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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  アフタースクール 《ネタバレ》 
人のココロのウラオモテ。そんなモノに弄ばれ続けて、だけど見終わって心地よく騙されたぁ!といい気分。いや、正直なところ、激しく騙されてはいないんですよね。自分の中で「この人、そんなに悪くない、あれって絶対○してない」みたいなのがいちいち働いてるんで、どういう動機から動いてるのだろう?ってパズルを、見えて来るそばからアタマの中にどんどん組み立ててゆくようなカンジで、そう来たか!だけどやっぱりそうか!みたいな・・・判りづらいレビューだな、どうも。かなり巧妙に組み立ててあって、インチキくさい、そりゃないでしょ!ってミスリードもなく、だから各キャラクターの辿る道も筋が通っていて、終わってみれば「ああ、ステキな物語だねぇ」ってじんわり感動すらできちゃう。なかなか気持ちいい騙され方ってないのですが、これは秀逸。「なぜにスクール? 学校あんまり物語に絡んでこないじゃん?」ってカンジですが、先生が探偵に投げかけた言葉を思うと、実は学校は小さな社会であるように、社会は大きな学校なのかもしれませんね。
[映画館(邦画)] 10点(2008-06-13 15:47:25)(良:3票)
2.  秋日和 《ネタバレ》 
見ていてこれは小津版のキャンディーズの『微笑がえし』と言うかレベッカの『スーパーガール』なのだぁ!と思いました。ああ、判りづらい喩え・・・。『晩秋』の設定を父娘から母娘に変えて、小津映画オールスターキャストで贈る(杉村春子が登場しないのが残念)セルフパロディ映画状態。トリスバー、LUNA、BAR ARROW等のお馴染みの店、修善寺のホテルの鯉の話、天気の会話等、これまでの小津作品へのリンクがいっぱい。『東京物語』のその後のような設定もあり、これまで脇役として登場していた人々の、それぞれの家庭が描かれたりもして、一応他の映画とは別のキャラクターだけれども、同じキャラクターとして見て下さって結構ですよ、みたいな感じ。なので一つ一つのエピソード、キャラクターのリアクション、台詞が楽しくて嬉しくて、『小津祭り』映画を存分に楽しみました。これまで時代の流れによる家庭の変容を、かなりシビアにシニカルに描いてきた小津監督(カラー時代になってからは少し傾向が変わってきた感じもしますが)が、自作のキャラクター達みんなに優しく平和を与えた、みたいな映画でした。ラストの原節子ひとりぼっちはやっぱり淋しい終わりになってますけど、『晩秋』の笠智衆ほどの重さが感じられないのは、母娘を心配してるんですよ、って人々がいっぱい描かれているからでしょうね。特に岡田茉莉子の存在が大きくて。この映画の彼女は本当に魅力的で、ゆったりと時の流れる小津ワールドに現われた旋風のようなインパクトがありました。それにしても見る順番って大切。諸作を見た上でこの映画を見たからこそ、こんなにもウキウキ楽しめて、だからこの点数を付けちゃうワケで。
[DVD(邦画)] 10点(2006-07-15 01:27:11)
3.  愛と誠(2012) 《ネタバレ》 
原作の連載をリアルタイムに読んでいた身からしたら「これは『愛と誠』ではなくて、ただのパロディでしかない」と思いました。最初のうちは。今やアナクロなお笑いにしか映らないであろうものを、何故わざわざ引っ張り出してきてわざわざ笑ってみせるの?っていう憤りに近い感情が強かったのが事実です。その時代を生きてきた人間にとっては自分が生きた過去に対して笑って済ませてしまえるような割り切りなんてとても持てる訳はありませんしね。ところがこの映画、そのアナクロ感覚を笑ってみせているようでありながら、徐々にキッチリ真剣に原作の持つ純愛の世界へと誘ってゆく訳です。どう見てもヘンなキャラでしかなかった筈の面々が語る愛が、いつの間にか胸に迫る感情の発露へと昇華されてゆくのです。そう、岩清水の「早乙女君、君のためなら死ねる」のセリフがお笑いから真剣な純愛へと受け手の意識が変化してゆくように。これは何というか、上手いなぁ。前半のバカ映画ノリを全編通してしまっていたとしたらボロクソに貶していたかもしれませんが、バカに見えても熱かったんだよ、っていう過程をキッチリ見せてくれたのでとても良かったなぁ、と。これを嘲笑うだけの時代になっちゃってたとしたら、それはなんだかとても悲しい事で。妙に女優が生きている映画でしたが、特に武井咲演じる早乙女愛はお笑いキャラであってももう最初から自分の中の早乙女愛の具象化という感じで最初から最後までホワホワと見つめておりました。あのお姫様カットは自分くらいの世代には直撃しますな。1972年にあのステンレスの銀色ピカピカに黄色のラインな総武線はないわぁ、真っ黄色じゃなきゃダメだわぁ、と他が70年代の雰囲気の再現に腐心していただけにそこはなんか残念な感じでしたが、安易な『グラインドハウス』からの引用だけに止まらない時代性の表現も今の日本から失われつつある熱さを感じさせて心にたぎるものがありました。昔は良かったなんていう懐古主義ではなく、実は時代を越えて愛に真剣である事の普遍性を説いた名画だったと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2012-06-22 21:44:12)
4.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 
シリーズ中で、一番好きな映画。色々な要素が賑やかに盛り込まれた『犬神家』から一転、寒々しくも落ち着いたトーンの中に展開する物語、岸恵子の魅力(フランス臭なし)、そしてやっぱりラストシーンの悲しさ、渋さ全開な若山富三郎の存在感にとどめを刺す、と。細かいところをよ~く考えると「ん?」っていう部分もないことはないですけれど(いくら相手の目が悪いからって、変装して騙せるモンなのかなぁ? 金田一さんもあんなにも怪しい存在にすれ違っていながらスルーしちゃってるし)、確かな演出と演技によって、おどろおどろしさよりも、しっとりとした深い味わいが後に残る映画になりました。
[映画館(邦画)] 9点(2003-11-22 13:35:30)
5.  アイの歌声を聴かせて 《ネタバレ》 
 ツイッターで話題になる映画ってアタシ的にはそーんなにそこまでは・・・な場合が多い(『シン・ゴジラ』とか『怒りのデスロード』とか『すみっこぐらし』とか『バーフバリ』とか)ので、この映画もあまり期待はしない、話半分くらいなカンジで臨んだわ。   人間まんまなアンドロイドよりもメカメカしいロボ子の方が好みよ、とか思ってたけどそもそもそういう映画じゃないのね。   基本はお馴染み『E.T.』フォーマット。タイトルのアイ=AI=愛な映画。出だしはアンドロイドがいかに人間の中に自然に紛れ込む事ができるか、というお話。とっととバレてしまって(というよりもサトミのママのガバガバなコンプライアンス意識のせいで事前にバレてる)、だけどみんなでバレていないように装うのが前半のポイント。ドタバタしたり青春してたり、ありがちだけど楽しくて面白くて、それでいて感動的な展開ね。  そして突然映画のカラーが変わって(その一瞬、マジで客席から悲鳴が上がったわ)、サスペンスとシオンの真実の物語に。心を持ったデジタル生命体の話が好物なアタシなので、シオンのココロが響きまくっちゃって、それはその前の青春物語がどうでもいいくらいに。アタシは最初からシオンばかり見ていて、シオンにばかり気持ちが向いていたわ。この映画はシオンを通して人の心、思いを描いた映画で、シオンにはサトミの心が映っていたのだから、サトミこそがこの映画の主役なのだけども。  サトミ=シオンの心はディズニープリンセス的な世界を背景にしていて、それをシニカルではなくて真正面から肯定的に描いているのもディズニーヲタな私としては良かったわ。   ただ、全肯定!とはいかない点が幾つか。  サトミのママは毒親でまかり間違うとマッドサイエンティスト状態なのよね。高校生の娘を放置気味で家事や家計の管理を投げてる上、自分の研究のためには娘にも容赦ない態度を取ったりもして。サトミはああいう人格を恐怖には感じてなかったのかしらねぇ?  あと、『魔女の宅急便』の昔からアニメ映画に漂う強迫観念的クライマックス増量(水増し)感。シオン救出作戦はいいとして、屋上到達~会長の到着~ヘリ回避の逃走~連絡通路での混乱劇あたりは間延び感がしたわ。それ以前も含めて会長の存在をハンパに秘匿しておく必要があったのかどうかも疑問ね。  一度下げまくってからの逆転劇という構造だけれども最終的にシオンの行く末も上がりきらなかったように思えて。衛星に逃がすのは見えていて、でもハッキリするまでの間、曖昧にボカした、みんなに曖昧な反応をさせてたのがラストシーンのためのタメだったのだとしたら、あまり上手く行ってないんじゃないかしらねぇ?   全体的には感動的な良くできたアニメ映画よ。アニメ映画(あくまでアニメ=国産ね、ディズニーとかはアニメーション映画)という括りでは年に2~3本あるかしら?くらいには。結構う~むむむ・・・ってなってしまった、今年公開された海外の類似作品『フリー・ガイ』『ロン 僕のポンコツ・ボット』よりはずっとストレートに響いたし。土屋大鳳サマはアテレコも歌も見事だし幾つかの大感動ポイントもあるし。だけどやっぱりツイッターでの評判を信じて大期待して見る、というのはちょっと違うかしらねぇ。逆に冒頭に挙げた映画群をどれも最高と思う人なら大期待して見てもいいのかな。
[映画館(邦画)] 8点(2021-11-12 15:48:52)
6.  アルプススタンドのはしの方 《ネタバレ》 
 ほぼ野球場のアルプススタンドだけで展開する映画。ちょろっと球場外側の通路も登場するけれど。   自分の高校の試合を義務的に傍観しているコたち。応援のカタマリの中じゃなくて人もまばらな端っこの方にいる、それは中心にはなれないコ、中心になることを諦めちゃったコである事を端的に示しているわ。高校生活を送ってゆく中で、負けちゃった事、夢破れた事を自覚して色々と諦めちゃっていて。  でも、中心にいるコにも中心である事の大変さ、つらさがあって。それぞれ痛みをただ抱え込んでいただけで終わっちゃったら悲し過ぎるし、そこからどうやってその先の人生の長い長い時間を過ごすの?って、そんな映画。   『桐島、部活やめるってよ』的なお話を『セトウツミ』的視点で描いたようなカンジなのだけど、最初はコミカルな青さ、若さが、映画が進むと共にそれぞれの端っこなりの生のカタチを成してきて、共感しまくりの世界になってゆくのね。  生徒を演じたコたちの無名であるがゆえの余計なイメージのない存在感が映画を更に純化させていたわ。   ただ、ラストは残念。エピローグ部分は完全に蛇足。アレがあるせいで「今を生きるコたちのための物語」から「過去を懐かしむ大人たちのための物語」へと転じてしまったのよね。作品を大人が子供から奪っちゃってるの。それはダメ。あくまでこの映画は今を生きてるコたちのためにあるべきなのよね。
[映画館(邦画)] 8点(2021-04-07 16:04:33)
7.  R100 《ネタバレ》 
 最初の方、クラブのドアホンを押すシーン、一度立ち去ろうとした後に呼び止められ、ドアの前に戻るのですが、ここでイマジナリーラインを越えちゃってます。一瞬「あーあ」って思うのだけれども、ちょっと待った、そのドアは本来反対側からは撮れない構造になってるじゃん、って。つまりワザとそう撮ってる、その時点で「世界」は変わっているのかと。   そういえば、冒頭、冨永愛を捉えたフェティッシュな画、あの美醜の共存するゾクゾクする表情や仕草、あれは鏡の中にあったかも。つまりこれは松ちゃん版『鏡の国のアリス』なの?って。   卑猥だの下劣だのと忌むべきものとして扱われ、でもそれが無ければ滅ぶという厄介な「性欲」というモノに向き合った映画。その嗜好や妄想が完全に閉じたものであるならば、それはそんなに厄介ではないわけですが、現実には誰もがそれを潜ませて日常を送っているわけですね。そんな性を露わにしようとしているのかもしれません。あからさまな建て前として去勢されたような態度を振りかざす人々を笑うような。   だけど中盤以降、理解を拒絶し始めます。むしろこんな事、理解するな、と。  本編を映画内映画へと引きずりおろし、客観視し、考えながら見ていた人間に大した意味が無い事を解説し、観客の心理すら代弁してしまう事で、言い訳がましく逃げているようにも思えます。  でも、本当に逃げたんでしょうか?  松ちゃん自ら「卑怯な映画」と言っておりますが、本当の意味での卑怯な映画は色々とあって(一方的妄言・妄想オチみたいなヤツとか)、この映画はそれらに比べて同様に、更に卑怯なのか?というとそうじゃない気がするんですよね。   繰り広げられる不条理な事象にバランスを取るように繰り出される言い訳、その打ち消し合いを経てなお澱のように残るモノ、そこにこそこの映画の真価があるように感じます。勿論、何も残らない人もいるでしょうし、不快なモノしか残らない人も多いでしょうが、その不快さも含めての真価なのではないかなぁ、と。   今までの松ちゃんの映画はちょっと眉をしかめながら見てるようでしたが、今回はクローネンバーグやデヴィッド・フィンチャー的なニオイが感じられて不覚にもワクワクしてしまった、っていう。銀残し風の色調にレトロな美術、そこにボンデージファッション置いたら結構クるモノあるし(笑)(注:だけどSでもMでもないっす)
[映画館(邦画)] 8点(2013-10-08 16:09:55)(良:2票)
8.  アキラとあきら 《ネタバレ》 
 三木孝浩監督の「記録と記憶の三部作」3本目。   大手銀行で東大卒エリート銀行員としてのし上がってゆく二人のあきら。町工場の息子、山崎瑛と大手海運企業の御曹司、階堂彬。情に厚い瑛とクールな彬、正反対な性格の二人が銀行のシステムに翻弄されながら成長してゆく物語ね。銀行の融資を決めるのは業績の数字、記録が全て、そこに情を持ち込むことで苦境に立ってしまう瑛なのだけれど、その情こそが困難を打開することになるのね。  彬の親が死に、弟が後継者となるものの、系列会社を経営する叔父たちの策略によって赤字経営のリゾートホテルの連帯保証をして窮地に陥る、そこから二人のあきらが活路を見出してゆく展開がスリリングに描かれるわ。  父が窮地に陥った時に見放した銀行員、手を差し伸べた銀行員、子供の頃の記憶から銀行員を目指した瑛は数字の記録だけでは突き破れない、人の過去の記憶を拠り所に突破口を開いてゆくの。   池井戸潤さんの作品らしい社会派サスペンスとカタルシスの世界で、三木孝浩監督作品らしさは抑え気味な感じはするのだけど、光と影を駆使した演出は変わらないし、それになんと言っても爽やかだわ。もう竹内涼真さんの爽やかっぷりが全編を貫いていて、ドロドロした物語のハズなのに妙に清々しいっていう。  そしてこれは爽やかキレイな三木孝浩監督作品に共通する意外な特徴なのだけれど、悪役が本当にイヤ~な空気を漂わせてるのよね。ヤクザとか出てくるとハンパなくて時に映画のカラーをおかしくしちゃうくらいで。この映画のユースケ・サンタマリアさんと大島さん(児嶋だよ!)が本当にイヤ~なヤツでタレントとしてのイメージに影響出ちゃわない?って心配になっちゃうわ。だからこそのクライマックスではあるのだけど。この映画では木島さん(児嶋だよ!)と塚地さんがお笑い畑の人なワケだけど『TANG』のかまいたちの二人とは全く次元が違う恐ろしい存在感で同じ監督であっちはなんでああなっちゃったかなぁ?って思ったわ。   無駄なく2時間ちょっとにまとまった映画はちょっと甘い印象もあるけれどそこに描かれた希望を肯定的に捉えたいわ。   平日昼間の渋谷のシネコンはアタシみたいな年寄りと10~20代前半の若いコ達に二分されていて、でもその若いコ達がみんなとっても静かに真剣に映画を見ていて、ああ、このコ達がこの映画を真面目に受け止めているってもしかしたら未来も少しは明るいのかもしれないわ、とか思っちゃった。
[映画館(邦画)] 7点(2022-09-08 20:51:43)(良:1票)
9.  あの日のオルガン 《ネタバレ》 
 保母さんと未就学児童の視点から戦争を描いた映画ね。  戦時下、日本への空襲が熾烈になる中、まだ学校へ行っていない子供たちを東京から埼玉へ疎開させた人びと(シリアスな『翔んで埼玉』とか言っちゃダメ)の物語で、実話が元になってるのね。   メインになっているのは人にも自分にも常に厳しい姿勢の戸田恵梨香と、未熟で子供と同次元で生きてるような大原櫻子。  そして子供たちの面倒を見る保母さんたち、子供を預ける親たち。   それぞれの、子供を大切にしようとする姿勢と、それを妨げるように起こる様々な問題がドラマを生むのね。  映画は前半が大原櫻子、後半は戸田惠梨香が主役のような感じで、背景にある戦況の推移に伴って厳しさを増してゆく中で見応えのある演技で魅せてくれるの。大原櫻子の可愛らしい存在感が辛さの中の輝きって感じで魅力いっぱいね。  田中直樹の独特なテンポの中で生きてるカンジの存在感も良かったわ。彼の生死も含めて、結構多くのエピソードが投げっぱなしになった感もあるけど。   この映画、終戦後からいっぱい作られてきたタイプの、ありがちな感じのやつ。戦争があって、日本では多くの犠牲が出て悲しい悲しい、って。そういう意味ではちっとも進歩してないわ。平成も終わりだっていうのに思いっきり昭和よ。   だけど今またこういう映画が必要になっているような情勢になってしまって。いつのまにか、戦争はダメ!って当たり前のことを声高に叫ばなくちゃいけない世界になっていて。  国と国、民族と民族、宗教と宗教、人と人とを隔てて対立するのが当たり前になってしまった世界で、こういう映画が否定され、封じられていかないように、取り違えられた「表現の自由」が大きな声でがなり立てて、本来の「表現の自由」を封殺してしまわないように、気をつけなければいけないわ。
[映画館(邦画)] 7点(2019-03-05 20:36:23)(良:1票)
10.  アオハライド 《ネタバレ》 
 男が女々しくて優柔不断で決断力がまるで無いためにヒロインが振り回される、っていうのは最近の少女マンガ原作の映画のパターンで。もうダメ男ばっかり。世の女性達はそんなんがいいの?   で、これもそんな話なのですが、でも、ちゃんとその女々しい男の話に向き合って作られてる感じで。   目が印象的な映画です。まるで目力のある役者ばかりを選んだかのように、目が映画を語る重要なアクセントになっていて印象的。  見つめる、逸らす、泳がす、伏せる、見つける、目撃する、読む。  目が多くを語り、視線が絡む事で動き出す物語。   それからこの監督の良さ、生きた日本の風景を捉えるところ。『ソラニン』や『陽だまりの彼女』と同様に今回も風景が生きていて映画の空気を作り出しています。後半の舞台となる長崎の美しさ、そして小川にかかる橋とその先の坂という地形を、洸の抱えた心の傷に反映させる巧さ。  三木監督はこの国に生きている人の姿をキレイに捉える人だと思います。   青臭い話ではあるのですが、それこそがタイトルにかかっている「青い春に乗る」世界なわけで、その青い時に、それぞれが抱える悩みや痛み、想いを上手くすくい取った作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2015-01-01 22:43:47)(良:1票)
11.  相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン 《ネタバレ》 
テレビを殆ど見なくなって久しく、この基となるドラマも、この間スペシャルをチラリと見ただけだったりするのですが、ドラマの知識がなくても問題なく楽しめました。テレビドラマの劇場版となると、前例からどうしても、どうせこの程度、ってモノサシができてたりしますが、途中までは、そのモノサシを大きく越えて、日本映画でもここまで出来るんだねぇ、ってレベルまで高まった、硬派な社会派娯楽サスペンスになっていました。脚本に難アリで、途中で醒めてしまったのが残念です。事件の核心に迫ってゆくサスペンスの糸が、やたら都合のいい電話によって唐突に解決に向かうという展開によってプッツリ切れてしまうんですよね。それまでの積み重ねがほぼ無意味、「なんじゃそりゃ!」みたいな。犯人の掌で踊っていたにしても、せっかくの時限サスペンスの緊迫感が台無し。後から思い返すと、おかしな部分も多々ありますし。犯人の動機と、実際の犯行内容の嗜虐状態とが結びつかないとか。犯人に寄り過ぎて被害者が殺されたのが当然みたいな状態になっていたりとか。でも、映画が描いていた、マスコミやネットが政治に対する抑止力として機能せず、無自覚なままにいいように利用されコントロールされ、世論形成の増幅装置となっているという面は、現実にあると思いますし、それをハッキリ打ち出してみせる点、評価します。基となった事件の真実と違う!ってヘンなツッコミする人もいるようですが。何はともあれ、魅力的な登場人物と、がっしりとした演出で見終わって結構面白かったなぁ、と。ちょっとテレビシリーズの方も見てみたいと思ったり。
[映画館(邦画)] 7点(2008-05-02 23:24:36)
12.  あゝひめゆりの塔 《ネタバレ》 
沖縄は原色の世界で、リゾート気分を思う存分満喫できる楽園のような地です。が、ひめゆりの塔と平和祈念資料館へ足へ運ぶと、そんな浮かれ気分はぶっ飛びます。この地を襲った悲劇に完全に打ちのめされ、まともに展示品を直視する事すら困難な状態になります。この映画は、従軍看護婦として学徒動員され、散っていったひめゆり学徒隊の悲劇を事実に基づいて映像化しています。60年代に製作された映画だけに、ちょっとシニカルなオープニングから始まって、その反戦の主張はやかまし気味。切り取られ、更に吹き飛んだ手足によって作られたグロテスクなオブジェを象徴的に見せるのも、マジメとは思えず悪趣味。あまり上手とは言えない吉永小百合のオーバーアクトが、映画の温度を下げてしまったりもします。それでも、悲劇は十分に伝わってきます。家族を次々と失い、追い詰められてどんどんと命の灯が小さくなっていっても、それでも明るさを失わない娘達、それゆえにその最期は深く胸を刺します。ただ、同時に胸に刻まないといけないのは、こんな悲劇がここだけではなくて沖縄全土、そして日本のあちこちで引き起こされていたという事実。沖縄でひめゆり学徒隊同様の大勢の娘達がやはり命を落としていたのも事実。今、私の立場で誰のせい、何が悪かったと問うのは無意味でしょう。ただ、今の繁栄の影には、決して切り捨てる事のできない沢山の犠牲が存在していた事を認識しておかねばなりませんね。
[DVD(邦画)] 7点(2006-08-16 01:00:27)(良:2票)
13.  アイデン&ティティ
主人公が叫ぶロックの魂って、実のところ決して正論とは言えない気がしますが、映画は「別にそんな事言ってないよ」って感じもします。彼は必ずしもカッコ良くなくって、悩みをいっぱい抱えてても、それは身から出た錆だったり自身の力のなさだったり。バンドブームによって安易にもてはやされ、消費され尽くしてしまったロックに対しての憤りよりも、そこに生きてた、ダサくてカッコ悪いけど、でも青春なんだ!って感じが伝わってくる佳作でした。ただ、ちょっとタメが多くて長過ぎる気がしました。もう少しタイトにまとめてくれたらなぁ、って。
[映画館(邦画)] 7点(2004-01-11 13:19:08)
14.  アンドロメディア 《ネタバレ》 
さて、好きと言うと「はあぁぁあ?」と言われる三大日本映画の最後の一本のレビュー~(あとの二本は『ときめきメモリアル』と『パラサイト・イヴ』を参照して下さいね)。えーと、この映画は竹中直人って結局どーなっちゃったの?とか、あんなディスクやら端末やらに人格形成データを収めるはムリじゃ!とか、砂浜に桜は生えんだろ!とかいうツッコミはあるんですけれど、感動しちゃいました。っていうのも、私、デジタル生命体の悲劇、という物語が大好きだったりするので。だから、SPEEDのファンでもない私としては、あのCGで描かれた寛子ちゃんに感情移入してしまい、むしろその後のメイクで画像として出てくる彼女よりもCG寛子を出せ、みたいな。彼女が望んで自らのデータの抹消を望むラストでは、ああ、あなたが生きられない、こんな世の中でごめんね~、なんて思ってしまう私なのでした(アホ)。心を持ったデジタルの悲劇・・・うーん、好き(でも『A.I.』よりも点数高いのは問題かなぁ・・・)。
[映画館(邦画)] 7点(2004-01-03 23:00:26)
15.  Avalon アヴァロン
人間のコミュニケーションの手段は急速にその形を変えています。デジタルの波に乗って届けられる言葉、声、文字、映像。世界に繋がった線は、過剰とも言える情報をどんどんと吸収し、更なる世界を構築してゆきます。やがて、人格はデジタルに置き換えられ、デジタルが愛を語り夢を見る。この状態を怖れるのか、甘受するのか、歓迎するのか。そこに選択の余地はあるのか。誰にも判りません。自分の存在を確認する術を探し続ける行為もまた、簡単にデジタルに置き換えられる今(そう、今この文章を打っている行為も)、この映画は時代の必然、一つのイコンとして存在しているように思います。
[映画館(字幕)] 7点(2003-11-25 21:07:52)
16.  悪は存在しない 《ネタバレ》 
 タイトルが鑑賞のポイントになってる映画って気がするの。悪は存在しないってどういう意味?逆説的な?単純な二元論じゃないみたいな?って色々な先入観で映画を見る事になるじゃない、ハナからまっさら、ニュートラルな姿勢で見るというのが無理な感じで。   冒頭の延々と仰瞰で木々を捉え続ける移動ショットで早々に「どうしよう?」って感覚に陥っちゃうのだけど(あ、なんか前衛的なヘンな映画見にきちゃった?)やがて人が出てきて物語を紡ぎ出すので安心するわ。そこからの展開に自然と人間との共生、その距離の取り方とかあるべき姿とかを語るのかな、それぞれの立場を想うならば、安易に正義とか悪とかを定義すべきではないって話なのかな、なんて考えちゃうワケ。  だけど映画は突然予定調和の道から外れて「ええ~?そんな話?」って結末を迎えて。なるほど、それはそもそも正義とか悪とかいう次元の話じゃないし、ソレはどの視点からも切り離された、ソレにとっては意味を定義する意味も無い事象だし、って。そこまで実のところいっぱい伏線が張られていて、でもその伏線が回収されたからって気持ちイイとかいうのでは全く無くて。   登場人物一人一人、映画の中で時間が流れてゆくに従って段々と人柄、人間性が見えてきて、それは肯定的でも否定的でもなく(東京の事務所の2人はともかく)それぞれに人間で、だけど実のところ映画はそこに優しい眼差しを見せる事もなく。  見てるこちらも突き放されてるわねぇ、って印象の映画だったわ。ずーーーん、ってカンジよ。   冒頭の木々は最期に見た風景だったのかしらねぇ・・
[映画館(邦画)] 6点(2024-05-30 14:50:36)
17.  青くて痛くて脆い 《ネタバレ》 
 かなりアンフェアなミスリードよね。真実が明らかになるまではサスペンス映画のごとく見せてゆくものだから、ずーっと不安感と緊張感に支配された状態が続くのだけれど、明らかになった瞬間にタイトルの意味が判って、思っていたような映画じゃないことが判って、あー、そういうコト・・・って肩透かし、脱力感に襲われて。  キモチは判る、理解できるのだけど、その極端な行動は一貫して「なんなのよ?」ってカンジ。でもあの瞬間からカレの見え方がガラリと変化してしまうっていうのは面白かったわ。   大量に配された登場人物の、でも多くがそんなに物語に対して有機的に機能している存在には思えなくて、世界を構成する要素です、くらいな。この映画の知識が全然ないままに見たので「あ、松本穂香出てる、森七菜も出てる」みたいな楽しみ方はあったけれど。にしても森七菜の学校の先生に対して物語として特に何もしないカンジなのはモヤるわね。   ラストの選べなかったルート、生きられなかったルートは切なくて、だけど最後にヤツに与えられたチャンスはそれでも甘すぎやしませんか?と思ってしまったり。いや、若ければ人生はまだまだ選べる道はあるのでしょうけれど、でも、ヤツには壊してしまったものの大きさに対する自覚はあんまりないような気がしてしまうわ。  失ったもの、失われた時間の大きさ、その痛みをガッツリ描く、ってほどに残酷にはなれないでしょうけどね。
[映画館(邦画)] 6点(2020-09-14 21:58:25)
18.  あの頃、君を追いかけた(2018) 《ネタバレ》 
 リメイクってコトで元は韓国映画?とか思ってたのね。だから誰かがドラマチックに死んじゃったり、奇跡とか超常現象とか起きたりするんだ、って身構えてたら何も起こらなくてビックリ・・・って元ネタは韓国映画じゃなくて台湾映画だったのね。   そう、等身大の青春映画で、大事件が起こったり、現実を超越した奇跡が起きたりする訳ではない、誰にも似たような記憶があるような、そんな若い頃のひとときを描いた映画。   お互いに気持ちを上手く伝えられなかったり、自分が何をやりたいのか、何になりたいのか判らなかったり、あー、わかるわ~、って。そんな時を過ごす姿が、なんだか可愛らしくすら思えてきて。   ただ、元の映画に忠実なのかなんか知らないけど、日本を舞台にしてるのに明らかにおかしな部分があって。  高校の卒業式の後に大学入試があって、入学は多分9月で。ってなんで? そういうのは日本に合わせようよ?  唐突に台湾ロケになる部分も物語の流れの中ではあまりに不自然だし、日本人が作っているのだけれど、なんとなく日本とちょっと違う感覚がしてしまう不思議さもあって。『僕の彼女はサイボーグ』の、日本を舞台にしてるのに日本じゃない感、アレに似てるかも。  細かいコト言うと(いや、結構重要かな)、青いインク痕のいっぱい付いたシャツ、アレが象徴的に飾られてるんだけど、ヒロインにボールペンでつつかれてる時に一度もインク付いてないのよね。あれヘン。   齋藤飛鳥は透き通るような澄んだ美しさで、この青春映画のキラキラしたイメージを支えてるわ。  山田裕貴はもう色々と体当たり状態で面白いキャラを創り上げてて、ただ、高校生には見えないなぁ・・・あの裸は既に大人のソレだわ。   大感動作!というわけではないけど、自分の記憶を刺激されてしみじみと過去を想う、そんなひとときをくれる映画だったわ。
[映画館(邦画)] 6点(2018-10-22 19:14:37)
19.  あさひなぐ 《ネタバレ》 
 ああそうか、『トリガール!』と監督一緒なのね。どうりで見終わった後の印象が似てると思ったわ。   マンガ的表現とワザと盛り上がりをハズす同一パターン、面白いし感動もするけれど、結局そこそこ、パターン化された世界の物足らなさ。何か「ココ!」ってこの作品ならではの個性が欲しいところなのですが。  乃木坂46の面々は個性的でも、キャラ造形や物語には意外性も何もない、全てが予定調和の中に収まった世界。   それなりに薙刀の知識を得る事はできますが、じゃあ薙刀の魅力ってなんだろう?ってそこが見えるところには到達しませんし、肝心の試合シーンには問題が大アリで、どうにも映画としての面白さに繋がりきらないもどかしさ。面を装着する事によって表情が見えず、戦っている二人のどちらがどちらのチームか、そもそも誰なのか、胴のところの校名と苗字で判断しなくちゃならない状態。キャラの名前までちゃんと憶えてないと、だからそれって誰?って事態に陥ります(乃木坂46のファンの人ならば面の奥の目や声って少ない情報量からでも判断できるのでしょうけれど)。面を透過させる技法も1シーンだけ登場しますが、マンガやアニメならともかく、やっぱり実写だと違和感ハンパない状態で。薙刀のルールがそうなんだから仕方ない、とするならば映像化そのものに問題があったんじゃ?  光量多め、ややハイキー気味な映像もちょっとやり過ぎかなぁ。アイドル映画と割り切ればこんなもんかなぁ。   脚本的にひっかかった点は宮路が試合に負けた後の電車の中の宮路と旭のシーン。あそこは旭のモノローグ無しで見せる事ができたハズで、わざわざ説明しちゃったら台無しなんじゃないかと。そこまでマンガ的である必要があるのかと。   個人的に堪能できたのは江口のりこって人の芸の幅の広さかな。安藤サクラと似てるとか言われてますが、共演している『野田ともうします。』の野田さんと手影絵部の部長ってキャラ的に全く似ても似つかないつーか、他の作品でのそれぞれの役が全くあの2人に繋がんないつーか、1作ごとにイメージバラバラつーか。そう言えば『奥田民生になりたいボーイと~』でも共演してましたね。顔を合わせるシーンはありませんでしたが。って話が逸れました。   いっぱいあるこのテの作品群の中にやがて埋もれてしまいそうな、ひと味ふた味足らない作品でした。
[映画館(邦画)] 6点(2017-09-25 21:04:02)
20.  IAM A HERO アイアムアヒーロー 《ネタバレ》 
ツイッターの映画クラスタの間で評価が高かったので期待し過ぎちゃった。   ベースは『ゾンビ』そのものなわけで、話の中心がショッピングモールでの籠城戦で生き残った人間同士のゴタゴタがドラマになってます、なんてところはなんのヒネリも無し。今から40年近く前に作られた映画にやっと近付きました(越えてはいません)ってそれって誉められる事なのかなぁ。このジャンルって低予算のしょーもないデキのものが大量にありますから、元々ハードルは低めだったりするのでしょうけれど。  それでも邦画としては頑張ってるその映像は、舞台を日本に見立てての大々的な韓国ロケで実現した映像なわけで、つまり国内だけじゃこのレベルに到達するのは無理です、っていうのが実情なんでしょうね。   この映画のオリジナリティは主人公が何者にもなれないヘタレで、極限状態でも変われず、それでも、ってところですが、んー、ダレ気味。森に入って以降クライマックスまでテンポが悪くて、そのワリに濃密なドラマが描かれている訳でもないので『晴天の霹靂』とちょっとキャラカブってる大泉洋の苦悩演技をご覧くださいって状態がシンドいなぁ、って。有村架純と長澤まさみって花を両手にしながらなおヘタレ続けるので温度低めな時間がずっと続いて。  避難民を支配している男とその手下って、お約束の展開に「あーこの流れかぁ」ってウンザリさせられつつ、ヘタレの覚醒を待たなくちゃならないのは結構苦痛。  で、やっと覚醒したと思ったら最早それドーピング脚本だろって状態で。ライフルの弾、一体何発持ってるのよ?ってくらいに全部ライフルで片付けちゃうのでライフルVSゾンビの映画になっちゃうんですよね。ライフル最強!で終わっちゃう。英雄は本当に英雄になれたのか? うーん。   グロっぷりハンパない、よくぞここまで、みたいに言われてますが、殆どヘッドショットでブシャブシャ頭が破裂するばかりなので、激しい人体破壊っぷりを期待すると、こんなモンかあ、くらいのモノです。そんなモノ一切期待しない、ホラーもスプラッタもゾンビものも苦手な私でも「なんだぁ」って思う程度。   そして、有村架純は良かったです。
[映画館(邦画)] 6点(2016-04-29 22:44:37)
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