1. 拳銃魔(1949)
《ネタバレ》 冒頭シーンから異様な緊張感で掴みはOK。幼少時から拳銃大好きでヒヨコ殺しのトラウマから殺生はしないと固く誓ったバート。彼の人となりが端的に示される演出も良。旧友二人と行ったカーニバルで出会ったローリー。愛情ではなくバートに寄生する究極のファムファタールだった。こんな事ではいけないと分かっていても純粋な愛情から抗えず泥沼にはまって行き予想通りの結末を見せた起承転結は、脚本(ダルトン・トランボが赤狩り最中で名義を借りたそう)、主演二人の迫真の演技、迫力満点なカメラワーク、による怒濤の展開で87分あっという間。バートが初めて殺生するラストシーンがやるせなく深い余韻を残します。 低予算B級作品ということですが、本作は低予算でも特A級傑作ノワールです。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-05-07 22:54:15) |
2. 拳銃王
《ネタバレ》 お目当てカール・マルデンは酒場の主人を彼らしい実直さで好演。モッサリした邦題からグレゴリー・ペックの大暴れを想像していましたが、真逆の静謐な人間ドラマでした。「お前だけ幸せに暮らせると思うなよ」声なき声が聞こえてくる最期が切なくて堪りません。傑作西部劇にして忘れじの逸品。 [DVD(字幕)] 9点(2018-09-07 17:33:06) |
3. 刑事コロンボ/別れのワイン<TVM>
コロンボシリーズは、子供の頃放送が楽しみで欠かさず観ていました。毎回、犯人を応援していたのは言うまでもありません。この作品は犯人がワインを海に投げ捨てるシーンが強烈に印象に残っていました。30年振り位に観ました。何時もの、芒洋とした姿で覆い隠した、深い洞察力と権威に臆することの無い強靭な意志で犯人に食らい付いてゆくコロンボとは趣きが異なっています。人生でワインしか愛せなく、愛するものを守るため凶行に走ってしまったエイドリアンを見つめる眼差しに思いやりと敬意、悲しみを感じました。エイドリアンの完全犯罪の破綻がワインであるのも自縄自縛とはいえ悲しいです。コロンボの「自供してくれますね」「なによりも嬉しいお褒めの言葉です」には酔いしれました。上質なワインのように味わい深く、心地良い余韻が残る素晴らしい作品に乾杯。 9点(2004-12-09 17:02:51)(良:3票) |
4. 月光の女
ベティ・デイヴィス持ち味全開、身勝手な保身の為目を剥いてペラッペラ喋り倒す嫌らしさは通常の2割増しといったところ。ただ、意外性が無い想像通りの展開になるのはミスキャストとも思えます。お目当てハーバート・マーシャルの哀れな旦那さんに最近立て続けの「しっかりせんかい!」 悪女をたじろがせるゲイル・ソンダーガードの特筆もののド迫力に上には上があるものだと感心しきり。この演出演技は凄い。 短い尺ながら業の深さが浮き彫りとなる結末に至る見応え十二分、流石の巨匠作と呼べる秀作です。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-07-19 16:07:19) |
5. 決断の3時10分
終始物静かなベンは西部劇悪漢キャラらしからぬ存在。ダンの心を見透かすように金で釣ろうとするネチネチぶりに血圧が上がる。甲斐性なしを突かれて金に転びそうになるダンを応援し続けて血圧が上がる「踏ん張れ!」 グレン・フォード、ヴァン・ヘフリンのキャスティングが絶妙 力が入りっ放しの展開を経た結末に釈然としないものを感じていたものがラストショットに消し飛んでしまった。乾いた心にまで沁み入ってくる雨模様が絶品。 異色であり上質の西部劇を堪能しました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-06-10 22:04:53) |
6. ゲティ家の身代金
緊急登板による9日間の追加撮影で金しか愛せない守銭奴ジャン・ポール・ゲティを表現したクリストファー・プラマーに拍手喝采。「巨大な敵と闘っている」ミシェル・ウィリアムズの好演も印象深い。今一つ華に欠けたマーク・ウォールバーグに代わってコリン・ファースをキャスティングして欲しかったなぁ。 [DVD(字幕)] 8点(2019-04-29 01:59:38) |
7. 消された証人
物語の9割方が証人、検事、刑事の描写である毛色の変わったギャング映画。証人と刑事の心模様の推移はなかなか見応えがありました。特筆すべきは検事を演ずるエドワード・G・ロビンソン。控えめな役柄であっても一本筋が通った姿は圧倒的な存在感で始終目が釘付けでした。内通者が誰かを悟ったシーンは10回くらい見直してしまいました。後味の良い結末は爽快感がありました。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-26 00:48:04) |
8. 刑事コロンボ/魔術師の幻想<TVM>
犯人を心底応援し、観念に心底悲しみ、警部に心底毒づいたことをはじめ、小学生時分の記憶が最も多く残っている作品です。年数を経て、警部に対する考えは変わりました。しかしジャック・キャシディがシリーズ中最上の犯人役である考えは変わらないものでした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-06-23 04:31:01) |
9. 刑事コロンボ/第三の終章<TVM>
犯人の悪巧みの見事さはシリーズでも屈指です。故に、完全犯罪成功への最後の一歩を踏ませない警部の敏腕さをとりわけ感じる作品です。お見事としか言いようがないです。また、チリ代金にたまげるレストランでの一連の様子に、その有能さを出世の為に使う気は毛頭ない人柄が伺えます。子供の頃は大嫌いだった警部、今は大好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-06-07 03:16:32) |
10. 刑事コロンボ/ビデオテープの証言<TVM>
テープを使ったトリックはテープが致命傷となる事は想像がつき、警部と共に私も両画面に目を凝らしましたがわかりません。観終わって犯行後の部分を再度確認すると確かにソレを持って出かけています。妻が椅子の上に見えた物の件と併せて理詰めな警部の思考に今更ながら感心させられます。今作のお目当て、私の敬愛するジーナ・ローランズは、やはり気品が漂っており圧巻のラストシーンに流石と満足しました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-05-11 02:26:06) |
11. 刑事コロンボ/殺しの序曲<TVM>
《ネタバレ》 今作で「頭が良い事」について考えさせられました。IQだけで頭の良さのみならず人間の優劣も測り常に他人を見下す犯人が、刑事になった経緯を語る警部との最後の対決で、我を忘れて口走ってしまった事に、一瞬「こんな事が起こり得るのか」とあっけにとられましたが、頭の良さの質の違いがもたらした結末なのだと納得しました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-05-10 02:26:16) |
12. 訣別の街
《ネタバレ》 どんな世界でも若い駆け出しの頃は、理想に燃え夢を抱くものだが地位が上になればなるほど、清濁併せ呑む事が必要となってくる。超えてはならない一線を超えてしまい、息子のように思う補佐官から引導を渡され、もはやこれまでと腹を括った市長。ラストのパチーノは圧巻で台詞の一つ一つが心に残る。補佐官は今後どのような政治家になるのだろうか。自分はパチーノの抱擁シーンが好きだけれども、この作品のジョン・キューザックとのシーンが一番好き。ミュージカル大好きのアンセルモ役のダニー・アイエロも素晴らしく、地味だけれども見応えのある作品。 8点(2004-04-01 00:13:23) |
13. 拳銃貸します
良質な脚本、切れ味鋭い展開、滑らかなカメラワーク。フィルムノワールの秀作ですが傑作と言えないのが残念。アラン・ラッドは端正ではあるものの、アラン・ドロン程に突き抜けたものが無いのがとても歯痒い。超ヘンテコな邦題、つけた人に理由を聞いてみたいものです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-18 00:18:19) |
14. 激怒(1936)
《ネタバレ》 拘置所前の群衆に集団心理の恐ろしさに息を呑むものの、その先の暴挙は現実離れにも程があるものでかえって白けてしまい、あそこから生還できたというのも無理筋で興に乗れません。犯人が特定されないと高をくくっていたゲス共の顔が防犯カメラ以上に鮮明に映っているのに胸のすく思いに。この演出は見事。この先建設的に生きようとする決断は納得させられるが、監督らしからぬものを感じモヤモヤが残る事に。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-31 23:58:25) |
15. 刑事コロンボ/構想の死角<TVM>
ただただ、ジャック・キャシディを堪能する作品です。自信に裏打ちされたエレガントな立居振舞と語り口、冷酷非情な凶悪さを併せ持っている事を示す彼の眼に俳優の凄みを感じ、惹かれて止みません。軍門に下る姿も彼らしいので、その決め手が極めて弱い点が何とも惜しいです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-09 01:24:03)(良:1票) |
16. 刑事コロンボ/指輪の爪あと<TVM>
ラストシーンが記憶に残っている作品です。警部の理詰めな推理とこれでもかという程の反則ワザでもって自称切れ者の犯人からギブアップ宣言をさせるシリーズの魅力を堪能出来ます。加えてレイ・ミランドの存在感が渋い彩りを添えている良質な作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-03 01:16:27) |
17. 刑事コロンボ/秒読みの殺人<TVM>
《ネタバレ》 生甲斐であるかのように何時も何かと闘っている犯人。その闘いが勝ち目のないものであるところがやるせなく、ファイティングポーズを解かない姿が哀しい、シリーズ中でも印象深いキャラクターです。彼女が銃を早々に処分しなかったのは不自然で残念です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-30 00:48:39) |
18. 刑事コロンボ/死者の身代金<TVM>
《ネタバレ》 本作の犯人の極悪さ、知的さ、ふてぶてしさは、シリーズの女性の犯人の中で飛びぬけており大いに満足しました。際どい反則ワザを駆使してボロを出させ、彼女の気質を指摘していた警部。言うまでも無い事を長々と語ったのは、飛行機で散々いたぶられた意趣返しだったのでしょうか。娘を始末しなかった事に-2点、取引成立でオチが分かってしまった事に-1点です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-06 04:30:13) |
19. 刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM>
《ネタバレ》 シリーズの数多くの魅力の中で、意表を衝く決め手の部分において特筆すべき作品です。ラストの警部の手袋姿。小学生の時地団駄を踏んで悔しがり、今に至るまで何をやっても詰めが甘い私は、詰めのきっちりなされた仕事振りに敬意を表します。 [DVD(字幕)] 7点(2009-06-28 18:48:44) |
20. 刑事コロンボ/偶像のレクイエム<TVM>
《ネタバレ》 最後に彼女の真意が現れるに至るストーリーはよく練られており、見応えがありました。今回の警部は「罪を憎んで人を憎まず」の思いを強くされたのではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2009-06-15 01:44:41) |