581. 巴里の女性
冒頭での自身が出演していない断り書きに、そんな作品があるのにビックリ。金に恋したマリーとひ弱いジャンの悲恋が描かれています。上流階級面々の髪型・メイク・顔つきが卑しさ全開で、乱痴気騒ぎは観るに堪えない下品さ。チャップリンの冷ややかな視線を感じます。その極めつけがマリーがネックレスを取り戻すシーン。建設的に生きて行こうとするラストはチャップリンならではのもの。 自らが立ち上げに参加して存分に腕を揮える自由を得たユナイテッド・アーティスツでの第一作は見応え有る力作でした。 [DVD(字幕)] 7点(2019-04-21 01:49:31) |
582. つばさ
《ネタバレ》 戦闘模様は空も陸も迫力満点だけど冗長さで飽きてしまう。男女4人とも深みの無い人物像で惹き込まれず。戦闘機強奪シーンは無理筋を感じるもので、そうなるんじゃないかと思った通りの展開に盛り上がれなかった。ジャックが悔恨を乗り越えて力強く生きてゆく姿が全く想像できないラストが何だかなぁ・・・ 戦争への痛切な思いを無言で示すデヴィッド父の姿は鑑賞した甲斐のあった名場面。第1回アカデミー作品賞受賞の力作。 [DVD(字幕)] 7点(2019-04-20 00:08:44) |
583. マッドボンバー
《ネタバレ》 爆弾魔を捕まえる為に強姦魔を捕まえる展開がユニーク。「魔」男は共に物凄い狂いっぷりで顔つきからして尋常でない。彼等を相手にする刑事は顔は普通だけど行動原理はダーティハリー並みの狂いっぷり。3人のギャラで一杯一杯になったのか知らないが、女優陣がね、年寄が言うのもなんだけど、お顔も全裸のお姿も今一つ。彼女等の雑で悲惨な扱われ方が、もう、ね、哀れでね。「魔」が「魔」に天誅を下される、もんの凄いシーンに彼女等も浮かばれるってもんですね。こじんまりした結末が物足りないものの、記憶から消えないであろう強烈な印象を残す、掘り出し物の怪作。 [DVD(字幕)] 7点(2019-04-14 21:01:39) |
584. スターリンの葬送狂騒曲
演奏会のエピソードでの開いた口が塞がらない無茶苦茶さも当事者にとってはまさに命懸けであるところにスターリンの人柄が表れている。死後の権力闘争が描かれていて、語られる一言一言のきっつい皮肉に苦笑させられるも、コメディ要素は感じられなかった。踏み潰される害虫の如く奪われる人の命、自国の黒歴史をロシアは直視できなかったのか上映禁止と相成ったようで。フルシチョフ役は似ていると思ったブシェミその人で健在ぶりがちょっぴり嬉しかった。存在感があったオルガ・キュリレンコも印象的。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-31 20:35:50) |
585. スルース(2007)
不覚にも間違えてリメイク版をレンタル。ジュード・ロウのふてぶてしい間男ぶりもなかなかのものだけど、マイケル・ケインの百面相に真意が那辺にあるのか惹き込まれる。ローレンス・オリヴィエが演じたアンドリュー・ワイクを35年の時を経て演ずるのは役者冥利に尽きるのでは。オリジナル版に興味が募る作品。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-31 19:31:19) |
586. ルンバ
俳優になる以前大物ギャングに可愛がられてその社会と親交を結んでおり、更にジゴロでショーダンサーだったというジョージ・ラフト。「ボレロ」に続いての本作でも経歴そのままの水も滴る男っぷりでのダンスを魅せてくれます。圧巻のキャロル・ロンバードとのデュエットは、その官能美にメロメロでストーリーの他愛なさ、気を揉ませておきながら何じゃそりゃの結末も吹っ飛んでしまいます。ジョージ・ラフト又はキャロル・ロンバードを観たい方にお勧めの作品。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-18 12:57:15) |
587. グリーンブック
《ネタバレ》 3日前に鑑賞した「マンディンゴ」の滅茶苦茶な黒人奴隷牧場の記憶が残る中での本作。121年が経っても隔離は差別ではないという理屈で合法とされたジム・クロウ法によって黒人分離政策がとられている実態を描いている。ピアノ演奏に対して温かい拍手を送ってくれても、自分には黒人区別の扱いを受ける。一方、車の故障時に白人が修理し黒人が車中で待つ姿を眺める黒人農民の冷たい目線を受ける。心許せる者がいないドン・シャーリーを演ずるマハーシャラ・アリはオスカー受賞も納得の好演。役作りに10㎏以上増量したヴィゴ・モーテンセンとの会話に滲むユーモアが上がった血圧を下げてくれた。洒落たラストが心地良い。良作。 [映画館(字幕)] 7点(2019-03-07 03:35:16) |
588. 我れ暁に死す
《ネタバレ》 ジェームズ・キャグニー、ジョージ・ラフト共演でこの邦題という事で鑑賞前から既に身悶え。無実の罪を着せられる新聞記者キャグニーと極悪人ラフトの刑務所内に於ける友情物語という意外な設定と痺れる所が無い展開に興奮は治まりましたが、善人役でもビシッ!!と決めるキャグニー、ニヒルなラフト、両名の個性溢れる好演に満足させてもらった作品。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-03 23:16:09) |
589. 十字砲火
原作では同性愛を描いていたのが当時のヘイズコードに抵触するのでヘイトクライムものにしたという本作。フィンレイが人種差別について語るシーンありきで作られたかのようで、他のシーンに見どころ無し。オスカー5部門ノミネートも3ヶ月で上映禁止にされ、監督がハリウッドテン入りしてしまう(後に転向)という、フィンレイが語る事が図らずも現実のものとなったアメリカの黒歴史を浮き彫りにさせる記憶に残る作品。三人のロバートの印象度はライアン>ヤング>ミッチャム。お目当てロバート・ライアンは殺人者役が定着してしまった本作出演を後悔しているという歪んだ人格を好演。 [DVD(字幕)] 7点(2019-02-28 16:41:04) |
590. 黒い牡牛
《ネタバレ》 ヒターノが烙印を捺される姿にアカ狩りで反米の烙印を捺されたダルトン・トランボが重なります。大人の事情など知らないひたむきな少年レオナルドが一見主役のようですが、主役はヒターノ。私的に人間がよってたかって牛をなぶり殺しにするイメージを持つ闘牛において、不屈の闘いぶりで生を勝ち取った姿に感動。牛にひれ伏す事となった秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2019-01-26 23:51:06) |
591. 氷壁の女
《ネタバレ》 興行的に失敗し酷評を受けフレッド・ジンネマンの遺作となった本作を念願叶っての鑑賞。気骨の監督による、何があっても、どんな結果が待ち受けようとも、信念を貫き通す数々の人物にひれ伏してきた身にとっては、不倫且つ近親相姦のカップルの物語に「監督は枯れてしまったのか?」「酷評も止む無しか」とガックリ。しかし、クレパスから40年ぶりに回収された遺体の許嫁だった老婆に、スケールは小さくなったものの監督の持ち味健在を感じられました。抜群のロケーションでの峻烈な映像美も監督ならではのもの。鑑賞した値打ちある秀作。 [映画館(字幕)] 7点(2019-01-13 22:56:09) |
592. バリー・シール/アメリカをはめた男
《ネタバレ》 CIAとメデジンカルテルの二股をかける人が実在したというのに仰天。ノンポリで金に執着無くスリルを求めるキャラなので手に汗握る事無く歯を食いしばる事無く気楽に眺められます。加えてトム・クルーズの持ち味でカラリとした味わいが。なので、ご都合主義の正義で「アメリカに捨てられた男」の結末の後味悪さが一層際立ちました。良作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-12-30 21:56:46) |
593. 踊る海賊
セラフィンは鬱陶しいキャラだけど、演ずるジーン・ケリーのアクロバティックなダンスには魅了されました。凄い! 初体験のジュディ・ガーランド。美しい容姿に歌って踊れる華のある存在感に見惚れます。 本作のリプレイタイムとなった絶品の「道化師になろう」 もっと二人のダンスシーンが観たかったなぁ。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-28 17:21:18)(良:1票) |
594. ブラック・サンデー
《ネタバレ》 観客8万人皆殺し計画に向けて一歩一歩前進する過程に、作戦は不成功なんだろうと解っていても、復讐の負の連鎖の遣る瀬無さに引き込まれ肩に力が入る。嗚呼それなのに! 飛行場に引き返してからラストまで、それまでの緻密さがウソのようなヤケッパチ感満載の突撃模様に唖然とし、味わいも木端微塵に吹き飛ばされてしまった。「大列車作戦」の監督だっただけに残念さがひとしおつのる。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-12-28 13:18:50) |
595. あなたの旅立ち、綴ります
御年83歳シャーリー・マクレーンの画面に映える美しさは驚異的。この所お馴染みのクセが凄いキャラクターも貫録で演じています。仕事一筋、友達はお金だけ人間がふと味わう寂しさが滲み出ていた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-23 23:54:00)(良:1票) |
596. バッド・バディ!私とカレの暗殺デート
《ネタバレ》 チャラい邦題が示す通りの肩の凝らない楽しめたアクションラブコメ。お目当てティム・ロスは加齢に淋しさを感じたものの振り撒く極悪臭は流石の存在感。満足しているところに華のある身のこなしのサム・ロックウェルとの雨中の決戦。互角に渉り合う健在ぶりがとっても嬉しい鑑賞した甲斐のある作品。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-16 00:09:49) |
597. エクソシスト ディレクターズカット版
《ネタバレ》 初見。憑き物に苦しめられる少女の描写は単に気持ち悪いだけ。心底怖かったのは娘を目の当たりにする若かりしエレン・バースティンが熱演する母親の絶望感。信仰心をかなぐり捨てたカラス神父の最後の姿が物悲しい。オカルトものの金字塔と呼ばれるのが納得の単なるグロではない神にすがる事について考えさせられる作品。 当時国交の無かったイラクで撮影する、少女の部屋の室温を氷点下にする、俳優の傍で発砲し驚く表情を捉える、俳優に内緒でピアノ線で引きずり倒して負傷させる、ビンタを食らわせ動揺する姿を捉える、諸々のエピソードに映画を作る狂人フリードキンに悪魔が乗り移っていたのだと思わされる。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-12-03 00:43:47) |
598. ビーン
ビーンには「ホイッスラーの母」の顔を崩壊させてゆく爆笑シーン以外に笑えなかった。代わって彼に振り回されるピーター・マクニコルに大笑いさせられ、ホロリとさせられ、ほのぼのとさせられた。勝ちに不思議の勝ちありのあちこち丸く収まる展開に一家との友情を絡めたハートウォーミングなテイストは求めたものとは違うものの案外と心地良かった。ジョン・ミルズ、ハリス・ユーリン、先頃(9月6日)に亡くなられた(合掌)バート・レイノルズが作品に華を添えているのも嬉しい。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-12-02 01:50:57) |
599. ガス燈(1944)
気の強さに鼻白む事が多々あるイングリッド・バーグマンを骨抜きにする伊達男シャルル・ボワイエ。とびきりのメロドラマに今日もキュンキュンと思ったのが、まさか、あんな形で骨抜きにするとは。威圧感満点のボワイエの酷薄な表情に見惚れたものの、生来の品の良さで極悪になり切れないところが何とも歯痒い。また、いたぶられるバーグマンの一本調子な演技に興に乗れず。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-01 00:57:18) |
600. 女はそれを我慢できない
ジェーン・マンスフィールドの神々しいまでのナイスバディ。彼女にストールをかけてあげるトム・イーウェルの眩いほどのダンディさ。エドモンド・オブライエンとヘンリー・ジョーンズのジャイアン・スネ夫のようなお笑いコンビ。存在だけで華やかな4人をノリノリ(死語ですか?)の音楽シーンが盛り立てる。なかなかしっかりしたストーリーが見事にショーアップされた快作を大いに楽しめました。 「それ」=「ときめき」ですかね。 [DVD(字幕)] 7点(2018-11-19 13:38:55) |