1. みかへりの塔
《ネタバレ》 非行や盗癖、虚言癖など、問題を抱えた児童を集め、厚生と社会復帰を目的とした学院が舞台で、30代の笠智衆や20代の三宅邦子が登場する。先生がお父さん、保母がお母さんとなって、10人ほどの子どもたちと家庭を築き教育を行うのだが、実際の学院長と小説家豊島与志雄の共同原作を元に清水宏が監督した映画だ。だが子どもたちが非行歴があって手に負えないほどには見えず、キャンプか何かの集団レクレーションくらいに感じてしまうのは私だけだろうか。学院が一丸となって水を引く工事を行うところなどももっと盛り上げてほしかった。深みがいまいち [DVD(邦画)] 5点(2013-11-16 06:57:55) |
2. 耳をすませば(1995)
オリビア・ニュートン=ジョンが歌う“Take Me Home Country Roads”は私と同年代の青春の歌、大変なつかしい。映画の方もメルヘンの世界は良いが、少女漫画すぎるのは私の好みじゃない。 [ビデオ(邦画)] 5点(2013-08-10 15:45:28) |
3. ミラーを拭く男
全国のカーブミラーを拭いて回るというのだから、さぞ感動作かと思いきや、ただひたすら拭くだけ。騒いでいるのは周囲だけで、贖罪でもなければ何か信念があってやっているわけでもない。この大上段に振りかぶらず淡々としているところが実に良い。まわりの人間模様もおもしろいし、ラストの妻が付き添うところもほのぼのとして気持ちが良い。名優緒形拳がこれほど寡黙な男を演ずるのはおそらく初めてであろう。それでいて撮影時の年齢が今の私とほぼ同じということもあり、共感を覚える。 [DVD(邦画)] 7点(2013-05-23 07:47:52) |
4. みんなのいえ
前半は意地がぶつかったり、それぞれの職人芸が感じられおもしろかったが、後半はちょっと物足りない。大先生と棟梁の意気投合が安易に感じられる。 [DVD(邦画)] 5点(2013-03-19 17:15:02) |
5. 緑の小筐
私が生まれた年の映画、戦後まもないだけあって「大映株式會社製作」という文字が右から並ぶ。夫婦とその息子が登場するが、映画主要部分は川を流れ下る緑の小箱が主人公というのだから変わっている。そして変わっていると言えば、ソプラノやアルトなどの歌手と合唱団の歌がナレーター代わりをするというオペレッタ風ファンタジー。男が赤ん坊が生まれたばかりの時に、妻を残して旅立つというのはどうにも解せないが・・・。 ところで小筐の筐の字だが、かたみという意味があるそうな。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-03-12 08:12:03) |
6. 宮澤賢治 -その愛-
《ネタバレ》 人間宮沢賢治をこれほどまで詳しく描いた伝記映画があるだろうか。巡り会った数多くの人物を登場させ、たくさんのエピソードを描く。舎監をつるし上げて寮から追い出されたことや鉱石採集ばかりしていて「石っこ賢さん」とよばれていたエピソードに始まり、その後もその調子で延々と続く。そのどれもが記録に残っている事実であり、質屋の長男坊だったことすら知らなかった私にとっては驚きの他なかった。書物や文献を研究するなら別だが、それこそ宮沢賢治を短時間で知るのには最適だろうと思う。 しかしながら映画そのはどうだろうか。たくさんの史実を詰め込んだせいで、どれもが薄く淡泊になったのは否めない。妹の宮沢トシを初め、高瀬露、伊藤チエと賢治を敬い親しむ女性が登場しても盛り上がらないのが残念である。それでも質屋の長男がどうして「アメニモマケズ」の心境に至ったかは感じるとることはできた。 [DVD(邦画)] 7点(2012-10-11 20:49:41) |
7. 乱れる
《ネタバレ》 「高校三年生」がスーパーの1周年記念セールの音楽となって流れる60年代、世の中は大型店の進出によって小売店が立ち行かなくなっていく。戦後のバラックから女手ひとつで作り上げた酒屋にも、取り壊してスーパーに改造という話が持ち上がる。 前半はそうした深刻な社会派ドラマの様相も見せるが、義弟幸司の告白によって一転して純愛映画へと変身。 義姉さんへの思いや甘え、一緒にいたいという願望から、わざと心配をかけさせる気持ちがよくわかる。また18年間も家を守ってきたとはいえ、女心の揺れる気持ち、乱れる心、これまたよくわかる。状況打開のため礼子は亡き夫の写真をトランクにつめ、身を引こうと決心する。しかしそれでも追いかける幸司。 幕切れは意外とあっけなかったが、自殺か事故死か、あの後どうなるのだろうか。乱れた心は・・・。 [DVD(邦画)] 8点(2012-07-05 21:42:31) |
8. 乱れ雲
昔見たときは私も若かったので、映画に一抹の物足りなさを感じせられたが、この年齢になって改めて見ると、これぞ大人の愛、大人の映画という感を強く抱かせる。 実直な青年三島と美貌の未亡人由美子、それを演じる加山と司葉子に強く惹かれる。成瀬監督の最後の作品と知っていっそう感銘が深い。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-04 22:13:22) |
9. 水のないプール
前半はまずまずでこんな映画もありかと思ったいたが、後半主人公の行動がエスカレートするにつれついて行けなくなった。 [映画館(邦画)] 3点(2012-07-04 19:01:16) |
10. 宮本武蔵(1961)
子どもの頃に三船敏郎の宮本武蔵を見ていたので、すんなりと見ることができた。それどころか、以前筋がわからなかったところも手に取るようにわかった。 この映画は東映時代劇スター中村錦之助が主役をつとめているのでまったく申し分がない。また度量の大きさとともに生臭さも感じられる三国連太郎の沢庵坊主も光る。 この映画はまた、入江たか子の娘入江若葉のデビュー作でもある。八千草薫の可憐なお通とはたどたどしいのは残念ではあるが・・・。 DVDで三船敏郎と錦之助を並べて見ることができるようになった今日、比較することは可能になったが、それぞれの持ち味があり無意味とも思う。しかし、映画はたしかにスケールが大きくなった。 [映画館(邦画)] 6点(2011-11-03 06:34:38) |
11. 宮本武蔵(1954)
子どもの頃見た宮本武蔵、筋は理解できなくとも結構覚えていた。それだけインパクトが強かったのだろうと思う。宮本村の武蔵は悪蔵とか鬼蔵と呼ばれ、暴れん坊のならず者だった。それがお通と巡り会い、沢庵和尚の教えによって人間らしい宮本武蔵になって旅に出る。その長い長いお話の序の部分だと知ったのはずっと後のことだった。 八千草薫のお通は、けなげでとてもいじらしい。 [映画館(邦画)] 6点(2011-11-02 22:37:09) |