3.鉄道員をしている父親と、その一家の日常生活を描いた作品。
古いイタリア映画というのは、昔の日本に相通ずるものがあるようで違和感を感じさせない。
監督兼主演のピエトロ・ジェルミの頑固親父はまさにハマリ役。純粋でかわいい末っ子が、
家族間の橋渡し的な役割になっているのがリアル。個々の人物描写がしっかりと描かれている。
ストーリー自体は粗がない代わりに、ドラマチックな展開も見受けられない。
一家の描写を中心に物語は淡々と進み、徹底的なリアリズムを追求した仕上がり。
ベタな演出はいっさいないので、頑固親父の家族に対する思いが如何に伝わるかが、
この映画を鑑賞するうえでのポイントとなる。こんな不器用な親父、昔はたくさんいたんだけど。
近頃頑固親父が少なくなったとお嘆きの貴兄に。