13.《ネタバレ》 森田芳光監督が脚本を担当した離婚がテーマのホームドラマ。コミカルな雰囲気のタイトルとは裏腹にネタとしてはシリアス。でも、見ていてそこまで深刻な感じはなく、どこかコミカルでからっとした印象が残るのはやはり森田監督の脚本によるものなのだろう。しかし、森田監督と根岸吉太郎監督の作風の違いか同じく家族を描いた森田監督の「家族ゲーム」と比べてしまうと、あくまで正統派な感じで毒気がなく、そこが物足りなく感じてしまい、本作への森田監督の脚本での参加は根岸監督からの依頼だったそうなんだけど、もしも森田監督が自ら監督も手掛けていたらまったく違う映画になっていたかもと思わずにはいられない。でも、根岸監督の演出は丁寧で、傑作・名作とまではいかないもののドラマとしてはそこそこよく出来ていて、森田監督の脚本に多くを求めなければ普通に見られる映画ではある。十朱幸代演じる妻が悩んで疲れていくくだりはなかなかにリアルだし、彼女が小学生の息子たちに向かって「私はあなたたちの悩みを聞いて解決することができるのは自分も経験したことだから。あなたたちが私の悩みを聞いても解決できないのはまだ経験がないから。だから一人で悩んで一人で解決するしかないの。」という言葉を放つのは一見八つ当たりのようにも聞こえるが、思わず同情してしまう部分もあり、印象に残る。それにすべてを描くのではなく、離婚後に愛人と別れたことを夫が「元」家族に告げるところでパッと終わらせるのはそのあとのことを見る側がいろいろ想像できる余地を残しているのがいい。(今どきの映画であればたぶんこうはいかないだろう。)しかし、藤真利子演じる愛人の人物設定はよく分からず、相手の妻に嫌がらせもしておきながら、いざ離婚したとなると途端に別れてしまう神経は意味不明だった。ここをもうちょっと何とかしてほしかったな。夫役の田中邦衛は「北の国から」の五郎とはキャラ的にまったく違う役柄なのだが、「北の国から」とは逆に自らの不倫が原因で離婚をする役柄というのが面白い。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-12-16 23:55:05) (良:1票) |
12.「家族ゲーム」の森田芳光監督脚本による家族のドラマ、出てくる人物がそれぞれに悩みを抱えながら生きている。色んな意味で「家族ゲーム」と共通する世界であるが故に狂気、才気というものが弱い。あの「家族ゲーム」で見せた森田芳光的な才気、遊び心をとことん見せて欲しい。家族のあり方、親と子の関係、接し方、家族以外の他の人達との接し方など人が人らしく生きて行く為にはどうするべきか?というものを真面目に描いている点は大いに評価出来るし、役者の演技も悪くはないし、いや、それぞれが個性的であり面白い。それ故に何度も言うように刺激が足りない。毒が無い。もっともっと毒のある作品として描いて欲しかった。「家族ゲーム」の森田芳光監督、脚本家としても才能のあるこの人物ならばそれだけの凄い作品を書けるはずだと言いたい。根岸吉太郎監督に演出を任せたからか?よく解らないけど真面目過ぎる。森田芳光監督、自分で演出もすればどういう作品になっていただろう?という興味が沸く。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-06-01 18:36:27) (良:1票) |
《改行表示》11.ホームドラマかと思いきや途中からずいぶんシリアスになる。単身赴任で遠く離れて暮らすというのは大変なものだとわかる。でも子どもは大変お利口さんだ。母親の朝食を用意したのには、思わず涙。 どこにもありそうなことを、奇策を講じることなく日常に密接した形で表現する、それでいていろいろ考えさせられる良い映画だったと思う。結末はよりが戻ったと思いたい。 【ESPERANZA】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-03-28 21:32:55) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 夫婦と二人の息子の四人家族のお話。研究職で単身赴任している父親は、温和で誠実で優しい人柄だけど、彼が同僚の女性と不倫していると告白したことからこの家族の迷走が始まる。と言っても、荒唐無稽のドタバタではなく、登場人物たちの心情を丁寧に描写する姿勢に好感を持つ。結局、夫婦は離婚するのだけど、その直後に父親が不倫相手と別れて映画は終わる。これと言って新しい家族像を提示している訳ではないが、タイトルの探検隊という単語にメッセージが込められている。家族には幾つもの関係や役割が存在する。父・母・夫・妻・息子・兄・弟…。当たり前のことだが、その関係性の総体が家族である。世の中の家族にはひとつとして同じものは無いし、家族の在り方も時の流れと共に変化しする。そういう意味で、家族で暮らしていること自体が、未開の密林や未踏峰を手探りで進むような作業に似ている、と言いたいのだと思う。確かに家族って身近すぎで意識しないけど、やり直しが効かない一過性の側面を持っている。探検隊とは良く言ったものだ。ウホッホの意味は本編を見てください。家族を探検隊とすると、自分の家族も新鮮に映る。自分の周りには、探検というより、冒険活劇までやってる人もいる。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-10-25 02:32:38) (良:1票) |
《改行表示》9.思えば80年代、つまり私が中高生の頃、邦画なるものにはまるで興味がなく、憧れはアメリカ映画の方にばかり偏っておりました。邦画のことはいっそ、憎んでいた、と言ってもいいくらい。映画雑誌で紹介される邦画の新作と言うと、コミック原作のアイドル主演映画か、地味で低予算で小難しそうな作品ばかり(という風に当時の私は捉えていたんです。すみません)。いわば、邦画の暗黒時代、と思ってた訳です。 で、ある日新聞を見てると、邦画作品が立て続けに途中打ち切りになった、という記事が。その一本が確か、この『ウホッホ探検隊』。タイトルが何だか子供向けの冒険映画みたいで、敬遠されたんだとか何だとか、良作に客が入らず打ち切りに追いやられていく現状を嘆いた記事だったように思いますが、そりゃこんなタイトルで地味そうな内容、客が入ると思う方がおかしいでしょ、というのが当時記事を読んだ時の私の感想。 そんなことを思ったせいで、この映画がずーっと気になってたのも事実だったりして、最近ようやく見たんですけどね(40年近く、引きずってた訳ですな)。うん、これでは、客は入らんよね、やっぱり。 田中邦衛と十朱幸代が夫婦、というのがまず、そりゃないよなあ、と。ってのは大きなお世話ですが、かえってそこに80年代邦画の閉塞感を感じてしまうのが、皮肉。いやまじで、「十朱幸代が演じる奥さん」ってのは、キツいものがあるんだこれが。で、なぜか田中邦衛がモテる役。そんなバカな、と思うけど、なにせタイトルが「ウホッホ探検隊」、ウホッホと聞いて連想できる人はこの邦衛さんしかいないんだから、まあしょうがない。 夫婦には二人の息子。この息子二人のセリフの臭さ、何とかならんもんですかね。これが「森田芳光」印だ、と言われれば、しょうがないけど。 バブルに向かって日本がそれなりに裕福になりつつあって、サラリーマン家庭の息子でもこうやって巨大なラジコン飛行機持ってたりして、でも親父は単身赴任とかで、いろいろと無理してる感じもある。家族の繋がりも何となく希薄になりつつ、それがいいと言う訳でも悪いという訳でもなく。 気だるい雰囲気が、80年代らしさと言えば、らしさ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-03-30 05:43:41) |
《改行表示》8.《ネタバレ》 これ、何気に良作。 高度成長が成熟しきって、経済的に一般家庭も豊かになってきた時代、そんな日本を色濃く感じる作品。 令和のこの時代よりも、とても豊かに感じられる。 田中邦衛がモテる男で、しかもウホッホと咳をする(ウホッホなんて咳をする男はモテないだろうし、そもそもウホッホなんて咳、聞いたことないよ!)。 これがやたらにコミカルで楽しい。 離婚にいたる過程を描いてはいるが、どこか平和な空気が漂っている。 未来はどうにかなるだろうという明るい見通しと楽観的な感じが、この時代に見ると逆に新鮮だったりする。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-10-03 18:31:03) |
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7.随分と淡々とした探検でありました。真剣だったのはママだけ。あとは飄々としたキャラクターで特にパパの愛人なんかはコッチが「は?」とノリツッコミしたくなる態度。森田さんの脚本だからか時代なのか不明だが、観終わったいま、過ぎた時間の意味を考え始めてしまっている私がいます。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2014-02-14 19:08:26) |
6.《ネタバレ》 原作通りなのか森田芳光の色の濃いシナリオなのかはよく判りませんが、登場人物の造形がいかにも80年代の世相を反映したように薄っぺらいのが致命的。柴田恭平や陣内孝則の役柄はこのストーリーになんの意味があったのでしょうか。まして時任三郎のカメラマンにいたっては、こういうキャラを登場させる意味がない。そして田中邦衛が十朱幸代を妻としながら藤真利子を愛人にするような仕事の出来る男に見えますかね? だいいちこの男は何を考えているのか、さっぱり理解できない。妻に自分から愛人がいると告白するにいたる心情が不明だし、藤真利子にしたって十朱幸代に写真まで送って嫌がらせしてるくせにいざ離婚したとなると逃げてしまうなんて、現実にはよくある話かもしれないけどあまりに類型的すぎて鼻白んでしまいます。同じ離婚をテーマとしても、相米慎二の傑作『お引越し』とは雲泥の差があります。 まあ森田芳光の脚本は、彼独特の巧妙な「間」を表現できる演出じゃないと粗ばかり目立っちゃうので、根岸吉太郎が監督では無理だったかもしれません。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-08-03 21:47:41) |
《改行表示》5.《ネタバレ》 田中邦衛さん、五郎さんを演じている間に、こんな役もやっていたんだなぁ・・・と始めは思いましたが、「女、いるんだ」の一言で、な~んとなく、この家族が崩壊していく。でも崩壊と言えるだろうか?妻の方からみても、子供の方からみても、この家族、不幸になっていくというカラーは全く感じられないし、ラスト、夫から「別れた…いや、何でもない」というセリフに少しばかり笑いも含まれているようにも思えました。 因みにタイトルですが、なんとなく業とらしいです。 【クロエ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-28 19:49:41) |
4.なんとなく、じっくり見てしまった。根岸吉太郎と森田芳光という組み合わせの妙でしょうかね。落ち着いた時に見れてよかった。こちらの心持ち一つで映画はなんとでもなるから。 【kagrik】さん [地上波(邦画)] 8点(2011-07-05 21:24:55) |
3.《ネタバレ》 エリートサラリーマンの田中邦衛氏が衝撃的。映画ですし非現実的なとこも当然あるわけですが(笑)、どこかがすごくリアルに感じ…妻に感情移入してしまいました。しっかりもので色々がんばってしまうけど、自分が弱音を吐ける人はいなくて…結局自分で答えを出すしかない。終始あきらめたような疲れたようなかんじが、やけにリアルに見えたのは自分が疲れていたせいか。まあでもあのダンナはいりません。題名からは予想外に思いがけない掘り出し物でした。音楽もよかったです。 【旅する仔猫】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-06-08 20:36:04) |
2.《ネタバレ》 筋自体はどうということもないのだが、他の類作から大きく際立っているのは、2人の子供が、反発して問題を起こすわけでも逆に変に優等生ぶるわけでもなく、ごく自然に素直に事態に対応していること。これって意外に制作側がきちんと意識していないとできないことなんじゃないかと思う。ラストの後でどうなったのかをいろいろ想像するのも楽しい。材料はいろいろありますね。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-05-09 01:08:04) |
1.乗り物がいっぱい。船、父と家族を結ぶ(隔てる?)大きなのから、夫婦あるいは恋人同士を乗せる小さなのまで。さらに家の中にも波の揺れる置き物つきの模型。飛行機もラジコンのおもちゃに本物がかぶさる。車が走る回りをカメラがまとい付き、ときに後ろから乗り越えて前にさかさまに回り込んだりする。だからどうだっていうものじゃないけど、作品の「家庭」というテーマを小さく固めないように揺さぶってたって感じ。この家の上には不吉な月が始終かかってて、いや、不吉っていうより何か薄い印象か。青空も同じで、手応えの薄い感じ。ただそういう「感じ」ばかりが先行し、作品の手応えも「薄く」なってた。ま、それが現代なんだって言えばそれまでなんだけど。ちょっと凝りすぎてて、でもあんまり効果のないいろいろのシーン、顔洗うとこを水中から撮ったり、冷蔵庫の中にカメラを収めておいたり、そういういろいろ、やらないよりはやったほうがいいのかも知れないけど、どうも単に意表を衝くってこと以上の、映画の興奮には至ってなかったように思う。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-08-11 09:54:11) |