3.凄いです。苛められっ子が、ひたすら苛められ抜きながら夢も希望もない毎日をただ送る、って話なんだけど、そこに出て来るドーンの痛みが、ちゃんと笑いに昇華している。何故彼女が苛められちゃうのか、観ている人にはちゃんとわかることなんだけど、教えてあげようにも彼女はスクリーンの中。のっけから凄い衣装でどうなることかと思ったけど、後半に行くに従ってどんどんヒートアップして行きパーティのシーンではとてつもないことになってしまっている。あの衣装だけでも相当なセンスですよね、狙って簡単に出来るものではないと思います。実はこの映画で一番大事なことは「2年生は、1年生よりもいい?」というドーンの台詞じゃないかな、と私は思っているのですが、子供の世界って本当に狭いから、学校で嫌われちゃったらもうこの世に居場所はないと思ってしまう。ドーンのように家でものけ者にされていたら、本当に庭のクラブハウスしか居場所がない。でもNYがあるじゃない、っていう映画なんですよね。複雑な家庭に育った問題の多いブランドンはNYを目指す。留年スレスレのハンサム高校生スティーブもNYを目指す。それがドーンの人生に小さな突破口を与えてくれるわけです。今は八方塞がりでも、あと何年か耐えていれば自分も街を出て行けるかもしれない、って大人なら誰でもわかることなんだけど中学生が気づくのは実は大変難しい、世の中はけっこう広いんだよ、ということを再確認させてくれるという意味で、日本の苛められっ子にも是非見てもらいたい作品だと思いました。変わった作品ですし、笑いの質は暗いですが、なかなか面白い映画だと思います。