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プロフィール
コメント数 2396
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  影なき声 《ネタバレ》 
松本清張の原作の映画化なんだけど、昭和の推理小説にありがちな妙にトリックをこねくり回して事件を複雑化させるパターンは現在の視点からはどう見ても古臭い。300人の声を聴き分けることが出来る電話交換手というプロットも、ストーリーには活かされていないとも感じます。だいたいからして、押しこみ強盗真最中に掛かってきた電話に出る強盗犯なんていますかね?まあこれは原作小説の持つ弱点なんでしょうがないかもね。 鈴木清順がまだ日活で職人監督として大人しくしていたころの作品だけど、編集やカメラカットには独特の清順節がそれでも垣間見れます。前半でフェードアウトしちゃうけど、若き日の宍戸錠の禍々しい悪役ぶりが印象的です。警察の取り調べの乱暴さもまた強烈で、これは当時の現実が反映していると思いますが、これじゃ現在まで尾を引くような冤罪事件が起こったのも無理ないかと思います。二谷英明が演じる新聞記者が警察よりも有能な名探偵というありふれたストーリーでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-12-17 21:51:24)
2.  カモとねぎ 《ネタバレ》 
森雅之がボスで高島忠夫と砂塚秀夫が子分の詐欺師グループ、競艇場でスクリューを曲げるいかさまで大穴配当金300万円をせしめるのに成功するが、コケティッシュな娘・緑魔子に尾けられて持ち逃げされてしまう。キャバレーで働いていることを突き止めて拉致するけど、亭主の保釈金に300万使ってしまったので手元にないと言い訳、保釈金が戻ってくるまでという前提で彼女も仲間入りすることに。 というお話しなんだけど、この映画は森雅之の怪盗ルパンばりの変装芸を愉しむのが正解でしょう。最初は悪戯程度の詐欺からだんだんスケールが大きくなって最後は大企業から3,000万円を脅し盗るところまで行くけど、毎回毎回色んな変装で登場します。変装するのは彼だけじゃなく高島や砂塚もヘンな感じの化け方なのが面白い。森雅之は緑魔子と同じ屋根の下で寝起きする羽目になるけど誘惑には全く反応しないのに、ロングヘアーの女性にはパブロフの犬みたいに条件反射してしまうのがちょっとヘン、でもダンディーで軽妙な演技は名優の違う一面が観れた感じでお得です。でもこの四人の中でやっぱいちばん眼を引くのは、緑魔子でしょうね。彼女がこの当時の東宝作品に出るのは珍しく、東宝女優にはないエロチシズムを振りまいていましたし、彼女の変装もこの人の色んな魅力が観れて良かったと思います。詐欺専門のレンタル屋さんの小沢昭一やおばさんになりかけた頃合いの山岡久乃も面白かったかな。 まあ全体に他愛もないコメディなんですけども、クレイジーキャッツやドリフの映画を手掛けた松木ひろしらしい脚本でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-15 21:00:18)
3.  ガメラ対宇宙怪獣バイラス 《ネタバレ》 
製作時は大映の終焉カウントダウンが完全に始まっていた68年で、バジェットも前作の三分の一まで削られちゃあ、そりゃスタッフもテンションが下がりますよね。それにしても、まるで子供が書いたのをそのまま採用したんじゃないかと思えるほどの酷い脚本には呆れます。東宝もゴジラにシェーをさせたぐらいに日和っていた怪獣映画業界でしたが、ここまでお子様路線に舵を切った大映のヤケクソぶりはなんか痛々しい。怪獣映画界隈の長男が円谷特撮だとすると、後発で変な縛りやしがらみのないガメラシリーズは、やんちゃな次男坊ということなのかな。そうは言ってもあまりにツッコミどころが多くて、この歳で観返してみるとかえって愉しくなっちゃうぐらいです。ボウリングの球を四つくっつけたような宇宙船、テレパシーで操作できるというのにいちいち言葉にして命令しなくちゃいけないって、どうなってるの?どう見てもイカが元ネタのバイラスに腹からブスッと串刺しにされたガメラ、いくら何でもふつう死ぬでしょ。正夫たちが宇宙船の中を移動するシーンで「でもこの円盤の中、何もないなあ」というセリフがあるけど、これは低予算でまともなセットが組めなかったことへの自虐が込められてるんじゃないかな。でもいちばん唖然としたのは、80分の上映時間のうち15分以上が過去作の特撮シーンの引用というところでしょう。最初はバイラス星人がガメラを研究するためにガメラの記憶を再現するというのは上手いへ理屈を考えついたなと思いましたが(それでも過去三作のシーンを10分ぐらいただ流すだけ)、バイラスに操られたガメラがダムや東京を破壊するという見せ場ですら過去作を流用している。つまり本作で組まれたセットは、海辺のただ砂浜があるだけのものだったみたいです、嗚呼、低予算の悲しさよ… 実は渥美マリはこの作品がデビュー作、翌年にはオッパイ丸出し路線に猛進することになろうとは、本人も予想してなかったでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-05-28 23:10:56)
4.  華麗なる一族 《ネタバレ》 
コテコテのバルザック調の作品で有名な山崎豊子の『白い巨塔』と並ぶ代表作の映画化。神戸を地盤とした成り上がり財閥である万俵家の当主・大介とその家族が繰り広げるドロドロの愛憎劇、そして政界を巻き込んだ銀行再編を巡る暗闘劇がこれでもかというネチッこさで展開するストーリーですが、三時間半という驚異の長尺映画です。でもこの映画は短いシークエンスを延々と繋げる撮り方をしているので、自分にはさほど長尺が苦にはなりませんでした。 製作年は74年、映画界はどん底状態ですでに日活と大映は倒産して天下の東宝ですら自社では映画製作をストップしていたご時世、本作も東宝は配給だけで製作部門を切り離した別会社・芸苑社が製作。でもかつての五社体制当時では考えられなかったキャスティングが可能になっており、京マチ子を初めとした旧大映の俳優陣が大挙出演して豪華な顔ぶれが愉しめます。モデル小説で評判というか物議をかもした山崎豊子の原作だけあって、劇中のエピソードや登場人物は当時の観客には容易に想像がつきます。その中でも万俵一族だけはもちろん架空ですけど、そのまるで中世ハプスブルク家の婚姻外交のような閨閥造りはまさに“華麗”の一語です。長男が政権党の大物代議士の娘を娶り、長女がキャリア大蔵官僚で主計局次長の妻、次女に至っては現職総理大臣の甥と婚約(結局破談にはなる)と凄過ぎです。だいたい親父の大介からして妻妾同居どころかいい歳して3Pが大好きですので、もうハプスブルク家どころかボルジア家やメディチ家も裸足で逃げ出す内情です。この脂ぎった連中を佐分利信や京マチ子が演じるので、こりゃ堪りませんぜ。長男役は仲代達也ですけど、実質的には一人二役でしたね(笑)。また銀行・企業側や政界関係にも曲者が勢ぞろいといった感じで、とくに大蔵大臣の小沢栄太郎が印象深かったです。 考えてみれば70年代初頭は銀行業界は大蔵省と政界にガチガチに支配されていた時期で、現在みたいに銀行が実質倒産したり大手行が合併しまくってメガバンク数行に減ってしまうなんて誰もが予想だにしなかったことです。そうすると山崎豊子の原作は、近未来に起こる金融ビッグバンを予言していたような読み方もできます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-11-03 21:59:12)
5.  カメラを止めるな!スピンオフ「ハリウッド大作戦!」<TVM> 《ネタバレ》 
まああれだけオリジナルがバカあたりしたんで、調子というか勢いに乗ってこういうお遊びをしたくなる気持ちも、判らなくはない。本当にこんなんでどこが面白いと言ったらよいか悩むところですが、ラストのHOLLYWOODの人文字の件だけは、不覚にもクスっとしてしまいました。でも冒頭のシークエンスではHOLLYのパネルだけだったのはどう解釈すれば良いの?ネタバレさせたくないというのが意図だったんでしょうが、あまりに映画文法を無視しすぎです。まあこのいい加減さがらしいと言えばらしいところなんだけど。 こんな緩い企画がおフランスのオスカー受賞監督にウケて、リメイクされたってのが未だに信じられない。あの竹原芳子も出てるんですからねえ…
[CS・衛星(邦画)] 3点(2022-07-31 21:43:49)
6.  勝手にしやがれ!! 英雄計画 《ネタバレ》 
このシリーズもついに大団円ですが、妙に弾けていた前作からは想像もつかない幕の閉じ方です。お手本というかネタ元だった『傷だらけの天使』も最終回は予想を超えてましたが、このシリーズもかなりシュールでぶっ飛んだ最後でした、でもこんなぶっ飛び方は好きじゃないよな。ヤクザを町内から追放しようとする寺島進が中心の前半のストーリー展開はたしかにいつものグダグダ系コメディですが、後半からエンディングまではもはやシリアス・ドラマとしか言いようがないです。寺島進の妹キャラがヒロインですけど、いつものように不思議ちゃんではないのからして違和感がありました。バブル時代が終わって大不況になっていった時世を反映して登場キャラたちが離散してゆくんだろうなというのは想像していましたが、まさか哀川翔と前田耕陽のコンビが警官隊に包囲されて銃撃されるようになるとは、予想を大きくはずされました。 “やっぱり腹黒い奴だった”寺島進がけっきょく生き延びたのには何のカタルシスもなかったし、警官隊の待ち受ける中に飛び出してゆく二人の姿は『明日に向かって撃て』のパクりじゃねえかよ!暖簾が風に揺れた瞬間に居眠りしていた洞口依子が目覚めるのがラスト・カット、これは二人が死んだことを暗示していました。ここまで来ると、黒沢清の「最後は俺の好きなように撮らせろ!」という魂の叫びが籠っているような気がします。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2022-06-03 22:25:20)
7.  勝手にしやがれ!! 成金計画 《ネタバレ》 
このシリーズもたいがいマンネリ化してるよな、と舐めていたら五作目にして突然の大変調!なんと言いますか、リミッターが解除されたようなぶっ飛びぶりとかなりシュールなセンスのギャグで、なんか鬼気すら感じてしまいました。ヒロインはシリーズ中で最豪華といえるあのWinkの鈴木早智子、トレードマークの無表情を活かした大根芝居なんですがそのキャラのバカっぷりと訳の分からなさは、これまたシリーズ随一!八億円分のヘロインを拾った(?)OLに振り回される哀川翔と前田耕陽のコンビという図式なんですけど、今回はそのヘロインを競り落とそうとするヤクザたちのキャラが立ちまくっています。ヤクザなんだからヘロインは強奪するのが普通なのに、めちゃくちゃにダンピングしながらもまるでオークションみたいに落札しようとするのが可笑しい。そのヤクザ・トリオのうちの金髪野郎は、首輪で繋がれて犬みたいに吠えるだけ、まるで人間ドーベルマンです。東京湾で捨てたヘロインが富士五湖に流れつくなどいい加減なストーリー展開は相変わらずですけど、散りばめられるギャグは今までにないセンスがあって自分にはけっこうツボでした。映像的にも遠景ショットや長回しの多用が見られ、今まで薄かった黒沢清風味が濃厚な感じがしました。ラストもパスポートを持って旅に出る哀川と前田の姿を見せてエンド、こりゃあ最終第六作では波乱の展開になるのかな?とはいえ、本作がシリーズ中でいちばん面白かったとは言っておきます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-05-03 23:41:25)
8.  勝手にしやがれ!! 逆転計画 《ネタバレ》 
懲りもせずにまたまた観てしまったシリーズ第四作、やはり今回も同パターンのストーリー展開です。哀川翔が惚れる今回のマドンナはタバコ屋の一人娘。今までにない真面目な娘で観ているときは「いよいよ新パターン展開か?」と思いきや、期待を裏切ってくれません、娘の競馬狂いの父親が登場してからは毎度おなじみの怒涛の展開に。だいたい、哀川翔がなぜか行倒れるヤクザの持っていた1千万円を盗むところからして、「なんじゃ、こりゃ?」という脚本。そしたらあの真面目な娘が父親もたじろぐ無謀ギャンブラーにキャラ変して、なんと1千万円を1レースにぶっこんで溶かしてしまう。まあこの1千万円が盗み盗まれて持ち主が転々とした挙句に、中央競馬会に巻き上げられたというわけです。ヤクザがカネを取り戻そうと追ってくる状況で、なぜか前田耕陽が買っていた馬券が大穴的中ですった1千万円が戻ってくるという、相変わらずいい加減な脚本です。そしてこれもお馴染みのいい加減な展開でエンド、ちっとは工夫しろよ、黒沢清!でも今回は父親役の河原崎健三がとぼけた良い味を出していたのは、良かったです。 今回気が付きましたが、このシリーズはビデオ・スルーのVシネマじゃなくていちおう劇場公開されていたんですね。さすがバブル時代の余韻が感じられる90年代、邦画界にはまだいい時代だったのかも。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-04-03 10:46:28)
9.  勝手にしやがれ!! 黄金計画 《ネタバレ》 
シリーズ三作目にして、だいたいの基本プロットが見えてきました。➀謎の女・洞口依子が運営する闇の探偵社(何でも屋?)があり、喫茶店が事務所になっていてオーナーの大杉漣は共同パートナーみたいな位置付け。➁哀川翔と前田耕陽はそこの調査員というか請負人みたいな感じで、ふたりは兄弟分みたいな関係でとくに前田は哀川とホモだちなんじゃないかと思うぐらいべったりの間柄。ここまでは言うまでもなく『傷だらけの天使』と同じというかパクり。➂そこに毎回ぶっ飛んだ不思議ちゃん系の女の子が飛び込んで来て二人は振り回される。④そしてエンドロールでは哀川と前田がデュエットする『森のくまさん』がなぜか流れる(笑)。 今回の不思議ちゃんは藤谷美紀ですが、シリーズ前二作に比べると割とまともというか大人しめのキャラ。居候先の家具・備品を勝手に売り捌いちゃう性癖(?)が彼女の笑わしどころ。そういや哀川の棲み処が、前二作の廃業した魚屋みたいなところからガレージがついた元店舗みたいなところに代わってました。ストーリー展開としてはいつものVシネマらしい雑なグダグダかと思いきや、中盤から悪徳刑事が絡んで来て、とうとうシリーズ初の死人が出る展開。でもこの刑事の末路も含めてブラックなテイストは悪くないかなと思います。微妙な差かもしれませんが、暫定ですけどシリーズ中でいちばん面白かったかなと感じます。 さて、ここからはシリーズ折り返し、はたしてどういう展開になります事やら…
[CS・衛星(邦画)] 6点(2022-03-04 22:47:46)
10.  勝手にしやがれ!! 脱出計画 《ネタバレ》 
黒沢清の90年代Vシネマシリーズ第二弾です。もちろん哀川翔はじめ基本的なメンバーは変わっていませんが、それぞれのキャラ付けが少し濃くなってきました。哀川翔=藤田雄次は割とまともそうに見えるが実はいい加減なキャラ、前田耕陽=吉行耕作はほとんどバカだけど馬鹿正直なバカ。大杉漣や洞口依子といった常連との会話などは快調なノリで、一作目よりも黒沢清の脚本の腕が上がったかなと思います。しかしストーリー自体は相変わらずVシネマらしいいい加減さ、前回で二人を引っ掻き回したキャラを女から男に変えただけのようなストーリー。ヤクザの親分の娘に惚れられた予備校生とその娘の妹が騒動を引き起こすわけですけど、この予備校生が前作のキャバクラでバイトする保母よりもさらに上を行くいい加減な不思議男、しかも誰だか知らないけど演じる男優が大根役者(妹役の女優のひどさもかなりのレベルでしたけどね)。まあラストのオチは誰でも予想が付くもんでしょうけど、そこに持ってゆくまでの展開の雑さは第一作の再現みたいな感じでした。エンドタイトルで流れる哀川翔と前田耕陽が大真面目に歌っているのが『森のくまさん』、さすがにこのセンスは理解不能です(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-02-01 22:36:18)
11.  勝手にしやがれ!! 強奪計画 《ネタバレ》 
まあどっから観ても『傷だらけの天使』へのオマージュというか焼直しです。哀川翔と前田耕陽は言うまでもなく、洞口依子は『傷天』の岸田今日子で大杉漣は岸田森の役柄というわけでしょう。黒沢清は自分の趣味に合わない監督だけど、Vシネマでコメディということもあっていつもの臭みもなく安心して観れました。とは言え「可もなく不可もなく」というのが正直な感想。なんか主役二人が目立たないんだよな、その分疫病神・七瀬なつみが美味しいところを持って行ってしまった感が強いですね。真面目そうな風貌な保母さんなのに夜はキャバクラ・ホステス、ノミ屋で200万も馬券に突っ込んで踏み倒すという予想もつかないキャラ。けっきょくこのキャラに頼ったストーリーテリングで結末はいい加減というか出鱈目な終わり方です。まあ、深く考えなければそこそこは愉しめるし、お正月休みの暇つぶしにはちょうど良いかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-01-01 23:00:53)
12.  架空OL日記 《ネタバレ》 
バカリズムが制服を着てOL銀行員になっているとは一つ間違えばくだらないコントの映像化になってしまうところ、それが日記調でロー・テンションな語り口で通すことによってありふれたOLの日常を鮮やかに見せてくれます。セリフや仕事オフのときのカジュアルな私服からはもうバカリズムにしか見えないのですが、彼の意図があえて女装を意識させないところにあったので違和感はあまりなかったですね。同職の知り合い女性には「女性同士であんな人間関係がすっきりしてるわけないじゃん!」とダメ出しを喰らっていましたが、男性のバカリズムがここまで女性同士の機微をストーリーに落とし込めたのは、やはり彼の才能の賜物でしょう。彼はかつてアイドリング!!!という女性アイドルグループをプロデュースしたことがあったので、その経験が活かされているのかもしれません。考えてみると彼の演じるキャラはOLグループの中でも話題の中心となるよりは脇からツッコミを入れる空気っぽい存在で、それが夢オチ的なラストに上手く繋がっていると思います。それにしても、『天然コケッコー』のそよちゃんが10年後にこんな逞しいOLになっていたとは、おじさんは感無量です。あと韓国採用されたソヨンというキャラ、この物語に登場させる必然性があまり感じられないし、だいいちいくら日本語は上手だといっても窓口業務はさせないでしょ?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-09-17 18:58:08)
13.  家族ゲーム 《ネタバレ》 
観直して何となく感じたところですが、ディティールがどこか川島雄三の『しとやかな獣』に似ている感じがするんです。団地の一室が主な舞台だし、戸外の生活音が強調されて観客の耳に入るような音響設計、そしてラストのヘリコプターの轟音を訝しんで窓を開けて外をうかがう由紀さおり、ここは『しとやかな獣』ではパトカーか救急車のサイレンでしたね。沼田一家が住む団地も渡し船で訪問しなければならないベイ・エリアで、この立地条件も『しとやかな獣』と一緒。森田芳光は後年に『椿三十郎』を全く同じ進行でリメイクしたりしてるから、昭和の邦画に思い入りが深かったのかもしれません。 食卓のシーンやラストのカオスに陥る会食のシークエンスはあまりに有名ですが、この映画は「おっ、日本のルイス・ブニュエルが登場か」と当時思わされたぐらいのシュールさです。もちろん原作小説があるのですが細かいところはかなり改変されており、まさに森田芳光ワールド全開といった感じです。他にもいろいろ気になるディティールが満載で、松田優作がいつも持っている子供むけ図鑑(?)のようなものはなんなんだろう?沼田家では在宅中は玄関をロックしないので外部の人間がスーッと家に上がり込んでくる、昭和三十・四十年代じゃあるまいしこの規模の集合住宅でそんな不用心あるかい!等々。いっさい音楽が効果音としても使われない演出、慎一が母親に聞かせる『マイ・フェア・レディ』のサントラ(多分曲は『I Could Have Danced All Night』)も無音(もっともこれは著作権の権利金が発生するからかも)、松田優作と阿木燿子がいちゃついているシーンで電話に出る阿木燿子のセリフも無音(意図不明)と徹底しています。 家族やコミュニティーに異分子の人間が入り込んで人間関係をグチャグチャにするというプロットの映画は珍しくはないですけど、本作では松田優作の大暴れで切れかかっていた一家の絆が逆に修復したハッピーエンドとして捉えるべきなのでしょう。キッチンで割れたお皿や散らばった料理を片付ける四人の姿がそれを象徴していましたね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-07-13 00:22:14)
14.  ガメラ 大怪獣空中決戦 《ネタバレ》 
正直言って公開当時はまさかガメラがリメイクされるとは想像すらしていませんでした、それも日本怪獣映画の新境地を開くようなアプローチで製作されるとはね。 いきなり東宝のマークが映り続いて懐かしの大映のマークが出てきて、時代の移り変わりをひしひしと感じさせてくれたオープニングです。冒頭のシークエンスでは巡視艇のじまの船長に本郷功次郎、海竜丸の船長には久保明とオールドファンには感涙もののキャスティングです。そもそもガメラは日本怪獣映画史上もっとも理屈に合わない生物で昭和のシリーズではそこには全く拘りがなかったのに、超古代文明が遺伝子操作で作成した人工生物という斬新かつ妙に納得がゆく設定です。対するギャオスも超古代文明がガメラに先駆けて開発した生命体で、進化を経ないで誕生した完璧な遺伝子を持つ雌雄同体の化け物という痺れるプロフィール。オリジナル通り人間食なんですがギャオスのデザインがオリジナルより生々しくて、そのお食事作法は東宝特撮のガイラを彷彿させます。そういえばギャオスが中央線の快速電車をかっぱらって中の乗客を食べるシーンは、『サンダ対ガイラ』の羽田空港での食人シーンとカット割りが同じでしたね。 「神は細部に宿る」と言われますが、この映画の怪獣が出現することによっておこる社会的混乱を織り込んだストーリーテリングはそれまでの特撮映画になかった画期的な脚本で、この視点こそが『シン・ゴジラ』で昇華したと言えるでしょう。株式市場や為替相場が怪獣のために暴落するなんて描写は、それまでいろいろ怪獣映画を観てきたけど初めての遭遇した気がします。ガメラとギャオスが暴れるシーンでは徹底的にローアングルに拘り、それまでの怪獣映画で使われていたいわゆる“神の視点”のカメラアングルは基本的には排除されています。画造りにも拘っていて、ギャオスが崩壊した東京タワーに沈む夕陽をバックに巣作りをしているところは、まるで実写のようで怪獣映画史に残る名カットじゃないでしょうか。都市破壊シーンも精巧なミニチュアを作成して着ぐるみが破壊するというCG登場以前のテクニックの集大成が披露されていますが、公開されたのが阪神淡路大震災の直後でリアルな都市破壊を散々TVで見せられた後だけに、自分には観ていてなんか辛いものがありました。とくにガメラが東京に出現するシークエンスでは、なぜかガメラが東京まで地下を掘り進んで来て、地上はまるで地震の様に揺れるところがますます大震災が思い出されてゾッとさせられました。 ガメラにつきまとっていた「子供の味方」という臭いイメージを払拭させる意図もあってのリアル指向だったかもしれませんけど、尺も程よい長さになって見応えがある一編だったと思います。でもやはり文句が言いたいのはあのセガールの娘の大根演技だけはねぇ…彼女は最近日本じゃ見かけませんが、いまどうしてるのかな。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-07-19 13:38:38)
15.  害虫
私の前にレビューされた53人の採点分布を見ると、驚くことに0点から10点まで満遍なく得点しています。他にも探せばあるのかもしれないけど、ここまで綺麗に点数がばらけた映画を自分は初めて見ました。まあそれだけ観た人の評価が分かれたということなんですが、観ていただけると判ると思いますがそうなるのも無理はないです。 監督の塩田明彦は蓮實重彦の門下生の一人みたいですけど、いかにも蓮實教授が好きそうな作風です。デビューしたての十代の宮崎あおいを愛でる映画と言えなくもないが、その割には彼女の家庭環境とキャラ自体が痛すぎて観ててつらいものがあります。私は基本的にセリフでストーリー展開させる映画が嫌いですが、その真逆に位置する本作だけど監督の技量が拙いのでイライラが募るばかり。どの登場人物にも感情移入させたくない、という監督の意図だけは伝わってきましたけど。ずっと一時間あまり音楽を一切使わない流れで来たところで突然流れてきたのは、おお、懐かしのナンバーガールじゃないですか。田淵ひさ子のギターはやっぱこの映画にピッタシだな、ということでそこに一点プラスです。
[ビデオ(邦画)] 4点(2019-06-21 23:15:45)
16.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
製作費が300万円ということですが、ほとんど映画らしい手間をかけていないPOV映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の6万ドルや『パラノーマル・アクティビティ』の1万5000ドルと比較すれば予算の割には登場人物も多くて普通の映画だと思います。逆に言うと、300万円でこれだけの映画が撮れちゃう日本の映画製作状況が心配になります。俳優さんたちはギャラなんてほとんどもらってないんじゃないかな。 冒頭の長回しの他はとくに目新しいアイデアは使われていないけど、映画として普通に面白い。「ネットで話題沸騰!」ということで大ヒットしたわけですが、若いネット民やマスコミには長回しというスタイルがよほど新鮮に感じたみたい、ヒッチコックなんか70年も前に全編ワンカットという手法(厳密にはワンカット風)で『ロープ』を撮っているのを知らないみたいです。私はそれよりも、全編に映画愛が濃厚にあふれているところが気に入りました。トリュフォーの『映画に愛をこめて/アメリカの夜』の日本版がついに誕生したとさえ私は感じています。ラストで人間ピラミッドが崩れた後に俳優たちが見せるさわやかな笑顔には、胸がキュンとしてしまいました。 最近の地上波では血が画面に映るのはご法度で放映できない映画がたくさんあると聞いていたので、劇中劇のフェイク・ブラッドとは言えこれだけ流血シーンや首チョンパまである本作が放映されたことには驚きです。数字が稼げてスポンサーがつくなら原理原則なんて糞くらえというというのはいかにもTVらしいところですが、そんならもっとゾンビ系やスプラッター系を放映しろよと言っておきます。もっとも自分としては、地上波で映画を観ることは滅多になくなってますけどね。
[地上波(邦画)] 8点(2019-03-10 21:41:01)
17.  監督・ばんざい! 《ネタバレ》 
北野武版『81/2』という感じなんでしょうけど、自分版『81/2』を撮った映画作家たちは芸術性の行き詰まりをテーマにとしているのに、「どうしたらウケる映画すなわちヒット作が撮れるか?」というどの映画監督も悩んでいるけど口に出せないことを赤裸々に語っちゃうところが武らしいです。小津風、文芸作品、昭和回顧、ホラーもの、忍者映画、と構想練るものの次々に失敗する展開はなかなかの抱腹ものです。武登場シーンのほぼ半分はたけし人形に代役させるのも傑作で、もうこの人は映画に出て演技するのが嫌になっちゃったんじゃないかと勘繰りたくもなります。このまま続けば楽しいのに、SF編になってからは訳の分からない展開で、けっきょく『みんな~やってるか!』とおんなじ様なパターンとなってしまいました。私はたけし軍団の中では井出らっきょが特に嫌いなので、途中から見ていて苦痛でなりませんでした。最近は地上波でもやらない様なセンスが悪いギャグを延々と見せられた挙句の小惑星の地球激突、これがSF編だったことをすっかり忘れていました(笑)。 まあこんな悪ふざけをお金を払った観客に見せつけた末に、「やっぱバイオレンス映画しか受けないんだ」と気が付いて『アウトレイジ』を撮るわけですが、もっと早く気づけよ!
[CS・衛星(邦画)] 3点(2017-03-09 23:31:42)
18.  海底大戦争 《ネタバレ》 
いやー、実はわたくしも小学1年生の時に学校でこの映画を見せられたんですよ。たしか夜の校庭でスクリーンを張っての夜間上映だったという記憶があります。今の眼で見るとなんか滑稽な半魚人サイボーグの着ぐるみですけど、小学1年にとっては刺激が強かったですよ。でも不思議だったのは、なんでこんなゲテモノ映画を学校の授業の一環として子供に見せたのかということに尽きます。そして下の方のレヴューを見て違う学校でも上映してたんだと知ってびっくりした次第です。まさか同じ小学校に同時期に在籍していたってことは、まあ可能性がないわけじゃないですけどね。私が小学1年の時はこの映画の劇場公開と同年で、当時の東映はこういう形で公立小学校にまで営業をかけていたんでしょうか、大いなる謎です。 肝心の内容の方ですが、どう考えても子供向きじゃないのは確かですが、大人の眼で観たってカスです。海中の特撮映像からして、水中で炎や煙が発生するぐらいですから問題外です。半魚人サイボーグは妙に黒目が巨大だったり顎がなかったリして、よく見てみると確かに気味が悪いかなと言えます。でもあのダイヤルを回してサイボーグをコントロールするバカバカしさは、ちょっと発想がぶっ飛んでます。在日外国人の素人をを大挙動員しているところは資本を海外が出しているからなんでしょうが、日本人俳優はほとんど千葉真一だけというのはまた極端です(敵方ザコ役で室田日出男なんかもちらっと出てますけどね)。この外人素人たちの会話シーンが、ほとんど全編にわたって鼻先が10センチぐらいの近さまで顔をくっつけて演技しているのがこれまた奇妙。でもよく見ると監督は『吸血鬼ゴケミドロ』と同じ人だと判り、なんか納得した次第です(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2016-10-22 19:00:34)
19.  火線地帯 《ネタバレ》 
脚本は石井輝男が書いていますけど監督はしてません。 “ライン・シリーズ”と言っても秘密売春組織がプロットになっていることと石井輝男が監督で三原葉子が出演していること以外に共通点はなく、そういう意味では純粋ないわゆる“ライン・シリーズ”とは言い難いところがあります。 ストーリーは100丁の拳銃の闇取引をめぐる陰謀に巻き込まれるチンピラ・コンビと謎の男天知茂を軸に展開します。今回の天知は軽妙なコメディ・ロールといった役柄で、この人はけっこう器用な役者だったんだなと感心します。ギャングのボスには何と田崎潤が起用されていて、その愛人はご存知三原葉子というわけです。彼女はいつものお約束の“X星人キャラ”、つまり悪の組織の一員だけど寝返って最後は命で償いをする、ってやつです。新東宝では悪の親玉には大友純(今回は敵対組織の親玉)の様ないかにもな俳優たちがキャスティングされるのが通例ですが、さすがに田崎潤だと風格がありますね。でも彼じゃあなんか立派すぎて見えてしまって、あまり悪辣な感じがしなかったですね。そうなんです、この映画については新東宝に独特な安っぽさや登場人物の奇妙さが消えていて、妙にふつうの映画っぽいんですよ。まあ同時期の日活の無国籍アクションに近いレベルまで倒産間際になってやっとたどり着いたかな、という感じですかね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-06-28 22:47:33)
20.  顔役暁に死す 《ネタバレ》 
この頃の岡本喜八は“暗黒街”シリーズと『独立愚連隊』二作で独自のスタイルを築き始めていたころです。その『暗黒街の顔役』から『顔役』だけスピン・オフした様な題名ですが、もちろん“暗黒街”シリーズとはなんの関係も有りません。 主役に加山雄三、脇に中谷一郎と中丸忠雄とくると、どうしても『独立愚連隊』二作を彷彿としてしまいます。じっさいそんな感じで、原作がハードボイルドの大藪春彦とは到底想像がつかない仕上がりです。まあそこは原作のハードボイルドを岡本喜八が自分風味に料理した一皿なんでしょうけど、加山雄三のあっけらかんとしたチャラ男ぶりは堪能できます。岡本作品に登場する加山はたいていこんな感じですが、これは演技が未熟な加山の為に岡本が考えた加山雄三のベストキャラなのかもしれません。映画のストーリー自体は『用心棒』の設定をそのまま現代に持ってきた様な地方都市のヤクザ抗争なんですが、どうもイマイチ岡本にしては弾け具合いが足りません。これはきっと脚本が関沢新一じゃないからなんでしょうね。 敵役には青大将になる前の田中邦衛がキャスティングされていますが、これが加山雄三と田中邦衛の初共演と言うことになるそうです。また平田昭彦も悪役ですけど、岡本作品では平田は悪役にまわることが良く有り、彼の本来の持ち味を上手く引き出しているなと思います。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2016-05-17 11:16:45)
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