが割られるごとに大勢の観客へと引いていくカメラは、彼らがたんなる群衆であると同時に、かけがえのない人生を生きる個人の集合体が群衆であることを語っているようで、それぞれに生きる意味と希望を高らかに謳いあげた本作はやはり傑作なのであります。10点(2005-01-16 08:58:06)(良:1票)

11.  キートンの大列車追跡 キートンの映画を見る楽しみの一つは、こりゃ~どうやって撮っているのだ、という<HOW?>に満ち溢れているところにあります。鉄橋が崩れ機関車もろとも川へ落ちていくシーンは、河童に尻子玉でも抜かれたような、放心へと誘います。前半追うキートン、後半逃げるキートン・・・通信線を切断したり、線路にモノを放置したり、ポイントを切りかえたりといった鮮やかな反復のリズム、走る機関車を横から捉えたスピード感覚、縦から捉えたディープ感覚、機関車を線路をあっちへこっちへのアクション、ユニフォーム一つで笑いと感動を呼ぶセンス、そしてラストのラブシーンをお得意の大群ネタで締めます。なにくわぬストーンフェイスで尻子玉を抜いていくキートンは、サイレントコメディの流れの中を自在に泳ぐ河童だったのであります。10点(2005-01-15 23:11:16)(良:3票)

12.  ファウスト(1926) 広野を行くような「サンライズ」、沃野に浸るような「最後の人」の映像表現に触れた者としましては、もはやムルナウは信仰の対象として奉る存在として生きていることをこの「ファウスト」をもってまたまた再確認するのみなのです。ドンドコ飛び出す視覚効果には圧倒されますが、そういった魅せる技術をしっかり支えているのは、構図であり光でありセットの造形美であり出演陣の表現力であり衣装でありメイクであります。この映画は頭のてっぺんから尻尾の先までアンコが詰まったタイ焼きのような豊満さ、アメ細工のような繊細さ、とろけるようなクレープの芳醇さ、それらが始まった瞬間から終わる瞬間まで一時も減じられることなく包み込んでいるのです。川や滝、山や森のミニチュア、宮殿の祝宴シーン、メフィストのつり上がった眉毛、カミルラ・ホルンの麗しき肢体、ラストの雲間の太陽の輝き・・・、この映画には魂を売ってしまう価値があるのです。まだまだ映画が見えていない自分に自戒と自省を込めて。10点(2005-01-07 19:49:06)(良:2票)

13.  最後の人 人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ・・・そして映画もいろいろ、って言うじゃな~い。でも台詞はなくても、言葉はなくても、字幕はなくても、素晴らしい映画は素晴らしいですから~!残念!!ってことで、この作品は映画の表現技法が移ろいゆくも、映画界のポラリスとして、すべての映画人が道に迷わぬように燦然と輝いてくれているのです。迷ってばかりの私もことあるごとにこの作品を初めとするムル様の作品を見るようにしております。来年はもっとサイレント作品を見るぞ~。気合だ~!!10点(2004-12-31 18:25:02)(良:2票)

14.  陽気な巴里っ子 ルビッチのレビューがまたできるなんて幸せ~。英語版VHSで見たものですからサイレントながら英語字幕の細かいニュアンスはわかってないかもしれませんが気にしな~い。この作品の魅力は、数々の視覚効果とダンスシーンにあるのです。こ、これが本当にルビッチ作品なのか・・・。確かにストーリィはルビッチお得意の夫婦2組のスワップコメディー。しかし宙に舞うステッキ、寝ている口の中に吸い込まれていくそのステッキ、妻に何もかもバレてしまって小さくなる男、この男が本当に見た目縮んでしまいすっかり小人に・・・なんとそのまま歩き出しドアの向うに消えていきました。むむむ~どうやって撮ったのだ。そしてそして、二重露光を中心としたダンスシーンは圧巻、まさに狂奔酔舞ぶりが描かれております。ルビッチもこんな作品を残しているのか~・・・まだ見ぬルビッチ作品をなんとか英語版でもドイツ語版でもいいから探し出して手に入れようと固く固く決心したのでありました。それぐらいの心意気で仕事をしてくれって?上司のぼやきが聞こえてきそうであります。9点(2004-10-27 22:35:11)(良:1票)

15.  当りっ子ハリー チャップリンやキートン、ロイドに比べると知名度は劣りますが、ハリー・ラングドンもサイレント時代を代表する喜劇役者、だそうです。私もこの作品で初めて彼を見ました。童顔に白塗りの顔、年齢不詳、誰やねん!といった風貌で、巻き込まれ型の笑いを提供してくれます。キャプラはこのラングドンのもとで喜劇作家として売り出し、この作品では監督をつとめました。後半のミュージックホールではラングドンの見せ場全開なのですが、ストーリィはまさにキャプラタッチです。静かな街が金と資本に蹂躙され、金の亡者が経営するミュージックホールは、刹那的な快楽にふける客で大賑わい。静かな街を取り戻さんと立ち上がる牧師と善良なる市民たち。ハリーと牧師の娘である盲目の少女との恋が並列に描かれ、ハリーのドタバタ一人舞台の大騒ぎを見せ、大いに笑わせた後には、さらりとハリーと少女のハッピーエンド。目が見えるハリーが石につまずきこけるラストは憎いったらありゃしないです。ラングドンの雄姿を見ることができる貴重なフィルムであるとともに、キャプラタッチをも堪能できるこの作品、当り、であります。8点(2004-10-03 23:55:10)(良:2票)

16.  キッド(1921) 「キッド」。このタイトルがすべてを語っております。(終)9点(2004-09-29 00:10:15)

17.   ↓お一人でおくつろぎのところ失礼いたしますよ、ドカッ。しかしどえらい物語設定ですねー。しかしその設定、人形が底なし沼に吸い込まれていくカット、ぶくぶくとガスが湧き出ているそのカットのおどろおどろしさ、そしてあの農場主一家の非道ぶりが後半の脱出冒険劇として見事に生きてくるわけです。そして誘拐されてきた赤ちゃん、まあ確かにこの女の子がクルクル巻き髪で実にかわいらしいのです。が、メアリー・ピックフォード演じるモリーが「まあかわいい、本当に私にくれるの」って緊張感なさすぎやろ!と思わずつっこんでしまいました。が、この無邪気な母性本能がまたその後に生きてくるのです。この赤ちゃんを背に子供たちとの農場脱出劇は、逆に緊張感ありすぎやろ!というぐらいにハラハラドキドキ。あのワニの恐ろしさといったら・・・。そんな緊迫した中にも、後ろからズボンを引っ張られてお尻を出している子もいて笑いました。まあ、ピーチクパーチクさえずっても仕方がないのでこのあたりにしておきます。ラストシーンは、私も雀の涙ほどの涙を流したことを付け加えて。8点(2004-09-28 00:52:36)(良:1票)

18.  戦艦ポチョムキン 日本のプロ野球史上初のストライキが決行されることになりました。ということで、エイゼンシュテインさんのレビューでも書きましょう。「ストライキ」は未見ですが、その翌年に撮られたこの作品、艦内の労使対立からおこる反乱、それに引き続くオデッサの街の銃撃を喉元を抉るような鋭く、そして瑞々しいショットで描いています。驚愕です。とにかくカットを割って語ってくるのですが、いまさらながらモンタージュの完成度には唸るほかありません。後半、ほとばしる艦内の部位がカットでつながれ、噴き出した黒煙と光り輝く海面の白さとのコントラスト、戦艦の息遣いをまさに肌で感じるような映像です。オデッサに寄港したした時の、夕陽をバックにした帆船のショットの静的な美しさが、その前の反乱とその後の銃撃をつなぐ緩衝として実に効いています。オデッサの街の群衆、その叫び、悲鳴。イデオロギーの是非、善悪の判断は然るべき場に譲るとして、この映画は熱い、とにかく熱い!私の本棚には「エイゼンシュテイン全集」の第1巻が誇らしげに収まっているのですが、こちらは厚い、とにかく厚い、こともないのですが、まだ読んでいません。最後にプロ野球にも再び熱き戦いを!10点(2004-09-18 00:31:34)(良:2票)

19.  サンライズ 疾走する機関車、大型客船のショットから田舎の避暑地へと移るオープニングからして、なにやらコントラストがきいているのですが、その通り純朴な田舎の女と都会の悪女、幸せの絶頂と不幸のどん底、というめりはりのある構造を成す映画であります。そのせいで非常にわかりやすいストーリィとなっています。しかし、しかし、見ておるうちに数々の映像トリック、陰影ある美しいショットにどんどんと、それこそ水の中へ沈み込むように引っ張られていきます。それにもまして、まして、ジャネット・ゲイナーです!お皿とスプーンを持って登場したファーストショットからもうノックアウトです。可憐、純情、優美、もう抱きしめたい!街でチュッチュ、チュッチュするジョージ・オブライエンには、ええ加減にせーよ!と毒づきたくなりましたよ。そしてラスト、髪をすっかり下ろした彼女、サンライズの光が顔を射し、そこに微笑みが浮かんだ瞬間、私的映画史に堂々とその表情が刻印されたのであります。うっとりとはこのことですな~。その他、男と悪女の抱擁シーンに挿し込まれる妻と赤ちゃんの抱擁、行きと帰りで同じ電車内の位置にいながらそれこそ正反対の2人など気に入ったシーンも多々ありました。それと動物が効果的、象徴的に使われていることが指摘できるでしょうか。牛=没落、犬=不安、子豚=幸せ、となっておりますね。もし、時空を超えて、虚実を超えて告白タイムがあるなら、私はこの映画の彼女に右手を差し出したいものです。ふ~・・・。10点(2004-09-11 21:41:36)(良:4票)

20.  雄呂血 阪妻演じる平三郎ですが、この人には世界の中心で不幸をさけばしてあげたいですね~。見ている私が「誰か助けて下さい!」と画面に向かって言いそうになりました。奈美江さんもお千代さんも人妻におさまっちゃって、そりゃーヤケにもなりますわな。カメラはさすがに据えたショットがほとんどですが、平三郎が逃げるところなどに移動撮影が使われ、ラストの立ち回りを捉えたロングショットはじわじわフレームが動いていて、大人数を1コマにのせ動かすことで、まさしく大立ち回りとなっております。これだけの出演者を揃えたのですよ、と誇らしげなシーンでもありますね。阪妻がにゅ~っとカメラに近付く超クローズアップ、この侍の葛藤、矜持。はたして善事の仮面を被った偽善者=悪人と無頼漢の謗りを受ける浪人=善人の結末やいかに。浪人の刀が理不尽な世をバッサリ斬る、ことができるのかはどうかご覧下さいませ。おろちくお願いいたします。く、く、苦しい~、私がバッサリ斬られそうですな。8点(2004-08-30 23:54:45)(良:2票)

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