《改行表示》31.大画面で観られる事を計算しつくして映像と音を作り上げた大傑作。20数年ぶりに劇場観賞したが、映画を観る快楽に酔いしれた。 三船が自宅の窓を開けると街の音がわーっと入ってくるシーン、すごく良かった。 【爆裂ダンゴ虫】さん [映画館(邦画)] 10点(2017-11-08 20:28:59) |
30.数年前に購入したクライテリオンのディスクチェックをするだけのつもりだったのに、作品の迫力に引き込まれて、結局、そのまま全部観てしまった。この映画を観るのは4回目くらいだと思う。初めて観たのは20年以上前の学生時代で、その時もとても面白いと思った。だが、当時はその迫力くらいしか理解できていなかったように思う。あれから20年以上生きてきて、あの頃よりはわずかではあるが、社会や人間、そして映像を理解できるようになった今の方が、この作品の偉大さがよく分かる。主人公の権藤邸をほとんど出ることがない前半の、カメラアングルを含めた舞台劇のような作りは、作り込み感が強くて僕好みではないものの、そのカッチリとした美しい構図は見事だ。中盤の、身代金受け渡しから誘拐された子供を迎えるシーンの臨場感とスピード感には、ここぞとばかりに盛大に使われた音楽の効果も相まって、涙が出そうになるほど心が震えた。犯人の捜索から特定、逮捕に至る後半は、極めて丁寧に作り込まれていて隙がない。最終シーンの、権藤と犯人である竹内の対決も見事で、竹内の虚勢を張りたいという気持ちと、そこからはみ出してしまった弱さは、人間的に未成熟な若者の姿を見事に表現している。さらに言えば、作品全体をシャープにしながら、同時に緊張感を持たせている大きな要素は、説明セリフを舞台や設定のために必要最小限に抑えながら、それぞれのシーンにおける人物の気持ちに関して、セリフではなく、その動きやカメラアングル、そして音で表現しきったというところだろう。使い古された表現だと思うが、こう思わずにはいられない。黒澤映画とは、映画が映像であるということを再認識させてくれる作品群である、と。 【はあ】さん [ブルーレイ(邦画)] 10点(2016-05-04 15:32:00) (良:1票) |
《改行表示》29.前半部ではほぼ部屋の中だけの展開にもかかわらず、人間描写の巧みさ、キャストの力強い演技でぐいぐい引き込まれる。台詞が圧倒的に多いのに、全く複雑さや飽きを感じさせない演出は本当に見事。 現代のサスペンス映画に比べても全く劣らない、先が読めない緊迫した展開で、画面に釘付けになった。 山崎努の鬼気迫る演技、 三船はもちろん、警部役の仲代達矢の存在感も凄い。 映画の雰囲気、スケールともに、何だか日本映画というより海外の映画を観ているような気分にさせられた。国内外ともにこの映画が与えた影響ははかりしれないでしょう。 黒澤映画の中でも特に見応えがある部類だと思います。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 10点(2009-04-21 07:00:31) |
28.私ごときが黒澤監督をどうこう言うのは大変おこがましいことですが、とにかく凄いと思った。何が凄いかって、やっぱり何をやるにも先駆者であるという事。貸切列車で一発勝負撮影のリアリズム、緊張感。事件の説明をこれまたリアルな捜査会議という形で見せる手法。どれも現代サスペンスドラマでは当たり前となっている事もこの時代に黒澤監督がやっていたから凄い。それでいて根底にあるのは、最も単純で最もスタンダードな「勧善懲悪」の世界なのである。しかしやっぱり新しいのはここに出てくる「悪」が今までに無いタイプの悪で、常識では考えられない形で身代金誘拐をやろうとする。これは原作のアイデアなのだが、その原案には無い犯人の人物像や、人間味溢れる警察の捜査など、膨らませていて、原作よりも断然面白くなっている。若き日の山崎努演じる犯人のラストシーンは本当に鬼気迫るものがあり、勧善懲悪から一瞬だけ悪に感情移入させられる瞬間が用意されているという終わり方も凄い。 【ちゃか】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2009-03-31 18:23:15) |
27.この143分てのは『生きる』と同じ長さなんだ。どちらも同じ二段構えで。何かを描くのにちょうどいい長さというものが、作家には固有にあるらしい。でもこれは私には『赤ひげ』とセットになっていて、ヒューマニズムの人としての総まとめが『赤ひげ』なら、サスペンス作家としての総まとめが本作だと思っている。そしてあちらに善の医者、こちらに悪の医者、と対になっている。黒澤は多くの作品で医者を描いていて、生命に密着した職業ということを越え、魂の治癒者といった役割りを持たされている。その医者がこの映画では、魂を沈下させていく。高台の権藤邸に憎しみの目を向けつつ、黄金町の魔窟にまで沈んでいく。こういう世の裏側の感じは、『野良犬』の楽屋裏なんかにも通じて黒澤が好んだ形而上学的な世界構造だ。この世界には一つ奥の暗い場所が隠されている、って。医者はそこを往還する職業なんだ。善い医者は下から上へ、悪い医者は上から下へと、魂を運んでいく。そういった世界観が黒澤にはあるのだと思う。この映画のサスペンスのうまさを今さらいちいち挙げてもしょうがない。好きな女優さんをひとりだけ挙げさせて。これを見るたびに印象に残るのは、山崎努と踊りながらヤクを受け渡しする女のそれらしさ。今村昌平作品なら主人公になれるような顔で、生き物の臭いはプンプンさせていながら生活臭のない女。ストイックな黒澤さんはきっとこういうタイプが嫌いなんだろうけど、それだけに見事に存在感を示していて、私はあのシーンになると異様にドキドキしてしまうのだ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 10点(2008-12-24 12:23:52) |
《改行表示》26.黒澤映画の中でも完成度の高さは1,2を争うのでは?と思わせるほど質の高い作品。前半の室内だけで展開されるドラマがまったく飽きさせない。飽きさせない為の工夫がそこらじゅうに散りばめられている感じ。緻密で繊細に計算されたがゆえのこの完成度。逆にいつもはスクリーンから飛び出しそうな三船敏郎が思ったほど存在感がない(ちょび髭はやして違和感ありまくり)。俳優の生の魅力に頼らずに、完璧な脚本を元に完璧なこの映画を作ったともいえるかもしれない。この後、赤ひげ以降だんだん映画を発表する間隔も開いていき、黒澤最後の傑作といっても差し支えないでしょう。赤ひげはやたらと時間をかけた長時間映画だが、私は全然だめでした。1940年代から毎年のように作品を発表していた時代も次の「赤ひげ」で一旦終了。黒澤の苦悩の時代が始まることになります。これまで数々の傑作を作ってきた黒澤が、1963年にこの傑作をまた作れた事実が凄いのかもしれません。昔の巨匠は代表作が1作だけでない。小津、溝口、チャップリン、ヒッチコックみんなそうですよね。10点満点あげたい黒澤作品のうちの一本です。 【仏向】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2008-05-18 15:42:22) |
《改行表示》25.実に面白かった!100点満点です! 黒澤監督の作品で一番好きかも 【norainu】さん [DVD(邦画)] 10点(2008-03-06 01:54:44) |
24.サスペンスフルとはまさしくこの映画の事ではないでしょうか。誘拐という卑劣な犯罪、こだまの疾走感、がんばる神奈川県警、三船をはじめとする役者の演技すべてが混ざり合わさって出来た日本を代表するサスペンス映画です。 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-01-26 00:42:43) |
《改行表示》23.展開に無駄なところがないです。 三船の演技も去ることながら、当時新人の緒方拳が名演です。 途中、煙突から出てくる煙がピンクで、白黒で表現して欲しかった と思うところですが、それを差っぴいても10点です。 【T-zen】さん 10点(2004-02-03 14:32:35) |
《改行表示》22.一番最初に観た黒澤作品だけに、思い入れがある。 練りに練った脚本に、最高水準の映画技法、強力な俳優陣、 効果的な音楽など、すべての要素に文句のつけようがない 第一級のサスペンス。題名も、いい。 【サラウンダー】さん 10点(2004-01-09 18:30:31) |
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21.満点以外は考えられない作品。スピード感溢れる展開、ぐいぐい惹き込まれる構成……素晴らしいの一語に尽きる。人情味ある刑事やマスコミらもいい味を出していた。みんな漢だね~。 【K】さん 10点(2003-12-30 17:19:05) (良:1票) |
《改行表示》20.最初から最後まで無駄な台詞やシーンが全く無く、見る者の心をわしづかみにしたまま物語りを進める監督の力量に感銘をおぼえる。 また、登場する全ての俳優からは現在の映画では感じることのできない 「役者魂」を感じる。単なる娯楽作品というよりも、一級の芸術作品。 この映画を超える邦画にまだ出会ったことはありません。 【北の空から】さん 10点(2003-12-24 20:31:32) |
19.モノクロ映像にあざやかなピンクの煙。いまじゃダイオキシンにみえちゃうよ。踊る大捜査線でオダがつぶやく「天国と地獄か~」。パクんなよってむかつくけど、捕まってたのがチョーさんだから許す。 【ケジーナ】さん 10点(2003-12-16 21:25:14) |
18.黒沢明をクロサワたらしめる作品のひとつ。サスペンスの傑作。真冬に観ても暑いと感じるんちゃうかと思わせるほど画面に引き込まれる。まさに完成品! |
《改行表示》17.黒澤監督、三船敏郎がなぜ世界で有名なのがが分かりました。何と表現して良いのだろう、作品に魂があると言うか凄い迫力のある傑作作品でした。面白すぎ、古さも長さも全く気にならないくらい見入れる映画はそうそう無いでしょう。。人間の心理をこれほで鋭く追い込んでいくとは、監督は偉大です。 【ステラ】さん 10点(2003-10-16 06:00:47) |
16.時代劇そのものにあまり関心が高くないせいか、黒沢と言えばこれに落ち着いてしまう。黒沢に限らず当時の東宝映画は「庶民」の描き方がすごく上手かった。これってやっぱ大部屋社員俳優さん達のおかげでしょう。端役脇役通行人までもがプライドを持って映画に参加していた。「こりゃあ江ノ電でさァ」 【柿木坂 護】さん 10点(2003-09-29 20:01:00) (良:1票) |
15.高校に入学した時、10日間の合宿があって、最後の日の前の日に視聴覚教室で鑑賞した。アイドルも出てない白黒の映画に最初は、みんな白けていたが、あっという間にみんながグングン惹きこまれていき、時々「すげえ!」という声があちこちから聞こえた。むろん僕も。 こういう事件が起きると、何故か被害者を非難するという我々日本人の歪んだメンタリティが、さり気なくだが、ハッキリ描かれてる。他人への理不尽で純粋な悪意。黒澤監督が怒りを向けたのはまさにそれだと思う。特急こだまを実際に使い、東宝のカメラマンを総動員、8台のカメラを同時に廻して撮った身代金受け渡しの場面の緊迫感は何度見ても凄い。洗面所の窓が7センチ開くというのも、ちゃんと当時の国鉄に何度も電話をかけ調べつくしている。こだまの内部構造を、あまりに詳細に聞いてくるので国鉄に「あなたたち、どういう関係の方達ですか?」と怪しがられたというが、この徹底したリサーチも、人間の悪意を糾弾するための執念が成せる業だろう。にもかかわらず、後にこの映画を、そっくり真似た誘拐事件が起き、誘拐された子供が殺されるとは、何と言う皮肉。責任を感じた黒澤監督がこの次に「赤ひげ」を作ったのも当然だと思う。 【ひろみつ】さん 10点(2003-06-28 01:46:24) |
14.サスペンスなのに感情移入させてしまう心情描写の丁寧さ。正統派で、小手先のどんでん返しがなくて安心した。いやいや本当に素晴らしい。DVD買ってよかった(香港版だけど)。列車の窓から放り投げるやり方というのは警官さん気付いてもよかったと思うが、そんなネタ勝負でなく、演出の素晴らしさだけで十分満点。 【電灯】さん 10点(2003-06-21 20:35:29) |
13.天才が創る映画とはこういうものだ!と実感させられた近代日本映画史上における、金字塔的作品である.スピーディーな展開、各、俳優陣の顔の表情、しぐさ、特に予期せぬ列車の窓から金の入ったケースを投げ出すシーンなどは鳥肌モノだ!!いちいち挙げていけばキリがないが、犯罪学心理をみごとによみ、なおかつ自分の解釈で表現して見せた黒澤明氏は見事ととしか言いようがない!! この作品後、犯罪をテーマとした作品が数多く創られていくようになるが、この作品はそれらの先駆けの記念碑的作品でもある. 【K.Y】さん 10点(2003-06-15 13:47:29) |
12.黒澤作品では一番好きです。室内から電車のシーンへと移る場面は圧巻でした。動と静と言うか、あんまり映画をそういう見方で見るのは好きじゃないのですが、上手いなあと感じました。それにしても身代金って国が用意してあげる訳にはいかないものですかね。 【リンゴ】さん 10点(2003-05-13 11:28:47) |