1.《ネタバレ》 キャラクターの図柄はシンプルな描線のうえ表情変化にも乏しいが
朝陽、夕焼け、宵の口、雨天それぞれの状況に合わせて
衣服の色彩や影、そのコントラストを微妙に変化させることで季節感や
時刻、立体感を良く表現している。
アニメーション映画としてはやはり
ヒロインが全力で駆け出すクライマックスの全作画カットが白眉だろう。
屋内から路地へと飛び出しての韋駄天走り。それを追いかけ回り込みながら
フォローするカメラの動きをダイナミックに描いている。
茶屋の軒先で少女が雪遊びするシーンの情緒も忘れがたい。
惜しいのは、この少女を最初に紹介するヒロインのモノローグである。
彼女の目が不自由であることをいきなり説明してしまう。
それは二人のやり取りの中から自ずと明らかになることであるのに。
それから、音楽にはもっと統一感が欲しい。