1. 白い巨塔
TVドラマの唐沢財前版は観てましたので、「本家」のこちらはどの程度ドロドロしてんのか、と大いに興味を抱いての鑑賞です。 映画版はやはりドラマより展開が早い、というか忙しいな。台詞説明も多いし。でも大学病院という高みで展開する権力争いのえげつなさはいかんなく描写され尽くしてて、わかっていても充分げんなりしました・・。 時代が古い分、洗練されることなきむき出しの欲望と言いますか、財前の義父は特に大迫力でしたねえ。 やっぱり古さが感覚に合わない部分もありまして、女優陣の演技やキャラ付け、台詞回しはもう絶滅した仕様のものですね。そして何気にホステスもお嬢様も強烈に毒舌。なんでなの笑。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-11 22:52:13) |
2. 12人の優しい日本人
《ネタバレ》 名作「十二人の怒れる男」を日本人バージョンでやったらどうなるか。全般のトーンをコメディ調にアレンジして、陪審員一人一人を‶いかにも”日本人として描写。この辺がね、上手いですよねやっぱり。米国人と違ってディベート慣れしていない日本人ですから、初対面同士で議論しろと言われてももじもじして意見の出ない人の方が多い。本作でも自らはっきり自分の意見を語る人って3人しかいなかった。でも冒頭の飲み物オーダーをまとめるくだりに見るように、「作業」ならば自発的にせっせと取りまとめる人って、どんな会合でも必ずいるんですよね日本人。うーん上手い。 オリジナルでは「早く帰りたがる人」は野球の試合を見に行きたいと主張していたのですが、本作では「仕事に戻りたいから」となっています。ここもね、公的な責務の場で「巨人戦を見たいから」と言っちゃう日本人は考えづらいもんね。(「阪神戦を見たいから」はいるかもしれない) 中盤までだんまりを決め込んでいた豊川が場を仕切り出してからは、がぜんテンポが良くなりました。 事件状況の推理や証言のあやふやさを見出してゆく展開はオリジナルに沿っていますが、米国版に比べて一件一件の精度が低いのは残念でした。ピザの件しかり、料理の美味い居酒屋だから酔っていないのでは、という理屈もしかり。やっぱり「ジンジャーエール」→「死んじゃえ」は無理だと思うな。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-18 23:24:09) |
3. 新・平家物語
画がすごいなあ。時代考証をきっちりおさえた(ように見える)平安の世。まるで当時にカメラを持って行って撮ったようなセット感の無さ。それに圧倒的なエキストラ動員量。庶民の市場も山を下りる法師らの軍勢も迫力あります。物量で圧倒してくる日本映画って(この時代のものでは)初めて観たかもしれない。たいてい話の深度に重点を置くものが多いというのが「昔の日本映画」のイメージだったのですが。やりますねえ。 若き大スター市川雷蔵の演技はいまいちだなあと思いながら見てましたが、クライマックスで山法師らに啖呵を切るシーンはさすが歌舞伎役者、大見得を切る場面は十八番。腹から出る声量の堂々たることといい、滑舌の良さといいさすがでした。掛け声のひとつもかかりそうな。 歴史の授業では駆け足で過ぎるこの時代。原作はその長大さに及び腰になっちゃいますし、娯楽として映画作品にしてくれるのは色々勉強になってありがたいことです。でもあの母君の衣装はどうしたのかな。興行とはいえアレはちょっと突飛よね。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-04-07 18:08:56) |
4. シン・ゴジラ
《ネタバレ》 二作目以降長らく続いてきた「ゴジラ=怪獣映画」の流れを断って、初作品の哲学に立ち戻った21世紀版ゴジラであります。現代社会に破壊神が降り立ったら、のシチュエーションのもと描かれるのは主に人間ドラマ。今作では指揮トップに立つ役人や政治家の右往左往がメインで、硬直した組織の縛りっぷりであるとか、首相の暴走発言による混乱とか、やたら長い役職名とか現日本国民である我々は肌でデジャブを感じるリアリティである。前半のどたばたっぷりはとても面白い。私はくどくど会議が展開中の中盤までの方が好きである。 邦画の常として、主人公クラスは人気先行のタレントをおいて脇をベテランで固めるパターンにはもう慣れてはいる。本作もしかり。長谷川のおぼつかなさを支える柄本明であったり、特に巨災対チームの面々がそれはもう素晴らしい芝居っぷりで心躍らせて観ていたのだが、突然冬のオホーツク海並みの冷や水を浴びせられるのだった石原さとみに。米国政府のブレーンというよりイキった日本人にしか見えない。この人が口を開くたび下を向いてしまった。つらくて。未曾有の有事に際しているのに毎日髪をきっちり縦ロールにしてくる人材は大統領にはなれないと思う。ヒラリー・クリントンだって国務長官時代は髪なんかにかまっていられなかったと言っていた。 とはいえゴジラの造型は素敵でした。ゴジラサイドに立つ人間がいなかったことが残念でしたが。あ、そして生活に根ざした圧倒的な恐怖感という意味ではやはり一作目には及ばないような。映像が綺麗でシステマティックだからでしょうか。 [映画館(邦画)] 7点(2016-08-28 18:47:26)(良:4票) |
5. 新幹線大爆破
《ネタバレ》 75年にしてこの堂々たるジャパニーズ・クオリティ。いや感激です。 今観ると確かに古い。乗客らが、情報が一つ一つ入るたびにパニック起こして各車両にふれて回るとか、まさかの喫茶店全焼とか、今の感覚ではちょっと無理だろう。 けれど当時観ていたなら相当面白かっただろうと思う。危機が去ってはまたやってくるその展開の速さ、鮮やかさ。職務遂行に苦悩する宇津井健のサイドストーリーも相当な重みだ。高倉側の事情ももう少し欲しいが。 昭和の空気が残る画は垢抜けなく、CGなんか無い時代。だけどその分、こじゃれた感の無いガチなサスペンス感にあふれてる。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-11-05 23:57:30) |
6. シンプル・プラン
《ネタバレ》 やっぱり、肩入れしたくなるのはB・B・ソーントン演じる冴えない兄貴。自分でも負け人生を自覚していて、良心のとがめにふらふら優柔不断で危なっかしいねえ。ああ、こんなのが仲間にいたらうまく行きっこないぞう、と予想できちゃう。その弟夫婦、一見、世間的にはまっとうなこの人たちがかなりの曲者。けっこうな小ずるさを正論で糊塗するハンクも嫌いだけど、欲に遠慮の無い鬼嫁ブリジットが怖い。ことごとく裏目に出る彼女の計画ったら冷血だわー怖いわー。ついにはヨメよりはるかに小心の主人公、札束焼却にて証拠隠滅。しかしヨメとの溝はもはや埋め難く残ったであろう。手に入らなくとも大金とは人生を狂わせるものなのね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-08 00:30:37)(良:1票) |
7. 七人の侍
これは凄い。興奮必至、問答無用の面白さ。日本人の顔がこんなに濃いとは驚きだ。スクリーンから馬が泥を跳ね飛ばしてきそうなすんごいカメラアングル。3Dが小細工に感じるね。長いので、中休みをはさんで上映されました。誰も席を立たなかったと記憶してます。 [映画館(邦画)] 10点(2011-09-21 18:35:44)(良:1票) |
8. シベリア超特急
予備知識なしに見たのは十数年前 鑑賞後は言葉も浮かばず変な耳鳴りがして体調が悪かったのを覚えている。時流れてここのレビューで同じく衝撃波をくらった人たちがたくさんいるのを知って心が慰められました。 [地上波(邦画)] 0点(2011-07-05 13:57:53)(笑:1票) |