2.《ネタバレ》 あらすじを聞いた時、女性が鉱山でセクハラを受けてそれを訴える実話を描いただけの映画だと思っていた。ところが、実際に見てみると、そーゆう側面はあるものの、なんか違う。セクハラと並行して描かれる日常の親子と友人のドラマ、そしてラスト近くで明かされる鉱山のセクハラ話なんて吹っ飛ぶのほどの衝撃の真実。僕は、これを覚悟の話だと捉えました。人間の尊厳のために戦う覚悟、愛情を受け入れる覚悟、母が真実を子供に告げる覚悟、一歩踏み出すための覚悟、セリフでも度々出てきます。あなたにその覚悟があるのかと。人生において、人を憎むのにも、愛するのにも、許すのにも、その先に進むためには覚悟がいるってことを表現しているのではないかと思うのです。裁判で女性たちが立ち上がる前に、母と子の会話のシークエンスが挟まれます。母が子供に言うのには、とても勇気がいる残酷な真実を彼女は話すのです。そして、母の深い愛情を示すのです。ここから裁判のシーンへ、そしてラストの母と子のドライブのシーンへ続くくだりで、それまでは淡々と見ていた僕はボロボロ泣きました。あの最後の母と子の楽しそうなやりとり。覚悟の先に進んだ描写がそこにありました。もしかしたら、子供がグレてさらなる悲劇を招いてたかもしれない。でも、もうこの母と子は大丈夫なんだと思える何気ない日常の描写。これはそんな親子の物語にも見えるのです。