6.《ネタバレ》 なんというか、終わった後に、ジーンと来ました。途中は、比較的淡々と展開するのですが、所々に緊迫するシーンが織り込まれています。中でも、エレベータ内でヴィースラーが男の子と会話するシーンは、かなりドキドキしてしまったのですが、「ボールの名前だよ」のセリフでホッとし、また、彼の心の変化がグッと胸に迫って来て、その後の彼の行動に、胸が苦しくなる思いでした。取調室で、クリスタと向き合う瞬間の緊張感も、手に汗握るものがありました。ヴィースラーの変化についての明確なきっかけになる描写はないけれど、彼が、盗聴を通して、迷い、変わっていったのは、演技から十分に伝わってきました。クリスタが案外あっさり秘密を暴露してしまうのには興醒めでもありましたが、反面「これはもしや・・・?」と思ったら、やはり衝撃的なシーンがその後に待っていました。閑職に追いやられたヴィースラーは、実はとても心穏やかだったのではないだろうか。満たされていたかどうかは分からないが、盗聴していた頃よりも、きっと心の平穏は感じて生きていたと思います。淡々と日々を生き、壁の崩壊を迎え、ある日、書店で自分へのメッセージが書かれた本に出会う。地味だけれど、感動的なラストシーンに、見ている方も救われます。邦題に違和感を感じたのですが、原題を見て、納得。邦題のつけかたって、難しいのですね。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-05-14 15:36:32) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 誰に知られることもなく何の見返りも求めない善き行い、それはそれで素晴らしいことなんだがその行為の結果として人知れず不幸な境遇に陥ったとしたら、、救われん。がこの映画ではきっちり報われてます、ささやかなものだけど。何処かで似たようなものを見たことがあると思ったが「素晴らしき哉、人生」とダブるものがあると感じました。たまにこんな良い映画があるから映画鑑賞はやめられない。 【ぷうボス】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-05-10 20:32:32) |
4.《ネタバレ》 彼の心変わりが分からない? そんなコメントを散見しますが、それならば、の私なりの一言。盗聴の後、街灯の明かりも暗い、静かな街をこつこつと歩くシーンがあります。こつこつと、です。皆さんも夜歩かれたら感じると思います。そんな時頭の中のいろいろな思いが奥へ奥へと沈んでいくのを。まさに、その象徴。自分の足音を聞きながら、彼は考えが深まっていきます。最初は女優が好きだったのでしょう、次に芸術家が自分の理想に近い社会主義者であるのも知ります。それだけではありません、芸術家の人生を見て自分の心の中にも芸術の心があるのが分かってきます。(映画の中の芸術家分析のタイプ4とは彼のことでもあるのでしょう、また、ソナタはそのことの象徴でもあります)。自分の孤独と愛し合う二人の幸福も比べます。最後に、体制側の腐敗も(見て見ぬ振りをしてきたのでしょうが)我慢ができなくなってきます。夜の道をこつこつと一歩ずつ進む姿は、その音一つ一つにあわせ、彼の頭の中でそんな思いがこつこつと重なるのです。それは、限界点に来ます。ある時、そう歩いて、エレベーターに乗り、子供と居合わせます。「ボールの名前は?」この瞬間こそ、彼が全てを覚悟した瞬間だと分かるのです。迷いが消えます……人間の(優しい)思惑のため(たとえば、彼女を巻き込みたくない、たとえば、今回は見逃してやろう)少しずつ少しずつズレができて、ドラマが進み。クライマックスへと向かいます。「私のための本です」の二重の意味で、ラスト、画面は止まります。彼の人生に、見ている私達もプレゼントを(本のプレゼントもモチーフです)してあげた気持ちになりました。涙が止まりませんでした。 【K-Young】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-03-11 23:30:34) (良:2票) |
3.傑作。体制側の人間を中心としたドラマという発想の斬新さ、盗聴によって変わっていく人間の表現のうまさ、自由や愛の素晴らしさ、細かい演出、ラストといいすごい。邦題は明らかに訳者の解釈が入りすぎていて不味いと思いますが、「他人の人生」というのも芸が無いので仕方がないのかな。ソナタを聴いたことで変わったという解釈には同意しかねます。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-03-10 01:26:20) |
2.《ネタバレ》 ファンというキーワードと頷きで大丈夫なことを伝えても通じず、先に行って細工しても、命を奪う結果になってしまう。この時点でもう元の職に戻ることは無かったでしょう。主人公の変化は、音楽を聴いてではなく音楽に込められた意味を聞いての変化だったのではないでしょうか。報告書締めの指紋はタイプライターの赤インクだったのかな?悪い人になりきれなかった主人公を曲のタイトルで表現し、自分が物書きであり続けられた感謝を伝えるというのが何よりも素晴らしかった。体制下の罪であったとしても、罪を憎んで人を憎まず。何回でも見たくなる名作。 【ハラミ定食】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-03 20:47:30) |
1.《ネタバレ》 ヴィースラーの、感情を押し殺した演技がすばらしかった。ストーリーも無理なく無駄なく、最後はウルッときました。味気のない彼の人生が、苦悩の中でも色を失わない人たちと交わり、それを生かすことによって、一瞬でも感情を取り戻そうとしたのでしょう。社会主義は末期的だって、彼も知っていたんです.きっと。なんでドライマンはヴィースラーに声をかけなかったのか、疑問に思ったものの、最後の一言で救われました。壁の崩壊から何も書いていなかったドライマンは、ヴィースラーを見てまた息を吹き返したのねえ。。。無味乾燥と思われた彼の人生もそのとき初めて人の息吹を感じたのでは。うるうる。一つ?なのは、題名にもなってるあの”ソナタ”。。。決め台詞言わせるためだけの小道具かい?むしろタイプライターのほうが活躍してたじゃん。。。ヴィースラー役の方はあの映画の直後になくなられたということで、ほんとに残念です。 【のりもちあつあつ】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-01-27 19:51:54) |