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山の音

[ヤマノオト]
1954年上映時間:95分
平均点:6.62 / 10(Review 21人) (点数分布表示)
公開開始日(1954-01-15)
ドラマモノクロ映画小説の映画化
新規登録(2004-03-14)【まぶぜたろう】さん
タイトル情報更新(2022-12-12)【イニシャルK】さん
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監督成瀬巳喜男
助監督筧正典
梶田興治
キャスト原節子(女優)尾形菊子
山村聰(男優)尾形信吾
上原謙(男優)尾形修一
長岡輝子(女優)尾形保子
金子信雄(男優)相原
中北千枝子(女優)相原房子
杉葉子(女優)谷崎英子
木暮実千代(女優)信吾の友人
十朱久雄(男優)信吾の友人
角梨枝子(女優)絹子
北川町子(女優)
馬野都留子(女優)
原作川端康成「山の音」
脚本水木洋子(脚色)
音楽斎藤一郎
撮影玉井正夫
製作藤本真澄
馬場和夫(製作担当)
東宝
配給東宝
特撮東宝技術部(特殊技術)
美術中古智
編集大井英史
録音下永尚
照明石井長四郎
その他キヌタ・ラボラトリー(現像)
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1.台風のため停電となった鎌倉の旧家。夫はろうそくを手に立ち上がり、妻は布団の上にすわり、義娘のことを語り合う。カメラは二人を切り返すことでそのシーンを綴るのだが、夫の立ち上がる動きは妻の目線だけで描かれ、その様を観客がみることはない。これが、いわゆる成瀬目線なのだが、ここで不思議なことが起こる。妻が話す様をカメラは見下ろすように捉えているが、妻に対する照明が妙に揺らぎ、時に妻は暗闇の中に入ってしまうのである。その理由を観客は次のカットで知ることとなる。このシーンでの唯一の光源であるろうそくを手に夫は話しており、夫が所在なげに動くたびに、ろうそくは妻に投げかける光を変えていたのだ。老夫婦の心理を描写する演出、といった説明以上に、この照明の変化は唐突で観客を困惑させる。■問題なのは、このシーンでの照明の変化が、何の説明もなく、また、水面や炎が与える揺らぐ光といった既知の記号でもなく、カメラの裏側で起こっているはずのことがまるで可視のものであるように描写されていることだ。■カメラの裏側で生起していることを目線だけで描写する。このいわゆる成瀬目線が、動作の一部を省略することで軽やかなリズムを生み出す、といった伝統的、古典的な演出ではなく、なにやら実験的で、映画の枠を揺るがせる演出であるように思えるのだ。カメラの向こう、裏側にも世界が広がっており、しかもそれは物語の中に捏造された、もっともらしい嘘の世界であること。それを故意に顕在化させること。■このような「成瀬目線」のいかがわしさ、過激さ、それに自覚的であり、またその不自然を露呈させようとする演出が「山の音」には数多く見受けられる。■原節子はいつのまにか自転車に乗り、いつの間にか山村聡に近づいてくる。杉葉子は「目線」の不自然をことさらに意識したかのように、何度も目線を上下し、そのたびに話す相手の位置が変化する。あるいは「浮雲」。金を持ち逃げした高峰秀子と森雅之が旅館で話すシーン。高峰はいつ草履を脱ぎ、庭先から座敷に上がってきたのか。■不自然を不自然であると自覚して演出すること。不自然を故意に顕在化させること。映画を壊そうというのか、あなたは。■成瀬巳喜男を観るのは、古典的な演出を愉しむ、日本の原風景を懐古する、といった消極的な愉しみではなく、きわめて現代的でスリリングな愉しみだと思う。成瀬は、凄いぞ。
まぶぜたろうさん 10点(2004-08-22 10:36:02)(良:3票)
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【点数情報】

Review人数 21人
平均点数 6.62点
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100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5628.57%
6628.57%
7419.05%
829.52%
914.76%
1029.52%

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