32.《ネタバレ》 麻薬取引の大金をまんまとせしめた、通りがかりのオッチャン。彼の逃避行、そして彼を追う血も涙もない殺人鬼との対決、これらが本作のテーマ、であるかのように、一見、なっておりますが・・・。確かに前半は、映画らしい撮影技術を駆使しつつ、上記の路線で映画を盛り上げていき、中盤の対決シーンなどは、大いに盛り上がります。しかし、後半に至ると、一気に、映画の“解体”が起こります。明らかに故意の失速。うーむ。前半を我々が十分楽しんだことを見透かした上での、これまた随分イヤミな映画じゃあ、ないですか。主人公のオッチャンは、ベトナム帰りという設定。死体の山を見ても冷静、武器を拾っては着々と武装する。テントのポールとハンガーで即席のマジックハンドを作るあたりなど、まさに映画的な「ベトナム帰りのヒーロー」。当然、銃弾を浴びて流血しても決して大騒ぎなどせず、ひたすら逃避行のサバイバルを演じてみせます。彼をとりまく世界もひたすら映画的で、彼を追う殺人鬼の超人ぶり、事態を追跡する初老の保安官(←西部劇的)、そしてギャングの抗争と、死体の山。そういえば、点々と横たわる死体の中に犬の射殺体が混じっているのを見て「犬まで撃つとはヒドイ」というセリフが入るシーンがあったけど、別のシーンでは、我らが主人公も、自分を追いかける犬に容赦なく銃弾を浴びせていたんだっけか。主人公の、この冷徹さと、殺人鬼の冷血さとぶつかり合う、というのがいかにも映画っぽいオモシロさなんですが、だがしかし。映画がラストに向かうに連れ、この路線から軌道がズレ始めます。いかにも映画的な登場人物であった、ヒーロー、保安官、そして殺人鬼までもが、ひとりまたひとりと、映画から退場していく、これが本作の後半過程。確かに殺人鬼氏は、斃されることなく社会の中に紛れこむことで、いずれ復活するのかも知れない、何しろ銃弾を自分でホジリ出すくらいだから、複雑骨折だって自分で治しちゃうかも知れない、という含みもあるのかも知れません。だけど、お得意の殺人ではなく、金を払うことで生き延びようとした時点で(コレは主人公が映画の中盤で一度やって見せたコトの二番煎じでもあります)、ああ、この殺人鬼も、もう終わったな、と。という訳でこの映画、楽しんで観た分、後半の壊れぶりが、何だかイヤミだったなあ、と、後味の悪い部分もありました。 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-01-10 05:55:22) |
31.今まで、これほどクールで恐ろしいくらいの極悪人の殺し屋は余り見たことないです。しかし巧いです、ウディ・ハレルソンも何のその!「海を飛ぶ夢」の頑固な老人も変わった役でしたが、この人非人は素晴らしい!これは正しくハビエル・バルデムの映画です。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-21 23:06:43) |
30.《ネタバレ》 この映画がほかのスリラー映画と一線を画しているのは、この事件を追う保安官が最後まで事件の表舞台に出ることも、「犯人」と対決することもなく、あっさりと「引退」してしまうところでしょう。彼は、現実を嘆きながらもそれでも事件を阻止しようと一度は立ち上がる。しかし、それも結局裏目にでてしまい、現実の非情さを際だたせるだけの役目を演じる羽目になってしまいます。感情を持たない殺人鬼からの逃亡劇とこの老保安官の物語を平行させたことで、金と麻薬の現実とそれを「止められない」とただ嘆く人々が作り出す「現代」という時代の深淵をコーエン兄弟はうまく描いたと思います。ぼくはコーエン兄弟作品とはあまり相性はよくないのですが、この映画は、徹底して救いのない話にもかかわらず、なぜか素直に見れました。オスカー受賞も納得。 【ころりさん】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-03-16 15:33:49) |
29.最後は確かにわかりづらいですが、それを差し引いても十分楽しめる作品。なんといってもハビエル・バルデム。こんなに緊張感を感じたのは久しぶり。 【茶畑】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-28 21:49:33) |
28.お話は実にコーエン兄弟らしいお話であり、実際『ノーカントリー』は『ファーゴ』のTEX-MEX版と言いきってもおかしくない。にもかかわらずコーエン兄弟らしからぬ空気が充満している。ハビエル・バルデム演じる殺し屋を同業のウッディ・ハレルソンが「ユーモアを持たない男」と評する(髪型はユーモアなのだが)が、もちろん『赤ちゃん泥棒』や『バートン・フィンク』に登場する殺人鬼のようなユーモアは皆無であり、それどころかこの作品自体にこれまでのコーエン兄弟の作品に見られたブラックユーモアが無いことに気付かされる。何かをすればするほどにドツボにはまる展開に、そしてごく普通の人が非日常の世界に足を踏み入れてしまう展開にユーモアを見出すことのできたコーエン流はそこにはなく、ジョシュ・ブローリンはひたすらそのドツボと、その非日常と正面から対峙する。追う者と追われる者のあいだにはユーモアの付け入る隙間はなく、真剣そのものの命の削り合いが展開される。ブローリンは野生の勘と軍隊経験を駆使し逃亡し応戦するうちに過去に経験した戦場という非日常を自らの日常へとシフトしてゆく。殺し屋は非日常という殺し屋にとっての日常を最後まで貫くしかなく、それは殺し屋にとっての非日常である交通事故にあっても変わらずに殺し屋にとっての日常を生きるのだ。そう、ここでは『ファーゴ』にあった非日常と日常の衝突は無い。日常で用いられる道徳やルールの効かない非日常が日常以上に日常面している怖い映画なのだ。コーエン兄弟の新たなる門出を支持する。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-12-15 15:48:27) |
27.《ネタバレ》 こんなにハラハラした作品は久しぶり。 ハビエル演じる殺人鬼がとにかく不気味で怖かった。 特に、売店のおじさんとのやり取りは、緊迫しながら見入ってしまった。殺人鬼の言動や行動全てが見えない。 「金を取り戻す」という目的はあるのだが、そんな目的なんかどうでもいいような、そんな先の見えないような表情が印象的でした。 ラストはあまりにも唐突に訪れたので、同じシーンをもう一度見直したんですが、それでも理解出来ませんでした。それだけが消化不良ですね。 【抹茶御膳】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-13 20:25:34) |
26.アメリカ映画って執念深い人を描くといい。追う者と追われる者、もう途中から金より意地の世界になって、自分で道具を工夫したり、自分で怪我を治療したりして、執念が徹底的に燃え上がる。そしてモーテルとホテルの場の緊張が素晴らしい。これであと話が理解できたら文句なかったんだけど、これが分からない。終わりのほうのテープ張られた現場が何なのかが、恥ずかしながら、分からなかった。あそこの前に、映画では描かれなかった事件がひとつあったってこと? 外された空調の枠を見て保安官が何を理解したのかが、こちらが理解できなかった。アメリカ映画は説明しすぎるって常々不満を表明していると、今度はこうなる。もしかして簡単に理解できる映画だったりするんじゃないか、という不安は残り続け、脳の老化のスピードに思いを馳せる今日このごろ。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-13 12:11:30) |
25.《ネタバレ》 なにしろ緊迫感のある映画でした。雑貨屋の親父のシーンは緊張しました。ただ最後がな-。マイナス2です。心に引っかかるいい映画でしたけどアカデミー賞のイメージでは無いですね。あと、モーテルで換気口を使ってお金を移動させた意味がわかりません。教えてください。 【ピチクン】さん [DVD(吹替)] 7点(2008-12-13 10:47:48) |
24.《ネタバレ》 ラストが分かり辛かったと言うより、わかんねぇ映画でしたね。 でも、全体的にはとてもいい作品だと思います。 ただ、あんな簡単なレシーバーでピタリと場所を突き止めるシガーは凄いね。 【Pea Shan】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-12 00:46:13) |
23.《ネタバレ》 てっきりジョーンズがお金に目を眩ませるんだと思ってた… 終盤までハラハラドキドキ楽しめましたが、オチはちょっと深すぎて私には理解不能でした。説明不足でよくわからない…! 総合的にはほぼ8点なのですが、最後に「面白かったー!」というよりは「う…うん…?」となってしまうのでこの点数です。 【えむぁっ。】さん [DVD(吹替)] 7点(2008-11-30 02:54:54) |
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22.《ネタバレ》 普通にドキドキハラハラ面白かったです。淡々とした雰囲気だけど、だからといって画面から少しも目が離せない迫力がありますね。それにしてもハビエルさん怖すぎっ!(笑)テーマが何かよくわからなかったのですが、原題の大切な所を省略していたんですね。でも…老人だけじゃなくて、若者も住みにくい世の中になっちゃったよね。 【あっち】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-27 16:51:14) |
21.《ネタバレ》 コーエン兄弟の作品は「ファーゴ」でもそうだったけど、キャラクターが面白い。それで、自分には十分面白かった。ラストのトミーリージョーンズのセリフはちょっとよく分からなかった。ここまで話を引っ張る力があるので、社会派映画を狙って(?)のセリフは無くても良かったと思う。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-21 17:13:32) |
20.《ネタバレ》 この監督さんは前から興味があり、アカデミー賞作品賞受賞ということでとりあえず鑑賞。序盤の緊迫感は圧巻。すごく惹きつけられましたが、ルウェリンが死んでから話の展開がよく分からず、理解できないシーンもあり、ラストは夢の話で終わり!?エンドロールの後何かあるかなと確認してしまった・・・ 【みゅうみゅう】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-09 11:18:02) |
19.世の中にはいろいろな人がいるよな。慈悲深い人、欲深い人、またはその他どの部類にも属さない人。そんなこんなの人たちが自分勝手に行動したら、こんな世の中になっていくんだろうな。きっと。 【Keicy】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-05 23:30:15) |
18.《ネタバレ》 エンドロールの後何かあるのかな??と思ってしまう映画。ラストが唐突であっけにとられた。それだけに、何だったのだろう?と考えさせるだけの力を持っているのは、繊細に表現されたディテールとモス、シガー、保安官、彼らの深みのある演技の賜物。シガーの静かな狂気はさることながら、モスのただ者ではないベトナム帰還兵っぷりも見事。川から上がった後、冷静に薬室の水気を抜いてから発砲したり、追手を感じわざと二つとなりの部屋から金を取り返したり、緊張感があり世界に引き込まれた。そんなモスがあっさりとメキシコ人に殺され、シガーも何の関係もない交通事故で重傷を負う。退職した保安官は死んだ父の後に着いて行く夢を妻に語る。作者が言いたい事とは違うと思うが、諸行無常という言葉を思い出した。「諸行は無常であってこれは生滅の法であり、生滅の法は苦である」 【ポテサラ頂戴】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-26 11:00:59) |
17.《ネタバレ》 かなり最後の方まで張り詰めた緊張感を保って凄い映画だと思っていた。みな、演技がすばらしいし、特にありがちな“対決”を見せずにすませるところなどは、その先に何が待ち受けているのかとハラハラしていた。しかし、結局、最後のまとめ方がいまひとつ。後味があまりよくない映画となってしまった。 【mohno】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-22 03:12:22) |
16.暗殺者の描き方がスゴイ。キモイ。今までいろんな映画でキモイ魅力ををもった殺人鬼が色々登場しましたが、この映画のシガーは俺の今まで観た映画の中の殺人鬼ベスト10に入ります。牛を殺す空気銃や酸素ボンベで静かに迫る姿はとっても怖いし、普通の人に因縁をふっかける場面は、ドキドキしました。そいつが、お金を奪った男を追いかかけまわすってお話。ただし、そこまでエンターテイナーよりのサスペンスタッチの追いかっけこと、キモ怖い魅力満載の殺人鬼を作っておきながら、この監督さんは語り口が独特なので、ふつうのホラーサスペンスみたいな映画として作ってません。主役を別におき、しかもその視点をメインにして見せないし、よく映画を観ないとわからない描写もあります。そして一見、何を表現したかったのかわかんないけども、ちゃんとテーマもあるみたいなのです。もちろん観た後、そーゆうのを色々考えたりして余韻を楽しむオマケつきの映画として、純粋にサスペンスとしても楽しめる緊迫感もあります。ただ俺は後半の急速な展開にテンションが若干盛り上がりきらなかったのでそこがちょっと微妙。でも全然退屈ではなかったです。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-14 18:52:22) |
15.筋の通った殺人などあるはずがない。アントンはある意味とても現実的な殺人鬼なのかもしれません。開始5分で引き込まれるハビエル・バルデムの演技は一見の価値ありです。 【njld】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-07 00:30:04) |
14.《ネタバレ》 逃げる方ももっと色々逃げ方あると思う。 それとサイレンサー付きのあのショットガン。 あのサイズでサイレンサーついてるのあるんだあ。 不死身なのはわかったが、この後どうなったのか うやむやで終わるのはどうなのか。 【K2N2M2】さん [DVD(吹替)] 7点(2008-10-05 06:50:40) |
13.映画館でM&Mチョコをボリボリ食いながら見てたので、 あの雑貨屋シーンでノドに詰まらせそうになった。 【mimi】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-09-02 16:48:21) |