コッポラの胡蝶の夢のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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コッポラの胡蝶の夢

[コッポラノコチョウノユメ]
Youth Without Youth
2007年ルーマニア上映時間:124分
平均点:6.67 / 10(Review 12人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-08-30)
ドラマサスペンスロマンス小説の映画化
新規登録(2008-06-16)【ミスター・グレイ】さん
タイトル情報更新(2023-04-07)【イニシャルK】さん
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監督フランシス・フォード・コッポラ
助監督ロマン・コッポラ(第2班監督)
演出伊達康将(日本語吹き替え版)
キャストティム・ロス(男優)言語学者 ドミニク・マテイ
アレクサンドラ・マリア・ララ(女優)ヴェロニカ / ラウラ
ブルーノ・ガンツ(男優)医師 スタンチュレスク教授
マーセル・ユーレス(男優)ジュゼッペ・トゥッチ教授
マット・デイモン(男優)「ライフ」誌の特派員(ノンクレジット)
アナマリア・マリンカ(女優)フロントの女性
内田直哉(日本語吹き替え版)
木下紗華(日本語吹き替え版)
辻親八(日本語吹き替え版)
脚本フランシス・フォード・コッポラ
撮影ミハイ・マライメア・Jr
製作フランシス・フォード・コッポラ
製作総指揮フレッド・ルース
編集ウォルター・マーチ
録音ウォルター・マーチ
字幕翻訳戸田奈津子
あらすじ
一生を東洋の古典語の習得に捧げて言語の起源に迫ろうとして老境に達したドミニクは華やいだ経験がなかったこと人生の目的を果たせなかったことを後悔していたが、ある日街中で雷に打たれ、気づくと満身創痍で病院のベッドに横たわって記憶を部分的に失っていた。精神科医に思い出せる記憶内容の生年を告げたが、周囲の看護師は彼が告げた年の70歳を信じない。やがてドミニクは心身ともに37歳の研究者としてナチスの秘密警察に訳も分からずに追われながらも正常に生活するようになるが、戦後のある日、山で昔の恋人に似た若い女性のヴェロニカと知り合う。遭難した彼女を洞窟の中で発見した時、彼女は「わたしは預言者の弟子だ。」とインド古語のサンスクリット語で口走っていた。ヴェロニカの理解者としてドミニクは彼女に密着した夢のような生活を始めるのだが。。。
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1
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12.《ネタバレ》 てっきり本作がコッポラの最新で最後の監督作だと思っていたんですけど、よく見るとこの後に話題にもならなかった小品を二作監督していたんですね(もっとも十年近く前になりますが)。でも正直コッポラは本作を遺言作みたいにして、ここで監督業から引退した方が良かったと言えるほど、全編に人生に対する諦観を感じさせてくれます。ほぼ同年代のスコセッシがいまだに脂ぎった映画を創り続けているのとは対照的で、親子三代と甥で7個もオスカーを獲得し何度も破産を乗り越えてきたコッポラには自分の人生も邯鄲の枕だったんじゃないかという心境にすでになっているのかもしれません。ストーリーラインはなんか『プラーグの大学生』と『ある日どこかで』をミックスしたような感じです。ヴェロニカがサンスクリット語や古代エジプト語を喋りだすあたりからちょっとわけが判らないストーリー展開のような気もします。ヴェロニカがラウラの転生だということはしっくりきますが、ヴェロニカが雷に打たれて古代インド人の女性の生まれ変わりになってサンスクリット語で話し出すと、ストーリーとしては飛躍しすぎという感もあります。そしてドミニクと彼のドッペルゲンガーが核兵器について議論する件には、ちょっとコッポラの趣味が強すぎるなと感じてしまいました。できればとことん掘り下げて言語の根源というか始祖までたどる大風呂敷を広げてくれたら面白かったんじゃないでしょうか。そうなるとバベルの塔のお話しになっちゃうのかな。 「コッポラ、老いたな」というのが正直な感想ですが、彼が得意の映像美だけはまったく衰えていないのが救いでした。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-08-10 23:36:44)
11.《ネタバレ》 レビューが少ないのはなかなか理解、評価が難しいからかも知れません。やや大胆な解釈ですが、私はこの作品はコッポラ流の世界における「真善美」の表現であったように感じました。奇才スタンリー・キューブリックは、真善美の意味を映画「バリー・リンドン」で真(宗教)、善(バリーの生き方)、美(映像)という形で表現したと解釈しているのですが、コッポラは真(ドミニクが追求した学問)、善(人類が核戦争で滅びて新しい人類となってより高いステージに上るという未来予知を伝えるべきかで悩む)、美(ラウラ、ヴェロニカへの愛情)という内容を描いているように思います。
 真を追求する学問については、ドミニクは言語の起源、紀元前のエジプト、インカ、メソポタミアなどの言語まで理解するに至り、もう少しで自分の研究を極める所まで行きますが、ヴェロニカへの愛情(美)を優先させることで断念します。
 善については、ドミニクは未来を正確に予知する能力を得て、人類の未来を解読不能な文字で記述し、某所に保管します。これは未だに解読不能とされる奇書「ヴォイニッチ手稿」を連想させる描写ですが、人類が核戦争で一度滅びて新しい人類に昇華するという未来を「進化のために善である」という自分と、「多くの罪のない人が死ぬ事は善ではない」というもう一人の自分の板挟みにあって悩み、結局答えは出ずに終わります。「善」とは移ろいやすい物という結論なのでしょう。
 しかし美についてはキューブリック同様「変わらない物」「真よりも優先される物」としてコッポラはとらえたように思います。ラウラを思い続け、ヴェロニカへの愛情で学問を捨てるという決断、雪の中で息絶えたドミニクの安らかな瞳は、「胡蝶の夢」の如く夢と現実を行き来しながらも、美を追求できたという満足を表していたように感じました。
rakitarouさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-07 18:46:47)
10.《ネタバレ》 邦題の「胡蝶の夢」というタイトルよりも「邯鄲の夢」と言うタイトルが相応しいと思える内容ですが、高校の漢文の授業を思い出してもらっては困るのでこのようにしたようです。と言っても正式な邦題も中国の古典である「壮子」、直接的には作品の最後の方でのドミニクと同僚らしい年配者との集いでの会話から来ています。老子と並ぶ道教の思想家である壮子は西欧の芸術家に多大な影響を与えました。わたしが知る限りではメキシコ人ノーベル賞詩人兼哲学者でスペイン語圏に俳句を導入したオクタヴィオ・パスが「胡蝶の夢」というタイトルの詩を書いていたはずですで監督のコッポラも壮子の胡蝶と邯鄲の故事の両方を知らなかったはずはありません。そして中国語の習得に励むドミニクが書いた最後の漢字は「未熟、無知」を表す「蒙」です。それはいいとして、中盤からドミニクがナチスの秘密警察に追われるようになった経緯はよく耳を傾けたのですがわかりませんでした。ストーリーはハンガリーの首都のブダペストで始まり。ドミニクは精神科医の助けで中立国スイスに逃げ、そこで戦後になってヴェロニカと出会うのだと思うのですが、間違っていたらごめんなさい。でも今回2度目となる鑑賞ではそれらはどうでもいいことだとわかっていました。ただ、東欧の良識ある人々にとって、特に第一次世界大戦終結までオーストリアと同じ君主を元首として戴いていた独立国のハンガリーにとって、1939年にオーストリアがナチスソイツに無血併合されたことは悪夢のような出来事だったに違いなく、第二次世界大戦後そのままソビエト連邦の傘下に入ったこともまた然りだったということは記憶に留めないといけません。この作品が制作されたのはベルリンの壁が崩壊して9年後ですが、ナチスドイツとソ連の支配下から脱することができた東欧の人々はこの頃ようやく自分の頬をつねっては「醒めない悪夢はないのね。」と呟き始めたのではないでしょうか? バルカン半島だけは1984年に自由ろ繁栄を謳歌する冬季オリンピックを主催した後で民族抗争の嵐に見舞われ、10年後のオリンピックの開会式で黙祷が捧げられたことを鮮明に記憶しています。醒めない悪夢がないなら醒めない甘い夢もないということなのでしょうか。。。これを書いている現在、わたしが住む街ニューヨークでは伝染病が猛威をふるい、第二次世界大戦後に国際平和の実現のために設立された国連の事務総長が(おそらく)ニューヨークから「人類の敵であるウイルスと戦うために世界中の全ての紛争を停止せよ!」という号令を発しました。戦争の脅威は死と破壊ですが、死と経済衰退という脅威を目下人類に与え続けている伝染病が「醒めない悪夢は本当にないんだね。」とみんなが思えるような形で収束し、全ての人類が地球に生まれて良かったと思えるような思い出とともに人生を全うできるといいです。
かわまりさん [DVD(字幕)] 8点(2020-04-12 09:19:04)
9.複雑で分かりにくい映画なのかな~、と思って観始めたが結構すんなると物語に入っていけた。
映像もキレイだし、進行はそれなりに分かりやすい。
でもコッポラが何を言いたかったかは難しい。結局全ては夢のようであり現実であり、そして絶対的な価値観は矛盾とともに実現することが出来ず...今はそういった解釈で捕らえたが、それもどうか分からない。
思ったよりは面白いが、後味は微妙な作品。
simpleさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-11 18:02:35)
8.物足りなさを感じつつ終わりました。しかし、能力だけみるとなんともうらやましいものが身につきますな、本を読んだり、多言語が話せたり、若返ったり(歯は総とっかえ!)ドミニクには。。。切なくて悲しいのですが、うらやましいのです。
HRM36さん [DVD(字幕)] 6点(2011-06-13 13:49:39)
7.映像がとにかく美しい。夜道が青い画調の中で光り輝くシーンの美しいこと。時代を感じさせるくすんだ色も素晴らしい。暗闇とソフト帽がノワールの香りを、幻想的なストーリーと静かな語り口が文学の香りを発散する。セピア色に映える女優の顔は美しさと儚さを演出する。色調にはかなりの拘りを感じる。どこからも詮索されない環境で作るとこんなのが出来ちゃうのかという驚きと納得。かといって自己満足にかたよりすぎずにちゃんと「見せる」映画に仕上げているのは娯楽の王道のトップを走ってきたコッポラゆえか。素晴らしいです。
R&Aさん [DVD(字幕)] 7点(2011-04-14 16:33:18)
6.《ネタバレ》 ヒモの干渉を嫌ったコッポラが、私費を投じて製作したという。…すると、コッポラ作への出演を熱望していたティム・ロスを起用した意味がわかるような気がしてくる。…たっぷりギャラが払えるならば、ティム・ロスを使わなかったと思うのだ。
なにやら難解に思えるお話だが、若き日のドミニクが追求していた「言語の起源」「人間の意識」「時間の概念」というテーマを、1938年以降のドミニクの人生にそのまんま絡めていったようなストーリー。夢オチか?という期待は、ラストのホテルフロントの電話とパスポートの中味を見せることで否定される。わざわざ。そう、わざわざ否定することによって、この作品についてはどこらへんが夢でどこらへんが現実だったのか、とか、チマチマ考えても意味がない、ということにもなります。事実の整合性を保つことは目的とされていません。謎解きをする映画ではないです。
そこで、謎解き以外に映画としての魅力は何になるのか、と考えてみるに、これはもう、ドミニク役の役者さんにホレるしかありません。いろんな意味で、ドミニクにホレるしか。ドミニクと共に泣き、ドミニクと共に不安に震え、ドミニクと共に不可思議な物語を歩む。
ところが、主役は誰だ。ティム・ロスだ。
観客はティム・ロスに2時間も恋ができますか。
身長とか体格のことを言っているのではなくて、基本的に主役を張る俳優さんではないと思う。カレは「2時間恋ができるか」という条件を満たさないんだから。
で、私はドミニクをスティーブ・ブシェーミにやって欲しかったと思うのです。
なんとなくキャラがかぶっている感じでロスのライバルであるブシェーミ、彼なら2時間は長くなかった。ラウラ=ヴェロニカ役の女優が無名であっても、ブシェーミなら私は泣けたかもしれない。
主役選びを間違えてはいけないという見本のような映画です。〝主役に恋する〟は〝上手い〟かどうかと関係ないんです(ブシェーミはもちろん上手いですけど)。
〝みんなが心配している問題〟とは〝人類の叡智を善悪のどちらに使うか〟ですね。
パブロン中毒さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-05-24 15:31:05)(良:1票)
5.《ネタバレ》 邦題の通りと解釈しました。リンチよりはまだわかりやすかったような。言語を題材にしていたのは良。確かに言葉ってのは考えれば考えるほど不思議だよなあ。
すたーちゃいるどさん [DVD(字幕)] 7点(2009-11-29 23:13:20)
4.《ネタバレ》 一瞬リンチかっ?と思うような、時間や意識が混沌とした世界・・・「老い」とは?・・を中心に、時間、言語、哲学などさまざまな根本的テーマが絡んで、かなり大風呂敷にひろげられています。SFとかファンタジーとかくくれない感じで、今までにないものを追求し、創りだそうというアーティストとしての姿勢が、さすがコッポラと感じました。わかりにくいところもありますが、不思議が不思議のまま進んでいく感じは、幻想文学のようで嫌いじゃないです。浦島太朗的なラスト・・・しかし偽造パスポートはそこにありました。3つめの薔薇にはどんな意味がこめられているのでしょうか?
ETNAさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-11-09 17:28:14)(良:1票)
3.ティム・ロスの演技は上手いし、面白かったけど、結局何やったんやろうか。
ケンジさん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2009-05-25 20:35:02)
2.《ネタバレ》 「レイン・メーカー」以来10年ぶりとなるコッポラ監督の最新作ということで、私も期待と不安を抱きながらも興味深く拝見していたのですが、、、、。どうなんでしょう。鑑賞しながら思った事は、これは果たして「円熟」なのかそれとも「衰退」なのか、ということ。いろいろ考えていたんですけど、おそらく、コッポラ監督は一人の人間としては円熟したのだろうが、映画監督としては衰退したんじゃないだろうか。それと一人の作家として、「過去と同じことをやっても意味がない」という思いもおそらくあったんだろうと思います。ただ、多くのコッポラファンは、こういうものは求めていないんじゃないだろうか、、、、。やたらと形而上学的な難解さが付きまとった作品で解釈するのがなかなか難しいんですけど、それでもなお一言で言い表そうとするなら、おそらく「愛は永遠なり」ということじゃないかな。肉体とか歴史とか言語といったものは俗世的で可変的なものですけど、言語学者の主人公が追い求める「言語の起源の追求」というのは、いわば永遠なるもの、不変的なものを知りたいという欲求なんじゃなかろうか。俗世的なもの可変的なものを用いることで永遠なるもの、不変的なものを知ろうとする。その永遠なるものは何かと言ったら、やはり愛だったんじゃなかろうか。
あろえりーなさん [DVD(字幕)] 6点(2009-03-29 00:56:26)(良:1票)
1.一風変わった感じのする幻想的な世界が投影されており、その辺りはいかにも〝映画〟なのですが、コッポラ監督が一体何を言いたいのかいまいち良く分からなかったですし(夢幻世界の時点でもはやそこに明確なメッセージ性など存在しないのかもしれませんが)、また夢の世界では天地を逆転させていることなども面白い事とは思えません。例えば、ティム・ロスが夜道でナチス軍の研究医?に襲われるシーンなどはフィルム・ノワールを彷彿させるような雰囲気がある上に、青白い光が不気味ながらに美しく神秘的でなかなか良いのですが…そもそもお話自体が妙に哲学的で退屈であり、幻想譚の映像美が全体的にはいささか面白味に欠けているように思えます。ただ、最近のハリウッド映画などの作風とは明らかに一線を画しており何となく後に残る感じはします。特に印象的なのは、異世界のように鏡を使ったティム・ロスの分裂と彼の吸う限りなく短いタバコの煙が幻のような感じをさせるシーンと、ナチスの女との情事、それにやたら美しく見えたヴェロニカです。特に彼女の初登場の時、ティムにかけた声の鮮烈さは素晴らしく夢見心地のボンヤリ感から目覚めさせてくれます。
ミスター・グレイさん [映画館(字幕)] 7点(2008-09-20 17:48:02)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 12人
平均点数 6.67点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
518.33%
6325.00%
7758.33%
818.33%
900.00%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 8.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 9.00点 Review1人
4 音楽評価 9.00点 Review1人
5 感泣評価 8.00点 Review1人
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