1.《ネタバレ》 ネズミと言われた少年の父は、仕事は立派だけど、父として教育者としてどうか僕は甚だ疑問です。自分をひっぱたいた男の職場に乗り込んで、またひっぱたかれ続けて見せて、あれが子供達にどういう教育をもたらすのか? ああいう「行儀のいい大人」の詭弁は、子供に「理不尽なものに耐えておとなしくしていなさい」という理不尽を押し付けているだけではないだろうか? だから子供達がああなるんでしょう。暴力がダメなら社会的に報復すればいい。それもできないうえにケンカもいけないなら、わざわざ乗り込むな。少なくとも子供に見せるな。漫画『Monster』を思い出させる展開もありましたが、これも深く突っ込まず終わり。僕は一日3人の命を救うより、一日4人を飲み込む大蛇を退治する方が村の平和に直結するという思いは変わりません。それが間違っているのなら、それが解るだけの話にして欲しい。社会秩序を壊す存在を放置する社会はダメでしょう。ルールが存在する意味がない。冒頭の学校の対応、最悪です。この映画は腰抜け大人の作り話だと思いました。 生死の不安が全くないわけではない大怪我の中にある息子のことを、友達を戒めるための嘘とはいえ死んだと言う母親の神経も理解できません。不吉過ぎて僕なら口にできない。容態が悪化してもしものことがあったら、自分の言葉のせいだと思ってしまいそうです。 観客にお説教するために、ものすごくいいタイミングで唐突に親子のジョガーとか、寄ってたかって手を降って歓迎するアフリカの子供達のスローモーションとか嫌悪を感じる。最後まで見せるうまさは感じていたので5点にしていたが、僕はどうにもこの映画の主張が許せなく2点に下げます。アフリカには警察は存在しないのでしょうか? この映画はどこかおかしい。理不尽なことへの対処をナイフや爆弾やリンチの殺戮に通じるものに結びつけるばかりの単純さも幼稚です。「仕返しは良くない」とか「暴力に暴力で返しても虚しい」とか言うよりも「理不尽なことをしてはいけません。理不尽なことを傍観したり許してはいけません」と言え! それが健全なことでしょうに。「こういう連中には、こういう解決手段がありますよ」と教えられない大人が偉そうに「未来を生きる君たちへ」とか言わない欲しい。理不尽を放置したり無条件に許しては健全な人間も社会もできないでしょう。Betterな世界は法や警察が健全に機能している世界だと思います。