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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2398
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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261.  毒婦高橋お伝
高橋お伝と言えば、最後に斬首で処刑された女囚として歴史に名を残している人物で、その犯罪を脚色した芝居が明治時代に大ヒットしたという、いかにも新東宝にはピッタリの題材です。でもそこは巨匠中川信夫が自身のミューズである若杉嘉津子を起用しているだけあって、詩情あふれる映像で丁寧に撮っています。明治の街並みを再現したセットが新東宝映画とは思えない様な出来栄えなのも見逃せないところでしょう。脚本は所詮講談の焼き直しの様なもので、実在のお伝の毒婦と呼ばれる様になった悪行はかなり薄められているのは不満なところ。でも若杉嘉津子のため息が出る様な奇跡の美貌には、ただただ見惚れるばかりでした。そういや、怪談ものでは話の半分は醜く崩れた顔になっちゃうので、若杉嘉津子と言う女優を堪能するのには本作がベストなのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-02 21:57:52)
262.  明治天皇と日露大戦争 《ネタバレ》 
左翼全盛の50年代に、こんな映画が観客動員記録を塗り替える大ヒットしたというのが面白い。インテリは決して観に来ないだろけど庶民には受けるだろうと見抜いて、新東宝始まって以来の製作費を投入した大蔵貢の炯眼は大したものです。さすが活動弁士から成り上がってきただけのことはある。アラカンの明治天皇は、きっと実物もこうだったろうなという説得力が抜群です。場面ごとに挿入される明治天皇御製もなかなか効果的でした。まあ映画自体は相変わらず新東宝テイストの紙芝居調で、史実もかなり脚色された部分が目立ちます。乃木将軍の息子保典が白襷隊の一員として戦死するなんて、ちょっとやり過ぎの感があります。でもこの203高地攻防戦はけっこう力が入った撮り方をしていて、後年の『日本海大海戦』なんかよりよっぽど迫力があります。野砲を撃つと反動で砲が後退するのをちゃんと再現しているなんて、芸が細かい。 邦画では、戦争が絡む歴史ものだと末端の兵士や庶民の目線で描かれることが多いのですが、こういう“上から目線”で撮られた映画というのは、不思議と新鮮な感じがしました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-09 01:12:51)
263.  世界大戦争 《ネタバレ》 
■「明るく楽しい」「不偏不党」がモットーである東宝が、SFとは言えよくぞここまでデスパレートな映画を製作したものだと感心します。あの当時は汚い核兵器である水爆の威力がほぼ頂点に達していた時期なので、あれだけ盛大にICBMを撃ちまくったらそりゃ死の灰が降り注いで全人類が滅亡するでしょう。ハリウッド映画ではよく“核戦争後の世界”というテーマがありますが、そう言えば邦画では皆無ですね。島国日本では水爆2~3発おとされたらもう逃げ場がないですし、放射能の恐ろしさを世界一に理解している国民ですから、当然です。■僧籍を持つ松林宗恵が監督ですから、根底には仏教的な無常観が感じられます。世界情勢の激変に巻き込まれてゆくフランキー堺親子という徹底的に庶民目線の作劇は、東宝特撮映画には珍しく乙羽信子が出演してることもあり、まるで新藤兼人が脚本を手掛けた様な印象です。二階で泣き叫ぶフランキー堺のシーンはあまりにも有名ですが、宝田明と星由里子が無線で「コウフクダッタネ」と交信するシーンでは観るたびに自分は不覚にも泣いちゃいます。流れ星みたいにミサイルが国会議事堂の上に飛んできてからの地獄絵図は、緻密なカット割りも功を奏して未だに強烈なトラウマとなっています。■この映画と言うか東宝という会社の限界は、「戦争は政治の継続である」と言われているのに、政治がまったく描かれていないところでしょう。ワルシャワ条約陣営を「同盟国」NATO陣営を「連邦国」と言い換えて国籍マークや軍服まで架空のものを使い、何をそこまで遠慮しなければならないの?と言いたいぐらいです。航空機や潜水艦などは当時の両陣営の実物をけっこう正確に摸しているのに、“ミグ”を“モク”と言い換えることまでしています。もちろん、アメリカやソ連と言った言葉はまったく出てこないので、なんで第三次世界大戦が勃発したのか理解不能です。登場する政治家は日本政府だけで、山村聡はじめ貫禄ある顔ぶれですけど、まるでバチカンかダライ・ラマみたいなご託宣を発するだけでどう見ても単なる傍観者でしかない。戦後の日本と言う国の国際的な位置づけからすると、この描き方もある意味リアルということでしょうか。■この映画が当時の観客にあまりに強い衝撃を与えたので、東宝は翌年に超能天気な『妖星ゴラス』を製作したんじゃないかと個人的に思っています。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-11-07 23:46:18)(良:1票)
264.  妖星ゴラス 《ネタバレ》 
私の中では“はやぶさ”と言えば、“妖星ゴラスのJX隼号”と昔から決まっています。バンザイしながらゴラスに吸い込まれて散ってゆくクルーたちは、何と日本的なことか(そういやこの映画、やたらバンザイするシーンがありますが)。古今からさまざまなSF映画が製作されたけど、ここまで壮大で大乗的な視点の大法螺話は映画史に残る偉業です。高度成長期の日本のバイタリティは、なんと地球まで動かしてしまったんですから大したものです(笑)。 南極からジェット噴射しながら地球が動く画って、稚拙な技法かもしれませんが今の眼で観ても凄い映像です。東宝特撮ミニチュアワークの粋を凝らした南極での工事シーンは見応えがあり、建設現場のミニチュアから溶接の火花が見えるように撮っているのは感心しました。 あまりに不評な唐突に怪獣が出現するシーンも、ここで登場する航空機が後に『ウルトラマン』で科学特捜隊が使用するジェットビートルの原型になっていることは評価してあげたい。 この映画で異彩を放つのは、久保明と宇宙飛行士たちの異様なまでに高いテンションと陽気さです。彼らの描き方を観ていると、旧海軍の戦闘機パイロットたちの文化をそのまま持ってきた様な印象を受けます。「宇宙飛行士は駕籠かきみたいなものよ」なんてセリフまであった気がしますが、まだ日本ではアストロノーツという職業への理解がまだ浅かったのが伺えます。当時はアメリカではジェミニ計画が進行中でしたが、『ライトスタッフ』を観れば判るように、宇宙飛行士には知力体力ともに超人的な能力が必要だと言うことは想像を超えていたんでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-10-19 20:58:02)
265.  地獄(1960) 《ネタバレ》 
肝心の地獄よりも、天地茂たち主要な登場人物がほとんど死に絶える現生の方が、不気味なんです。上から見おろす、下から見上げる、そんなとてもシュールで居心地の悪いショットが一時間の現生編の半分は占めているような気がします。何度も挿入される走る蒸気機関車や線路のカットがどんどん鬱な気分にしてくれます。 しかし新東宝でも屈指のカルトにこの映画を押し上げたのは沼田曜一のそりゃ鬼気迫る怪演に違いなく、この演技を説明するには適切な言葉が思いつかないぐらいです。彼が悪魔なのか天地茂のダーク・ハーフとして出現したのか、けっきょく最後までよく判らんところがまた良いですね。 地獄で苦しめられる天地茂に何か光明がさしてくるような雰囲気もあり、まさか夢オチの最悪なハッピー・エンドかと危惧させられるも、あまりに無常なラスト・ショットで締めてくるとはさすが中川信夫です。 この映画、未成年とお迎えが近い老人は、決して観てはいけません!!
[DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 20:04:12)
266.  江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 《ネタバレ》 
海外版DVDで鑑賞。ジャケットは公開時のポスターを使っているのですが、良く見るとこの映画は成人映画指定だったことが判ります。人造奇形人間と言っても実際のフリークスを出演させるわけでもなく、もっぱら暗黒舞踏団のメンバーが奇形人間のふりをすることで済ませてます。エロも大したことはなく、冒頭の精神病院のシーンにオッパイが沢山出てくるぐらいなものです。乱歩のエッセンスを詰め込み過ぎたプログラム・ピクチャーと言ってしまえばそれまでですが、全篇を通して変調な雰囲気がただよい、特に土方巽の不気味な怪演はなんか気持ちの悪いものを観た様な後味の悪さが強烈です。そして伝説の「おかあさーん」になるわけですが、こりゃ劇場で観たらきっと大爆笑まちがいなしです。なぜか突然登場する明智小五郎と突っ込みどころは満載ですが、なんと言うか、当時の時代の空気が感じられる気もします。
[DVD(邦画)] 6点(2011-02-06 20:42:30)
267.  ある殺し屋の鍵 《ネタバレ》 
『ある殺し屋』に続くシリーズ(?)第二弾。前作で警察に追われ何処へともなく去って行ったのがラストシーンだったので本作はその後日談と思いきや、全然別のお話しでした。今回は雷蔵の仮の姿は踊りのお師匠さんで、そりゃ梨園出身だけあってさまになっています。本作では雷蔵はけっこう芸が細かい仕事ぶりで、雑誌記者やらカメラマンに変装(?)したりして頑張ってます。娯楽色は確かにアップしてはいますが、前作が持っていたあの独特の雰囲気がない分落ちる出来と言えるかな。雷蔵の殺し屋はけっこうカネにうるさいのですが、最後に思わぬ失敗をしてしまいそれが題名の『鍵』に繋がるわけです。市川雷蔵はこの後若くして亡くなってしまうのですが、もし寿命がもっとあれば第三作以降もきっと撮られただろうと思われます。雷蔵の世間をたばかる仮の姿を毎回違ったパターンで見せてくれたんではないかと思うと残念ですね。そしてもう一つ考えられるのは、『必殺』シリーズの中村主水は藤田まことではなく市川雷蔵が演じていただろうということでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-11-18 19:02:54)(良:1票)
268.  大魔神怒る 《ネタバレ》 
大魔神も二作目とあって設定も当然パワーアップされています。本編自体は単純な勧善懲悪ストーリーなので悪役の非道ぶりが重要なのですが、今回の悪役である御子柴弾正は隣国を攻め入って平らげようとしたわけです。他国を征服するのは戦国武将の習性ですのでそれを現代の価値観で批判しても無意味で、その分攻められた千草と名越の領主をどれだけ善玉に仕立てるかがカタルシスに繋がってゆくわけです。その為の設定としてひたすら信心深い領主さまということになり、戦国領主と言うより神主一族みたいな平和主義の奇妙な武将になっちゃったのは笑っちゃいます。弾正に攻め込まれてむざむざ斬り殺される名越の殿様(なんと内田朝雄が善人役!)の情けない姿には、戦後日本に蔓延していた無抵抗平和主義思想を垣間見るようで情けないところです。魔神も本作では木端微塵に爆破されちゃうし、そりゃ「怒る」のも無理ないですよね。相変わらず魔神が暴れるシーンのミニチュアワークは芸が細かくほれぼれしまうが、さすがに十戒みたいなあのシーンはちょっとやり過ぎでは(笑)。 たかが特撮映画と侮るなかれ、良く観れば製作当時の風潮がわかるというものです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-10-11 10:36:36)
269.  地球防衛軍 《ネタバレ》 
おそらく本作は日本初の本格的なエイリアン侵略ものSF映画です。東宝特撮映画は前作『ラドン』からカラー制作されており、個人的には本作あたりがもっとも色鮮やかな東宝特撮映画ではないかと思っています。ミステリアンのコスチュームやマーカライト・ファーブの塗装など、鮮やかな色使いですよね。ちなみにミステリアンの首領(赤のコスチューム)は土屋嘉男が演じていて、本人いわく「日本映画史上、初の宇宙人役者」なのだそうです。突っ込みどころはけっこう豊富ですが、そもそもこのミステリアンの地球(日本?)侵略はシリアスに考えるとほとんど『プラン9・フロム・アウター・スペース』と一緒みたいなもんで、そこをここまで大真面目な活劇にまとめ上げた本田猪四郎の力量は大したものです。余談ですが、あの入浴シーンで有名な白川由美は、なんと二谷友里恵のお母さんなんですね。 当時出回りだした画期的な新素材(プラスチック!)を多用して製作されたミステリアン要塞のセットは同時期の『禁断の惑星』と比べても決して引けを取らない出来で、東宝特撮のレベルの高さがわかります。伏線もなくいきなり登場するα号β号もミサイルの様なスタイルが垢ぬけていて、けっこう好きです。 若い人たちが観れば「なんじゃこりゃ」と感じる部分が多いでしょうが、私たちの世代は伊福部昭のメインテーマを聞くと思わずアドレナリンが噴出しちゃんですよね。
[地上波(邦画)] 6点(2010-09-29 20:56:36)(良:2票)
270.  イズント・シー・グレート 《ネタバレ》 
「哀愁の花びら」の原作者ジャクリーン・スザンの伝記映画で日本未公開ですが、こんな映画があったとは意外でした。「哀愁の花びら」は有名なハチャメチャ映画ですが、原作小説「人形の谷」はそれに輪をかけた凄い内容だそうで、ジャクリーン・スザン自身の経験をもとに書かれたとのこと。とにかくスザン役のベット・ミドラーが大爆発状態で、彼女のポジティブ人生に圧倒されました。この映画はベット・ミドラーとネイサン・レインの夫婦愛がテーマで、あまりコメディとして意識しない方が良いでしょう。ところで、本作にはスザンの担当編集者としてデヴィッド・ハイド・ピアースが出ています。彼を観てなんか既視感があるなあと思ったのですが、レネー・ゼルウィガーが女流作家になる「恋は邪魔者」でも出版社の社長を演じていました。そういう風にみると、「恋は邪魔者」と本作にはプロットの共通点が幾つかあって興味深いです。きっと元ネタにしたのじゃないかと私は思います。
[DVD(字幕)] 6点(2009-10-30 23:56:24)(良:1票)
271.  翔んだカップル オリジナル版 《ネタバレ》 
そうか、これが相米慎二の監督デビュー作なのか。一作目からして相米流映画術が完成しているというか、その後もブレずに同じように映画を撮り続けられたのいうのがある意味尊敬に値します。また薬師丸ひろ子の初主演作でもあるけど、てっきり角川映画だと今まで思っていたけど実はキティフィルムの製作だったと知って今更ながらちょっとびっくり。だから相米慎二の好き勝手に撮れたわけでしょうね。アイドル主演映画なのに、薬師丸のアップが極端に少なくて引いたカメラアングルを多用するなんて、角川春樹なら許すはずないですからね。他の鶴見辰吾・尾身としのり・石原真理子も含めて皆まだ十代、相米に四人まとめて「ゴミ、ガキ」と貶されながらの演技は、薬師丸の主演女優人生のスタートに強いインパクトを与えたことは間違いないでしょう。また肌が合わない人には耐えがたいような相米演出の独特な臭みには、賛否が分かれたことんじゃないかな。クジラの風船がフワフワと漂うシーンなんかは、特にね。でも私は石原真理子の部屋に薬師丸が訪ねてきて鶴見と大喧嘩するところ、そしてラス前のあのもぐら叩きのカットなんかは、好きですねえ。できればあのもぐら叩きのところでバサッとエンドにした方が、ずっと良かったのにと思う次第です。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-03-23 22:47:36)
272.  大菩薩峠 第二部 《ネタバレ》 
第二部が始まるとなぜか机竜之介は盲目になっている、これは前作のラストの爆破攻撃で傷を負った為らしい。相変わらずの超特急的なストーリーテリングだが、本作では盲人のくせに虚無僧姿で飄々と東海道を東へ向かう竜之介と追うお松・兵馬のロードムービーという展開です。この竜之介が盲人なのに随所で斬りまくるしラストでは槍技まで披露します。これはもう座頭市どころじゃない特殊能力ですが、座頭市みたいなリアル指向がないチャンバラなのでやっぱ怪物としか思えない。道中では後から後から女性がモーションかけてくるし、ここまで来ると眠狂四郎もシャッポを脱ぐでしょう(笑)。そしてさすがの竜之介も未亡人のお徳と捨ててきた我が子と同年齢の息子と接するうちにその山中の湯治所で静かに暮らそうかと達観するけど、槍を振るって血の臭いを嗅ぐと元の竜之介に戻ってしまう。竜之介はゆく先々で因果をまき散らせているようなものですけど、悪旗本=神尾主膳がなぜか竜之介の近くに引き寄せられてるような印象があります。この神尾主膳=山形勲の悪辣ぶりはなかなかのものです。 もう後から後から登場人物が増えるので筋を追うだけで必死になりますが、このカオスの様な物語、どういう結末を迎えるのでしょうか?
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-03-05 23:07:14)
273.  大菩薩峠(1957) 《ネタバレ》 
時代劇映画できってのダーク・ヒーロー机龍之介、オープニングでいきなり通りすがりの老人を何の躊躇もなく斬捨てる、もうサイコパス人斬り魔でしかない。演じるは“山の御大”こと片岡千恵蔵、机龍之介役としてはやはりこの内田吐夢版の千恵蔵がやっぱいちばん有名でしょう。このキャラの鬼畜ぶりは眠狂四郎でさえも正義の味方に思えるぐらいで、そのニヒルぶりもかなりのもんです。千恵蔵はこの時すでに齢五十を超えている半ば御老体で龍之介を演じるにはちょっと老け過ぎの感もありますが、その貫禄と威厳はさすがとしか言いようがないです。中里介山の原作は超長編のうえに彼の死で未完という問題作、映画化されると長編の尺で三部構成というパターンが主流ですが、それでもストーリー展開は超高速でダイジェスト感があるのは否めません。やっぱ完全映像化となると、アヴェル・ガンスの『ナポレオン』ぐらいの尺が必要でしょう。 第一部しかまだ観ていませんが、とにかく一つ一つのエピソードが短く次々に繰り出されるので、参考資料を片手に観ないと着いていけなくなります。その分どうしてもキャラたちの掘り下げが甘くなりがちで、とくに龍之介が単なるぐうたらにしか見えないところが残念でした。近藤勇や土方歳三なんかとつるみ出したんでどうやら新撰組に龍之介は参加したんだなと判りますが、どうして彼がその気になったのかはまったく描かれていないので?でした。あと『用心棒』以前の古い時代劇にはいわゆる斬撃音がないので、どうも迫力が感じられないのは私だけでしょうか?
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-02-17 22:31:36)
274.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
東宝特撮映画には日米合作として製作されたものがあるが、本作はその最後の作品。合作と言っても独立系プロダクションが相手の場合が多くていろいろと難儀させられることもあり、本作なんて製作中に相手方が倒産して撮影中断、その為に複雑な権利関係になってしまい長い間ソフト化されませんでした。またこの映画が円谷英二と本多猪四郎の最後のコンビでもあります。 ストーリーは言ってみれば『海底二万哩』と『ドクターモローの島』を足して二で割ったような感じ。日米合作東宝特撮では欠かせないハリウッド俳優の出演も、ニック・アダムス、ラス・タンブリンに続いてリーチャド・ジェッケル、シーザー・ロメロ、そしてついに名優ジョセフ・コットンの出演と相成りました。ロメロの愛人役のパトリシア・メディナに至ってはコットンの当時の妻ですからね。アメリカ側プロの倒産で東宝が出演料を肩代わりさせられ、製作費のかなりの部分がこれらのハリウッド俳優のギャラに消えてしまい東宝はもう踏んだり蹴ったり、そりゃ合作を今後やらないとなるのも当然かも。特撮は円谷英二の最晩年ですからレベルとしてはほぼ頂点、冒頭の海底火山の噴火なんてこれがCGじゃないなんて信じられないぐらいです。緯度0という秘密世界の設定も荒唐無稽さが東宝特撮の中でもほとんど頂点、19世紀初頭の人間が200歳近くになっても普通に生きているというところなんかも謎めいていてグッド。当初の脚本では「緯度0の1日は地上の50年に相当する」という説明があったそうですが、それじゃいくら何でも計算が合わない、1年だと地上の18,250年になっちゃいますからね(笑)。でも登場する改造動物の造形はちょっとセンスが悪すぎ、まああんまり意味がないキャラ達だったとしか言いようがない。 やはり物議をかもしそうなのがあのラスト、リチャード・ジェッケルのラリッたあげくの妄想もしくは夢オチかなとも解釈できるような不思議な幕の閉め方です。でも私はこういう遊び心に満ちたような脚本は好きです、これぞ関沢新一の脚本らしさが出ていたと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-11-27 23:24:05)
275.  カモとねぎ 《ネタバレ》 
森雅之がボスで高島忠夫と砂塚秀夫が子分の詐欺師グループ、競艇場でスクリューを曲げるいかさまで大穴配当金300万円をせしめるのに成功するが、コケティッシュな娘・緑魔子に尾けられて持ち逃げされてしまう。キャバレーで働いていることを突き止めて拉致するけど、亭主の保釈金に300万使ってしまったので手元にないと言い訳、保釈金が戻ってくるまでという前提で彼女も仲間入りすることに。 というお話しなんだけど、この映画は森雅之の怪盗ルパンばりの変装芸を愉しむのが正解でしょう。最初は悪戯程度の詐欺からだんだんスケールが大きくなって最後は大企業から3,000万円を脅し盗るところまで行くけど、毎回毎回色んな変装で登場します。変装するのは彼だけじゃなく高島や砂塚もヘンな感じの化け方なのが面白い。森雅之は緑魔子と同じ屋根の下で寝起きする羽目になるけど誘惑には全く反応しないのに、ロングヘアーの女性にはパブロフの犬みたいに条件反射してしまうのがちょっとヘン、でもダンディーで軽妙な演技は名優の違う一面が観れた感じでお得です。でもこの四人の中でやっぱいちばん眼を引くのは、緑魔子でしょうね。彼女がこの当時の東宝作品に出るのは珍しく、東宝女優にはないエロチシズムを振りまいていましたし、彼女の変装もこの人の色んな魅力が観れて良かったと思います。詐欺専門のレンタル屋さんの小沢昭一やおばさんになりかけた頃合いの山岡久乃も面白かったかな。 まあ全体に他愛もないコメディなんですけども、クレイジーキャッツやドリフの映画を手掛けた松木ひろしらしい脚本でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-15 21:00:18)
276.  空気の無くなる日 《ネタバレ》 
1910年(明治43年)に20世紀最初のハレー彗星接近がありましたが、日本では明治維新後初のハレー彗星との出会いだったわけです。約75年周期で地球に接近するわけですから現代人の感覚では生涯で一回もしくは二回は出会うことがあるイベントですけど、昔の日本人の平均寿命はまだ短かかったので、一度もハレー彗星を見ることなく墓に入る人が多かったと思います。当時は半端に科学知識が広まっていた時代にはなっていましたので、あやふやな情報が元になったパニックが日本でも一部の地方であったそうです。そんな史実をもとにした児童文学を映画化したのが本作です。 舞台は山奥の集落、平和に農業や牧畜を営む地区にハレー彗星接近の知らせとともにある情報が伝わります。彗星がもっとも地球に接近する七日後の4月20日正午、地球の大気が5分間消失するという驚天動地の新聞記事。なんでも彗星の長い尾が地球を包むのがその5分間なんだそうで、大気がその間彗星に吸い取られちゃうという説明だが、なんでまた大気が元に戻るのかはさっぱり謎。つまり5分間呼吸を止めていれば助かるという理屈なんだけど、校長先生や児童たちは一生懸命に洗面器の水に顔を突っ込んで挑戦するけど、そんなことできるはずがない。すると空気がつまった自転車のチューブを使えば5分間を耐えられるというアイデアが広まるが、チューブや浮袋みたいなものは全て地主が買い占めてしまう。かくして地主一族以外の村民は、地球最後の日を粛々と迎えることになります。 プロレタリア作家である岩倉政治が書いた原作は子供向け寓話の形をとっていますが、痛烈な資本主義批判が込められています。貧しい生活だが清らかに生きる農家の一家と対照されるのが、チューブを買い占めて一族だけで独占して生き残ろうとする冷酷な地主階級というわけです。この原作は戯曲化され、昭和の日教組全盛時代には各地の小中学校で児童生徒を使って上演されていました。実は小学校高学年のときに小生のクラスでも学芸会の演目にされ、校長先生の役で生涯ただ一度(今のところ)の舞台に立ったのは懐かしい思い出です。ウン十年ぶり映像作品として再会を果たしたわけですが、小品ながら映画としても結構良く撮れています。冒頭でハレー彗星の接近が特撮アニメーションで解説されるわけですが、東宝のスタッフやまだ駆け出しのうしおそうじが関わっているのも興味深い。左翼臭もそれほど露骨ではなく、地球最後の日を迎えるように死を受け入れて彗星接近の瞬間を待つ村人たちの様子もしっとりと描かれていましたね。フィクションとはいえ、海外の映画ではこういう人類滅亡の危機では暴動や略奪が起こる(まあ現実でもそうなるでしょうね)のが定番ですけど、死に向かって悟りきったように対処するところも日本人的なリアルさかもしれません。もちろん結末はハッピーエンドですけどね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-03 22:20:22)
277.  コンビニエンス・ストーリー 《ネタバレ》 
しょうじきイマイチ意味が判らんストーリーでしたが、ラストまで観てやっとこれは“お前はすでに死んでいる”パターンの『恐怖の足跡』、というか“死ぬまでに観てしまう走馬灯”パターンの『ふくろうの河』的なお話しだったと理解できました。この監督の映画は『大怪獣のあとしまつ』しか観たことがなく小ネタを挟み込んだストーリーテリングが芸風の人なんだなと理解していましたが、ホラーテイストの本作ではその小ネタがどう考えても有機的に繋がってないところが残念かな、と言うのが自分の感想です。それでも一つ一つのシーンでの非現実的なイメージはとても印象的で、とくに空一面を鳥が埋め尽くすように飛び回るカットにはひきつけられました。明らかに異界の者である恵子が服を脱いで加藤を誘惑するところ、「けっ、出し惜しみしやがって!」と心中で悪態をつきたくなりましたけど、よく見れば演じているのは元AKB48の前田敦子じゃありませんか、そりゃヌードになるわけなかったです(笑)。あと演技に難があるわけではないけどほとんどの会話が聞き取りにくいこと!これはイライラさせられました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-09-17 22:36:21)
278.  兵隊やくざ 大脱走 《ネタバレ》 
本作まで常に部隊からの脱走を繰り返してきた有田と大宮なんですが、ソ連軍が満洲に侵攻してきたご時世となり身の安全を図るために自ら部隊に紛れ込むようになったのが面白い。まあその部隊はソ連軍に急襲されて全滅、生き残った彼らが今度は将校コスプレして通りすがりの部隊に潜り込むという展開。つまりサブタイトルに『大脱走』と銘打っているけど、本作では彼らはお得意の部隊脱走はやらかさないという新パターンで、『大脱走』とはクライマックスの保護した避難民を連れての脱出劇のことなのかと思います。 ソ連侵攻が始まっているとはいえ平常時と変わらない兵営生活を送っているところは「そんなのあり?」と違和感がありましたが、玉砕前提の捨て駒兵力として残置されているのでみな達観していると受け取ることもできるでしょう。本作では有田=田村高廣の存在感が高くなっているストーリーテリングのような気がして、偽中尉・有田の堂々たる指揮ぶりは惚れ惚れさせられました。でも “有田と大宮=勝新太郎の同性愛的な関係”というこのシリーズの裏テーマは健在で、慰問団の娘=安田道代と一夜を共にして帰ってきた大宮に嫉妬ともとれる視線を注ぐ有田の姿に象徴されていました。 そしてシリーズ前半の最大の悪役である青柳=成田三樹夫が再登場するわけですが、なんと脱走目的で憲兵から歩兵の上等兵に化けているというサプライズ。「お前らはバカか、脱走するには兵士が最適なのにわざわざ士官に化けるなんて」と嘲笑する青柳の言葉は、なるほど真理を突いていますね(笑)。この偽兵士・将校の三人組が今度はどんなバトルを見せてくれるのかと思えば意外にも最後にはすっかり善人と化してしまった青柳、拍子抜けさせられました。 本作は前半と後半ではストーリーの繋がりが悪い感じがするのが難点。どうせ成田三樹夫を再登場させるなら、もっと絡ませる脚本にしたら良かったのにねえ。
[試写会(邦画)] 5点(2023-05-04 17:31:09)
279.  続・兵隊やくざ 《ネタバレ》 
前作ラストで機関車を強奪して脱走したかに見えた大宮と有田、その機関車がゲリラに爆破され負傷して病院送り、原隊はフィリピンに転進した後なので地元の部隊に編入、つまり軍隊生活に逆戻りというわけです。前作以上にその部隊は陰湿で、こうやって見ますとまるで刑務所ものみたいなお話しですね。大宮=勝新太郎の石頭ならぬ石面、ビンタを喰らわす相手が手を痛めるという大宮の得意技(?)はこれからも定番になりそうです。大宮が惚れた看護婦=小山明子にアソコの毛をお守りにねだるのですが、本来脚本では石鹸を所望するとなっていたのを勝新が毛に変えさせたそうで、さすが勝新、大宮というキャラを二作目にして完全にモノにしています。物語自体はちょっとやり過ぎというぐらいに大宮と有田が暴れまわった挙句に今度はトラックを強奪して脱走という前作を踏襲した幕の下ろし方でしたが、続編としては勝新と田村高廣のキャラを定着させて次作に繋げる手堅い出来かなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-02-28 00:52:02)
280.  鉄砲玉の美学 《ネタバレ》 
東映との提携作品とはいえ、今は亡きATGが唯一製作したヤクザ映画として観ると貴重。監督は中島貞夫ですけど、サウンドトラックに頭脳警察を起用するところなどATGっぽさが感じられます。渡瀬恒彦の他は、東映ヤクザ映画の常連は川谷拓三と小池朝雄ぐらいしか男優では顔を見せないので、一段とATG風味が濃厚となっています。渡瀬は聞き取りにくいほど早口な河内弁でまくし立てるチンピラで、これは好演です。彼が商売のネタにしていたのが“これ以上大きくならないウサギ”なんですが、こいつらがキャベツをむしゃむしゃ喰ってどんどん成長してゆくのが可笑しい。鉄砲玉になって宮崎に乗り込んでからも、拳銃と軍資金100万円を貰っているのに大して暴れもせずけっきょく自分の遊興にのめり込むだけ、対する宮崎地元の組織も渡瀬の属する組織の意図が見え見えなだけに、何をされても大人しく恭順の意を見せるだけ。低予算を逆手にとったような実録ヤクザ映画ファンが怒りそうな何も起こらない展開、とくに中盤はタイアップしたホテルに気を使ったようなシーンの連続なのが鼻じらむところです。中島貞夫は当時の東映ヤクザ路線でも深作欣二のような本流ではないのですが、彼本来の志向としてはアヴァンギャルドに親和的だったみたいな感じです。鉄砲玉・渡瀬の死に方としてはもっと壮絶かつ無様な方が良かったのにとつくづく思います、これじゃまるで『真夜中のカーボーイ』のダスティン・ホフマンと一緒じゃないですか(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-02-25 23:25:38)
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