421. UPRISING アップライジング<TVM>
《ネタバレ》 興行的な成功をあんまり考えない作品だと思うので、どこがどうだったとか、役者がどうだったとかいうことでなく、これを見た日本人が何を思い、何を教訓とするべきか個人的に一つの回答を述べたい。私が強く感じたのは「あまりにも都市化された民族の悲劇」であって、「都市化」とは養老孟司言うところの「脳化」のことである。詳しくは「バカの壁」を参照されたい。養老はぼけてきて何言ってるのかわからない部分が多いが、この点については鋭い指摘であるなあと思う。ユダヤ人は、歴史的ないろいろな事情により、「都市」に住み、「脳化」された職業につきがちで、意識的に財産を可動式に貯えてきたために、侵略側にとってみれば、「移動させやすい民族」であったのだ。侵略側にとってみれば、彼らを移動させても食料の収益が減るでもなく、何ら困ることはないわけだ。養老はこのことを、「ベトナム戦争」や「成田闘争」と比較して語っており、「なぜユダヤ人はかくも簡単に殺されたのか」と言っている。「土地に根付かない民」の不幸である。もっと言えば、「農業」や「畜産業」を行う民にくらべて、「脳化」された職業を生業とすることが、いかに侵略に弱いかということである。ユダヤ人の悲劇は、日本人が農業を捨てない限りは、他民族に侵略されても戦えるのかもしれない、という教訓を残す。またライフライン、交通および通信にかかわる職業を、外国人に明け渡さないこと(この映画でもそういった職業のポーランド人の協力が不可欠であったように)も危機管理上重要である。(櫻井よしこみたいになってきたが) ジョンボイトは「オデッサファイル」で元ナチの将校に復讐し、「アップライジング」ではまさにその敵役を演じたわけで、俳優として実にあっぱれな態度と言える。彼はドイツ人として成すべきことを成したということであろう。 [DVD(字幕)] 9点(2006-01-02 20:29:23) |
422. スケルトン・キー
《ネタバレ》 これまでのハウスものとは実は根本的に違っていたのだった。迫害され抑圧された人間の勝利のひとつの形ともいえる。しかし、じつは「誰々さんに乗り移られてしまった」と思いこんでいるだけの話かもしれない、ともいえる。それもまた勝利ではあるけれど。被害者側が、乗っ取る側の人間を良く知ってから(ここの経過は「呪いを信じるようにしむける」と言われる経過である)ことは行われるのだから、良く知らない人間が成り代わったのならともかく、「思い込み」説も消すことはできないのだ。ラストで現れた友人を「誰?」ということで「思い込み」説が打ち消されるかに思われるが、そうとまで言いきっていないのがこの作品と思われる。 タバコや指輪、レコードなどの伏線も慎重に配備され、スリラーとしてのデキもまずまず。 なによりも「ブードゥー」「フードゥー」と奴隷時代の黒人社会の関係をハリウッド映画で主軸に扱ったことは評価するべきであろう。なお、DVD特典の「ジョンハートの朗読」が素晴らしい。プランテーションにおいて、支配階級である白人が「黒人は知能が低くて人間未満である」と思い込んだそのワケが、おぼろげながら見えた気がした。答えは宗教だったのではないか。キリスト教では神様以外の人間はみな平等に価値があるのであるから、黒人を「人間である」と認めてしまったなら、奴隷労働に従事させることは、神様の決めたことに反してしまうのだもの。 カメオ出演のマーチンシーン、どっかの回想シーンで出てくるかと思ったけど出なかった。これの監督が、妙に悲しい目をしたイギリス人だったとはなあ。(K-PAXの) [DVD(字幕)] 8点(2006-01-01 23:00:08)(良:1票) |
423. デッドマン・ウォーキング
《ネタバレ》 ティムロビンスの演技に感心したことのない私。役者さんじゃなくて、こっちのほうが向いているのではないかと思いましたね。容貌も地味なんだしさー。なんていうか、「衝撃」という言葉がいちばんしっくりくる作品。あの暴力描写。「人間が、こんなことほんとにできるのか」と思うようなシーンでしたね。あーゆーことした人間が、注射なんかで穏やかに死なせていただいてもよいのだろうか。尼さんは最後まで彼を愛しつづける。もともと人間は神様に許されていることになっとるからねえ。許してくれてる神様のいない日本人にとっては難解な愛である。これを、「人間どうしの麗しい同類愛」と勘違いしてはいけない。これは、「神様が人間を愛してくれている」愛なんである。特別優しい尼さんだからとかではない。難しいテーマを、なかなか達者に描いたロビンスであった。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-01 22:26:11) |
424. ラスト サムライ
《ネタバレ》 「ダンスウィズウルブス」の日本版のノリで作ったのかもしれないが、皆さんご承知のことでしょうが、蛇足と思って聞いてください。この作品を見る時に、「西南戦争」「田原坂の戦い」「西郷隆盛」「山縣有朋」を押さえつつ見てください。こないだNHK「その時歴史が動いた」で「西南戦争」やってましたね。あれは「西南戦争」を大変分かりやすく説明していました。あれを見てから「ラストサムライ」を見るのです。「おお、なーるほどう」となります。日本人が見たらこれは「西南戦争」にしか見えぬ。「大村」のメインモデルとなったであろう山縣有朋の名誉のために言っておくと、彼が汚職で私財を貯めこんだという事実はなさそうですよ。(松本清張のうけうり)大久保利通、伊藤博文と3人足したようなキャラであるが。 「ありえない」の突込みどころは満載ですが、まあ、これはハリウッド映画。ひとつだけどうしても許せないのはどうみても西郷隆盛である勝元を「殿様」に設定したことだ。西南戦争は殿様が起こした戦争じゃない。西郷隆盛はもちろん殿様じゃない。「殿様」にされてしまったら、「西南戦争」(武士による最後の反乱)の「意味」が全然違うじゃないかあ。 「西郷」を「殿様」にされてどうですか、と鹿児島方面のレビュワーさんの感想を伺いたいですね。「武士道」については、個人的には徳川家の都合によって押しつけられ、朱子学により歪められたものという感が強い。その「武士道」に欧米人が勝手にロマンを感じて映画までつくっちゃうなんて、片腹痛い気がするのは否めない。「西南戦争」においては、旧薩摩藩士たちは「武士道」というよりは「カリスマ西郷」のために戦ったと言われているし、そう考えている。鹿児島方面の方はよくご存知であろう。監督はほとんど日本人の観客のことは念頭に置かず「私のロマン、サムライ」と思ってつくったようだけど、(勝元役、大村役に対し、何よりも英語力を求めたことから明白)ここまで実在の人物や事象に添っている以上、日本方面から「違う」の声が出ることはしょうがない。奈良橋陽子なんて見た目だけが日本人な女を重用したのも腹立つ。あんな女が日本事情を教えるなんか、へそで茶がわくよ。ラストの戦闘場面以外のアクションには鬼気せまるものがあった。護衛の福本清三が素晴らしい。(70歳!)彼はそのままタイムスリップしようが全く違和感無さそうだ。子役秀逸。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-01 19:54:55)(良:1票) |
425. ジェリー
《ネタバレ》 冒頭から8分間セリフモもテロップもない。8分も。ここで観客は「挑発されてる」と思う。それが当然ですな。私もいろいろ少ない脳みそ使ってはみましたけど。「-less]みたいなオチなのか?とか。そこで私説を述べます。彼らは「ある地点」に到達することを目的に「Wilderness Road」へ入って行ってる。マットのほうは、以前その地点に行ったことがあり、アフレック弟は無い。マットは「どのルートから行っても一緒だ」というので、少なくとも2種類以上のルートから到達したことがあるようだ。しかし、そこに何があるのか、ただ景色のいい場所なのか、それが示されない。ということは「到達そのもの」が目的と考えられる。水も食料も携帯電話も持たずにハイキング。そして、会話の内容はクロスワードパズルのTV番組のことと、込み入ったTVゲームの成り行きのことのみ。どっちもTV画面の中のことだ。この現実感のなさ。わざわざ「Wilderness Road」という看板があるのはなぜなのか。「ここからゲームですよ」という意味であろう。そして飲まず食わずで何十時間も歩き続けるというリアリティのなさ、彼らが「のどがかわいた」とは言うが「腹が減った」と言わないこと、「方角」のことばっかり言っていること。ジェリーは「3Dのゲーム」の中にいるのだ。マットは以前に何度もクリアしたゲームにアフレックを連れてきてみたってとこで、アフレックはゲームのキャラもしくはオンラインゲームの相棒で、「もうダメだ」といってしきりに何かを促している。「ゲームを途中でギブアップしよう」である。でもマットはまだその気がなかったのでギブされるのを止めるために×××。会話がなくて、もくもくと「A地点」から「B地点」へ移動してるように見えるのもゲームぽい。最後のほうで、「じりっじりっ」としか歩けなくなってるのも、ゲームでヒットポイントが少なくなった感じに似てる。「30時間北北西に歩いた」とかいうのも、「97年間統治してた」というゲームの話と同じように、「ゲーム時間」での「30時間」でしょう。「途中でギブしたゲーム」に哀愁を感じて映像化してみたんでしょうか。こんなゲームあってもやりたくないけど、最初の方の会話の内容から考えるとこんな回答しか出てこない。 [DVD(字幕)] 5点(2006-01-01 14:48:48) |
426. セッション9
《ネタバレ》 「マシニスト」でブレイク中のアンダーソンだ。こっちをだいぶ前に見てたけど。車に乗ったまま自分の家を眺めているとこで、なんとなく「これがオチだね」って思っちゃったんだな。だって変だったもんね。「なんかとんでもないことがありそう」な雰囲気を出したことは○。でもやっぱアンダーソンは驚かせたい人なのね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-31 23:16:21) |
427. エンゼル・ハート
《ネタバレ》 「悪魔に魂を売った男」てのは映画としてはめずらしくないが。さらに日本人が見ても、心の底から「なんてことをするだー」とは思いづらいが。これは「穢れ」に対して欧米人が「So what」と思うのと同じなんでしょうね。ともあれミッキーロークは総入れ歯で2枚目を演じるとはご苦労なことだ。ヒラヒラパンツでボクシングも。それとデニーロが何個卵をむかされたのかが気になる。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-31 22:42:40) |
428. チェンジング・レーン
つまりベンアフレックの出ている映画は3割引きくらいになってしまうのです。だって顔がうさんくさいんだもん。「かっこいいか否か」を判断する前に、「あっうさんくさい」が先走って、それ以上思考停止。なのでなるべく出演作を見ないようにしているのですが、やっぱり話題作だと見てみたい。で、見たあと「うさんくさいことに気が散ってよくわからなかった」でいつも終わってしまう。私の頭の中に警報を鳴らす男ベン。あなたは話題作に出ないでください。アル中で妻子に見捨てられた黒人のおっさんをもってくるのは、ご都合な感じであざといなあ。(アフレックって、アフラックに似ていますよね。いつも「ガチョウ」がよぎるんだけど) [DVD(字幕)] 6点(2005-12-31 20:58:23) |
429. THE JUON/呪怨
《ネタバレ》 「ちょっとでも接触しちゃったらうつる」「そんでどんどん広がる」ってのは、日本古来の「穢れ(えんがちょ)」そのものなんだから、「外人」は理解できるわけないって。そんで、その理解できないビルプルマンとかその他の外人の俳優さんは、よくわかんないままとりあえず台本どおりやってみるわけだ。本当は「穢れ」は「穢れ」と思う人にしか存在しないのだから、外人(異教徒)が食われちゃうのはナンセンスなんだよ。ありえない。「穢れ」は「払い」か「禊ぎ」でないと落とすことはできない(ことになっとる)。コレ一番古い日本の宗教アルネ。 [DVD(吹替)] 7点(2005-12-31 00:19:01) |
430. 山猫は眠らない
《ネタバレ》 「3」の激太りおよびショボさにショックのあまり、口直しに「1」を見直さざるを得なかったのです。私のトムが間違いなくかっこよかったことを確認するために。そしたらやっぱり、どの角度からどう見てもハンサムだったわ。そして、セクシーかつワイルド。「男は40から」を体現している。「3」のベケットはもう別物と思おう。ところで「地味な映画だ」というレビューが多いですね。ふーん。改めてじっくり見たけど、ベレンジャーファンであることを抜きにしても「あー映画見た」とはっきり言える素晴らしい作品でした。そうなの。「じっ」と見てないと良さがわかんないかも。ドラマとしてもシンプルながらツボを押さえた職人の味。ミラーがビビっているほどベケットの冷静さが際立つつくりとか、ミラーとベケットの関係が、「ベケット優位」→「ミラーが反発」→「おとりにされてミラーが不信を抱く」→「ミラーがキレてベケットを襲う」→「自分のせいでベケットが捕まったので勇気を出して知恵を絞って救出」→「指を潰されたベケットをなぐさめる余裕」まで、刻々と変化していくようになってるんですよー。ベケットは自分が育てたスナイパーの一人に狙われ、やはり育てたミラーに救われた。登場人物が少ない分、二人の関係をじっくり描いてる。ともかくトムベレンジャー以上に海兵隊の似合う俳優さんはなし。「3」を忘れさせるに充分な映画である。最初のとこで、バスの後ろのランボーの絵を見て苦笑いするんだよねベケット。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-31 00:07:24)(笑:1票) (良:2票) |
431. ピッチブラック
《ネタバレ》 「あらおもしろい」と思ったです。ディーゼルなんて知らなくてこれで初めて見たけど。脚本がいいんだな。あと、細部に以外なこだわりを感じるな。「お前は出血してるからほんとは女だろ」なんて、なんつー設定じゃ。こういうシークエンスを入れること自体、脚本づくりにこだわってる感あり。それにしても、あんなところで急に生理になって、用意はしてあったのかしら、おねーさんは心配だわ。ディーゼルは声が野太すぎて難儀だな。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-30 00:19:16) |
432. バタリアン
これを見てスプラッターホラームービーに開眼した思い出の作品です。その後いろんなドロドログチャグチャ作品をひたすら見続けることに。しかしすっかり大人になった今では「品が無いのはやだ」などと思って、何でも受け付けることはなくなった。コメディーということにすら気が付かずに画面に釘付けになっていたあのころ。冒頭の白いやつ、ピクピク動き出して超怖かった(当時)。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-29 22:45:15) |
433. 山猫は眠らない3 決別の照準
《ネタバレ》 実はトムベレンジャーは私の元彼なんだけど、昔は「本当に」カッコよかったのよー。(前半大嘘)と言いたくなるくらい「背信の日々」から惚れていたトム。白人の俳優さんの中ではダントツに好きな「私のトム」なのに。この2~3年の間に何がどうなって急に「太ったおじいさん」になってしまったの。超びっくり。心臓に悪いからやめてよ。 しかも最悪な出腹系の太り方で、シャツの前部分が持ちあがってるという、運動不足が見え見え。もはや階段を登るのも大儀そうで、「ここはスタントまちがいなし」な場面さえ出現。昔の恋人がこんなになってしまった様子を見るのは本当につらい。あまりにつらいので、「山猫1」を見て気を取り直そうと決心した。しかし男子の皆さんて、本当に見た目のことに言及しないよねー。品というものか。誰も言わないなら私が代わって言いまくりましょう。ところで「山猫」の監督にゲイを使うってのはどうなのよ。ありなの? [DVD(字幕)] 6点(2005-12-29 22:17:40) |
434. シャイニング(1997)〈TVM〉
《ネタバレ》 サーファーにしか見えない父ちゃん役の俳優さん、がんばってがんばってがんばっていたけど最初から最後までいい人にしか見えなかった。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-29 18:53:18) |
435. ブラックホーク・ダウン
《ネタバレ》 レンタルで毎日みたあげく、購入。原作本まで購入。麻薬のようにはまりました。刻々と状況が変化していくことがスリリング。そして、映像が美しい。とくに、祈りの場面。そして最初のヘリから降りて展開する場面。作戦のブリーフィング場面。無駄がなく、美しい。特筆すべきは音楽。インフォーマーの車のラジオの曲でさえ、ドンピシャはまっていて美しい。そしてそして、超リアル。「フルメタルジャケット」並といえましょう。あまりに見すぎて、他の映画に同じ俳優さんが出ていると、発音と訛りですぐわかるほどに。 やることなすこと悪循環で、どつぼにはまっていく様子も、感情を排したクールな描写に好感がもてる。1機目墜落時のジェレミーピヴェンのセリフまわし。「We’re going down」って歌うように言って唇をキュッと結ぶのさ。落っこちてるのに。なんてセクシーなの。(趣味が特化しているのでお許しを)ところで本物のトムサイズモア役の人は、あんなにかっこよくなかったのよね。ぐるぐるまわったあげく帰っただけなんだって。だまされた気分。ラストにクレジットで死亡した兵士の実名が出るでしょ、「あの人やこの人は…」て見てしまった。やっぱり死んでた。実在の兵士のご家族にとって、この映画にクレジットされたことが、そして、息子や夫の姿が映像として残されたことが(フィクション化されていても)、苦痛となったはずはないと思う。アーリントン墓地に埋葬されるだけではなく、このような形のレクイエムも、ありだと思う。「反戦か反戦でないか」を語った映画ではない。「アメリカを守る人」として遠い国へ行かされて、死んだり重いケガをした兵士たちに、僕らはスポットライトを当てずにいられなかったんだ、そんな気がする。そして、「マイケル、決して君を置き去りにはしないぞ」と一晩中ヘリに乗って叫び続けた仲間の姿にも。(実際は全然離れたとこに連れていかれて聞いてなかったらしいけど)ここではアメリカの「世界の番人」的あり方の善悪を論じるのは的外れであるように思う。 [DVD(字幕)] 9点(2005-12-29 18:16:46)(良:4票) |
436. ホワイトナイツ/白夜
《ネタバレ》 なぜか劇場で見たんです。製作側の狙いどおり「バリシニコフ」という名前にひかれて。 ところが、この映画でもっとも印象に残っているのは、バリちゃんのバレエでもなく、ハインズのタップでもなく、ラストのロシア側の交換スパイが、「サバサバッ」と帰っていく姿。それはあまりにも「サバサバッ」だったのでした。西側の奴が(ハインズ)、自分から行ってるにもかかわらず後悔でもんもんとしちゃってたり、東側から逃げた奴が、「仕返しされる」とか恐怖におののいていたり、とにかく大騒ぎしているにもかかわらず、「フン」て感じなんだわ。「なに騒いでんだバカ」って言わないけど言ってるみたいなんだわ。ここの場面に興味持った方ほかにもいないでしょうか。それとも私ってそうとう偏ってる? [映画館(字幕)] 6点(2005-12-29 16:32:46) |
437. 愛しのローズマリー
斬新な発想による見せ方は映画としてはよろしい。 しかしこれは、男女なんて最初はどうしたって見た目で惹かれ合うんじゃん、という動かしがたい事実に対するアンチなのかしら。見た目は「その人」じゃないのかしら。あんだけ太るには、四六時中食べているに決まっていて、四六時中食べているからには、そのような内面を所有しているということなんだけど、それは「その人」とは切り離していいのかしら。個人的には人をみるには「外見5:話す内容および書いたもの3:部屋の様子2」で妥当と思っている。心には形はない、他人には決して見えない。外に現れたものが「その人」である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-29 15:43:29) |
438. アバウト・アダム アダムにも秘密がある
《ネタバレ》 いろんなタイプの女の人を、自分ひとりで幸せにしまくる男アダム。普通に考えると、「そんなめんどくさいことよくやるじゃん」なんだが、「アダムさえいれば、男なんてそんなにいっぱいいなくたっていいんじゃん」、という「サンデーサイレンス状態」ともいえる。 「一部の優秀な男」と「その他大勢のどうでもいい男」との差別化である。当然、男子諸君の視聴後感は良くないであろう。なお、アダムがケイトを結婚相手に選んだワケは、「他の女たちと比べて、最も独占欲との折り合いがつけられる女」だったからなのだ。男子にとっては「こーゆー男が実際に現れたなら最悪」の映画であり、女子にとっては、「つまんない男を独占すること以外にも、満足できる形はあるのかも」という思いがよぎってしまう映画であり、見る側の性別を選ぶ作品なのであった。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-29 14:33:22) |
439. マルコムX
《ネタバレ》 デンゼルがそのがっしりした肩に背負っているものは、失われた、または奪われた黒人社会の父性なのであるなあ、と思いました。他のデンゼル出演作もそうだけど、マルコムは直球ど真ん中。別のスパイクリーのとこでもちょっと書いたけど、奴隷時代は、白人の主人が女奴隷を性的にもてあそぶのはもちろん、奴隷どうしを適当に一緒にさせて、奴隷の再生産をさせつつなおかつその後もおもちゃにしていたとか。なんという非人間的な。 かーちゃんが白人の主人の寝室に連れて行かれるのをとーちゃんは指くわえて見ているしかできないなんて。また男の奴隷は消耗率も高かったようでそんなこんなで黒人社会では父親の地位が低く、母子家庭もあたりまえ。ええと、確か本多勝一のうけうり。しかしまあ、そういった背景をもとにデンゼルのがんばりぶりを見ていますと、この大きな大きなロスを、埋めるべく奮闘しているのだなあ、なんて勝手に思ってみたりする。日本人にはデンゼルの気持ちのかけらぐらいしか分からなくとも。映画としてのレビューより、デンゼル見てるとこんなことばかり思ってしまうんですよ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-27 23:36:59) |
440. キャスティング・ディレクター
《ネタバレ》 最近見たんです。キレてるお友達。「やばいやばいやばい、こいつ」と思ってるうちにやっぱりキレすぎて死んじゃうし。イッっちゃってるメグライアン。情緒不安定な恋人のロビンライト。 なんでしょうね。ハリウッドではみんな病んでいるって言いたいの?あのプータローの女の子はなんの意味があるんでしょうか。乱れているっていっても、死んだ友達以外は微妙にやりくりしているよね。ところで登場人物全員が全く仕事をしているように見えないのが、「なんなの」感をよぶ。 [DVD(字幕)] 6点(2005-12-27 22:14:47) |