4.司葉子の「三種の神器」ってご存知ですか??
え??ご存知ない?!
仕方ない、お教えします。
それは、スーツ、スカート、そして腕時計です!
なんと本作では、その三種の神器が見事登場!
しかも、司葉子はクールでシャープな役柄を演じており、とにかくカッコいい!
そして、司葉子の撮り方が、またイヤらしくて良い。
酔いつぶれてソファーで居眠りする司葉子。
そう、もちろんスーツでスカート姿のままで!
それを鈴木英夫監督がどう撮ったかと言えば、アッパレ、こちらが期待した通りの、ツボを見事に捉えた撮り方!
司葉子の脚を下からなめ回すようにして、上へと移動していく。
これには参った!
鈴木英夫という監督は、当時の司葉子の魅力を完全に理解していたのだ。
スーツ、スカート、そして腕時計。
これらを身に纏わせ、クールなキャラで、酔いつぶれの司葉子。
それを観られただけで、もぅ満足なんですね、私。
また、もう一つ見所なのが、昭和30年代の銀座の風景。
そして、当時の広告代理店の社内風景が興味深く映し出されている。
木のデスクに、仕事中プカプカと机でタバコをくゆらす仕事風景。
こんなの、平成の世の中じゃ考えられない!
このタバコシーンだけで言えば、まるで別の国の労働風景を観ているかのようだ。
そして、あの頃の自由だった世の中を思い出す。
そういえば、昔は仕事中に平気でタバコをふかしていたっけ。
あぁー、あの頃は自由で良かったな、と古き良き昭和を懐かしみ、楽しむことができる。
そういう点でも本作は優れている。
ただし、ストーリー運びはいたって単調。
そこが本作の欠点でもあり、また、クールさを追究したという意味においては長所でもある。
いずれにしても、また観直してみたい作品であるし、再評価されるべき作品である。
そして何より、この鈴木英夫監督の、司葉子の魅力を引き出し切ったセンスに脱帽である。
ちなみに、本作は東京は御茶ノ水のアテネ・フランセ文化センターにて鑑賞した。
貴重な作品を上映してくれたことに感謝したい。