1121. パッション(2004)
《ネタバレ》 まさにキリスト教徒のための映画。全ての人間の原罪を背負って磔にされたキリストを描くうえで、絶対に避けては通れないユダヤ人たちによる拷問シーンの数々は目を覆うほど。アメリカの保守的な南部の映画館でこれを観た、敬虔なクリスチャンの老婆がショック死したというのも頷ける。確かに、この宗教的な情熱は善し悪しを別にして鮮烈だと思う。ここまで残虐行為を徹底的に描くと、もしかしたらユダヤ人差別を助長するんじゃないかと思っていたら、監督のメル・ギブソンが酔っ払ってユダヤ人に差別的暴言を吐いて逮捕されたというニュースを聞いた。やっぱりこの情熱は胡散臭いということで-1点。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-02 21:44:12) |
1122. ピースメーカー
《ネタバレ》 ボスニア紛争を背景にした社会派アクション映画。エンタメ映画として楽しめる要素をちゃんと押さえていながら、それでも当時の社会についても深く考えさせてくれる。冷戦以後、超大国の影響力が急速に薄れてしまった世界でまるでたがが外れたように頻発する地域紛争。試行錯誤する欧米社会が〝平和の使者〟面をして、行った軍事介入とそこから派生する憎しみの連鎖が果たして何を生み出してしまったのか。その後の911テロのことを考えれば、この映画がどれだけ深い問題を扱っていたかがよく分かる。ま、そんな堅苦しいことを抜きにしても、ジョージ・クルーニーの男らしい格好良さとか、ニコール・キッドマンの若々しい美しさとか、単純にアクション映画として観ても充分に楽しめる良質の娯楽作品。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-02 14:15:36) |
1123. ディープ・インパクト(1998)
《ネタバレ》 隕石が落下して地球が滅亡してしまう姿を、様々な人間たちの視線から描いた群像劇。もともと群像劇が好きな自分としては、この作品の個々のストーリーがどれもが魅力的なこともあって、今でも大好きな映画の一つ。諦めて父と津波に呑み込まれることを選んだ女性記者、反対にあくまで大好きな女の子と最後まで生きることを望んだ高校生、そしてどうせ死ぬなら英雄として死ぬことを選んだ宇宙飛行士たち。そんな人間の思惑など徹底的に意に介さず突入してくる無慈悲な隕石。この、無情とも思える臨場感はいま見ても相当なレベル。個人的には、イライジャ・ウッドにせめて赤ん坊だけはと託す彼女の両親が切なくて好き。 [DVD(字幕)] 9点(2013-05-02 14:00:34) |
1124. ザ・ロック
《ネタバレ》 アクション娯楽作としては天下一品の出来!それまで単なるハゲで見た目の濃いイタリア系の変な役者どまりだったニコラス・ケイジを、実はアクション映画の主役としても嵌るんだというのを見出したマイケル・ベイに素直に拍手。この重厚さと軽さとの絶妙なバランス具合が観ていて爽快です。思えば、ニコラス・ケイジが甲板上で緑の発炎筒を両手で掲げたシーンを撮った時点で、マイケル・ベイの才能のほとんどが燃え尽きたんだろうなぁー。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-02 13:37:42)(笑:1票) |
1125. アルマゲドン(1998)
《ネタバレ》 いかにもマイケル・ベイらしいお馬鹿映画。同時期に公開された『ディープ・インパクト』のシリアスでリアリティに拘った脚本と比べたら本当に矛盾だらけのお馬鹿ストーリー。でも、この馬鹿馬鹿しさもけっこう嫌いじゃないです。特に、ブルース・ウィリスとスティーブ・ブシェミのブチ切れ具合が良い感じ。まぁ、穴を掘るプロに宇宙飛行士の訓練をさせるなら、宇宙飛行士に穴を掘る訓練をさせたほうが早いんじゃねーの?と誰だって思うものだけど、その逆をいくNASA職員……。高学歴の人たちは、やっぱり一般の人とは考え方が違うのですね。そんな人たちに地球の運命が握られたとしたら、いっそのこと滅びたほうが地球にとってまだ建設的だったんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-02 13:25:14) |
1126. パール・ハーバー
《ネタバレ》 この映画を観ると、もう一度パールハーバーを爆撃したくなる。チュドーーーン! [DVD(字幕)] 3点(2013-05-02 13:09:02)(笑:1票) |
1127. トランスフォーマー
《ネタバレ》 いかにもマイケル・ベイ監督らしい、お金だけはやたらとかけたであろうことはビシバシ伝わってくる中身空っぽのアクション超大作。前はそんなお馬鹿な映画も嫌いじゃなかったんだけど、自分が年取ったせいなのかさすがにもうついていけないっすわ~。でっかい機械の塊が延々とガッチャンガッチャンしてただけという印象しか僕には残りませんでした。 [DVD(字幕)] 4点(2013-05-02 12:59:58) |
1128. プロメテウス
《ネタバレ》 これって実質「エイリアン0」だったのですね。ただ単純にいつものリドリー・スコットの映像だけは美しいSFアクションこけおどし映画だと思って観ていたので、そのあまりにもエイリアンとかぶるシーンの数々に「おいおい、いくら自分の作品からだからってちょっとパクリ過ぎなんじゃないの?」と突っ込みながら観ていたら最後の最後にエイリアンが登場してちょっと苦笑。それならそれでそう大々的に宣伝してくれたら良かったのに。なんだか、思わせ振りな女となんとかデートの約束を取り付けて、その食事の後にホテルに行く行かないでちょっと揉めた挙句、ようやく了解を取り付けてホッと一安心したような気持ちになりました。そんな女が嫌いじゃない自分としては、この映画もそこまで嫌いじゃないです(笑)。内容?グロさはなかなかでしたけど、脚本がアホ過ぎです。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-02 12:30:21) |
1129. ターミネーター4
《ネタバレ》 最低最悪だった前作のこともあったので、どうせ今回も…、と全く期待せずに観たのだけど、前半の畳み込むような迫力のアクションシーンを見て「これはひょっとしてひょっとするかも?」と思ったのも束の間、ものの見事に後半は失速(笑)。まあ、ターミネーターの最新作というより、凡百のアクション映画の一作として観ればそこそこ楽しめます。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-30 17:43:36) |
1130. ボウリング・フォー・コロンバイン
《ネタバレ》 恐らく確信犯的に狙って、恐ろしく自己中心的で傲慢なドキュメンタリーを作ろうという監督の嫌らしい熱意が、たぶん監督の意図しなかったであろう乾いたユーモアさえ感じさせるとっても新しいドキュメンタリー作品として結実してしまった快作。もう監督の考えに合わない人間は徹底的に悪として描く手法ははっきり言って卑怯だけど、なんだかここまで突き詰められると爽快感すら感じる。手法は違うけど、小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』の映画版といったところか。ぼろくそに描かれたチャールトン・ヘストンや議員たちにはお気の毒だけど(笑)。その後の、マイケル・ムーア作品がどんどんと政治色が濃くなって全く笑えない詰まらない作品ばかりになってしまったことを思うと、これは奇跡の一品だったんだろうね。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-30 17:37:14) |
1131. キャピタリズム~マネーは踊る~
《ネタバレ》 マイケル・ムーアの作品って、で結局どうすればいいの?ていう疑問がいつも付き纏うんだけど、この作品に於いてその矛盾がもっとも顕著に表れたではないだろうか。この問題を突き詰めていくと、最終的にはやっぱり共産主義革命しか答えはないんじゃないんじゃないの?ムーアの常に社会の底辺に位置する弱者視点から映画を作ろうって情熱は分かるのだけど、そんなにお金儲けが嫌いなら、この映画も無料で公開すればいいのに。マイケル・ムーアの映画って、どうもそこのところの自己批判精神が欠けているような気がする。突飛な考えかも知れないけれど、そんな答えのない情熱って連合赤軍による一連の凄惨な事件との微かな共通点を感じ取ってしまうと言ったら言い過ぎだろうか。 [DVD(字幕)] 4点(2013-04-30 17:24:04) |
1132. ヒート
《ネタバレ》 『ゴットファーザーⅡ』以来の、アル・パチーノ&ロバート・デ・ニーロという世界でも最高峰に位置するであろう二大俳優の競演という奇跡のキャスティングで撮られたハードボイルド・アクションの傑作。もう冒頭からの二人の円熟の演技合戦が最高です。思えば、このころが二人の俳優としての最後の頂点だったのではないだろうか。そしてまさにどんどんと〝ヒート〟していくストーリー、徐々に高まっていく緊張感、その臨界点に達したところで唐突に暴発する白昼の銃撃戦!もう、堪らないっす!!それ以外にも、まだ若手だったころの(そして太っていなかったころの)ヴァル・キルマーなどの脇役陣も素晴らしい。もう、男の男による男のための映画!大好きです。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-30 17:10:00) |
1133. コラテラル
《ネタバレ》 都会の片隅で鬱屈した毎日を過ごす孤独なタクシードライバーが、偶然乗せたある乗客の仕事にどんどんと巻き込まれていくハードボイルドサスペンス。それまで重厚な男たちの世界を撮り続けてきた監督が、いい意味で肩の力を抜いて撮った佳品。どんどんと暴走していくトム・クルーズの姿が意外に嵌っていて良かったです。全体を覆う都会の夜の雰囲気もナイス!観終わった後に、「あぁー面白かった!」と素直に思える良質のエンタメ作品。ただ、ちょっと女性には分かりにくい世界かもだけどね。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-30 16:53:29) |
1134. パブリック・エネミーズ
《ネタバレ》 僕の大好きなマイケル・マン監督と、これまた僕の大好きなジョニー・デップが主演というもう期待爆発な映画だったので、ワクワクしながら観たのだけど、期待が強すぎたのか、それとも史実を基に映画化した作品の悪いほうの作用が出てしまったのか、ちょっと残念な映画でありました。ジョニー・デップはやっぱりこんな役はあまり似合ってないんじゃないかなー。マイケル・マン監督にしては特に印象に残るシーンも少なく、確かに安定しては観れるのだけど、ちょっと凡庸な作品という印象。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-30 16:42:40) |
1135. チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
《ネタバレ》 まぁ、狙って撮られているのだけどそれでも余りにも軽すぎませんか?この作風。なに不自由なく暮らす薄っぺらい上院議員があるきっかけでソ連によるアフガン侵攻に興味を持ち、そしてアフガンの弱き民を救う静かな英雄に変貌していく。で、主人公の努力の甲斐があってソ連が撤退しチャンチャン……。その後、アメリカが撤退し内戦が激化して社会が荒廃したアフガンにタリバン政権が誕生して、そしてそこにビン・ラーディン率いるアルカイダが紛れ込んできて、そして21世紀初頭のある9月11日に……。というその後のアフガンの歴史を考えればどうしても主人公の思考が軽すぎる。好みの問題だろうけど、この作品の軽さは好きになれない。 [DVD(字幕)] 4点(2013-04-30 16:29:51) |
1136. レイジング・ブル
《ネタバレ》 私生活は徹底的に破綻しているけれど、それでもリングのなかでは輝いていたボクサーの栄光と破滅を描いたボクシング映画の古典。嫉妬と酒に狂ってDVを繰り返す主人公のボクサーの姿は善くもも悪くも強烈!スコセッシとデ・ニーロのまさに黄金時代。白黒映像で描き出される、どこか乾いた狂気の世界はそれでも生きていく男の生々しいエネルギーに満ち溢れている。それに、今では既に伝説と化しているデ・ニーロのあの体重差はやっぱり見事!そこまでするかってくらいの役者魂が、主人公の狂気に見事に憑依している。 [DVD(字幕)] 7点(2013-04-30 16:09:29) |
1137. グッドフェローズ
《ネタバレ》 暴力と狂気が支配する裏社会を徹底的にアンモラルに生き抜く碌でもない男たちの生き様を生々しく描いたスコセッシ印のマフィア映画。この独特の狂気の世界観は円熟の域にまで達している。特に、自分の本能のままに生きるジョー・ペシが強烈!ムカついた店員を思わず殺してしまうなんて……。絶対にこんな男と飲みになんか行きたくないですね。狂気と紙一重の世界に生きる男たちの、情熱と悲哀に胸を揺さぶられます。 [DVD(字幕)] 7点(2013-04-30 15:52:15) |
1138. ケープ・フィアー
《ネタバレ》 壮大なる逆恨み映画。自分を牢屋に放り込んだのは能無しの弁護士だ!と自分勝手に決め付けたデ・ニーロ演じる狂気の犯罪者がとにかく強烈!もう、こんな男に目を付けられたと思うだけでおしっこちびりそうです。スコセッシって男の激しい情熱に拘った映画を延々と作っている監督だけど、作品によってはそれが善となったり悪となったりするのが深いですね。この作品は当然後者で、その最たるものかも。最後、デ・ニーロが湖に沈み込んでいく時に、主人公の弁護士を激しく睨み付けるその狂気に満ち溢れた目がいつまでも忘れられない。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-30 15:35:27) |
1139. アビエイター
《ネタバレ》 情熱的な男を演じさせたらもう右にでる者など居ないディカプリオと、そんな情熱的な男の時には狂気にさえ感じさせる激しい生き様を撮らせたら右にでる者の居ないスコセッシ監督とが作りあげた伝記映画。少々長くて途中でだれるところもあるけれど、やはり主人公の強烈な熱情は相変わらず良い感じです。もうちょっと短く出来たらもっと良かったかもと思うけれど、見応えは充分ありました。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-30 15:23:03) |
1140. シャッター アイランド
《ネタバレ》 愛する妻を失い、いまだその傷心を引き摺るディカプリオ演じる連邦捜査官テディ。そんな彼が、謎の殺人事件を捜査するために乗り込んだ孤島の収容所で嵌り込む夢幻の世界。って、同時期に公開された「インセプション」と色々と思いっ切りかぶってるんですけどー。でもそこはやはりスコセッシ、冒頭のあの仰々しいオープニングに、ディカプリオが迷い込む悲壮感漂う孤独な男の狂気の世界、そしてそこで出会う亡き妻の妖艶な美しさ…。こちらはこちらで、やっぱりゾクゾクするくらい怪しい魅力に満ち溢れておりました。これはもしかして傑作の予感……?と、思っていたら後半の見事なまでの失速ぶりはびっくりですね。残念です。でも前半は好きな雰囲気だったので7点。 [DVD(字幕)] 7点(2013-04-30 15:12:18) |