三里塚・岩山に鉄塔が出来たのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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三里塚・岩山に鉄塔が出来た

[サンリヅカイワヤマニテットウガデキタ]
1972年上映時間:85分
平均点:8.00 / 10(Review 1人) (点数分布表示)
公開開始日(1972-10-29)
ドキュメンタリーシリーズものモノクロ映画
新規登録(2010-01-16)【なんのかんの】さん
タイトル情報更新(2010-01-23)【イニシャルK】さん
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監督小川紳介
撮影田村正毅
川上皓市(撮影助手)
製作飯塚俊男
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1.この第5作は、シリーズの要をなす二本の大作にはさまれた地味な作品だが、小川の作品群を並べてみたとき、一つの曲がり角になる貴重な映画になっていると思う。この映画は一種のネガだ。滑走路を使えなくさせるための鉄塔を建てる、その技能を感嘆しながら記録したドキュメントで、だから本作で意識されるのは、ポッカリと中心に空洞ができたかのように感じられる農業技術の不在なのだ。今まで土地に根差し下へ下へと向いていた反対闘争のエネルギーが、ここで上を向く。大地の上で戦えなくなった農民たちが空中に鉄塔を目指すとき、今まで蓄積してきた技術はほとんど役に立たない。支援の若い棟梁に任せるしかない。農民はワイヤーを固定する作業でしか土と接することができないのだ。最初のほうに集会の場面がある。航空法に違反する鉄塔建てるとかえって当局に手を出しやすくさせてしまうのではないか、という考えが出ての論議。そのなかで青年行動隊の一人が、そんなことになるんだったら俺は何で今まで危ない思いして鉄塔作り手伝ってたんだよ、と泣き出しながら怒り出す。さかんに、バカヤロー、と繰り返しながら、しかし憤懣をうまく表現し切れずに苛立つ。このシーンは印象深い。この鬱屈を包む仲間の農民たちも、重い沈黙でどこか彼の気分に共鳴しているところがあるのだ。鉄塔が最後の抵抗であることは分かるが、そういう手段に漠然と感じる違和感、自分たちの生活と異なる場に移ってしまった反対運動の手応えの不確かさ。しかしそれに替わるものが何も見当たらない…。この農民と対照的にカメラが生き生きと追うのは、鉄塔を建てているトビの若者たちだ。自分たちの技能をフルに生かして何かを作り上げることの充足感。小川はこの対比を的確に捉えた。小川の労働観が明確に見えた最初の作品として、本作は位置づけられよう。やがて、そのように働く喜びを奪われてしまった人々のルポとして『どっこい!人間節』(編集)が作られ、そのように働く喜びを理想的に生み出している記録として『クリーンセンター訪問記』が撮影されていく。それにしても本作、鉄塔からの撮影は大変だったのではないか。観ていて足がすくむ。こんなにも高く、こんなにも農地から離れたところまで来てしまったのか、という感慨があるからだろう。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 8点(2010-01-22 12:18:22)
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【点数情報】

Review人数 1人
平均点数 8.00点
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600.00%
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81100.00%
900.00%
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