《改行表示》34.《ネタバレ》 90年代にVHSのレンタルで見たのが初見だが、その時点で印象に残ったのは近代科学への警鐘でもなく愛する人の幸せを願いながらの悲しい自己犠牲ということでもなく、ゴジラ襲来後に収容された重傷者や母親を呼んで泣く子ども、立ち働く白衣の天使と女学生の歌声だった。これは先の大戦に直接関わる慟哭の思いと鎮魂の祈りの表現としか思われず、この映画だけは他のゴジラ映画と異質だというのが率直な感想だった。 また今の目で見直すと、放射線量の測定機器を子どもに直接向ける光景が、5年前の現実の事故のことを思い出させて非常に痛々しい。放射能を帯びた怪獣との設定はその後も一応引き継がれていたわけだが、これが虚構のキャラクターの単なる一属性というだけでなく、いつの時代にも再現されうる現実の脅威を表現したものであったことを改めて思い知らされる。 そのほか単なる怪獣映画として見た場合にも、特撮映像は昔の映画ながら文句をいう気にならない迫力があり、巨大な生物に対して地べたを這う人間の恐怖感が表現されている。この映画では魚・牛・豚(と娘っ子)を食うことになっていたが、こういう肉食の習性はその後に引き継がれなかった設定と思われる。また出演者では何といっても河内桃子さんが可憐で可愛らしい(やたらに触るな、と宝田明氏に言いたい)。巡視船PM20こうず、PM21しきねの撮影協力もご苦労様でした。 [2024/5/25追記] 「-1.0」を見た機会に再見。上の本文には2011年の原発事故関連のことが書いてあるが、今回は2024年の米アカデミー賞映画「オッペンハイマー」との関連を思わされた。大量破壊兵器の開発に科学者が手を貸していいのか、というのはまさにその映画のモデルの人物を思わせるテーマだが、この映画では科学者本人が人間の弱さを自覚して、最後の良心を死守した形になっている。そのような厳しい姿勢を科学者には求めたいということだろうが、しかし公開70年後の現代では、それがいわば古風な律義さ、あるいは昭和的な素朴さにも感じられるのが皮肉なことだった。昔は真面目でちゃんとした人が多かったらしい。 また前回見た時と同じく河内桃子さんにやたらに触るなと宝田明氏に言いたくなったが、言いたくなった理由は特に、触った手の親指で河内桃子さんの肌を撫でるからだった。大事に思う表現だとしても気色悪いのでやめてもらいたい。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-05-25 21:12:02) (良:1票) |
《改行表示》33.《ネタバレ》 日本ほど特撮怪獣が沢山創られた国はないでしょう。主にウルトラ怪獣ですが、ゴモラ、ゼットン、バルタン星人と、きっとどの世代でも名前くらいは知っているんじゃないでしょうか?そんな中で、元祖であり王者と言える怪獣がゴジラです。 私はちょうどゴジラ空白の世代でした。小さい頃、ウルトラシリーズは沢山再放送されていましたが、ゴジラ映画は観たことなくて。子供向けの雑誌などから『人類の味方として、悪い怪獣と戦う正義のゴジラ』なんてイメージがあった程度でした。そんな中“まだ白黒映画の時代、最初のゴジラは人類の敵だったんだよ。そして今度公開されるゴジラ('84)も、悪者なんだよ。”なんて聞いて、何かとても不思議な感じでした。 本作を最初に観たのは20歳くらいの頃です。街の焼ける様子、逃げ惑う人々から、まだ戦後間もない印象をとても強く感じました。公開年は、戦争が終わって僅か9年。でも僅か9年でここまで復興している日本の逞しさと、ゴジラという巨大なモンスターを創り上げた日本の受けた傷の深さが感じられました。 アメリカの水爆実験が生んだ怪獣ゴジラが、本土に上陸して無目的に都市を破壊する。令和に入った現在に至るも、唯一無二の被爆国として、当事者のアメリカ人を主要人物に出すことなく、原水爆を表現した作品と言えるでしょう。 どうしても後年のシリーズ化したゴジラのイメージに引っ張られていたため、今回始めてゴジラのデザインが理解できた気がしました。モノクロ映像のゴジラの、黒くゴツゴツしたあの皮膚は、水爆の高熱で表皮が焼け焦げてたんですね。 背中のヒレは皮膚に刺さったガラス片でしょうか。そしてゴジラは苦しみの叫び声を上げながら、自ら焼け野原にした東京の街を彷徨います。 本作公開の僅か9年前に、他国により自分の国が焼かれる地獄を観た人々が作った地獄絵図。この映画からは、他国に国を焼かれた恨み節より、日本をここまでしてしまった、原爆が落ちるまで戦争を続けてしまった、自ら国を焼け野原にしてしまった、そんな自責の念が感じられます。 山根教授のゴジラを保護し、生命力の研究をするべきだという主張は、今なお放射能被害に苦しむ被爆者たちを救うことが出来たらという気持ちからでしょう。そう考えるとオキシジェン・デストロイヤーは、例えるなら苦しみから逃れるための安楽死に思えます。 芹沢教授がオキシジェン~の研究成果ごと死を選んだ結末は、どんなに苦しくても前だけを見て生きていく。そんな日本の決意にも思えます。 本作を観てどう思うかは人それぞれですが、戦争で受けた傷を娯楽映画にしてしまう日本人のパワー。創意工夫。結果本作は、世界でいちばん有名な日本映画の一つになりました。 【K&K】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2024-04-04 22:30:32) (良:5票) |
32.《ネタバレ》 怪獣に翻弄される人間社会のドラマが、思いのほかリアルに描写されていて、当時としては驚くべき特撮技術と対等にせめぎ合い、融合し、熱を発しているのを感じます。高揚感を煽る音楽が素晴らしい。神々しいまでの咆哮など音響も素晴らしい。ゴジラが落っことしていった三葉虫を見て、子供の頃、生きた三葉虫を飼うのが夢だったことを思い出しました。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-05-29 18:41:11) |
《改行表示》31.流石に今見ると特撮技術の古さを感じざるを得ないが、終戦9年後に作られた事を考えれば当時は凄かったのだろうと想像は出来る。そこは置いておいても、反核のメッセージを怪獣もの映画に上手く落とし込めている。最後の山根博士の台詞などは特に印象的だ。 他には音を評価したい。初代ゴジラの咆哮には、恐れを感じるとともに生物の声である事も感じられる。良く作ったものだ。 【alian】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-01-23 14:25:42) |
30.《ネタバレ》 古い映画は、今見ると面白くないことが多いが、これは別。特に伊福部氏の曲が最高。シン・ゴジラでも使われていたが、古びていない。そして、ゴジラの登場。最初、中々出てこないが、出てからは、全ての場面をさらっていく。第三の男のオーソンウエルズのように。この後のゴジラは、良い者になっていくが、これは完全なる悪役。ダークヒーロー。こころが震える。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 8点(2019-01-07 13:11:09) |
《改行表示》29.制作側にゴジラを完全に抹殺する気がないなら オキシジェン・デストロイヤーは非力な人間がゴジラを完全に葬り去ることの出来る唯一無二の、それこそ最終手段として この作品限りの登場にして欲しかった。 【TAKI】さん [DVD(吹替)] 8点(2017-11-26 12:48:52) |
《改行表示》28.《ネタバレ》 突如あらわれた大怪獣が日本に上陸する。 水爆でも死なない生物に、通常兵器は全く役に立たない。 そこに芹沢博士の超兵器が発動! 博士は海中で自殺する。二人の幸せを祈りながら。自分の罪を悔いながら。 60年以上前に作られた初代ゴジラ。 二人の男に泣いた(山根博士と芹沢博士)。 怪獣映画といえばゴジラ。本多監督がこの映画に込めた何か。それが良かった。 芹沢がどんな思いで生きながらえてきたか。 それが分からないと、この映画は何なのか全く分からないだろう。 余談だが、ゴジラに縁のない人生で、ガメラばかり観ていた。 また、日本語音声&日本語字幕で観た。字幕があると、セリフを聞き間違うことがないので良い。 【激辛カレーライス】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-04-17 13:19:48) |
27.恐ろしい怪物、ゴジラの出現。なんと、すごい・・・原子力が暴走すれば人間には制御できないことを教えた映画ですが、学習能力のない日本は2011年に福島で、その恐怖を思い知らされることになった。それでもこりずに学習能力のない日本に対し、次は何年後にゴジラが暴走するのか・・・・ 【cogito】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2016-08-06 17:49:08) |
《改行表示》26.《ネタバレ》 【録】NHK-BSプレミアム。 記録映画みたいだというのが率直な感想。 戦後10年の日本が如実に映し出されているのではないかと感じる。 演技云々というよりも当時の日本人の素の姿が映し出されているように感じられたので記録映画みたいだと感じるのかもしれない。 ゴジラが暴れる姿と人々が逃げ惑う姿の対比が空襲を想像させるし、台風の最中にゴジラが現れる描写でも震災を想像させられた。 細かい説明はあまりないのにちょっとした会話や動きで説明されない部分もなんとなくわかってしまうのが不思議。 例えば、芹沢博士が戦争でああいう顔になってしまったというちょっとした説明から、なぜあそこまで頑なにオキシジェン・デストロイヤーを葬りさろうとしたのかまで想像できてしまったりとか。 人々の生活を忠重心して行っただけのゴジラなのに、その最後の咆哮を聞いたら泣けてきたのはなぜだろうなあ。 ラストの山根博士のつぶやきが不穏な気持ちを残す余韻もたまらない。 【slan】さん [地上波(邦画)] 8点(2014-08-05 16:40:13) |
《改行表示》25.《ネタバレ》 劇場で、デジタルリマスターで、遂に観た! 初めて観たのは「ゴジラ対ビオランテ」で、映画館で観る迫力に興奮し、以来ゴジラというと年に一回必ず映画館で観るのが恒例でした。したがって白黒のゴジラ作品は観たことが無く、今回60周年記念で第1作を見れるという貴重な機会なので行って参りました。 まず、戦後10年足らずでこんな作品を作ってしまうそのパワーに驚かされる、そして反戦映画でもあり、戦争の悲惨さ水爆の恐ろしさをゴジラに置き換えて描いていると思いました。勿論エンターテイメントとしても面白く、人間のドラマ部分もしっかりしているのでこの評価なのだなと感じました。 何より良かったのは、ゴジラが怖いという意見が多い中、私はカワイイ!と思わず叫んでしまうほどゴジラに親しみを覚えました。初登場シーンの山の向こうからひょっこり覗いているところとか、ミサイルの集中攻撃にあうもマイペースに、ちょっと踊りながら余裕で海に帰って行くシーンとか、最高にチャーミング! なので、ラストの海底で何も知らずに興味津々の様子で兵器を持った人間に近づいてくるゴジラを観た時、ダメー!こっちに来ちゃダメー!と夢中で叫んでいました。 【ヴレア】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-06-24 15:37:08) |
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《改行表示》24.《ネタバレ》 60周年記念デジタルリマスター版を鑑賞。ビデオ、LD、DVDなどでさんざん見ていたけどスクリーンで見るのは十何年ぶり。傷もなく、音声もクリアー。そのおかげで、劇場サイズでの鑑賞にふさわしいクオリティの特撮映画であることを再認識。作り込まれたミニチュアとぬいぐるみで表現されたゴジラの重量感。モノクロ画面だからこそ表現できた、まるで悪夢に出てくる具象化された恐怖のようなゴジラの真っ黒い姿。この先も映画史に残り続ける作品でありましょう。 【こんさん99】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-06-15 10:01:57) |
《改行表示》23.「あの頃の俺は凄かった、俺の登場で世界中が恐怖でおののいたんだ。 高圧電線もミサイルも放射能の苦しみに比べれば蚊に刺されたようなものだ、この苦しみを与えた人間どもの復讐に燃え、ひたすら街を破壊続けたんだ。どんなに女子供が命乞いしようがおかまいなしに踏みつぶした。 しかし、まさか数年後に赤塚不二夫先生のシェーをしたり、命がけで人間たちを守り、その上緑色の可愛い縫いぐるみにされようとは・・・・・。 あの時国会議事堂を壊したのに、キャラメルのネオン看板はスポンサーだから壊せなかったと噂があるがそんな事はない、キャラメルは歯にくっ付いて取れなくなるから嫌いだ。 最後になるが河内桃子の初めて俺を見た時の悲鳴は萠たぜ」 【ゴジラ談】 もしよければ僕の描いたイラストを見て下さい。http://www016.upp.so-net.ne.jp/konekoneko-dou/image278.jpg 【こねこねこ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-23 21:11:02) |
《改行表示》22.記念すべき、「ゴジラ」の第1作目。 怪獣映画なのに、おちゃらけたシーンがほとんどないのがいい。 上映時間が短いためか、序盤はバタバタしていて、脚本にも甘さは見られるけど、 ゴジラが東京に上陸してからはじっくりと見せてくれた。 とにかくこの作品のゴジラは非常にカッコいい。動きも雄大でどっしりとしており、 モノクロ映像が幸か不幸か、ゴジラにゾッとさせるような不気味さを与えている。 反戦のテーマという、強烈なメッセージが織り込まれている点もポイントが高い。 ということで、ちょっと甘めだけど8点をつけさせていただきます。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-07-25 05:13:36) |
21.すごくまじめな映画だ。日本映画史にのこる作品といわれるだけのことはある。特撮はチャチだが、脚本、カメラアングルなど、完全に大人向けの映画。演技、台詞回しなどにやや時代は感じるが、当時の映画は名作でもこんな感じだろう。特撮部分以外の自衛隊の映像に本物を使ってる部分もあるし、海上保安庁の協力も得ているし、災害の恐怖を真っ向から描いてるし、と、ドラマとして大作を作ろうという製作者の熱意が感じられる。この初代ゴジラを見る限り、怪獣=娯楽、B級という図式では決してない。 【nobo7】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-07-23 01:38:11) |
《改行表示》20.ゴジラがすごく不気味で怖い。ストーリーも後のゴジラシリーズとは別格。 【eureka】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-02-11 00:10:55) |
19.一言、この作品はその他のゴジラシリーズで出てくるゴジラとは違います。目線が下を向いてます。今でいう、ただ建物を破壊するのではありません。人を見ているのです。このためか、めちゃくちゃゴジラが怖く見えました。でも一番印象に残ったのは、タワーに残るリポーターでした。ゴジラが迫ってくるのをまじめにリポートして、最後に塔が壊されるときも「それではみなさん、さようなら」で締めくくります。この人すげえと思うのと同時に笑えました。ちょっとは逃げる姿勢をとってほしいものです(笑) 【SAKURA】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-02-20 23:26:11) |
《改行表示》18.《ネタバレ》 ゴジラは核そのものであり、ゴジラが残したのは焼け野原の東京。 ゴジラって怪獣映画である前に戦争映画だったのかと恥ずかしながら先日見たときに気がづかされた。 そしてゴジラが本当に怖い。白黒フィルムだろうが特撮がしょぼかろうが今見ても怖い。 核の落とし子をまた違う新兵器で殺すという殺戮兵器への警鐘と反戦への作り手の意志がビシビシ伝わりました。 【寺 梅斗】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-01-14 13:14:37) |
17.変に感情移入して観れました。芹沢博士、あんたカッコいいよ... 【よしふみ】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-02-05 13:44:38) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 迫力が違います。隻眼の平田昭彦がめっちゃかっこいいです。 【yu-mi】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-10-06 16:26:38) |
《改行表示》15.1作目は初めて観たけど、なるほど、特にラストはシリーズの他の作品とはまったく違う味わいがあります。 【じゃん++】さん 8点(2005-02-27 18:14:35) |