1.まず巻頭に登場するトラックの車両ナンバー「42219」の乾いたユーモアがいい。
愚連隊シリーズ前2作と比べてドラマ中の対立構造は複雑さと多様さを増しているが、
例えば、張り手のアクションとリアクションのショットで全く別のシーンに繋いでいく、といった岡本監督独特の場面転換が鮮やかで、(濫用気味の感もあるが)テンポは快調だ。
御殿場ロケだろう、急峻な山越えあり、渡河あり、結婚式の火祭りに紛れての追跡劇は『隠し砦の三悪人』の影響も垣間見せる。(藤田進のセルフパロディもご愛嬌。)
特務隊内で対立する中谷一郎と田中邦衛も個性的だが、砂塚秀夫の繰り出すパントマイムギャグによる脱出劇は特に傑作だ。
捕虜役:江原達怡や村娘役:田村奈巳など、登場時間はわずかながら、再登場でその存在感を印象づけると共に、その再登場の意味が佐藤允のキャラクターの魅力を間接的に引き立てる点等も実に首尾が良い。
また、人気のない(砦のような)村を五人横並びとなって歩く構図や、円看板を拳銃で撃って賭けをする着想、佐藤允と中丸忠雄の最終対決の距離感覚など、西部劇へのこだわりの強さも徹底的だ。
ウェスタン活劇志向と戦争映画の思想性との拮抗と分裂も、シリーズ三作の中でもより際立っているといえる。
(婚礼の輿を日本軍が空爆することで、特務隊が窮地を脱するというやりきれない皮肉)