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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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201.  昼顔(2017) 《ネタバレ》 
 見終わった後の疲労感も含めて、ある意味、戦争映画。恋愛という名の闘争の物語。愛が敵を生み、愛によって闘い、傷つき、ぼろぼろになって、そしてじゃあ、誰が一体勝者だったのか?という。   人と人とのふれあいと摩擦、そのヒリヒリとした緊迫感と共に、様々な要素がその舞台を創造してゆきます。ホタル、星空、川の流れ、バス、自動車、自転車、電車、線路、オートロック、指輪・・・。それぞれが意味を持つものとして帰結してゆくのが面白いです。バスは繋がりを示す一方、自動車は不穏な存在、みたいに。頻繁に登場する料理が心理を映しているのもポイントで。一人暮らしであっても自分のために欠かさない料理はヒロインの生を示し、その失敗は乱れた心を示して。   上戸彩の、決してキレイではないドロドロとした感情を表す演技をカメラや演出が上手く拾ってゆきます。最初は細かいカット割や動き回るカメラが煩わしく感じられましたが、慣れてゆけばそれにも意味があるのだと。   ただ、場を盛り上げようとする音楽がやかましく、またアレンジを変えてインストで3回は流れる金井克子の『他人の関係』が自分の世代からするとふざけているようにしか思えないんですよね(振り付けのビジュアルが頭に浮かんじゃうし)。曲のタイトルが場面の意味を示しています、っていうのならば安直に過ぎると思いますし。音楽に関してはどうにもセンスが悪いとしか感じられませんでした。音楽全面差し替えしたらプラス1点、みたいな。   あと、ヒロインが身の上話をしたのはオーナーに対してのみなので、ウワサ話が広がった時点でオーナーに疑惑を持たなかった(ように思えた)のが疑問でした。   幾らかひっかかりはあるものの、役者の存在感と全編に張り巡らされた技巧によって、ドロドロとした不倫物語が見応えある愛の闘争の物語へと昇華された作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2017-06-20 20:18:15)(良:1票)
202.  22年目の告白 -私が殺人犯です- 《ネタバレ》 
 「藤原竜也は17年前に中学生を演じてた訳で、22年前っていったら小学生が殺人犯だったって事かいな?」なんて思いつつ映画に臨みました。   こちらが見る前から当然予測していた展開の、更に上を行く展開はなかなか良かったと思います。そう来たか!みたいな。ちょっと力技というか強引ではあるのですが、そこら辺は韓国映画が元ネタゆえに納得、みたいな。  「残虐な殺人犯があんなに簡単に人気者になるもんかいなぁ」とか、警察やマスコミの描写とか、危なっかしい感じだけれども、役者の存在感でギリギリでハリボテ化するのは防げていたと思います。こういう映画ってネットの反応だのインタビュー画面だのを映すと途端に嘘っぽくなるんですが、一方向に強引に流れを持ってゆかない事、そこを描き過ぎない事でなんとかバランスを保てていたんじゃないかと。   マスコミのあり様、正義、使命、そんなモンをあの読売新聞な、あの読売グループな、あの日本テレビ製作で語る資格があるんかいな、とツッコミ入れたくなりましたが、物語的にそれもなんか怪しくなって「ああ、自己批判か、自省か、ちゅーかそういうとこまでチェック入れずに製作任せちゃったか(笑)」みたいな。   ただ、殺人描写が直接的で、その陰惨なイメージが作品全体を支配していて(その点も韓国映画的)、重く暗い映画として頭にこびりついた感じです。入場時に渡された作品に対するアンケートには評価自体は「まあまあ良かった」にしたものの、ソフト化された際には購入したくない、もう一度見たくはない、って。謎が判った上でもう一度見れば色々と発見もあるとは思うのですけどねぇ。でも、うーん。   で、藤原竜也小学生殺人犯?の謎(つまりビジュアル的に無理ないか?)は解決したのか?っていうと、それは見れば一応判る感じ、みたいな?
[映画館(邦画)] 7点(2017-06-11 20:52:28)
203.  家族はつらいよ2 《ネタバレ》 
 安定のキャスト陣による安心な続編、と思いきや、今回かなりブラックになっています。映画が死の方を向いているんですよね。老いて確実に近づいてくる死に対して向き合う映画。前作にもその匂いはありましたが、今作はストレートに死を描きます。何しろ火葬場に向かう棺桶からの主観、火葬される棺桶の主観という2つの「死者の視点」が描かれているくらいで。あれ、かなりドキッとする画で。   前半、運転がおぼつかなくなってきている周造の描写によって事故による死の影がチラつき、後半になると旧友の死という全く別方向から死が直接的に描かれます。  幾つかのひっかかりどころはあります。脚本上ジャマとばかりに早々に富子を海外に送り出す事で物語から退場させたり、幾つものエピソードが投げっぱなしでなんの回収もせずに終わってしまったり。え?そこで終わり?みたいな状態で。でも、その唐突な終わり方が「さあ、自分なりに色々と考えてみろ」という余韻の残し方のようでもあって。  免許と車の事、富子のベッドの事、丸田の遺骨や遺族の事、憲子の母と祖母の未来の見えない生活の事。解決されないままにプッツリ終わって映画館を放り出されて、映画と繋がる自分の現実と対面する事になる、みたいな。そういうのを実感できる世代の人に向けて作られた映画なのだなぁ、と。  せめて笑って死にたい、少しでも幸せを感じて死にたい、そういう死に方についての映画ゆえ、もちろん希望に溢れたキラキラした映画じゃありませんが、お馴染みのキャストによって見易く、受け入れ易く出来てる、そんな印象を受けました。   ちなみに丸田の死因は具体的には描かれてませんでしたが(心臓が悪いという説明はありましたが)、あれ、銀杏中毒だと思います。いくらなんでもあそこまで銀杏食べたらヤバいっす。マジで。
[映画館(邦画)] 7点(2017-06-04 21:03:13)(良:1票)
204.  追憶(2017) 《ネタバレ》 
 今の役者さん達で今の時代を描きながら、そこはかとなく昭和。でも、その愚直な作り、嫌いじゃないです。   殺人事件をめぐる刑事の物語ではありますが、ミステリーとかサスペンスとかではなくて。刑事のドラマが中心で、犯人が誰かはそんなには興味ない作り、ちょっと市川崑監督の『幸福』を思い出しました。   やや不満の残る部分もあります。尺が短いためにそれぞれのキャラが最初から明確なイメージで登場して、そこから大きく変化する事なく過ぎてゆくとか(ずっとしかめっ面の岡田准一)、あちらこちらに「偶然」が散りばめてあるとか、長澤まさみの扱いが中途半端だとか、殺人事件の当事者達の感情が省略されるとか。  ですが、役者さん達それぞれの不幸っぷりが上手くハマっていて、それはリアリズムとは別の世界のものではあるのですが、独自の寒色の映画世界が築かれていて。特に安藤サクラは不幸っぷりが画になる人で。   映画は過去の記憶を留めつつ、今日を、そして未来を生きてゆこうとする姿を描きます。幾つもの不幸と悲劇を描きながら、それでもなお、新しい生命に明るい未来が託されてゆきます。それは、この映画そのものに込められた想いにも重なって。日本の風景、日本の色、日本の空気、そして日本の人を画として残そうとしているようで、その真摯な姿勢を「古臭い」とかで片付けたくはないと思いました。あとは継ぐ者の問題、かな。
[映画館(邦画)] 7点(2017-05-08 21:28:31)(良:1票)
205.  帝一の國 《ネタバレ》 
 登場人物全員、もう極端な性格で極端な言動に終始しますが、特異な設定で徹底しているので楽しく笑って見ていられました。帝一を始め、キャラクターそれぞれが自分を全力で生きてる感じで、ヘンな奴らばっかりなのになんだか愛着を抱けます。特に大鷹のカッコ良さと榊原の健気さには、男ながらについウットリしてしまいましたわ。   学園の生徒会のシステムを通して、国家や政治をシニカルに捉えていて、そこに批判精神があったりもするのですが(そして、そういう映画って最近はあまり作られない世の中だったりしますが)、決してそれが嫌味になっていない、むしろ爽やかな青春映画になっていたりするあたり、結構巧妙だったりします。   ただ、氷室ローランドVS森園億人の生徒会長選が決する部分がクライマックスになっていて(この部分での帝一と東郷の戦いの停滞っぷりもちょっとシンドい感じ)、肝心の帝一VS東郷VS大鷹の生徒会長選は蛇足感たっぷりのエピローグ状態。森園生徒会長体制下や、会長候補になってからの面々の物語をもっともっと見たかったというのが正直なところ。それだけこの作品に魅力を感じていたとも言えるのですが。   あと、『ハルチカ』の橋本環奈といい、この映画の永野芽郁といい、暴力的女子高生ってのはなんだかいいですのう。
[映画館(邦画)] 7点(2017-05-04 22:33:20)
206.  クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ 《ネタバレ》 
 シリーズ25作目、1作目から24年経過って事で1作目公開当時5歳だった人も今や29歳。でも野原しんのすけは成長しない、あるいは作品内で成長を見せたとしても次作ではリセットされてしまう永遠の5歳児。この作品では主人公はシリリであり、しんのすけは狂言回しとしての役割を担います。  父を慕い、父のために努力し、そして父に反抗する事で成長してゆくシリリ。野原一家も、かすかべ防衛隊もシリリの成長を見守り、促してゆく、クレヨンしんちゃんの世界にやってきたシリリを迎え入れる存在。それは、『クレヨンしんちゃん』の世界に触れてきた人々の姿に重なります。しんのすけの数々のボケ、ネタもある意味、伝統芸であり、老成した感すらあります。   『暗黒タマタマ大追跡』『栄光のヤキニクロード』のようなロードムービーとなった今作は、25周年記念という事で、過去作へのオマージュも散りばめられています。パンフレットによると映画全シリーズのネタが織り込んであるようですが、残念ながら私は指宿&後生掛コンビとマイク水野、それに猿くらいしか気づきませんでした。   シリーズを長く見てきた人、新たに触れる人、どちらにも対応した長期安定シリーズとしての『クレヨンしんちゃん』。心から笑って泣けて楽しめるエンターテイメント。でも、たまにはしんのすけが能動的に物語世界を動かしてゆく作品が見たいと思うのは贅沢でしょうか。映画版はどうしても巻き込まれ型(それでもあくまでマイペースなのが取り柄であり魅力なのですが)な展開が多いですからね。
[映画館(邦画)] 7点(2017-05-03 23:12:56)
207.  彼らが本気で編むときは、 《ネタバレ》 
 ふんわりとしたタッチの中に偏見や差別、育児放棄といった問題が編み込まれていて、その弱者であるがゆえの脆さが心に痛い映画。   LGBTのカップルと育児放棄された子供の共同生活というと『チョコレートドーナツ』を思い出しますが、この映画では登場人物達は差別や偏見と戦いません。ひたすら耐え忍ぶ、逃避する、やり過ごす・・・当然、勝利する事はありませんし、ゆえに勝利のカタルシスもありません。  途中でトモが台所洗剤で攻撃するシーンに爽快感を覚えたりするものの、それは間違った事として否定されますし、リンコが男性病棟に入れられた事を差別だとして怒るマキオに対しても何の対応もされません。自殺未遂のトランスジェンダーの少年に未来が開ける事もありませんし、最終的に誰かが救われる事もありません。  もっと世界と戦っていいんじゃないか? あまりに被虐的なんじゃないか? とも思うのですが、この中で勝利した事で現実の世界で何かが変わる訳ではありませんからね。カタルシスはそこで完結させちゃうためのものですし。   リンコと母、マキオと姉、その姉、トモと母、少年と母、それぞれの関係を通して、家族だけは理解し、味方になってあげなければならない事が強く示されます。社会や世間がいかに無理解で、牙を剥いてこようとも、家族が理解し、居場所があれば生きてゆける、と。徹底的に父性が排除されている点にどんな意図があるのかはちょっと理解し難く気になりますが。男はマキオや老人ホームの年寄りを見てもただのガキとしての立ち位置しかないような感じ。   残念ながら生田斗真が『予告犯』や『グラスホッパー』や『秘密』の生田斗真その人、リンコというキャラを演じてる人にしか思えなかったのは、私の想像力の欠如が原因かな。でもそういう人の「演技」はそうだよね、っていう感じで、ナマのそういう人の感覚がどうにも薄かった気がするのですよね。   世界が理解を示してくれればいい、けれどそれはあまりに遠い道、ある意味絶望的、ならば理解ある人だけで繋がる世界であっても仕方ない・・・って、それは色々な偏見や差別と同じ地平に繋がっている訳ですね・・・
[映画館(邦画)] 7点(2017-02-28 23:26:11)
208.  映画 妖怪ウォッチ/空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン! 《ネタバレ》 
 CGとの合成を前提として撮られている実写パートがかなりぎこちないとか、アニメパートの作画がテレビアニメレベルのお手軽さとかっていう明らかな難点はありますが、もっと基本的なところで「この映画は大丈夫なのだろうか?」って心配になりました。   アニメのキャラクターがこちら(現実)側の世界の存在になってしまう事に対する違和感、異常さを描いているわけですが、それはつまり『妖怪ウォッチ』という作品そのものがアニメの世界の話である、現実とは違う世界の物語であると主張しているんですよね。こちら側を毛穴世界(アニメのキャラクターには毛穴がありませんから)と呼ぶ主人公を始め、全てのキャラはあちら側の存在であり、そこには明確な境界が存在しているのですよ、と作品をメタ化してみせます。  更にこちら側の人間が逃避という形であちら側の(アニメゆえの)飛躍的に自由な能力を獲得し、あちら側のキャラはこちら側に来る事で現実に引っ張られて能力が極端に低下するという描写によって、その差異を強調してみせた上で、現実を生きるための努力が必要ですよ、アニメに逃避してちゃダメですよ、と釘を刺してきます。  それが劇場に来ていたメイン層である未就学~小学校低学年の子供達に受け入れられるのかどうか、ちょっと心配。むしろ人間側ヒロインの15歳という設定年齢、そのくらいの世代の人に向かって発信されているようにも思えます。大人に向かって社会と自己とに向き合ってゆかなければならない、そんな時期の人。  夢の側から「夢は夢として現実を生きろ」と主張してくる、なかなかに辛辣で侮れない作品だったりするのでした。   まあ、私なんかは遠い昔に手遅れになってますが。CGジバニャンかわいー。
[映画館(邦画)] 7点(2017-01-05 22:24:13)
209.  ちはやふる 下の句 《ネタバレ》 
 前作の、続きがあるゆえに上がりきらない感じは今回更にエピソードを重ねる事で幾らか解消されたかな。このテの映画なら一作でメンバー全員を愛おしく感じるくらいで当然、みたいに思ってるので、前作だけではメンバーに愛着を抱ききれなかった事が不満だった訳ですが、今回の最後まで見て愛着を抱けましたからね。   今回描かれる個人と集団についての物語はその心情やテーマそのものをセリフで説明し過ぎとは言え、青春映画としてあるべき爽やかさやひたむきさ、その短い時間の大切さが伝わってきました。   ただ、今回(前回もそうだったかなぁ?)異様にウザい程に全編映像がハイキーな状態で、画が平板になってしまっていて。陰影を極端に無くす事でマンガ的なるものをわざと映像に求めたとでも言うんでしょうかねぇ? にしてもラストの方で眠る広瀬すずのアゴのラインを消してしまうほどのコントラストの無さは可哀想ですよ、あれ。全体的にコントラストを作らな過ぎな印象で、その意図を掴み兼ねてしまいます。   クイーンはなかなかに魅力的なキャラではあるのですが、あの私服のセンスはマンガではお馴染みの世界で(ほら『監獄学園』の裏生徒会長とか)、ああいうのを実写にするとやり過ぎ感が出ちゃいますね。   マンガ的なるもの、マンガ記号的表現と映画表現との差異、そこら辺に留意した映像を更なる続きには期待したいところです。
[映画館(邦画)] 7点(2016-05-05 19:19:23)
210.  家族はつらいよ 《ネタバレ》 
 どうも山田洋次監督の作品ってあまり得意ではなく、これもまた昭和の古びた笑いを見せられるんだろうなぁ、って思っていましたが、考えてみれば私も昭和の人間でしたね。   橋爪功が笑える爺を好演して、とてもいいです。ロクでもない爺さんなんですが憎めない。この爺さんをめぐる人々のドタバタ喜劇、いや昭和の笑いだって悪くないよ、と。   『東京家族』とキャスト丸カブリってどうなの?って思いましたが、対を成すような作品でその違いを楽しむ作りになっていました。   とは言えあちこちに散りばめられた自作パロディや(本広克行作品か?っていう)、お年寄りに媚びてますってのが丸出しのネタ(正蔵が三平の「どうもすいません」をやってみせる、っていうね)なんか、それはどうなのよ?って。そもそも橋爪功と吉行和子の夫婦っていうのは元々和泉聖治作品の『お日柄もよくご愁傷さま』『大安に仏滅!?』っていうのがありますし、『おとうと』『東京家族』『母と暮せば』と最近の山田洋次作品はオマージュというか再生産というか、新しいものを立ち上げようって気は感じられないよねぇ、って思ってしまうのも正直なところで。  『東京家族』とこれと、妻夫木聡と蒼井優の二人に次代に繋がる希望を託している感じがありますが、ならばいっそ二人をメインに据えた作品を作ってもいいんじゃないかなぁ。
[映画館(邦画)] 7点(2016-04-08 20:57:51)
211.  ちはやふる 上の句 《ネタバレ》 
 広瀬すずがとてもキレイに可愛く撮れていて、それだけで正義、みたいな映画。  ただ、既にこれまでたっぷり存在しているこのテの「寄せ集めがみんなで頑張りました系」な邦画、それらに比べてこの映画が特に秀でた出来だったかというと、んな事はないんじゃない?って感じで。   冒頭から結構ひっかかりどころがあって。画面いっぱいの桜の花、学校名を見せるための校門のショット、生徒達が一斉に教室から廊下に溢れ出してきてから鳴り出すチャイム、眠りに堕ちたヒロインの白目など、毎度の記号的表現の羅列に、「成績優秀、運動神経抜群、その上イケメン」をセリフで説明しちゃう安直さ、マンガ原作の安易な映像置換でございます感が充満していて、ああ、この映画もそこに止まってゆくのだなぁ、と。それは結局最後まで続いてゆきますし。   それに、このテの映画ってメンバー一人一人に愛着を抱いてこそ、だったりするのですが、これ一作では完結せず、次回に続いてゆくが上に最後まで愛着を抱けないままに終わってしまう感じなんですよね。前後編ものゆえの盛り上がりきらなさ、物足りなさがどうしても残ります。   なので自分の中で現状ではこの辺。 『リンダ リンダ リンダ』『シムソンズ』『書道ガールズ』『ガールズ・ステップ』『ロボコン』『スウィングガールズ』『フレフレ少女』『シコふんじゃった。』【『ちはやふる 上の句』】『恋は五・七・五!』『ウォーターボーイズ』『うた魂♪』『あしたになれば。』『おっぱいバレー』『ブラブラバンバン』『ソフトボーイ』『綱引いちゃった!』   ね、このジャンルいっぱいあるし、私もいっぱい見てるでしょ?   個人的にはもう少しロケーションを活かした表現と、百人一首にシンクロした和の情緒があったらな、と思いました。とりあえず後編に期待。
[映画館(邦画)] 7点(2016-04-04 21:00:48)
212.  予告犯 《ネタバレ》 
 戸田恵梨香(この人の映画見るの、2ヵ月の間に3本目ですな)はなんかちょっと違うんでないか?と。極端な味付けをし過ぎていて。あんな延々ギスギスした演技ばかりしてたんじゃ、んなヤツぁいねーよ、とツッコむしかない訳で。過去の回想シーンとの対比で「だからこういうキャラなんです」ってのは安直に過ぎる気が。で、やっとラストの方でキャラ的に救われるんですが、それがまた本来あり得ないシチュエーションでしか救われてないっていう。刑事だったらあんな行動は取らないよね・・・。そこら辺、ホントに作り物臭くて、また他のメンバーは『SP』の出来損ないのようでもあり、警察側は見ていてかなり厳しい出来な感じ。   一方、犯罪者側はよくできていたと思います。中二病をこじらせたクズのように見せながら、薄皮を徐々に剥いでゆくようにそこに至る悲劇と、でも悲劇だけに終わらない、彼らなりに獲得できた幸せな時間とが明らかになっていって。   名前が映画を貫くキーワードになっていて、名無しの時代に損得勘定でなく名前を持つ人間同士で繋がりたいと願う、切ない話。ネットが普及して誰でも世界に向けて情報が発信できる、けれどその解放されている筈の世界の閉塞感は一体どうした事か?と。底辺で足掻くしかなかった名無しの束の間の輝きが胸に迫ります。   新聞男4人+ヒョロ+インターネットカフェのバイト、役者の好演で存在感を得た彼らによって、映画はこの時代を映す意外な拾い物になっていました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-06-11 20:40:54)
213.  ワイルド・スピード/SKY MISSION 《ネタバレ》 
 「ポール・ウォーカーの死がなければ、ラストの感動も無いから作品の評価も変わる」とすれば、それはポールに対して非常に失礼なワケで、だからあくまで映画は映画として。   5作目が頂点で、あとはまたちょっと下降線辿ってるかなぁ、という気がします。  CGを多用する事で(そもそも最初からCGに頼る事を前提としたプロットになっている事で)画から説得力が欠けてしまっているのは4作目のクライマックス同様。  細かい事はどうでもいい娯楽大作と言っても、脚本の穴は大き過ぎ。見せ場の終わりがエピソードの終わり、だけど車ごと降下してラムジーを救出した後、どうやってあの国から脱出できたの? ビルからビルに飛んだ後、散り散りになっていたメンバー全員どうやって外に出られたの? 結局、見せ場を乱暴に繋いでるばかりなんですよね。  そういう雑な作りだから「仲間ではなく家族だ」とか言ってるわりにハンの死の扱いは軽いですし、せっかくのカート・ラッセルやトニー・ジャーにしても、物語に重要な作用をしておらず勿体ない状態。マイケル・ベイの映画みたいな大味さではあります。「クルマ・おっぱい・お尻・キャットファイト!」みたいな中学生レベルの稚気もマイケル・ベイっぽいですが。  そういうガキっぽさと、ヘンに深刻ぶったドラマと、ビッグバジェットの超大作化とが不協和音を奏でている感じですが、それこそが『ワイルド・スピード』の魅力なのかもしれません。予算タップリな分、見せ場もタップリですし。   ディーゼルは相変わらずの大根ですが、5作目から参戦のドウェインと、今回の悪役ステイサムとで3大ハゲ・アンサンブルを奏でているところはステキ。ドウェインがガトリング銃を手にする画なんて「待ってました!」って感じで。   シリーズを重ねるごとに、どんどんクルマへの拘りが薄くなってしまって(だからこそ空を飛ばそうって発想になるのでしょうけれど)、そこは不満かな。もう少し走りのサスペンスを見せて欲しいところで。今回は徹底して飛翔・落下・破壊で構成されていて、だけどそれはクルマが持つ基本性能と、それが醸す魅力とは全く別のものですからねぇ。   あれこれ文句書きましたが、元々「んなアホな」ってツッコミ入れながら楽しむタイプの映画なので、できればこれからも楽しませて欲しいな、と思います。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-30 20:54:52)(良:1票)
214.  クレヨンしんちゃん オラの引っ越し物語 サボテン大襲撃 《ネタバレ》 
 『クレしん』で泣かせに走るのはあまり好きじゃないので、今回はそれが冒頭部分だけに集中していたのがまだ良かったかな、と。   舞台がメキシコに移ってからは完全に野原一家と現地のキャラ達で独立した物語になって、従来にも増してハッキリとした作品の形が見えます。ズバリ、王道モンスターパニック映画。『トレマーズ』とか『ジョーズ』とか『フィースト』とか『ミスト』とかのノリ。『クレしん』でアレやりました、っていう。  なのでそういう映画好きとしては大変面白く、だけど一方で群像劇となった事でしんのすけが大勢の中の一人になってしまった事や、怪物撃退、退治のシチュエーションが(小ネタを除くと)真っ当だったりと、『クレしん』としての面白さは結構スポイルされている気がして、ちょっとジレンマを感じたり。もう少しナンセンスでも良かったかな?とも思うんですが、結構ホンキです。   今作オリジナルのキャラ達は皆個性的。っていうか果たしてこのキャラは要るのかな?みたいなのは大体さっさと怪物に食われます(笑)  でも、そんなにはドラマ作ってないんですよね。スマホちゃんにしろ、レインボー仮面にしろ、村長にしろ、性格はハッキリしていても、そういうキャラとなった背景は見えてきません。全体的には多少冗漫な印象があったので(籠城場所を移動したり何度も外に出たり入ったりで、水増しエピソードが無きにしもあらず)、どうせならばその時間をドラマに費やすか、さもなければもう少し刈り込めたのではないかと。  一方、今回は敵が世界征服を狙う組織とかではなくて怪物ですから、敵側のサムい歌やギャグが無かった分、安心。アレ、毎回、なんで入れるかなぁ?って感じで。   原作者の逝去によって『クレしん』の基本設定にはもう新たに手を加える事はできないでしょうから、あとはどれだけ物語のバリエーションで魅せるかになってきていると思います。今回はそんなにハズしてない感じで面白く見られました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-04-27 23:14:21)(良:2票)
215.  幕が上がる 《ネタバレ》 
※おっさん、もう誰がももクロやらAKBやらHKTやら判らんって状態ですが、お嬢様方、大変良かったと思います。真っ直ぐな青春映画をキラキラと輝かせて。  「演技の中で演技をする演技」という難題を見事にこなしていて。   問題はやっぱり本広演出ですねぇ。  まずカメラワーク。ドリーで横移動、回り込みを繰り返しますが、その効果がちゃんと出てないです。そのゆっくりとしたカメラの移動に込められた意味、みんなの中の時が流れてゆく感覚を表現しているのかな?とは思うのですが、移動の意味を次のフィックスで打消しちゃうような、移動と静止との関連性が希薄。   そしてなんと言っても内輪ネタ。本広作品なのだから、内輪ネタは必須とばかりに無理矢理入れ込んで、それが明らかに雑音になっています。っていうか、どこかでカエル急便や『スタートレック』のコスプレ男が出てくるんじゃないかと最後までドキドキしてました。監督、観客のそういう不安をわざわざこの映画に持ち込ませたかったの?   あと、ヒロインのモノローグは彼女の視点を表現するためにあって良いものだと思いましたが、先生が演技をするシーンは映像で十分に語れた筈です。あそこは彼女のモノローグがジャマをしてしまっていた、演技って何よ?っていう※   と、以上がレビュー用にメモってた文章。ツイッター見るとラジオで宇多丸さん、大体そんなような事をお話しされたみたいですね。んー。後出しになっちゃうし。   足りてない部分を書いておきますと、黒木華さんが見事でした。弱々しい印象のあるこの人の「強い役」というのがなかなか。   横移動はHFRで撮って映写すれば良かったかもしれませんね。フレーム数が多くなれば被写体が安定して煩わしさは軽減するでしょ? 繋ぎの悪さはいかんともしがたいですが。   監督は、ただ素材を活かすための演出に徹するべきだと思いました。二人だけの駅のシーンでの幻想的な雰囲気なんか良かったのですが、犬のオシッコみたいに作品内に自分のマーキングをせねば気が済まないっていうのは、もうやめた方がいいんじゃないかと。   そんな感じです。
[映画館(邦画)] 7点(2015-03-08 00:35:01)
216.  マエストロ! 《ネタバレ》 
 脚本にはアラが目立ちます。特にクライマックスの2日目の公演については脚本上、上手に処理しきれていない部分だらけ。ポスターに2回公演と明記されながら2日目のチケットが販売されなかった事の不自然さは、携帯からネットでの口コミが見られる世界として描いてしまった以上、一発で判ると思うのですが。  その2日目の公演にしても天道のエゴばかりが先走った上での到達点のように思え、結局彼は自分のためだけの音に執着し続けただけのキャラのように感じました。   ですが、音楽に真摯に向き合う姿勢はきっちりと伝わってきました。人が奏でる「音の見せ方」がとても上手いと思います。その音がどういう背景から紡ぎ出されてゆくのか、楽器が人と音との間に存在していかに芸術に昇華されてゆくのか。  音をただサウンドトラックに記録されスピーカーから再生されるものとしてだけでなく(音響設備がそれなりに良いハコで見たので、そのプロの音のみでも十分に圧倒されるのですが)、ビジュアルとしてスクリーンに描く事について、この映画は真面目に取り組んでいました。   「音楽って素晴らしいものなんだよ」という単純な話、でもそれが人の心から生み出されてくるものであるという当たり前でありながらそこに思い至る事がなかなか無い事を改めて認識させてくれる映画でした。そして、その音を生み出す「人の心」に説得力が感じられたのは、やっぱり役者さん達の好演によるものだったと思います。もちろんその音は彼らが実際に演奏した音ではありませんが、心地良く騙してくれました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-02-04 22:55:09)(良:1票)
217.  映画 ST赤と白の捜査ファイル 《ネタバレ》 
 ドラマ版は第一話をなんとなく見て終了状態だったのですが、映画版、面白かったです。ひたすらキャラものとして。   【以降、映画の仕掛けそのもののネタバレになりますのでご注意を。】   脚本的には結構無理があって。そもそも赤城が逮捕され脱獄し追われるという展開にかなり無理があるので追う方の警察がひたすら無能&お遊び状態に思えてしまい。そこにもちろん裏がある訳ですが、それを事前に100%把握していた人間はごく一部なわけですから、やっぱり無能&お遊びは否定できないんですよね。   それに犯人が犯行の妨げになるSTの解散を目論んだ、っていう設定も疑問。STさえ存在しなければ捜査能力が低下するなんて考えるものなのでしょうか?   大体、ウィルスソフトをばら撒いてワクチンソフトを売りつけるって、そもそも商売として無効化するのが明白なので誰も入札しないんじゃ?   で、だけどキャラが面白くて。赤城・百合根コンビのバカみたいなテンションはアリだと思いましたし(ドラマはあまり見ない私ですが、日頃映画でお馴染みなお二方なわけで、この二人のハイテンション演技が楽しく)、STメンバーや脇キャラも個性的で楽しく。途中、道中を共にする事になる女の子の毒舌っぷりがまたいい感じ。  ユースケ・サンタマリアは毎度のつまんない演技してて、この人ってこんなのしかできないの?とか思っちゃいましたが。   サスペンス映画としてはともかく、キャラものとしてかなり笑わせてもらったので見終わってスッキリ爽やか。なので甘い評価になりました。テレビシリーズをちゃんと見たい感じ。  それにしても、この監督さん、『ガッチャマン』ではなんでこの感覚が全く出せなかったんですかねぇ? 『ガッチャマン』こそはキャラものの基本中の基本ワールドでしょうに。
[映画館(邦画)] 7点(2015-01-25 23:03:44)(良:1票)
218.  アオハライド 《ネタバレ》 
 男が女々しくて優柔不断で決断力がまるで無いためにヒロインが振り回される、っていうのは最近の少女マンガ原作の映画のパターンで。もうダメ男ばっかり。世の女性達はそんなんがいいの?   で、これもそんな話なのですが、でも、ちゃんとその女々しい男の話に向き合って作られてる感じで。   目が印象的な映画です。まるで目力のある役者ばかりを選んだかのように、目が映画を語る重要なアクセントになっていて印象的。  見つめる、逸らす、泳がす、伏せる、見つける、目撃する、読む。  目が多くを語り、視線が絡む事で動き出す物語。   それからこの監督の良さ、生きた日本の風景を捉えるところ。『ソラニン』や『陽だまりの彼女』と同様に今回も風景が生きていて映画の空気を作り出しています。後半の舞台となる長崎の美しさ、そして小川にかかる橋とその先の坂という地形を、洸の抱えた心の傷に反映させる巧さ。  三木監督はこの国に生きている人の姿をキレイに捉える人だと思います。   青臭い話ではあるのですが、それこそがタイトルにかかっている「青い春に乗る」世界なわけで、その青い時に、それぞれが抱える悩みや痛み、想いを上手くすくい取った作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2015-01-01 22:43:47)(良:1票)
219.  近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 
 「女子生徒に手を出す高校教師のお話」という、もう基本中の基本が絶対的にダメダメな物語なのですが、その基本が腐ってるような設定を元にして、いかにちゃんとした恋愛映画に昇華してみせるか、というところに腐心している感じで。結果的には意外と良かったという印象。   これもまたマンガが原作のシネスコサイズ恋愛映画ですが、こちらはフレームの切り取り方、ライティング、色彩、どれもキレイにまとまっています。タイトルが出てくる画面の構成なんか、上手いなぁ、って。   物語は少女マンガらしいおなじみ「すれ違いの物語」。でも、本音をぶつけ合うのではなく、各キャラクターがお互い常に相手の事を思って本音を現さない、行動に出ないゆえのすれ違いという点で共感を得やすい感じがします。   映画は表情の無い、感情を表さない主人公ゆにの心の揺らぎに寄り添い、その内面の大きな変化の波をすくい取ってゆきます。ゆにの無意識な仕草による感情表現の多くは初期にセリフによって説明されているので判りやすい、単純な記号と化しているようにも思えます。だけど言葉や表情ではない、その仕草がゆにというキャラクターに魅力を与えているように思えます。  全編に渡って繰り返される、ぎゅっとスカートを握りしめるゆにの手のアップ、これがラストシーンで解き放たれた時、それがベタであると判っていながら感動してしまう、それは仕草の描写の積み重ねがあればこそ。あの描写こそは他のどのキャラクターでもない、ゆにのみに与えられた独自の解放の表現であるのです。   櫻井は教師という大前提がある以上、ダメな大人。嫉妬する幼なじみの教師も、ゆにを預かり腫れ物のように扱う教師も、同様にダメな大人。そのダメさ弱さをダメなりに見つめているように感じました。   肝心のクライマックスで大学生になったゆにの微妙なメイクや服装、そして不自然さ丸出しの夕陽の合成によってハリボテ感が出てしまったのが残念ですが、小松菜奈の魅力を上手く捉えた、爽やかな一編になっていました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-14 22:44:20)
220.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 
 前半は全くノレなくて困りました。『アリエッティ』同様、またギスギスしたキャラが楽し気な姿を見せる事もなく鬱々とした物語を展開させてゆくのかと。記号的な性格の悪いキャラを登場させるあたりも含めて、作品に根の暗さを落としてしまうのはこの監督の性格なんでしょうかね。  杏奈がリアクションの薄い、表情の無いキャラであるとは言え、何らかの魅力は与えておかないと(この場合、絵ですかね。もっと彼女が描いた絵に杏奈という人格を映すとか)。どうも掴みが上手くないように思います。   中盤になって杏奈とマーニーのコミュニケーションの形が見えてくると映画への興味も膨らんできますが、それにしても構成はかなり雑だと思います。  マーニーはシンプルに杏奈のイマジナリーフレンドだと思わせつつミステリアスな要素がそれ以外の何かも想起させますが、そのミステリアスを生むためにとにかくエピソードのお尻を曖昧に切りまくるので破綻寸前。  サイロから発熱までをクライマックスに仕立て損なっている感じで、その後、真相話に至る部分があまりに唐突に感じられます。   それを救うのは細やかな作画や美術や音楽。  ジブリお得意のこれ見よがし系の丁寧ですよ作画からもうちょっと進んで、動画から質感や感触を表現する細やかさ。  匂いを感じさせる景色。  そしてキーとなる『アルハンブラの思い出』のメロディ。   物語ではなく、映画を構成する映像や音が杏奈とマーニーの世界を美しく彩り、魅了されてゆく感じ。作品空間の存在を感じさせる表現力。  終わってみれば、杏奈の内的成長を表現するに相応しい世界を共有し、心に沁みる時間を体験できたと思いました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-07-21 21:17:19)(良:2票)
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