94.《ネタバレ》 本当に何度見てもすばらしい。 今回見直してみて感じたこと、2点述べたいと思う。 まず「人生の収支」について。 ヴィトはコソ泥仲間に先駆けて、いちはやく人殺しを行った。しかも誰に強制されるでもなく。普通に考えたら、ヴィトは仲間よりもダントツにひどい人間だ。 ところがヴィトのその後といったら、町の住民には尊敬され、商売もうまくいき、仲間にも慕われ、妻にも愛され、多くの子供を授かり、あげくのはてに両親の復讐まで成し遂げる。そして彼に倒された多くの敵と違って穏やかに死ぬことができた。 彼の才能と努力のたまものといってしまえばそれまでのことだが、私はここに(コッポラの考えるところの)「人生の収支」の存在を感じる。 つまり、ヴィトの前半生は、後半の大成功を補ってあまりある悲惨極まりないものだったわけだ。ほとんどこれ以上の悲惨な少年時代はない、といえるほどに。私はヴィトの人生は源頼朝と似ていると思うのだが。(前半生悲惨、後半バカツキ) そして対照的に限りなく重苦しいマイケルの人生とはなんなのか。 私に言わせれば、マイケルに次々に降りかかる災難や、失われてゆくものこそ彼の「人生の収支」の「支」であるのだ。つまり彼は父から多くを与えられすぎているのだから。 2点目はドンの力が文字どおり「GOD」を超えたところで「Ⅱ」が終了していること。 フランクが自殺したこと、これはすごいことなのだ。シシリア生まれのイタリア人=ゴリゴリのカトリックの彼が、神に背いてまでドンの力に屈したのだ。そしてフレドはマリア様を讃える歌を歌っているというのに殺される。そしてエンディング。なんてことだ。マイケルはついに神様より強くなってしまったのだった。 しかしそんな全能のマイケルですら思い通りにすることができないもの。それが「金目当てでない女」である。生きるのがせいいっぱいの時代には、共に苦労したヴィトの妻なら、夫のすることを肯定し愛し続けたわけだが、マイケルの言う「時代が違う」=「女が変わった」。それなら「金で転ぶ」女にすればいいじゃん、といっても、肝心のマイケル本人は「金で転ばない女」が好みなわけで、どうしたってうまくいくわけがないという完璧なパラドックス(コッポラの作った)なのであった。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-06-23 22:45:18) (良:5票) |
93.《ネタバレ》 パート1のあまりの素晴らしさに感激して一気に2も鑑賞。単純な面白さなら1だが、観賞後の味わい深さは本作に軍配が上がる。 若き日のヴィトー・コルレオーネの物語は闇を伴いつつもずっと上り調子なので華やかだが、個人的には鬱々とした展開のドン・マイケル・コルレオーネのその後の方が興味深い。もしもマイケルがコルレオーネ・ファミリーの人間として生まれていなかったら、彼はマフィアのボスになど絶対にならなかったはずだ。そんな彼がファミリーを守るためとはいえ優れた能力を暴力的な方向に開花させていったことは大きな悲劇だった。 この作品は各所で「父権の崩壊を描いた物語」として語られている。父権が崩壊したのはマイケルの器がヴィトーほどではなかったからだ、との論調も多いが、私には崩壊したのはどちらかといえばヴィトー・コルレオーネの父権であるように思える。 マイケルは父を尊敬していたが、暴力を使って他者を思い通りに動かしていることにはおそらく最初から疑問を抱いていた。父が殺されかけ復讐心に火がついたことをきっかけにマフィアの道に入り、父よりも冷酷なドンと化していくものの、最初の疑念が心の中から消えることはない。冷酷さが加速したのも、そうでもしなければ暴力を使うことへの疑問に自分で蓋をすることができなかったからではないか。やりたくないことをやらざるを得ない時、その行為が極端化してしまうのはよくあることだ。 妻・ケイから投げかけられる疑問の言葉にマイケルは心の底では同意しているが、受け入れれば父を否定することになる。父を否定しないためにはこのままマフィアの道を突き進むしかない。その末に、マイケルはついに自分の家庭を崩壊させてしまう。マイケルが真に幸福となるためには、自分の中の「憧れの対象としての父ヴィトー」を崩壊させ、自分なりの道を進む必要があるが、そんなことは容易ではない。周囲もヴィトーを尊敬しているし、自分にも尊敬の気持ちが残っている。でも心の奥底では、マイケルはヴィトーの威光が「虚像」を多分に含んでいることを理解しているのだ。だからこそ、誰よりも苦悩している。 マイケルは正直で理知的で、暴力をそもそも好まない。それゆえに、誰よりも冷酷で、誰よりも苦悩するドンになった。ヴィトーは「自分にとっての正義」のためなら少々の暴力を使うことなどなんとも思わない、いかにもアメリカ人が好みそうな「強い」男だ。私はヴィトーよりも圧倒的にマイケルに共感する。演じたアル・パチーノは、マイケルの苦悩をこれ以上ないほど明確に深く表現していた。どれだけ称賛しても称賛しすぎることのない、素晴らしい演技だったと思う。 【クリロ】さん [インターネット(字幕)] 10点(2019-12-22 16:31:34) (良:1票) |
92.《ネタバレ》 「今までで最も怖かった映画は何か?」 仮にこういう問いがあるならば、私は本作を挙げる。個人的な感想にはなるが、今まで観たどんなホラー映画やサスペンス映画よりも本作は怖かった。 中盤、マイケルがケイから中絶を告げられるシーンのせいだ。あの途轍もない緊張感、まさに役者も観客も凍りついた場面。あれ以上に怖いシーンなど今まで観た事がない。堕胎を告げられた直後のマイケルの目を見よ。憎しみ、悲しみ、怒り、絶望、人のうちにある負の感情が一気に押し寄せ、凝着してしまったあの目。人間はあれだけ怖ろしい目をすることが出来るのだ。あの目の演技をいまだに私は直視できない。こちらが目を逸らしたくなる。 そして怒りのあまりマイケルはケイに暴力を振るう。人と思えぬような唸り声を上げて。 こういう凄まじいシーンを描けるあたり、本作も映画として一層突き抜けたレベルにある名作だ。 マイケルの悲惨な姿と並行して、ヴィトーの華やかな姿が対照的に映されることで、より悲惨さが際立つという、なんとも酷な物語構造も素晴らしい。 前作以上にヴィトーの青年時代が描かれることで歴史大河ドラマ的な重厚さが強調され、また家族間の愛憎も濃く描かれている。 前作に負けず劣らずの傑作、使い古された表現だが本作を表現するのにはうってつけの表現だ。 【nakashi】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2018-08-18 15:41:22) (良:1票) |
91.《ネタバレ》 「ゴッドファーザー」は好きなシリーズだが、特に「PARTⅡ」はもう何度見たか解らない。 人によっては「PARTⅠ」こそ最高という人もいるだろう。 だが、俺は冒頭からヴィトの悲劇で始まり、ヴィトが栄光を掴んでいく“光”とマイケルが様々なものを失っていく“闇”が交錯する「PARTⅡ」が一番好きだ。ヴィトだけでなく、マイケルの過去も映されるんだ。ヴィトの思い出と混ざりながら。 初見の者にとって、ヴィトが今後どうなるかが気になって最後まで画面に釘付けにされたのだから。 シチリア島で葬儀が行われるシーンから物語は始まる。父、兄、母親まで地元のギャングに殴りこんで失ってしまうヴィトの悲劇。この瞬間からマイケルの復讐が始まり、同時に彼を救ってくれた島の人々の優しさがヴィトに生きる力と人を助ける愛情を育む。村の名前がヴィトを守る“偽名”となって。だから彼はシチリアに戻って来たのだと思う。困っている仲間や家族を守るために覚悟を決め、彼らの代わりに引き金を引いて。 彼らが奥さんの手作りパスタを美味そうに食べるシーンは和む。どうしてこの映画はあんなにも飯を美味そうに食うのだろうか。クレメンザとソニーは若い頃(物心つく前)からつるむ仲。 前半2時間のクライマックスを飾るのは、そんなヴィト自らが暗殺に向う場面だ。 ヴィトがどん底から這い上がり仲間や家族を得る一方、現代のマイケルは後半1時間30分をかけて最盛期からまた次々に最愛の仲間や家族を失っていく。フレドとコニーの何気ない会話が、別れの挨拶になるなんてさ。 華やかなパーティーですら暗い影が差し、寝室に銃弾の雨が振り込み安心して眠る事も出来ない。 議員も机の上の大砲をマフィアのボスに向けてケンカ腰。 痩せていたアル・ネリは亡きクレメンザの代わりを果たすかのように膨れ上がる。 数多の血みどろの殺し合いの後に、以前のマイケルたちが揃って食事をする場面なんかもう何回見ても泣きそうになっちゃうよ。ソニーは元気だし、コニーにブツブツ言ったりフレドとじゃれあう姿なんて・・・それが独りで煙草を吹かし、現在のマイケルの瞳に光が失われて幕を閉じる。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-06-26 19:38:01) (良:1票) |
90.「パート2はコケる」というのが世間の定説ですが、この作品では徹底的なディテールと二代目と比較する形で初代の人生(前日譚)を綴っている点から、コケるどころかより良くなっている部分すらありました。 本作は二代目(アル・パチーノ=現在)と初代(ロバート・デ・ニーロ=過去)の「人生の比較」という非常に難しいことをやっていますが、本作ではパート1に負けないほどの重厚なエピソードとストーリー展開を見せます。細かく丁寧に描写された人間ドラマは、マフィアに興味がない一般人でも感情移入がしやすく、ただのやくざ映画に成り下がっていません。 やはり見所は二代目の強引な成り上がりぶりと比較される、若き日の初代の素敵なカリスマ性です。初代=(父)はやくざであっても魅力的で誠実、興味深い人間性がありましたが、二代目にはそれが一切ありません。時代の流れもありますが、組織を守るために極悪非道な二代目の振る舞いが兄弟、姉妹、嫁すらもファミリーから遠ざける結果になってしまいます。もちろん全てが二代目のせいではありませんが、ファミリーが内側から崩壊してゆく様が空しく、そして物悲しくも壮大に描かれています。 今作でも家族愛はしっかり描かれていて、普遍的で深いテーマ性は揺るいではいません。しかしながらパート1と異なりかなり強引で歪んだ家族愛が描かれていますので見ていて痛々しいです。(まあ、これも含めて家族なのかなぁと・・) このシリーズはある程度精神年齢が高くなってから鑑賞すると、より深い感銘を受けると思います。折をみて繰り返し鑑賞したい映画ですが、時間に追われて鑑賞すると本質が理解できずに見終わることになりますので、慌てずゆっくり鑑賞してみてください。文句なしの大作映画に仕上がっています。 【アラジン2014】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2014-05-03 13:30:19) (良:1票) |
89.一作目に続き二作目も文句無しの満点です。一作目同様、物凄い重厚で一作目に負けないほどの素晴らしい完成度です。この映画の素晴らしい所は前作同様、単なるマフィア映画として描いておらず、きちんとした家族を描いている所で、暴力の裏側にある悲しさ、マフィアの世界で生きる者の冷酷の裏にある男の哀しさを哀愁たっぷりに描き、男の優しさ、哀しみを重圧感のある映像とダイナミックな音楽、そして、何と言っても出演者全員の演技の素晴らしさ、これに尽きると思います。これだけの充実した時間を味わうことの出来る映画、それも前作に負けないぐらいの重厚感ある続編映画は他にはありません。よって前作同様、文句無しの満点! 【青観】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-05-28 06:53:25) (良:1票) |
【映画界の貴公子】さん 10点(2004-06-13 23:07:06) (良:1票) |
87.オーバーラップでマイケルのシーンからビトーのシーンへと移る時、まるでビトーが時を越えて息子マイケルを心配そうに見つめているようにみえる。父のように強くあろうともがくマイケルも、まだまだ父には及ばない。それを暗示しているのでしょう。また、マイケルの時代とビトーの時代が頻繁に入れ替わりますが、そのタイミングが実に上手いのです。 【デューク】さん 10点(2004-06-02 17:55:25) (良:1票) |
86.Ⅰ~Ⅲをぶっ続け鑑賞。Ⅱは”冷酷・強さ”でしょうか。ビトーがドンに成るまでとドンとしてのマイケルを対比させながら、父を愛し父を目指しながらも、時代、方法論の違いから”ファミリー”の進むべき道に狂いが生じる。ラストはⅠと同様のシーンでありながら”家族”が幸せだった時がドン・マイケルの”孤独”を強烈に描く。 【亜流派 十五郎】さん 10点(2004-05-05 21:37:31) (良:1票) |
85.このデニーロは、他のデニーロと違う。このアルパチーノは、他のアルパチーノとは違う。凄いなあの一言。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 10点(2004-04-15 18:33:31) (笑:1票) |
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84.《ネタバレ》 完璧という言葉がふさわしい。完成度についていえば本作は1より上でしょう。苦悩をしながらファミリーを守るため非情な手段をマイケル。それに従うもの反発するものそれぞれの立場・行動が見事なまでに描かれている。それと対比して若きビトが成功を収めるまでの対比するという手法も作品に独特の雰囲気を作り出すことに成功している。この作品が廃れない限りデニーロとパチーノは永遠に比較され続けるだろうな。この世代の役者にはまだまだ活躍してもらいたい 【hrkzhr】さん 10点(2004-01-13 23:26:29) (良:1票) |
83.このシリーズの最高傑作と思っています。人間関係とかさらに複雑化して初めて見た時はとても理解出来なかったのが歯痒かったのですが何度か見る内にやっと分かってきてこの物語に引き込まれてしまいました。特に好きなシーンはトムとフランクの夕暮れの会話です。ローマ帝国の話をしながらフランクに死を促すシーンは物語の終盤でかなりグッときてしまいます。フレドー殺害の湖畔のあの空模様もすごかった・・ラストも切な過ぎるけど名シーン・・。若いビトー役のデ・ニーロのオスカーも当然ですがアル・パチーノがあの演技でオスカーを取れなかったのは今でもおかしいと思ってます。余談・DVDの吹替えが野沢那智さんではなかったのが残念ですが山路和弘さんのマイケルも良かったです。 【まりん】さん 10点(2003-06-19 01:00:21) (良:1票) |
82.ストーリー、構成、演技、撮影、音楽、、、全てが完璧ですね。観れば観るほど新たな発見があります。青年時代のヴィトーを演じたロバート・デニーロの喋り方や仕草がまさにマーロン・ブランド演じたヴィトーそのもの。デニーロのアカデミー賞受賞は納得です。また青年時代を演じたクレメンザも良かったですね。青年時代のクレメンザがパスタを美味しそうに食べるシーンと、Part 1でクレメンザがマイケルに美味しいパスタの作り方を教えるシーンがみごとに重なりあいました。伏線やディテールまでみごとな作品です。これからも何度も観ると思います。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2021-04-27 16:30:21) |
81.脚本・演出すばらしかったです。 セリフや、表情のみで読み解かないといけない箇所があり、油断していると置いてかれます。 【へまち】さん [DVD(字幕)] 10点(2018-01-27 11:21:44) |
80.1ありきの2。数値を全振りしている。私にとって極上のエンタメです。 【なさんな】さん [DVD(字幕)] 10点(2016-03-19 01:19:58) |
79.《ネタバレ》 今さらですが最高の続編です。父の若い頃と現在マイケルの描写を同時進行する事で1の補足、マイケルが経験を積んでファミリーを守っていく思いが伝わってきます。 【zeke】さん [地上波(吹替)] 10点(2014-08-10 03:41:53) |
78.《ネタバレ》 文句無しに10点。2作目のつくり方としてまったく無駄がない。less is more |
77.《ネタバレ》 最高です。色、音楽、ストーリー、映像。デ・ニーロがしぶい。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-02-06 22:15:18) |
76.より重厚により哀愁を帯びて。男として、父親として、社会人として、惹き込まれ考えさせられ、感情移入せずにはいられない。すべての世界に当て嵌まると言えるメッセージ性。 加えて映画全体の質感が、現在のトレンドや高級感・上質感に結びついている。 【460】さん [DVD(吹替)] 10点(2011-04-30 16:50:11) |
75.Ⅰに比べて心理描写に重点を置き哀愁を感じさせます。アル・パチーノとロバート・デニーロどちらも圧倒的な演技力。 【akila】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-12-16 03:04:08) |