41. 銀色の雨
《ネタバレ》 鈴井監督作品であり、大好きなサンドウィッチマンの2人も出演しているということで、観てみました。 まぁ映画自体は、可も無く不可も無くといったところでしょうか。 中村獅童の演技が目立って素晴らしく、そして彼の悲しすぎる物語にも充分感情移入出来ました。 小説ベースだから仕方ないのだろうけれど、クサい台詞が所々目に付きました。そんなクサい台詞も中村獅童くらいの演技力があれば違和感無く聞こえますが、他主役2人が言うとどうしてもクサく聞こえてしまう・・。 サンドウィッチマンや、ルー大柴も出演してはいますが、出番は本当に前半ちょっとだけ。友情出演だったのでしょうか。もっと彼らの演技も見たかったです。 鑑賞後の何ともいえない清々しい雰囲気は良かったです。 [DVD(邦画)] 5点(2010-07-03 13:13:05) |
42. アウトレイジ(2010)
北野監督が発表前から公言していた通りの「バイオレンス」、「エンターテイメント」。それ以外の何物でもない本作。 だから、本作に過去の作品(ソナチネ、HANA-BIなど)の芸術性を求め、それと比較するような見方は全くの筋違いに思える。 今までのたけし映画の「静」の部分を一切排除し、「動」をとことんまで突き詰めたスタイルは全く迷いが感じられない。潔し。 個人的に北村総一郎、椎名桔平の演技が本当に素晴らしかったと思う。 特に北村総一郎の仕草(手招き、歩き方など)がイチイチ怖かった。優しげに喋ってても目の奥が笑ってないのが・・。役者としての物凄い力量を見せつけられました。 映画はとにかくスピーディにぐいぐい進んで行き、観る側に休む間を与えない。 凄くしっかりしたストーリーと俳優陣の素晴らしい演技があるから、混乱もせず、単純に「誰が生き残るのか」に集中出来たし、自分が予想していた結末を大きく裏切ってくれて、とても楽しめた。 ただ、バイオレンス描写があまりに凄すぎるので(一緒に観に行った女の子が途中退席しそうになった)、その辺覚悟が出来ている人のみ観に行くべし。 前作「アキレスと亀」も賛否あっただろうが、個人的に大好きな作品。 北野監督、次はどんな映画で驚かせてくれるのか。 とりあえず「アウトレイジ」は何だかもう一回観たいかも。 [映画館(邦画)] 8点(2010-06-23 19:18:16) |
43. 重力ピエロ
原作を読んだうえで鑑賞したのですが、俳優陣の演技に引き込まれ、終わりを知っているにもかかわらず、思いのほか楽しむ事が出来ました。 特に渡部篤郎の演技が素晴らしかったと思います。 原作を読み、心配だったのは、春の台詞が哲学者の引用が多いので、文字として読む分には問題ないのですが、これを実際口に出して喋るとなると相当クサくなってしまうのでは・・ということ。春役の岡田くんはハマっていたと思いますが、やはりその点だけはどうも安っぽくなっちゃいましたね。 端折るところは巧く端折って、映画として、心地よいリズムが感じられました。 設定も色々と変えてあって、だからこそ原作既読の自分も楽しめたのだし、「映画化」した意味は充分にあったと思います。 原作、伊坂幸太郎の独特の浮遊感を感じられる文体と違い、映画版の雰囲気は重めなので、別ものとして2つとも楽しむ価値はあります。 減点要素を挙げるとすれば、夏子さんの中途半端な使い方が凄く気になりました。原作ではもっと活躍してくれます。 [DVD(邦画)] 7点(2010-06-07 08:18:41)(良:2票) |
44. 菊次郎の夏
「たくさん遊んで すこーし泣いて」 このキャッチフレーズ、良いですね。 愛情表現の下手な不器用な男をたけしは見事に演じている。 子供を抱きしめる時のぎこちなさが、逆に胸を打つ。 久石譲の音楽もいつもながら音量が大きすぎて少し過剰に感じる部分はあるものの、曲がとにかく素晴らしく、映画の雰囲気を決定づけるものになっている。 照れ隠しのようなたけしの笑い顔、とってもやさしい「バカヤロー」の響き。 [DVD(邦画)] 8点(2010-06-01 13:14:05) |
45. ソナチネ(1993)
確実に「死」へ向かってゆく命の切なさ、儚さ。 これが北野映画の醍醐味ではないでしょうか。 本作では充分にその感覚を味わえる。 微笑ましいシーンを見せておいて、それは唐突に、ビリビリに引き千切られる。 晴れた海の美しさが、より虚無感を際立たせている。 そしてその虚無感は、切なく、美しい。 ■ちょいネタバレ■ ラストの銃乱射シーンが何だか安っぽく感じてしまった。。 どうもあのシーンは不必要に思えてならない。 前3作品の良い部分がこの映画に集約されている。 [DVD(邦画)] 8点(2010-05-20 14:21:12) |
46. 鉄コン筋クリート
この作品を観るとやはり日本のアニメは世界に誇れる文化だなぁと思わされる。映像のドライブ感、背景の現実と夢の狭間のような独特な世界観が秀逸。声優陣も全員ハマっていた。特に蒼井優、本木雅弘は本当に素晴らしかった。長尺ながらスピード感があって一気に観れる。各キャラクターの個性が立っていて台詞の独特の言い回しもクセになる。 ただ色々な意味でかなり濃いアニメ映画なので、好き嫌いはハッキリ分かれるでしょう。僕は見事にハマりました。 [DVD(邦画)] 9点(2010-03-17 08:56:34) |
47. 白痴(1951)
原作が名作であればあるほど、それの実写化は大抵失敗に終わるものだが、 この映画を観ると、黒澤明が原作「白痴」をどれだけ深く理解し、 確信をもって制作に臨んだかが分かる。 前半を文章で紹介してしまうのは映画の長さ上しょうがないのだろうが、少し残念な部分。 キャストはもう全員が適役といっていいほどだったが、中でもナスターシャを完全に演じ切った原節子に感動。 原作の荘厳な雰囲気を見事に映像化し、なおかつ黒澤ならではのエネルギーが全体に満ちている。 数ある黒澤映画のなかでも、本作の映像の力強さ、美しさは本当に素晴らしい。 札幌がロシアに見えました。 個人的に一番お気に入りのシーンは、階段を上ってくる亀田と綾子の後ろで、待ち構えていた赤間がオルゴールをパタッと閉じるところ。 三船が放つ凄まじい負のエネルギーに息をのみました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-03-07 02:08:39) |
48. 夢(1990)
退屈だと感じる人にはとことん退屈な映画でしょうね。 でも、ツボにはまる人(タルコフスキーとかが好きな人)にはとことんツボでしょう。 画家黒澤明が作る最高の美術映画だと思いました。 ただ映像だけで充分「生」や「死」などへの感情を表現できているのに、少し語らせ過ぎな気がしてならない。黒澤映画では「水爆」「戦争」や「近代化」などの話になるとどうしても説教臭くなっちゃいますね。 タルコフスキーの映像美がとことん静かであるのに比べて、黒澤の映像美はもっとギラついているというか、力強い命のエネルギーを感じます。 ツボでした。 [DVD(邦画)] 9点(2010-02-28 22:16:23) |
49. 素晴らしき休日(2007)
「素晴らしき日曜日」より個人的に好きです。 [DVD(邦画)] 5点(2010-02-23 00:57:47) |
50. 素晴らしき日曜日
無意味に長いシーンが多いように思えた。 良い場面もそこそこあったのだが、ここまで長尺な作品にすることはないかと。 昌子の嗚咽があまりに凄すぎて笑ってしまいました・・ [DVD(字幕)] 4点(2010-02-23 00:53:42) |
51. 静かなる決闘
後半の力強い展開は黒澤映画ならでは。 三船の演技は素晴らしいのだが、妙な美徳を押し付けられている気がするからか、どうも感情移入出来ない。 むしろ峰岸看護婦の心の成長の描き方もとても素晴らしく、主役よりずっと人間らしい彼女に深く感情移入出来た。 小ネタですが、タバコの火を譲り合うシーンがとても好きです。 [DVD(邦画)] 6点(2010-02-21 22:58:39) |
52. 生きる
《ネタバレ》 本当に人間いつ死ぬか分からない。悔いの無い生き方をしよう。この映画を観て素直にそう思った。志村喬の演技に胸が締め付けられる。 普通の映画ならば、主人公の行動に感動し、改心した脇役達を描いて明るく終わるのがベタなのだろうが、結局何も変わらない役所連中をちゃんと描いているあたりが、この映画をより重みのあるものにしている。 ヒューマン映画の金字塔かと。素晴らしい映画です。 [DVD(邦画)] 10点(2010-02-13 21:49:38) |
53. 赤ひげ
佐八のエピソード部分は少し助長に感じてしまったが、 おとよが登場してからはいいシーンが盛りだくさんだった。 心が壊れたおとよが廊下を拭き続けているシーンはとても悲しい。 その分回復した時の生き生きとした顔が凄く輝いて見えた。 お見事な演技でした。 赤ひげ先生が強すぎるのは多少気になりましたが(笑)、 三船はこの役もバッチリハマっていたと思います。 人間愛を感じる、素敵な映画。 [DVD(邦画)] 8点(2010-02-13 21:34:25) |
54. 隠し砦の三悪人
黒澤映画の中でも個人的にあまりグッとこなかった作品。 無駄に長く引っ張りすぎな場面が多かったところ、雪姫の存在感は素晴らしいが演技が・・・ 素晴らしいアクションシーンあり笑いあり、とてもよく出来たエンターテイメント作品に仕上がっているのは確かなのだが、黒澤映画にはどうもそれ以上のものを期待してしまう・・ [DVD(邦画)] 5点(2010-02-13 21:20:07) |
55. どですかでん
どギツい色彩をぶちまけたような混沌とした町並みの中、人間の様々な醜さ、愚かさが描かれている。とことん救いのない点では「どん底」と通じるものを感じた。 カラーの黒澤映画は、どの作品も非常に絵画的で、映像の放つ力は凄いものがある。 本作は、当時の監督の心情風景をそのまま吐き出したものなのではないだろうか。 それ故、共感できる部分、出来ない部分が出るのは必然で、個人的には映像には終始感動出来たが、ストーリーには少し置いてけぼりを喰らった感があったのでこの点数。 [DVD(字幕)] 5点(2010-02-10 19:19:05) |
56. 續・姿三四郎
三四郎のその後もきちんと描いて欲しかった。 敵役にもうちょっと悪役としての凄みが欲しかったかなぁ。 それにしても三四郎の柔道は凄まじい殺傷能力ですね。 [DVD(字幕)] 5点(2010-02-08 13:40:51) |
57. どん底(1957)
これは凄まじくドス黒い映画でした。全く救い無し。 好きか嫌いかは別として、強烈に心に残る作品であることは間違いないでしょう。 左卜全の存在が中盤まで唯一の希望なのだが、終盤には結局彼も深入りはしたくないと逃げ出す始末。誰もどん底からは結局抜け出せない。 登場人物は皆過去を懐かしみ、現状に愚痴ばかり言い、未来に何の希望も抱かず、ただ諦めて自堕落な生活をおくっている。 こんな人間達ばかりずっと映されるのに、この映画は目を離させない不思議な力を持っているように思う。底の底で渦巻いている強烈な力。それを見事に表現することに成功している。 映画的な展開はせず台詞のみで物語は進んでいくが、徹底した台詞のリアルさと、役者それぞれの凄まじい演技力で、個人的には物凄く見応えのある作品だと思った。 [DVD(字幕)] 9点(2010-02-06 23:48:58) |
58. 野良犬(1949)
《ネタバレ》 ジメジメとした都会の暑さ、汚さが画面から伝わってくる。 正義感に溢れた新米刑事とベテラン刑事に三船・志村が見事にハマっている。 特に志村喬はモーガン・フリーマンに見えて来ました(笑)。 犯人役は何気に七人の侍のあの優男、岡本勝四郎の役者さんだったんですね。 悲痛な叫び、素晴らしい演技でした。 後半にかけて熱を帯びていく展開も良いです。 [DVD(字幕)] 7点(2010-02-06 18:15:09) |
59. 影武者
まずオープニング、闇に浮かぶ3人のシーンでいきなり引き込まれる。 他にも画的に素晴らしい、さすが黒澤明と思わされるシーンはたくさんあった。 ここでは評判が悪いが仲代達也の2者を演じ分ける演技は素晴らしかったし、山崎努も良かった。 ただ肝心なのはストーリー。 厳粛な雰囲気はいいのだが、起伏が無く、ただ冗長に感じてしまった。 それと、電撃ネットワークの人はどこに出ていたのだろう???? [DVD(字幕)] 6点(2010-02-06 14:56:46) |
60. 醜聞(1950)
テンポ良く、志村、三船の演技力はさすがなのだが、台詞がいちいちクサかったり、中盤あたりで読めてしまうありきたりなストーリーで、他の黒澤映画に比べあまり見応えが無かった。 [DVD(字幕)] 6点(2010-02-05 10:28:27) |