941. チェ 39歳 別れの手紙
第一部で観かたのコツをつかんだ(?)ので、第二部は単調さに動揺せずに済んだ。ゲバラがついに力尽きる終幕に感傷点を1点プラス。 二部でもゲバラの人物像については詳しく語られないのだけれども、部下が落伍しそうな奴に言うんだ。「彼はキューバにいたら車を二台以上持てる暮らしができる。なのにここにいる。病院を造るために、子供に教育を与えるために。」この言葉で充分なのかもしれない。デルトロの寡黙だけど信念の強い眼差し、その演技で伝わるものは充分あったし。 キューバと勝手が違って、賛同の動きが鈍いボリビア国民。下がる隊員の士気、資金力で圧倒する政府軍。過酷なゲリラ戦を今回も淡々と描く。実際、本当にこんな風に黙々としているのだろうな。ただただ信念を腹にくくって、孤独に地味にゲリラ活動は行われるのだろう。ついに捕えられ、命を散らすチェ・ゲバラ。その瞬間の場面にはソダーバーグの、ゲバラに対する敬意が感じられて鼻の奥がつん、となった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-10-25 00:53:20) |
942. 300 <スリーハンドレッド>
スクリーンで見る漫画。かさっとした画像加工が施されている映像で、1ショットが美術画みたいな。なんか初めて見たぞこういうの。ぱあーっと飛び散る血しぶきが蝶々になって飛んでいくよう。あんなに死者累々なのでリアルに描写されてもむごいわな。色っぽい女王様はラブシーンの為だけに出演みたい。頭あんまり良くないし。造形に凝ってるのはクセルクセス王。若さと美しさを全面に押し出した残虐の王。日サロ焼けした肌に無数のピアス、闇の帝王みたい。極端に作り物めいた感じがコミックテイストにあふれてて本作にぴったりでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-10-21 00:24:09) |
943. 13デイズ
あくまでも視点はアメリカからのキューバ危機。事件そのものを第三者の目から検証しているわけではないのですな。私はどっちかというとソ連側の言い分が聞きたい。“気取った高慢ちきのアメリカに一泡ふかせてやろう”とカストロと結託した「共産主義から見るキューバ危機」の方が面白いと思うんだけど。ちょっと間抜けな予感もするし。もしも実現したならキューブリックに撮ってほしかったなあ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-10-21 00:05:17) |
944. コールガール(1971)
70年代のニューヨークを舞台にした映画って共通してどことなくすすけたような、くすんだような色合いがある。この映画もくたびれ感が満載で退廃的な映像が魅力。ドナルド・サザーランドの泊まっている安宿、女と歩く夜の街、ドラッグの紫煙たゆたう怪しいクラブ。いつ少女娼婦のジョディ・フォスターが出てきても驚かない。犯人探しの謎解き部分のプロセスははっきり言ってつまんないんですが、行き詰まりをリアルに演じるJ・フォンダや地道に誠実道をゆくサザーランド、いかがわしさ炸裂のR・シャイダー等、演技達者のベテラン達が人生の一片を渋く魅せてくれます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-10-18 01:02:33) |
945. 恐怖のメロディ
《ネタバレ》 ストーカー成分満載の女ってこんなに以前から存在したんだなあ。こわいこわい。さすがのイーストウッドも防戦一方。突如“屈託無く”当然のように現れて人の生活に進入してくる前半の厄介さは今でも通じる迫真の恐怖。背筋も凍ります。警察が介入してくるくだりからは、彼女“法的に”犯罪者になってしまうので、怖さがかえって半減してしまったけど。あとやたらと長く青臭いラブシーンは勘弁。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-10-02 00:09:54) |
946. グランド・ホテル
《ネタバレ》 群像劇の元祖だそうですね。面子がそれぞれ印象強烈なメンバーを揃えてきてます。覚えるのに苦労しない、これすごく大事なことなのかもしれないなあ。金欠の速記者に余命わずかの帳簿係、社長に詐欺師に詰んでるプリマ、ここに狂言回しの医師が淡々と状況を整理解説と、この配役の妙。展開するドラマはいたって地味で、まあ殺人事件は起こるけれどもそれだってさしてドラマチックにならず、やがて夜が明けて人々はチェックアウトして三々五々散ってゆく。一人訳が分からず残されたガルボもまた車に乗せられて、後に残るはいつもの日常業務に勤しむホテル従業員。と、ここで例の医師がぼそりとまとめに入る。人生こんなもの、色々あったり無かったりと達観したようなこの話、実は意外と深いのかも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-26 00:09:26) |
947. 三銃士(1993)
安心・安全、ほどほどの冒険譚。全編に流れるディズニーテイスト。画面の隅々まで小ざっぱりとして綺麗で、荒くれ者たちが集う飲み屋ですらなんだか清潔感があって、裏を返すと作り物っぽいというか。テンポ良く展開してゆくので飽きはしないけど、あまりにも分かりきった勧善懲悪なのでつまんなさも感じる。三銃士ってもともとそういうお話だったっけ?そうだ、レベッカ・デモーネイ綺麗でしたな。悪役メイクが映えるんだ、この人は。発見でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-24 00:39:36) |
948. 白いドレスの女(1981)
今観るとやっぱり古さを感じるなあ。80’は遠くになりにけり。K・ターナーとW・ハート、今ひとつ垢抜けない二人のせいか、当時はいざしらず今やスタイリッシュのスの字も無い。どうももっさりとして暑苦しいんだよな。人物の脇汗がすごいとかいうことではなくて。K・ターナーって男っぽいといつも思う。女の色香で男を惑わすキャラではないのでは。ラストもやや蛇足気味。拘置所で情けなさ全開でアルバムをめくるW・ハート、ここで締めてくれて良かったのに。 [ビデオ(字幕)] 6点(2013-09-24 00:28:41) |
949. ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月
《ネタバレ》 続編の宿命、とでもいいますか、前作よりもパワーアップしなければということで、C・ファースはより一層不器用に、H・グラントはより一層ヒキョー者に。で、レニーは二回りほど太っての登場。ええー、レニーそこですか・・。パターンは一緒なので前作を楽しめた向きには今作もそこそこ楽しいはず。コリンとヒューのキレの悪い取っ組み合い、おじさん同士ハアハア言ってて笑わしてくれます。展開はもう、先がまるっと読めちゃうんだけど、いや秘書の彼女がブリジットに惚れていたとは予想できなかったわ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-22 23:14:16)(良:1票) |
950. サスペクト・ゼロ
みんな言ってるけど、セブンぽいけどセブンじゃない類似作。画質の湿度がずっと低いし、美しさも劣る。“苦悩する超能力者”ベン・キングスレーが重く熱演してるけれども、A・エッカートの固いお芝居が足を引っ張る。ベンの悩みはわかるがアーロン君は何をそんなに仏頂面なの?という気がしてくる。徐々に真実が顕れてくる話の展開は面白かったんですが、ちらちらと挟まるESP映像?のせいもあって二度観して整理する必要があったり。いまいちかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-11 00:02:51) |
951. ブレア・ウィッチ・プロジェクト
《ネタバレ》 評価が難しいなあ。前代未聞の、“反則を堂々とかました”作品ですからねえ。それでもあまりにその反則技が鮮やかにきめられたものだから、敵(?)ながらあっぱれ、という気持ちにもなります。手ぶれカメラの不安定な気持ちの悪さ、パニックになってゆくメンバーの取り乱しっぷり、これかなり怖かったですよ。怖いといっても、もちろん“予告プロモーション込み”でのことですが。フィクションとネタばれしてしまえば、尻切れラストも「想像の余地を残す怖さ」から「なんだよもっと落とし所考えろよ」に格下げになってしまう。なんであれ(反則宣伝でも)“第一人者”ということに価値がある、そこんとこの評価でこの点数です。 [インターネット(字幕)] 6点(2013-08-28 00:36:18) |
952. パニック・ルーム
初見の時はフィンチャーとは知らずに観て、「ふーん」と思う程度。このたびは映像に注目だ、と見直してみると、なるほど言われてみれば滑るようなカメラワーク、これって結構な高度な技だったのか。でもやっぱりお話はそんなに面白くはないなと再認識。ガスに火つけるってジョディなのになんだってそんな頭悪いことするんだろ。 [地上波(吹替)] 6点(2013-08-18 22:56:54) |
953. ギフト(2000)
サスペンスというには怖さが今ひとつ、キアヌが下手くそだからかね?こんなに大根だったかなあ。やっつけ仕事したんじゃなかろうな。それに予言をするならタロットを使ってほしいしとかケイティ・ホームズが可愛くないしとか文句を言いつつ、ケイト・ブランシェットとジョヴァンニ・リビシが好演なので結構面白く観てしまった。ケイトは冷やっとした怜悧な美貌がいかにも霊感ありそう、でいながら男の子3人を育てるお母さんのどっしりした感じもちゃんとあって上手いなあと思う。居間を片付ける手際の良さとか、大きな買い物袋を片手で抱えてさっさと車から降りる姿とか、実生活でも本当にこの位こなしてそうだ。ラストのオチにはびっくりできて、嬉しかった。スレてない自分に安堵。映画はまだまだ楽しい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-15 00:52:32)(良:1票) |
954. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
《ネタバレ》 アメリカ人のバンパイア、てのが違和感あるなあ。ジーンズとポテトとプレスリーの風土だからなあ いたとしたってゾンビだろうなあ。やっぱり吸血鬼といえば古城をバックに湿気とコウモリ、石畳と十字架が必須アイテム、という世間の(ワタシの)イメージに対して「俺たちだってできるぜ」とばかりハリウッドがご用意した美男俳優の二人ですが・・、どうでしょうこれ。首までフリル過多な衣装に身を包んだところで似合わないことおびただしい。ヨーロッパの俳優だったら着こなせるんじゃないかな、これ。ヴァンサン・カッセルとか数十年前のジェレミー・アイアンズとか。お話はというと、奇しくもトムがラストで言い放ったブラピの「何世紀にもわたる愚痴」、もうそのまんまなのでした。あと、座った目つきでトムの首を掻っ切ったキルスティン・ダンストが若輩ながら一番のお芝居してました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-11 00:10:18) |
955. ザ・エージェント
映画を観始めて、これが5本目ですくらいの頃だったらすごく感動したと思う。第一線で活躍していた男の、挫折・葛藤・ラブロマンス・友情、結果大逆転、と。王道というかベタというか。だけどトム・クルーズってどの映画でも白い歯をキラーンとさせて満面の笑みではあるけど、役柄をきちんと押さえているからなのか、浮きこぼれせずに作品にはまることができる。不思議だ。今作でもご都合主義がさほど鼻につかずに観られるし。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-21 01:32:01) |
956. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1981)
《ネタバレ》 不思議なタイトルに、なんとなくサスペンス性の高さを期待して観てみると、鑑賞後はJ・ラングのエロい肢体のみ印象に残ってますというちょっとずっこけ気味な映画。コーラの夫殺しはそんなに大事にならずに処理されてしまうという、えええ?な展開。弁護士の元秘書がゆすりに来て、おおこれから面倒ごとに巻き込まれるのかな、と思ったらジャック・ニコルソンがぶっとばして撃退するだけかい。サスペンス度は低く、中~後半に至っては二人のロマンスというか痴話げんかになっちゃってる。ちょこっと出てきたサーカスのくだり、ちょっとのわりにアクが強すぎ。ありゃ一体何なのかしら。なんだかへんてこな話だったなあ、というのが正直なところ。 [地上波(吹替)] 6点(2013-07-14 01:09:56) |
957. SUPER8/スーパーエイト(2011)
私はスピルバーグ系列のSFにそれほど思い入れもないので、ノスタルジーに浸ることもなく単なる児童向けファンタジーと捉えた。気持ちを入れて観るには年を取り過ぎてしまった。ただ、少年達ひとりひとりの描写はなかなかキャラ立ちしていて上手いし(太っちょの監督に二枚目の傷心君、爆薬マニア君に神経質メガネ君)紅一点の女の子は女神役にぴったり。好きなことに夢中になる気持ちや初恋の瑞々しさ、それに加えて街を襲う不可思議な事件。いい大人が心をまっさらにして観るにはハードルが高いけど、小、中学生の子が「スーパーエイト観に行きたい」と言ったら安心して送り出せると思う。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-11 00:42:44)(良:1票) |
958. ヴィクトリア女王 世紀の愛
エミリー・ブラントって、「プラダを着た悪魔」でハサウェイの先輩役だった女優さんだよね?ええー、女王役だなんて、一体どうなの?エリザベス女王を演じたケイト・ブランシェットが鮮烈だっただけになんかムゴくない?・・との余計な心配は見事に杞憂に終わったのでした。あらー、エミリー、頭部が小作りで目元も涼やかな気品のある顔立ちではないですか。ずいぶんプラダの時と印象が違うものだなあ、と感嘆。エリザベスの、何波乱もある時代に比べて地味な感のあるヴィクトリア朝。それでも、周囲の騒音や軋轢に耐え、自分の立ち位置にしっかり踏みとどまろうと頑張る若き女王様をエミリー・ブラントが好演していて見ごたえあり。衣装も素敵。ケイトは赤でしたがエミリーは紫が印象的でした。珍しく伴侶に恵まれたらしい英国女王の、若く気概あふれる前半生でありました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-11 00:10:05)(良:1票) |
959. サイドウェイ
《ネタバレ》 人生も中盤だというのに、今のとこどうにも出来損ないな感のある中年男が二人。軽薄男が内向うじうじ男を引っ張る形で一週間の婚前(?)旅行へ。この二人なんだかんだでお互いを補い合って、結果じりじりとちょっとづつ人生前に進んでいる、その感じが共感できるような可笑しいような。相方の財布を取り戻しに家宅侵入したうえに、全裸のおっさんに追いかけられるなんて、こりゃかなりの厚い友情だ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-04 01:11:57) |
960. セイ・エニシング
ジョン・キューザックが若い!このいかにも人の良さそうな、無害で汎用性の高い顔が抜擢されて生き残ることができてるのが、ハリウッドの懐深いところですね。相対するヒロインもいまいち垢抜けないアイオン・スカイを持ってきたので、どこにでもありそうな高校生カップルの青いお話としてうまく成立しました。十代の繊細さを思い出すには格好の映画です。 [ビデオ(字幕)] 6点(2013-06-17 22:52:54) |