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ゴジラ-1.0

[ゴジラマイナスワン]
(ゴジラ-1.0/c(モノクロ版タイトル))
GODZILLA MINUS ONE
2023年上映時間:125分
平均点:7.19 / 10(Review 115人) (点数分布表示)
公開開始日(2023-11-03)
公開終了日(2024-05-01)
SF戦争ものシリーズものパニックもの特撮ものモンスター映画
新規登録(2023-07-13)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2024-08-27)【イニシャルK】さん
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監督山崎貴
キャスト神木隆之介(男優)敷島浩一(戦争から生還するも、両親を失い、荒廃した日本で、典子と出会う。)
浜辺美波(女優)大石典子(焼け野原の戦後日本を単身で強く生きる女性。戦争帰りの敷島と出会う。)
山田裕貴(男優)水島四郎(戦後処理の特殊任務を請け負う船・「新生丸」に乗り込む見習い)
青木崇高(男優)橘宗作(戦時中、海軍航空隊の整備部にいた人物)
吉岡秀隆(男優)野田健治(戦時中、海軍工廠で兵器の開発に携わっていた人物)
安藤サクラ(女優)太田澄子(敷島の家の隣人。戦争で子どもを亡くしている。)
佐々木蔵之介(男優)秋津淸治(戦後処理の特殊任務を請け負う船・「新生丸」の艇長)
遠藤雄弥(男優)齋藤忠征
飯田基祐(男優)板垣昭夫
田中美央(男優)堀田辰雄
阿南健治(男優)
水橋研二(男優)
奥田誠治(男優)
マイケル・アリアス(男優)
橋爪功(男優)(ノンクレジット)
金田明夫(男優)(ノンクレジット)
篠井英介
笠井信輔
早織
脚本山崎貴
音楽佐藤直紀
伊福部昭(「ゴジラ」/「モスラ対ゴジラ」/「キングコング対ゴジラ」)
撮影柴崎幸三
製作市川南〔製作〕
東宝
プロデューサー阿部秀司〔製作〕(エグゼクティブ・プロデューサー)
山内章弘(協力プロデューサー)
制作TOHOスタジオ(制作プロダクション)
ROBOT(制作プロダクション)
配給東宝
特撮山崎貴(VFX)
渋谷紀世子(VFXディレクター)
白組(VFXプロダクション)
美術上條安里
龍田哲児(装飾)
山崎貴(ゴジラデザイン)
編集宮島竜治
照明上田なりゆき
その他阿部秀司〔製作〕(献辞)(ゴジラ-1.0/c)
あらすじ
戦後間もない焼け野原となった東京。特攻隊の生き残りである復員兵の敷島浩一は、空襲で両親を失い、悲しみに暮れながらも一部が焼け残った実家で、偶然出逢った大石典子と赤ん坊のアキコと3人、ギリギリの生活を送っていた。それでも浩一の収入が安定し典子も働き始め、日々の暮らしに明かりが差し始めた矢先、突如東京湾から巨大な怪獣が出現、復興し始めていた東京を蹂躙する。そしてその怪獣は、かつて浩一が南の島で襲われたゴジラに他ならないのだった。軍備も失い、米軍の十分な協力も得られない中、日本国民とゴジラの凄絶な闘いが始まる…。 第96回アカデミー賞では邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞するとともに、山崎貴監督は55年ぶり、史上2人目の同賞受賞監督となった。
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15.「恐怖」が、戦後直後の復興途中の東京を蹂躙し、街を“再び”焼き尽くす。
たった一発の絶望的な熱線により、「生活」のすべてが吹き飛び、巨大なきのこ雲が立ち上る様を呆然の見上げるしか無いその“無慈悲”は、まさしく本作の映画世界でこの国が経てきたばかりの悲劇の再演であった。
突如現れた畏怖の象徴を目の当たりにして、立ち尽くす“日本人”の視線は、恐怖感や絶望感を超えて、諦観しているようにも見え、その様が事程左様に無慈悲への拍車をかけていた。
“恐怖の化身”という言葉がそのまま当てはまる大怪獣に対する畏怖の念は、1954年の第1作「ゴジラ」、そして2016年の「シン・ゴジラ」に勝るとも劣らないシリーズ随一のものだったと、まず断言したい。

1954年の「ゴジラ」第1作目から70年、国内製作の実写版としてちょうど30作目となる本作。過去のシリーズ作全作、ハリウッド版やアニメ版も含めてすべて鑑賞してきた“ゴジラ映画ファン”である自分にとっても、確実に五指に入る傑作だった。
正直なところ、7年前の「シン・ゴジラ」があまりにも大傑作だった故に、もうこれ以上ゴジラ映画を製作することは難しいんじゃないかと思っていた。
今年、新作が公開されるという情報を見聞きしても、期待感はそれほど膨らまず、ギリギリまで高揚感も高まらなかった。
山崎貴監督は、その懸念と軽視をものの見事に吹き飛ばし、蹴散らしてみせたと思う。

自らの得意分野であるVFXによる圧倒的ビジュアルを駆使して、観客を映画体験を超えた“ゴジラ体験”に引き込んでみせたことが、成功の最たる要因だろう。
これまでのシリーズ作においても、伝統的な特撮技術や、先進的な撮影手法による魅力的なゴジラ造形や映像世界の構築は多々あるけれど、そのどれよりもゴジラを巨大に、そして“間近”に見せていると思えた。
ゴジラの巨躯と対峙する登場人物及び、我々観客との圧倒的に短い距離感こそが、この体験のエキサイティング性を際立たせているのだと思う。

そしてゴジラが登場する映画世界の舞台を1947年にしたことも的確だった。
過去作でいくつも昭和の日本描写をクリエイトしてきたこともあり、その精度も最大級に高まっていた。精巧な映像世界の“創造”ができるからこそ、それを“破壊”することにおいても極めて高いクリエイティビティを発揮できているのだと思う。

昭和時代の人間模様を描いたドラマとストーリーテリングには、この監督らしい懐古主義をいい意味でも悪い意味でも感じ、台詞回しや演出プランには、ある種のベタさやオーバーアクト的な雰囲気も感じたけれど、その点も“昭和のゴジラ映画”へオマージュを含めたリブートと捉えれば的確だったし、印象深い演技シーンも多かった。
神木隆之介の華奢な主人公感、浜辺美波の圧倒的に美しい昭和女優感、吉岡秀隆の一瞬イカれた目つきを見せるマッドサイエンティスト感、佐々木蔵之介の分かりやすくべらんめえ口調な江戸っ子感等々、愛すべきキャストのパフォーマンスが、本作への愛着を高める要因となっている。


一つ一つの台詞に対する丁寧な伏線回収や、クライマックスの作戦終盤において熱線放射寸前で発光しているゴジラを海中に沈めることで状況をビジュアル的に認識できるようにした工夫など、本作は努めて“分かりやすく”製作することを心がけている。
ストーリー展開や登場人物の心情の少々過度な“分かりやすさ”は、世界のマーケットも見据えた本作の明確な製作意図であることは間違いない。

私自身、ハリウッド版ゴジラの各作品や、国内で制作された“アニゴジ”の3部作、Netflix配信のアニメシリーズ「ゴジラ S.P」の鑑賞を経て感じたことは、世界的なカルチャーアイコンとなった「ゴジラ」に対しては、ファン一人ひとりにおいて「観たいゴジラ映画」があって良いということ。
そして、“ゴジラファン”を経て、クリエイターとなった一人ひとりにおいても、「ゴジラ」をテーマにしたストーリーテリングは、自由闊達にその可能性を広げて良いということだ。
そのためにも、日本国内のみならず、より広い世界のターゲットに向けて、改めて「ゴジラ映画」の魅力を提示し、新たな展開に繋げていくことは、ともて意義深いことだと思う。

「映画作品」としての質や価値を主眼にするならば、本作は1954年「ゴジラ」や、「シン・ゴジラ」には及ばないかもしれない。
ただし、世界中の人々が愛することができる「ゴジラ映画」として、この作品の立ち位置はまさしく一つの「最適解」だ。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 10点(2023-11-04 23:39:30)(良:5票)
14.《ネタバレ》 IMAX で観賞。うーん結構怖かった。。ハッピーエンドだったので甘めの点数ですが、好みの映画ではないですね。でも庵野版よりだいぶ良くできていたと思います。(個人の感想です)
よしふみさん [映画館(邦画)] 8点(2023-11-04 23:21:13)
13.《ネタバレ》 正直「そこまでやるか!?」と思いましたが、これが山崎監督の出した『最適解』なのでしょう。傑作『シン・ゴジラ』の次という『貧乏くじ』を引き受けた監督の並々ならぬ覚悟というか自棄糞というか、兎に角凄い「心意気」をしかと受け取りました。ドラマチックはリアリティを凌駕する。大・大・大拍手です。ただ、オチの付け方に注文を。首筋のアレは個人的には必要なく、エンドクレジット前の数秒のシーンは絶対に要らないです。
目隠シストさん [映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 12:20:00)(良:2票)
12.《ネタバレ》 シン・ゴジラ後の実写ゴジラを作るのは大変だろうなあと言うのが前作を3回劇場で鑑賞してからの感想だったが、結果としてはシンに勝るとも劣らない出来映えになった。敗戦直後という時代設定、その時代を描くのに三丁目の夕日シリーズで「あの頃」の描写に於いて右に出る者がいない山崎貴監督の起用(三丁目第2作でゴジラは経験済みだし)、朝ドラ主演コンビの再登場(撮影はこっちが先だそうだけど)など、作品作りも話題もシンと同じ土俵で勝負しなかったことが良かった。シリーズものにありがちな「前作から○年後」「主役交代してもあらすじは似たようなもの」というハイハイそうですか的展開は一切無い。明るい映画ではないのでさすがに何回も通えはしないが、余韻にひたりながら劇場を出られる作品であることに疑いは無い。
昭和シリーズなら「東宝自衛隊」が超兵器を携えて出動するところだが、警察予備隊も自衛隊も無い終戦直後、まして旧軍も解体され国民を怪獣災害から守る組織がないから民間中心でゴジラに立ち向かわなければならないという状況こそがこの作品の白眉だ。東京湾のゴジラ掃討作戦の説明を聞いて「降りる」民間人を描いたのはある意味新鮮だった。コロナ禍を経て同調圧力の息苦しさを経験した観客は大義に殉じることが義務、美学、美徳とされることへの反発がある。吉岡秀隆演じる技術者が明日のための戦いだ、全員生きて帰ってくることが大事だ、と説く場面は散華することを美しいとする昭和の価値観との決別だった(それでいて舞台はまごうかたなく昭和なのだけれど)。一方で「(この間の戦争は決死だったけど)対ゴジラ作戦は生き残れる(勝ち目はある)んだよな!」と鼓舞する者、やってやろうぜと気勢を上げる者はお決まりで、こういう方々がいなければ話も進まない(笑)が、このような場で死にたくない、怖い、逃げたいという人も少なからずいることをはっきり描いた最初のゴジラ映画かもしれない、と感心した。
テレビの特撮ものは別として、ゴジラ映画はもうCG無しでは成立しないところまで水準が上がった。それはゴジラ映画が大人の鑑賞にも堪えられるテーマを内包するために欠かせない条件になったからだ。それを支えるのが佐々木蔵之介、青木崇高、安藤サクラなどの助演陣のリアルな演技だった。みんな「この間の戦争」で理不尽に家族を亡くし、やり場のない怒りを押し込めて生きていることが切々と伝わる。戦争に行かなかった若者:山田裕貴が軽率な軽口を叩いて神木:主人公敷島に胸ぐらを掴まれるシーンは象徴的対比だ。ゴジラは滅ぼされていない、という不吉なラストシーンで物語は幕を閉じるが、劇中の世界で生き延びた人たちが今度こそ希望を持って生きていってほしいと思った。
rinzouさん [映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 11:23:56)(良:2票)
11.《ネタバレ》 ゴジラと人間の対決が主軸でVFXもドラマも見応え充分。
ゴジラの背びれのギミックがちょっとアレな感じ(背びれが動く水鉄砲が欲しくなったのはワタシだけ?)だが、
映画をダメにするほどではないか。
わだつみ作戦開始時の音楽使い方(自分の記憶が定かなら、ゴジラのテーマとされている曲は、元々ゴジラに対する防衛隊の活躍の讃えるもので、今回はその通りに使われている)が良い!
そして『太平洋奇跡の作戦 キスカ』ばりの駆逐艦の映像。
曇りの空は、まるでVSシリーズの頃の特撮大プールのホリゾントのよう。
そんな昭和ジジイの大好物はさておいても、『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』からこっちで、一番楽しめた作品でした。
『ゴジラVSビオランテ』『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』、自分が好きなゴジラ作品は興行成績がイマイチなので、
本作はそんなことが無いように祈っています。
でなわけで、もう一回観に行く!!
こんさん99さん [映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 08:32:40)(良:2票)
10.ゴジラ映画というジャンルと、個人的な人間ドラマとの、噛み合わなさ、ってのが元々あって、正直我々もその辺りは「言わない約束でしょ」ということで諦めてたフシがあるのですが。
ついに、そのどちらからも逃げずに、しっかりと噛み合わせてきた山崎貴監督。まずは、ありがとうと言いたいです。シン・ゴジラが完全にゴジラ映画を再構築してしまった後で、あるいはレジェンダリーピクチャーズがいかにも「CG大作」風のイメージを作り上げてしまった後で、それらのハードルをしっかりとクリアしつつ、この分野ではまだ誰も到達したことのないところまで、人間ドラマの領域に踏み込んでみせてくれました。『永遠の0』『アルキメデスの大戦』とも微妙な距離を保ちつつ。
そりゃ、正直言えば、見ながら「もっとセリフを絞ってくれたら!」とは思っちゃうんですけどね。
だけど、ゴジラと神木隆之介、絶対に成立しないと思われたダブル主演が、ここではどちらが折れることなく、その共演をちゃんと成立させている。国を護る、ということのヒロイズムと残酷さをも、両立させながら。
国を護ると言っても、それはもちろん、時の政府を護る、という意味では無くって(そういう意味での「国」に対しては佐々木蔵之介の口を通じ呪詛が並べ立てられる。ちょっとしゃべり過ぎか・・・)。神木隆之介演じる主人公には家庭があり、「妻」と「娘」がいるけれど、この3人には血縁も姻戚関係もない、いわば赤の他人の集まり。そういう仲間の集合体としての国を護りたい、護らねばならない、のだけど、実際に主人公を動かしているのは、かつて仲間を救えなかった罪の意識。自分は生きてていいのか、という後ろめたさ。ヒーローがヒーローとして死地に赴くのではない残酷さが、そこにはあります。マイナス1.0というタイトルのごとく、大戦を通じて負のエネルギーに支配されてしまったこの国、その呪縛から抜け出せるのかどうかが、呪縛を象徴するゴジラとの戦いを通じて描かれます。
戦後まもなくの、警察予備隊すらまだ無い頃。早くも始まった米ソ冷戦の兆しも物語に織り込み、戦後残されたわずかな軍艦(高雄、雪風…)や本土決戦用に温存された戦車でゴジラに立ち向かわざるを得ない、という設定が、作品のリアリティに繋がる以上に、悲壮感を感じさせます。さらに登場する、「あの」秘密兵器(隣の席で見ていた息子は、話の流れから「もしや登場か?」と予感してたらしく、覆いが外されるか外されないかのタイミングで早くもノケ反ってましたが)。
かつて仲間を救えず、ゴジラを見上げるしかなかった主人公は、ここではゴジラと肩を並べ、真っ向から立ち向かっていく。この場面、どこかの山間部みたいなところで、申し訳程度に散在するわずかな民家をゴジラが破壊してて、いかにも着ぐるみ撮影時代の「ゴジラあるある」なシーンになってますが、それも含め、味わいのある場面です。
佐藤直紀の音楽も魅力的ですが、ここぞという場面では定番の伊福部メロディが登場、特に例の「ゴジラ登場のモチーフ」はこれでもかとテンポが落とされて、ゴジラの威容とともに、見る者を圧倒します。
劇中、いくつか違和感を感じたような気もするけれど(銀座のシーンで突風の向きが逆になったような気がしたが、気のせい?あるいは理由あり? すみませんよくわからんかった)、忘れました。ははは。まあ、些細なことです。
鱗歌さん [映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 07:02:36)(良:2票)
9.《ネタバレ》 お気に入りの名監督、山崎貴がついに「ゴジラ」を手掛けた。お得意の特撮技術を駆使した映像と音響の迫力、しっかりしたストーリー、そしてお馴染みのあのオンガク。3拍子揃って「ゴジラ」シリーズでは最高級。オトナの色気ある浜辺美波、サザエさんカットもチャーミングやな。アイツの胸で泣かせてもらえるならオイラ頑張れるぜ、神木隆之介。俳優の人選配置も素晴らしい、さすがは山崎監督。良作。
獅子-平常心さん [映画館(邦画)] 7点(2023-11-04 03:16:24)(良:1票)
8.《ネタバレ》 【追加】---------------------------------------------------------------------------------------
ゴジラ-1.0/Cの鑑賞後にレビュー登録したけど、翌々日に何故か作品タイトルごとレビューも削除されてしまった。。。
なので、鑑賞記録として、その時のレビュー内容を記憶をたどりこちらに追記する。

マイナスカラーということで、単にカラーを白黒にしただけではないと思われる映像の見やすさと、モノクロならではの濃淡による映像の奥深さと、画面上から伝わる情報量の制限(絞り込まれる情報)から、こちらの集中力もおのずと高まる。単に怪獣映画としない人間ドラマも良。今回再認識したが、ゴジラの手の表情が実に素晴らしい。基本的にグーとパーしかないのだが、場面場面でのその手の動きが、ゴジラの気持ちを雄弁に語っていて、そこが着ぐるみゴジラでは表現できなかったストロングポイントだ。いやー、傑作はカラーでもモノクロでも面白い。最高!点数は変更なしで10点。
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「シン」で上がったハードルを超えてきたぞ!
ゴジラ自体(造形もろもろ)も良かったけど、テーマもストーリーも良かった。当然役者さんの熱演も素晴らしかった。
敷島のヘタレ具合に初めはイラっとしたが、帰国後の苦悩→希望→絶望→覚悟→再生が見事に演じられていた。
典子も初めは幼すぎる印象だったが、自然と敷島を包み込む母性溢れる存在になっていた。(生きているとは思ったけど、本当に生きていてよかった)
2人のわきを固める野田、秋津、水島、橘、澄子もそれぞれ役者さんがぴったり。
特に澄子はザ・近所のおばさんであり、それを演じる安藤サクラ、さすがです。(ラストで敷島をバシバシ叩く間合いは最高)
人間ドラマは、あれ以上に突っ込んで描いたら話がダレると感じる手前で止めて多くを描かず(最低限の情報のみ)、登場人物のバックグラウンドは観客の想像に任せてもらって良かった。
劇中のセリフもカッコいいというよりは、熱く心に響くものが多かった。

今回のゴジラは、随所でその動き(所作)がなんともカッコいい。
例えば、砲撃を受けて大きく後ろにのけぞるゴジラの上半身の動き、その反動に連動して大きく開く左右の腕の動き、すぐさま「なにうぉぉお!!!」と正面に向き直り、雄叫びあげて戦闘体勢を立て直しガン飛ばす動きなどなど、これまでの日本の歴代ゴジラ達が上半身がギブスで固定されて窮屈そうに硬直している感じ(あえて着ぐるみ感を意識していたのだろう)と違い、まるで人間の格闘家みたいな動き(反応というべきか)をするゴジラの躍動感が人間の恐怖と絶望を煽る。それに、なんと自然で美しい後回し蹴り(尾っぽ攻撃)でしょう。。。

また、口の中の機雷が爆発した時も、相手のパンチがクリーンヒットで顎に入って意識が刈り取られた・・・で、10カウント前に意識が戻り「ゲ、ヤバかった!」と復活したみたいな。
新しい熱線の放射スタイルとそのダメージを自分自身も受けるとか、深海に沈んだ時の「ぴきっ!」と動きが止まる瞬間とか、ああ、数え上げたら切りがない。
ゴジラを下から煽るように見せるカットは「シン」でもあったが、JAWSのように船を追いかけるゴジラの目線が人間と同じという場面も新鮮で面白かった。
当然ゴジラが可愛いわけもなく、造形はこれまでになく醜悪で狂暴になって戻って来た。だけど、動きが人ぽいところが何ともいい。
「シン」はドラマから人間味的なところは敢えて排除していたが、「ー1.0」は逆に人間を前面に出してきたけど、そこに古臭さがまったくない。
「シン」がゴジラの究極と思っていたが、まだまだ新しいゴジラが作れる可能性を感じた。楽しみが増えた。
リニアさん [映画館(邦画)] 10点(2023-11-04 03:09:39)(良:1票)
7.クレヨンしんちゃんの「おとな帝国」然り、これからのゴジラ映画の不幸はシン・ゴジラと比較されてしまう点にあると思います。
シンゴジが無ければ個人的には6点でした。VFXは本当にどれも素晴らしかった。ゴジラが怖くて気持ち悪い。一作目のリスペクトもあり、ラストの作戦もドキドキ冷や冷やさせられたのでそこだけ5点を献上します。

ただ不安視していた山崎流の猛烈な説明台詞と歯が浮くような演出はやはり健在。プランAがダメならBがある!(からのBの詳細すぎる説明)→あぁ、Bまでしっかりやるんだろうな、とか飛行機整備時のヒソヒソ話→まぁ…でしょうね、とか挙げ出したらキリがない。ラストの件も「んなアホな!」と笑ってしまいました。
ギャレス監督が本作をベタ褒めしてくれるCMが上映前に流れてましたが、ギャレゴジから拝借したシーンも相当ある様な…。
神木君は嫌いじゃないけど本作には合ってない感じがするな。あと、三丁目と被るキャラ設定はやめてくれませんかね。ギャグ(?)が全く笑えない等々。
でもよく考えればゴジラって本来こんなシリーズだったかな…そんなところで個人的には観るのは一度で充分です。一点、女の子が出てくるのですが演技が本当に見事でした。一瞬、この子は白組作のAI?と疑ってしまったほど。エライ時代になったものです。
Kの紅茶さん [映画館(邦画)] 5点(2023-11-04 00:52:14)
6.《ネタバレ》 幼少期はゴジラで育ったといっても過言ではないので、新作も初日に見入ってきました。
まず総評から、十分面白かったんだけど、ここ最近のゴジラ作品の中では【ゴジラ キング・オブ・モンスターズ】には届かなかった、というのが正直な感想です。
人間ドラマが私には全く面白く無かったんです。湿っぽく鬱鬱とした展開が続くだけならまだしも、会話劇が面白くない、のに結構比重が置かれています。これはゴジラ映画ならよくある話かもしれませんが、もうちょっとカットできなかったのかな…個人的には人間ドラマが長すぎる…観たいのはゴジラなんだよっ!って感じ。(その中で佐々木蔵之介だけは演技力が一つ抜けていたように思います)
映像美は想像以上に素晴らしく、日本を舞台に暴れてくれる感じがとっても良かったです。やっぱりゴジラは、昭和の街並みが一番マッチするんですよね(思い出補正も入ってますが)。高雄との戦闘前後なんかは、とにかく素晴らしかった。見せ方はハリウッドにも全然負けてませんでしたね!(演出は大分ハリウッドを意識している感じは受けました。)
GHQは冷戦下でソ連軍を刺激しないために軍事行動は行わない云々とありましたが、現実では、この問題を口実に内政干渉してくる、と個人的には思うのでこの辺りはちょっとしっくりこなかったです。あと、ゴジラは反戦で全然良いと思うのですが、山崎貴の政治観がスッケスケで見えちゃってるレベルなので、この点も単純なエンタメ映画として楽しみきれなかったかなぁと思います。端的に言えば、「キング・オブ・モンスターズ」のドハティ監督は、もうこれでもか!ってぐらい怪獣愛に溢れていたのが心地よかった、ゴジラを描くことが目的なんだとストレートに伝わってきた。今作の山崎監督作品は、ゴジラはあくまで手段で、その裏のメッセージ性が、監督の思いが伝わってきて、あぁゴジラを描くことが一番(目的)じゃないんだな、と思ちゃったんですよね。
でも舞台設定は本当に良かったので、エンタメ全振りで、昭和の日本を舞台に、久しぶりに日本製の<VSモノ>が見たい!と切に思わせてくれた映画でした、 <地球最大の決戦>みたいな。あっ、あと伊福部昭先生の曲はもっともっとたくさん素晴らしいものがあるので、ふんだんに使って、これぞ日本のゴジラというのが観てみたいです。ゴジラと伊福部昭曲はセットなのです。(個人的は希望をつらつらと失礼しました…)
はりねずみさん [映画館(邦画)] 6点(2023-11-03 20:02:33)(良:1票)
5.《ネタバレ》 非常に力作。1960~70年代の東宝特撮映画は怪獣物と戦記物の二本柱だったが、本作はその二つが合わさったような作品。細かな設定に突っ込みどころがないわけではないが、ストーリーに没入して観ることができ、特に後半は演出やリズムに隙が感じられず見事。
時代設定、戦争の影が残る話、銀座襲撃等初代ゴジラとどこか少し似た匂いがあるが、震電、雪風、響、高雄、商船隊等の奮戦はこの国の末裔として涙なくしては観られなかった。
雪風と響がワイヤを引きぶつかりながら擦れ違うシーンは「太平洋奇跡の作戦キスカ」で阿武隈が陸沿いギリギリを擦りながら航行する場面を彷彿とさせた。配役田中美央もちょっと田崎淳を意識したか。
クリプトポネさん [映画館(邦画)] 7点(2023-11-03 19:59:25)
4.《ネタバレ》 期待通りの出来でした。製作費の関係でよく見えない夜間が多い
怪獣映画が多い中で、夜間が少なく好感を持てました。
SFXは洋画に比べ低予算の中、本当によく頑張ってます。
今回は、スポーツジムで鍛えたかのようなマッチョな怖いゴジラでした。
ウルトラQのぺギラのようなストーリーかなと思っていましたが、
まあ、その線でしたね。少しひねりを加えて伏線回収でした。
反戦映画で、ちょうどある意味タイムリーでした。
イスラエル、パレスチナ、ロシア、ウクライナの人にぜひ見てもらいたいです。
生きていたら何とかなるというメッセージ性も込められてます。
ともかく、日本が誇れる怪獣エンターテイメントですね。
SHOGOさん [映画館(邦画)] 9点(2023-11-03 18:48:33)(良:1票)
3.《ネタバレ》 『シン』が良くも悪くもアニメ(エヴァ)的な演出を取り入れたエンタメ要素が強かったのに対して、本作はゴジラ初登場時の演出や、人間が虐殺されてくシーンをまじまじと見せ付けたりと、初代の頃のようなパニック・ホラー的な要素を強めた印象。
他にも『シン』では個よりも組織としての動きが多かったのに対し、本作では主人公にスポットライトを当てる比重が高く、タイトルの『-1.0』も、戦後0になった日本をゴジラがマイナスに引きずり込むだけではなく、戦争で心に深い傷を負った(マイナス)主人公がなんとか0へ、そしてプラスへと生きようとするたびにマイナスに戻そうとする苦難(ゴジラもその一つ)が立ちはだかり、それに足掻く姿は面白いストーリーだった。
上述したほかにも色々な部分で『シン』と差別化がされており(狙ったわけではないと思うが)、『ゴジラしか怪獣が出ない映画』であってもかなり毛色が違っていて楽しめた。
CGの出来も素晴らしく、何より散々ゴジラシリーズで言われていた『ゴジラのタフネスは異常な回復能力が起因』と言う設定がしっかり演出されていたのはファンとして嬉しかった。
ただ平成VSシリーズでそだった自分としては、『シン』以上にすくない戦闘シーンや強敵の不在はいささかマンネリ感を覚えてしまったのも事実で、そろそろアメリカではなく、国産のモスラやメカコジラをみたいと言うのが本音。
ムランさん [映画館(邦画)] 8点(2023-11-03 15:23:10)
2.《ネタバレ》 見る前は舞台を戦後直後に設定したと聞き、シン・ゴジラの現代兵器でやっと倒せたのに第二次大戦の兵器でどうやってゴジラを倒すのかが気になっていましたが、今回のゴジラはシン・ゴジラとは違う(生物の)ゴジラだと感じたので、納得のいく戦法だったと思いました。シン・ゴジラとの比較ばかりで申し訳ありませんが、シン・ゴジラはストーリー(ドラマ)はあってないようなもので状況の描写がメインの映画でしたが、今回のゴジラ-1.0はドラマ部分がとてもよかったと思います。神木隆之介と浜辺美波に安藤サクラという出演者のドラマパートなので朝ドラを見ているようでした(ほめてます)。結果的にドラマ部分とアクション部分がいいバランスになっていると思いました。点数としては9点でもいいと思いましたが、シン・ゴジラを見たときほどの衝撃はなかったので8点としました。でもそれはVFXのレベルが高いからだと思います。
MASSさん [映画館(邦画)] 8点(2023-11-03 14:44:14)(良:1票)
1.ゴジラの大ファン。
特に一作目は幾度も観直し、尊敬しています。

そんなファンの期待どおり、音楽音響ひびく中にゴジラは現れる。
もう至福のひと時です、最高やなぁ♪
泳ぎ暴れるスピードすごく迫力満点。
複雑な動き切れ味よく、海面の水しぶきも美しい。
ごろんとした頭、自慢の背ビレも光って印象的。
こういうゴジラを見たかった。

お話しももしっかりしており、特撮物の弱点ストーリー、今回は素晴らしかったと拍手。
人間をリアルに描いた事では一作目のゴジラを超えたと思う。
脚本に感心できるなんて、ゴジラの歴史に大きな一歩を刻んだと思う。

戦後の街並みや衣装メークのリアリティもうならされた。
空襲された家やかっぽうぎの婦人など、その時代を大いに感じられた。
神木さん演じる敷島の葛藤の演技も実に見事だった。

他の作品では女優さんが今風の美人で、浮いていて、時代に溶け込んでいない時が良くある。
本作では浜辺さんのメークや衣装、演技も昭和20年代に溶け込んで説得力があった。

そして戦闘機、軍用艦、木船、戦車、トラック、計測機器などサビてて味があってくすんでいて。
どこをとっても見応え満載。
メカ大好きな私も大満足の力作。

上映時間も長すぎず丁度良かった。

ゴジラの響きが心地よい、劇場で幾度も観たい名作。
たんぽぽさん [映画館(邦画)] 10点(2023-11-03 14:20:44)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 115人
平均点数 7.19点
010.87%
110.87%
210.87%
332.61%
454.35%
565.22%
62017.39%
72420.87%
82219.13%
91916.52%
101311.30%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.78点 Review14人
2 ストーリー評価 7.77点 Review22人
3 鑑賞後の後味 7.72点 Review22人
4 音楽評価 8.22点 Review22人
5 感泣評価 7.22点 Review22人
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【アカデミー賞 情報】

2023年 96回
視覚効果賞山崎貴受賞 
視覚効果賞渋谷紀世子受賞 

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