421. ニューヨークの亡霊
ピーター・イエーツ作品と言うことで鑑賞。ジェームズ・スペイダーのみならずマイケル・ケインにマギー・スミス出演というのに「ほぉ~、これはこれは」ホクホク状態。ジェームズ・スペイダーのラブコメはありきたりなものですが、それをフォローして余りあるご両人が素晴らしい。分をわきまえているかのように一歩引いてはいるものの、持ち味の端正な語り口での毒気を吐く姿はさすがの名優振り。洒落た原題に見合わぬ邦題がよろしくないですね。 [DVD(字幕)] 7点(2021-10-19 16:11:01) |
422. 十二人の怒れる男(1957)
苦手なヘンリー・フォンダ故にスルーしてきた本作。名作の呼び声高い本作は「映画は脚本が命」を実感する紛うこと無い傑作でした。再現シーンが皆無の99%室内会話劇は何時も思う人が人を裁く事の難しさを見せつけられます。本作では有罪=死刑で人の命がかかっているところに陪審員制度の重みを感じるところです。 [DVD(字幕)] 9点(2021-10-05 16:47:44)(良:2票) |
423. 地獄の一丁目
リュー・エアーズ22歳!はオトコマエながらボスの器で無いので凄んでみても強がってみてもイキリにしか見えず半笑いが浮かびます。ストーリーはしょうもなく、演出もまた然り。お目当てジェームズ・キャグニーも何と言うことない役柄でオーラも感じず。残念無念。 [DVD(字幕)] 3点(2021-09-30 01:16:43) |
424. 長い灰色の線
実在人物である士官学校教官が主人公。半生記ものらしい、あんな事こんな事や出会いと別れが割と淡々と描かれています。一糸乱れぬ長い灰色の線には骨太監督らしさを見たものの、展開自体には退屈さを感じたところがもどかしい。しかしながら、50年間勤め上げた彼に捧げる行進でのカーテンコールのような演出はいけません。1日に2回も泣かされる羽目になりました。 [DVD(字幕)] 6点(2021-09-25 01:07:01) |
425. ロンリー・ハート(1986)
ブルース・ベレスフォード、ジョルジュ・ドルリュー、ダンテ・スピノッティ、腕利きスタッフが揃っての超超超絶つまらなさにマイナス1点。凄いメンツの3人がギャアギャアわめき立てるだけの展開に不快感はないものの、何が言いたいのかさっぱり分からず呆れるだけのコケ具合甚だしき作品。ガックリ。呆然。 [DVD(字幕)] 2点(2021-09-23 01:23:31)(良:1票) |
426. mid90s ミッドナインティーズ
野暮な事を言います。子供達が言うところの自由は、1円も稼いでいない何の責任も伴わない者のイキリであって白けます。ただ、彼等が全員陰険でない気の良い子達で、尺の短さもあって完走できました。 [DVD(字幕)] 4点(2021-09-18 00:41:06) |
427. コーマ
手に汗握ったサスペンスの秀作。向こう見ずにも程があるスーザンにハラハラさせられ通しで、昏睡に陥るバッドエンドの予感にビクビクしていたので結末に大きなため息が出ました。陰謀の目的が金儲けのみなのか分かり辛いところに物足りなさがあります。お目当てリチャード・ウィドマークの枯れてしまった感のあるお姿が少し残念。美術関連スタッフの仕事ぶりに拍手、あの光景は夢に出てきそうで怖過ぎる。 [DVD(字幕)] 8点(2021-09-15 01:32:05) |
428. 暗黒王マルコ
《ネタバレ》 禁酒法が終わった日からスタートする物語。密造酒製造販売のギャングボスであるレミー・マルコ。「暗黒王」に似合っている(?)名前ですが、いたって普通のボスをエドワード・G・ロビンソン通常運転にて演じています。彼は大真面目なのですが、ストーリーがクスッと笑えるコメディで、上品に振る舞おうとしても地が出る物言いの嫁さんや悪漢とのすれ違いシーンや娘の許嫁が警官なのが最後に生きてくるという脚本・演出はなかなかにお見事。破産回避の無理筋も白けるものでなく楽しめました。ビールが超絶不味い件は密造酒なら無いよりマシでも堂々と購入出来るとなると見向きもされない、不味い事を子分達は言えなかったというのは現実味を感じるところです。笑えるギャングものであり良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-09-13 16:50:53) |
429. 幻しの合唱
《ネタバレ》 皆に尊敬されている聖歌隊長(すぐ分かる歌の吹き替えはご愛敬)にしてアヘン依存症というのが冒頭に示されたクロード・レインズ。ご乱心狂乱模様に期待がうなぎ登り。筋立てはミステリーの体を成しており、アンモラルな心情が徐々に徐々に表に出てくる姿に惹き込まれ、凶行の果てに於ける哀れな最期まで地味な演出の中にあっても役者としての誇り高さを感じる名優振りを堪能出来ました。アヘン窟とその女主人のおどろおどろしい描写が印象的。満足の良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-09-10 16:49:32) |
430. グロムバーグ家の人々
カーク・ダグラス遺作にて息子、孫、半世紀前に別れた元嫁との共演。80歳時の脳梗塞言語障害から復帰した胆力にひれ伏します。何と言うこと無いホームドラマではありますが、4人の姿が感慨深く、当人達には尚更なんだろうと思うところです。 [DVD(字幕)] 5点(2021-09-06 14:56:39) |
431. 明日は来らず
《ネタバレ》 初見。この歳では鑑賞時のコンディションに左右されてしまうかと。橋田壽賀子作品を上品にしっとりと謳い上げている作品。 母親が長男に「二人だけの秘密よ」決心を告げるシーンに大泣き。親として力を尽くしてきたつもりでも不甲斐なさを悔いると共に子供には幸せになって欲しい、せめて、その足枷にはなるまい。いや、もう、堪らない。最後のデートシーンでのバンド指揮者の心遣いは監督の持ち味がでています。長男としての立ち位置心情を垣間見せるトーマス・ミッチェルは持ち味の癖の強さを封印していても魅せてくれる名優ぶり。夫婦再会の日は必ず来る、来なくてどうする、確信するエンディング。名作。 [DVD(字幕)] 9点(2021-09-05 14:57:26) |
432. 青い戦慄
《ネタバレ》 レイモンド・チャンドラー書き下ろし脚本でのアラン・ラッド主演に寄せた期待は、ヘレンの性悪さに膨れ上がったのですが、彼女の死以降の酔いが醒めるのが早い事と言ったら。グダグダな脚本&グズグズな主役二人の台詞回しに違う意味での戦慄を覚えました。鑑賞後に知ったやっつけ仕事のような製作も納得の愚作。残念。 [DVD(字幕)] 3点(2021-09-05 01:44:20) |
433. 背徳のナポレオン
《ネタバレ》 夫がギャングのお抱え医師に取り込まれた挙げ句手入れに巻き込まれ死亡。ギャング一味では無い事を証明出来なければ医師免許剥奪される妻が、身の証をたてるべく一味と対決する物語。悪役時代のハンフリー・ボガートの持ち味である底意地の悪さがよく出ていますが、加えてのナポレオンに心酔する姿がとても幼稚で魅力激減。対するお目当てケイ・フランシスの度胸ある言動は可も無く不可も無しで、キャラ上仕方ないとは言え、色香に乏しい姿が残念。降って湧いたような小説家と共にと~っても安い展開と演出で鏡のように凪いだ水面のような凡作でした。 [DVD(字幕)] 5点(2021-09-01 16:47:11) |
434. ゾンビ津波
津波に乗ってもんのすごい数のゾンビが押し寄せるイメージがあったのですが。エッチラオッチラ泳いでくるのが何か微笑ましい。 噛み付き一辺倒のゾンビ達との攻防に、幼い頃、両親とテレビで見たフレッド・ブラッシーを思い出しました。悲鳴を上げる母、「汚いやっちゃ」怒る父、噛み付かれる瞬間「アカン!」顔を覆った指の間から見ていた私、今にして思えば彼は稀代の名優だったのですね。 血がドバドバ描写に少しずつ耐性がついてきたのか、まぁそれなりといった感じ。押し寄せてきた数と最後にやっつけた数の差が何とも・・もうひと頑張りして欲しかったかなぁ。 ただ、ゾンビが湧いてきた因縁話が、恥ずかしながら、核兵器など使わなくても見た目普通な極悪ウイルス持ちを都会に放てば安上がりやしエエんとちゃうんと思わされたところに加点。 お金も時間も損はしていないかなって言える作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-30 11:55:09) |
435. ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実
《ネタバレ》 米空軍パラレスキュー隊員ウィリアム・H・ピッツェンバーガーがベトナム戦争での戦死から34年後に、アメリカ軍最高位の勲章で大統領から直接授与される名誉勲章を受勲された実話に基づく作品。長年に亘り申請が却下されてきた理由を調査するエリート官僚と命を救われた退役軍人たちの関わりが描かれています。遺作となったクリストファー・プラマー&ピーター・フォンダを始めとする豪華俳優陣が勇敢な英雄にオマージュを捧げているかのような名演に魅入ります。ただ、却下理由の「とてつもない陰謀」というのが曖昧で、ベトナム戦争最悪と言われる作戦の全容も不明で肩透かし感が強い。また、ピッツに救われた命、ピッツの分まで精一杯生きる、気概を持った人物が一人くらい居て欲しかったところですが、その場に居なかったから言える事なんでしょうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-28 20:31:10) |
436. ザ・スナイパー(2006)
《ネタバレ》 ブルース・ベレスフォードのサスペンス犯罪ものに興味惹かれての鑑賞でしたが、語られる父子の絆話はありきたりなもので、彼らしいほろ苦さが全く無い物足りなさ。暗殺者モーガン・フリーマンは資産家息子殺しとカフェでの警告シーン以外は父子の父親に見えた善人ぶりで、噛ませ犬な追手と思わせぶりな巨悪と併せて興醒め。期待通りだったダンテ・スピノッティの映像美のお陰で一気に見終えた残念度の高い凡作。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-26 01:36:09) |
437. 素晴らしき休日(1938)
《ネタバレ》 ケイリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン共演の舞台劇とくればどれだけけたたましいことやら、恐る恐るの鑑賞。まぁ許容範囲でめでたく完走。予定調和の結末におさまった他愛ない物語。100へぇだったのがグラントの身体能力でバク転、ネックスプリングに、この人はジェームズ・ボンドもをそつなく演じられるのだろうと思えました。エドワード・エヴェレット・ホートンの何時もながらの脇役振りは、クロード・レインズのような主役を食ってしまう強烈さはないものの、味わい深さに魅入るところです。 [DVD(字幕)] 5点(2021-08-23 08:38:54) |
438. ガンヒルの決斗
《ネタバレ》 おおよその結末が浮かぶ冒頭シーンから「真昼の決闘」「決断の3時10分」よりお知恵拝借といった感ある展開で、カーク・ダグラス持ち味である「胆力」を唯々堪能する作品です。対する「剛の者」アンソニー・クイン演ずる父親の溺愛からの親馬鹿丸出しの人物像に脚本の物足りなさがあります。しかしながら、最後の対決は余韻が深い名シーン。敢えて息子の後を追ったように思えた姿が切ない。ただ、このシーンでの見世物の見物客のような演出は異議あるところです。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-22 02:36:14) |
439. カーライル ニューヨークが恋したホテル
1930年創業5つ星 ザ・カーライル ア ローズウッドホテルの存在を初めて知りました。超高級セレブ御用達で、「宿泊者の秘密は必ず守る。だから安心して宿泊できる」という評判があると言います。至極当たり前の事を言われても白けてしまい、ジャック・ニコルソンのエピソード以外は利用客のコメントにも雲の上のオハナシで「さようでございますか」淡々と眺めていました。ただ、勤続30年40年50年のスタッフの皆さんは、5つ星ホテルの風格を支えている財産なのだと感じ入りました。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-08-21 21:39:24) |
440. 真夏の夜の夢(1935)
お目当てジェームズ・キャグニーはけたたましいだけで初めて魅力を感じられなくガックリ。物語もけたたましいだけで全く興に乗れず、パックのこましゃくれた超絶けたたましさにとどめを刺されました。誰やこの鬱陶しいガキ(ゴメン)はと思ったらミッキー・ルーニーだったとは。主役と見紛う出しゃばり加減に、スタッフ・キャスト誰も何も言わなかったのだろうかと思うところです。本作で映画デビューしたオリヴィア・デ・ハヴィランドに加点。 [DVD(字幕)] 3点(2021-08-17 01:42:22) |