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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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601.  しゃべれども しゃべれども 《ネタバレ》 
一人の若手落語家(国分太一)を主人公にした平山秀幸監督の映画。以前から気にはなっていたがなかなか食指が動かず、今になってようやく見たのだが、いかにも日本映画らしい雰囲気のよく出た映画になっていて、それに落語という題材がうまく合っていて生かされていてまさにこれぞ日本映画にしか出来ない映画といえる映画になっていて素直に面白かった。主人公である三つ葉(本名:外山達也)はなかなか真打に上がれないでいるが、それでも落語が好きで決してあきらめようとはしない姿勢が、見ていてつい応援したくなるし、彼の開いた落語教室に集まってくる三人がそれぞれ他人との会話が苦手な女性や、しゃべりが下手な野球解説者などコンプレックスを抱え、この三人と三つ葉の関りもちゃんとドラマとして面白くできていて、見始めてすぐは三つ葉が真打になるまでの話かと思っていたのだが、そうではなく三つ葉を含めた四人が自分のコンプレックスとそれぞれに向き合い、互いに一歩踏み出すまでが描かれていて、本作のテーマは落語そのものよりも他人との関り、自分の思いを伝えることの大切さ、これにあるのだと感じることができ、そうしたらとてもこの四人がとても身近な存在に思えてきた。三つ葉の元にやってくる三人の中でも、関西から引っ越してきた阪神ファンの少年がとくに良い味を出していて、この少年は本作の中でも特に印象に残った。その他の出演者でいうとやっぱり三つ葉の祖母を演じる八千草薫がなんともチャーミングで、落語の演目をつぶやきながら玄関先を掃いたりしている姿がなんとも言えないし、思わずこういうおばあちゃん、良いなあと感じさせてくれるのが嬉しい。落語が題材の映画とあって劇中に落語が披露されるシーンが多いのだが、三つ葉の師匠を演じる伊東四朗も、独演会における国分太一演じる三つ葉の落語も本当に自然な感じで、今まで一回もライブで落語を聞いたことがないのだが、思わずライブで落語を聞いてみたい、そんな気持ちになれたのも嬉しかった。物語としては、さっきも書いたように四人それぞれが一歩踏み出たところで終わっていて、明快にそれぞれの問題が解決したというところまでは描いていないが、それが逆に良かったし、この後のそれぞれの人生を想像してみるのも楽しい。なんだか見終わって久々に気持ちの良い映画を見た気がしたし、見て本当に良かった。平山監督は大作映画も手掛けているが、それよりもこういう地に足のついた映画のほうが持ち味が出ているように感じる。
[DVD(邦画)] 8点(2018-05-06 22:48:11)(良:1票)
602.  網走番外地 決斗零下30度 《ネタバレ》 
シリーズ第8作。一作目に出演していた丹波哲郎や、シリーズ初期作で毎回悪役を演じていた安部徹が久しぶりに出演していてなにやら懐かしい気になるし、冒頭に真一(高倉健)の殴り込みシーンが回想的に入っているのもちょっと集大成的な感じがしなくもない。(その中で出てくる「七つの子」を歌う男は杉浦直樹かと思った。)そんな今回は真一が列車の中で出会った父親を捜す少女とともに向かった炭鉱が舞台になるわけだが、例によってその炭鉱ではいざこざが起きていてという筋立て。健さんと炭鉱といえば「幸福の黄色いハンカチ」をどうしても思い浮かべてしまうのだが、やはり東映アクション映画である本作は当たり前だがまったく違う映画になっている。今回も健さんはかっこいいのだが、それ以上にかっこいいのが丹波哲郎扮する喫茶店のマスターで、もちろん一作目とは違う役柄だが、出てくるだけで画面のすべてを持って行ってしまいそうな勢いを感じた。少女の捜していた父親が大槻(田中邦衛)というのはシリーズを連続してみているとどうなのかと思う部分もなくはないが、前後のつながりを重視するシリーズではないのでこれでいいのだろう。(東映のシリーズものでこれを気にしていたらキリがない。)ドラマとしてはシリーズの定番ともいうべき真一とこの大槻の娘との交流がみどころとなるはずであるが、今までのこのパターンの回と比べるとその部分はちょっと弱い印象があり、そこが残念といえば残念。でもこの少女のませたキャラクターはよく立っていた。今回面白かったのは冒頭の列車の中でのマジックシーン。手に火がついて慌てる真一がなかなかお茶目で、後年の出演作では見られないような健さんの演技もこのシリーズの見ものなのかもしれない。同じく列車のなかで登場する由利徹も持ち前のコミカルな味をいかんなく出している。
[DVD(邦画)] 6点(2018-05-02 18:12:23)
603.  昭和おんな博徒 《ネタバレ》 
加藤泰監督最後の東映作品となる任侠映画。主演は江波杏子というのが東映任侠映画では珍しいのだが、本作の企画意図としては時期的に藤純子引退後に新しい任侠映画のスター女優をというのがあったのだろう。どうかなあと思っていたのだが、江波杏子は大映で任侠映画のシリーズを持っていたらしく、そのせいか特に違和感はなく、良かったと思う。主人公・お藤が雨の中、標的を仕留める冒頭からいかにも加藤監督らしい演出で格調高く、ここだけでも印象に残るものとなっている。(この冒頭の雨とタイトルロールの汽車を見ると加藤泰の映画だなあとすごく感じられる。)物語としては夫(松方弘樹)を殺されたお藤の復讐劇で、夫 新二郎が殺されるまでのエピソードを前半に回想形式で描き、後半の復讐劇につなげるという二部構成になっているが、脚本としては前半部分が丁寧に描かれているのに対して後半部分がちょっと急ぎすぎに感じるのは尺の都合上仕方がないとはいえ、なにか物足りない感じがしたのが少し残念だったのだが、前半の松方弘樹も後半の天知茂もお藤と関わっていくドラマがみごたえあるものになっていてあまり退屈はしなかったのでもう30分ほど長ければもっと良かったかもとも思った。ところで、DVD特典映像の予告編を見ると「新シリーズ」とうたっていて、最初はシリーズ化を計画してたのがうかがえるのだが、2作目は作られることはなく、東映ヤクザ映画は翌年から任侠映画に代わって実録路線へ。そして加藤監督は次回作から松竹を中心に映画を手掛けるようになる。やっぱこの時期(70年代初頭)の東映の任侠映画を見るとそういう移り変わりの時期だったことを思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 7点(2018-05-01 17:40:52)(良:1票)
604.  ルパン三世 愛のダ・カーポ 〜FUJIKO's Unlucky Days〜<TVM> 《ネタバレ》 
記憶を無くし、しおらしい女になった不二子を主役においたテレビスペシャルの一篇。個人的には不二子はファーストの二階堂有希子のほうが好きで、増山江威子の不二子には色気を強調しすぎている感があり若干の苦手意識があるのだが、(今の沢城みゆきの不二子はわりと好き。)本作の記憶を無くし、キャラも変わった不二子はみなさん書かれているとおり、バカボンの母を思わせるような優しさを醸し出していて、その苦手意識は本作では少し薄れた。(やはり増山江威子は不二子よりもバカボンの母のようなキャラのほうが好みかな。)でも、不二子の記憶喪失という設定がメインになりすぎていて、ストーリーとしてはいつものように適当に作った感がありありでちょっとなあという感じ。中でも今回のルパンたちの獲物であるコロンブスの卵に関する資料のすべてを覚えている不二子が記憶喪失という設定なのにいざ終盤に思い出してもそれが一体どういう存在なのか最後までよくわからないのはいくらなんでもという気がするし、今回の敵役のボスであるヒロインの父が筋肉モリモリの怪物に変身するのもやりすぎというほかなく、(この父親の声をやっているのが森山周一郎で、大御所にこんな役をさせているのがもったいないというか・・・。)やはり出来としてはイマイチな感じ。(まあ、テレビスペシャルはいつもこんな感じだけど。)今回、銭形があまり話に絡んでおらず、その辺も物足りない感じがした。(確かこの前年のテレビスペシャルでは主役だったはず。)「監督 ワタナベシンイチ」というクレジットを見てテレ東のアニメ「はれときどきぶた」が懐かしく、また見たくなってしまった。(2018年4月28日更新)
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-28 23:11:14)(良:1票)
605.  アヒルと鴨のコインロッカー 《ネタバレ》 
中村義洋監督が初めて伊坂幸太郎の原作を映画化した作品。どんでん返しというのはクライマックスになって出てくるものというイメージが強いのだが、始まって一時間ほどして出てきてそこから改めてトレースしていくのがうまく、「ポテチ」でもそうだったのだが、本作も二度見たくなるような映画でよく出来ている。ゆるい感じだった前半に対して河崎(瑛太)が真実を告白してからの後半がシリアスで悲劇的なので、若干戸惑う部分もあるものの、そこからが面白く、引き込まれた。ボブ・ディランの「風に吹かれて」がストーリーのカギとなる曲として使われているが、この物語によくマッチしていて良く、見てからは曲を聴くたびに本作を思い出しそう。仏教徒のはずのブータン人が神云々のところや、短期間で日本語がぺらぺらになっているところなど、確かに突っ込みどころはあるが、見ている間はそれをまったく気にさせない勢いがあるのも、中村監督の伊坂幸太郎原作映画らしいところ。印象に残ったシーンといえば、やはりラストの椎名(濱田岳)とドルジが駅で交わすやりとり。東京の実家に帰ることになった椎名に「また帰ってくるよな。」と声をかけるドルジ。これまで語られたドルジの過去を思うと、また一人ぼっちになりたくないという彼の気持ちがひしひしと伝わってきて切ない。この二人がその後どうなるのかは描かれていないが、椎名は必ずドルジのところに帰ってくる気がした。重苦しいまま終わるのではなく、爽やかな後味と余韻を残した終わり方も好きだ。出演者に目をやると、ミステリアスな男を演じる瑛太が最初はかっこつけただけの印象だったのが、メインになる後半になると徐々に印象が変わっていくあたりはうまいし、ただのイケメン俳優というだけではない魅力に気づかされた気がした。そのほか、松田龍平も大塚寧々もいい味を出していたし、ヒロイン・琴美を演じる関めぐみも良かった。そして、濱田岳。中村監督の伊坂映画には必ず出演しているが、4本すべて見てどの映画の雰囲気にもよく合っていたと思う。やはり素朴な感じがして良い。
[DVD(邦画)] 7点(2018-04-26 18:25:06)(良:1票)
606.  ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え<TVM> 《ネタバレ》 
テレビスペシャル第3作。久しぶりに見る山田康雄のルパンだったのだが、中盤あたりでルパンが変装で銭形と入れ替わり、山田康雄が演じる銭形というのが見られるのはかなりのレア感がある。でも、印象に残るのはそこぐらいで、全体としては作画をはじめ作りがかなり雑で、いくらテレビ作品とはいえもうちょっと丁寧に作ろうよというレベルだし、ストーリーもルパン帝国とかナポレオンの辞書とかスケールの大きなネタなのだけど、多国籍軍とかはっきり言ってやりすぎで散漫なうえにテンポもあまり良くない。それに仕方のないことだが今見ると湾岸戦争と絡めているあたりに時代を感じてしまう。初期のテレビスペシャルを手掛けていた出崎統監督だが、それにしては今回、止め絵とかなく、演出もおとなしめだなと思ったら、なんと出崎監督は監修だけで正式な監督を置かずに作ったっぽいのもなんかスタッフの適当さを感じずにはいられなかった。ゲストヒロインが日本人なのだが、それも別にいてもいなくてもという気がした。でも、そのヒロインの声をやっていたのが戸田恵子で、久しぶりに声優として見たのだが、やっぱり実写の女優としてより、声優としてのほうが見ていてしっくりくると思った。
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-20 13:06:20)
607.  ルパン三世 ロシアより愛をこめて<TVM> 《ネタバレ》 
テレビスペシャル第4作。まずまずといったところだが、90年代の作品なのに絵柄がテレビ第2シリーズよりも古めかしく見えてしまったのはちょっと残念。五右衛門はテレビスペシャルだとあまりいいところがないという印象が強いのだが、この作品では最初からなぜかラスプートンの元にいて、斬鉄剣を竹光とすり替えられてしまい、あげく終盤でヒロインに惚れて最後にはルパンたちを裏切るとかほとんどいいところがなく、テレビスペシャルでは昔からこういう扱いだったのねと妙に納得してしまった。銭形もあまりストーリーに絡んでおらず、せめて中盤のルパンたちが銀行に立てこもるシーンで登場するのはあの保安官ではなく、銭形であってほしかった。悪役である不気味な教祖はインパクトがあるし、二人組の男もいい味を出している。銀行の頭取 デュークを納谷六朗が演じているが、兄である納谷悟朗が演じる銭形と一緒のシーンがないのは少々もったいない気がするし、こういうキャスティングならば繰り返しになるがよけいに銀行を包囲する役回りは銭形のほうが良かったのではないかと感じる。五朗、六朗の二人ともわずか一年半ほどの間に亡くなってしまったのは本当に惜しかった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-20 13:03:40)
608.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
高畑勲監督の本当に久しぶりとなる新作。「竹取物語」は以前にも市川崑監督が沢口靖子主演で映画化しているが、こちらはあの映画のようなSF色はなく、ファンタジックな印象の強い映画になっている。それに、娯楽性よりも芸術性の高さを感じさせる作風はこれまでのジブリ作品ではあまり見られなかったような気がして、こんなジブリ作品もいいなと思った。高畑監督の前作「ホーホケキョ、となりの山田くん」でも水彩画のような画風が印象的だったのだが、本作でもその水彩画のような画風で作られていて、その優しいタッチが本作の雰囲気にとてもマッチしていて美しかった。ストーリーは原作の「竹取物語」から大きく逸脱することなく、忠実に進んでいくが、それが何か懐かしい。かぐや姫の視点から描いたことにより、深みが出て、そのことで、きちんと見ごたえのある映画になっているのがいい。山では優しかった翁が都に出てきたとたんに欲が出て、見栄を張るというふうに変貌を遂げたり(本人はかぐや姫の幸福のためと言っているが、あまりそんなふうには見えない。)するのは見ていてリアルだし、かぐや姫に求婚する男たちも今見るとどこか支配欲に満ちているというふうに見えるのは自分の見方が変わったせいだろうか。本作ではかぐや姫が地球に来た理由が描かれていて、これを見るとこのかぐや姫がとても純粋無垢な女性であることが分かるし、そんな彼女が帝に求婚されたときに思わず「月に帰りたい」と願ったのもその純粋さをこれ以上奪われたくないという思いからだろう。汚らわしいものもあるが、それと同時に素晴らしいものもこの世界にはあるということを知っているかぐや姫は帰りたくないと言って涙を流す。かぐや姫の心理描写がうまく、ついかぐや姫に感情移入して見てしまうし、昔読んだ絵本などを後年に思い返してみるとクライマックスの展開が少し唐突に感じる部分ではあったのだが、これならじゅうぶん納得がいく展開だ。迎えに来た者たちにそのことを訴えるかぐや姫(途中で羽衣を着せられるのが無情。)や、自分たちも連れて行ってくれと懇願する翁と媼の姿が切なく、今までさんざ知ってる話のラストシーンにも関わらず、思わず泣きそうになってしまった。高畑監督が東映時代から企画していて、ようやく実現した映画だと聞くが、それに見合う出来の傑作になっていて、間違いなく高畑監督の代表作の一本になる映画だと思う。それからもう少し、いつもファンタジックな映画を作る宮崎駿監督が「風立ちぬ」でリアル路線の映画を作ったのに対して、ジブリでは「火垂るの墓」などリアル路線の映画の多い高畑監督がファンタジー路線で映画を作っているのは面白いなと思った。
[地上波(邦画)] 8点(2018-04-06 19:50:54)(良:1票)
609.  超高速!参勤交代 リターンズ 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。前作で無事に参勤を済ませた湯長谷藩一行が、今度は藩で一揆が起こったことにより、参勤の倍のスピードで交代をしなければならなくなるという出だしで、物語は前作のラストシーンから始まっている。前作を見たのが三年ほど前でうる覚えな部分もあったことからちょっと心配になってしまったのだが、そこは大丈夫だった。今回も娯楽時代劇としてよくできた映画になっていて、続編としての水準はじゅうぶんに保っている。殿様(佐々木蔵之介)をはじめ家老(西村雅彦)や家臣たちも相変わらず本当に気持ちの良い連中で、演じる俳優たちもよくハマっていて安心して見ていられるところに続編映画としての強みを感じる。(深田恭子だけなんか違う気がするのも相変わらずだが、それもまた良い。)少し不満を言えば前作はいかに五日間で参勤交代で江戸へ行くかに面白さがあったわけだが、今回は前半で湯長谷まで到着してしまい、後半は黒幕である松平(陣内孝則)との対決になだれ込むというのは、わかってはいるがもう少し湯長谷までの道中を見たかったという気がしないでもない。シリアスな部分も前作に続きあるのだが、2作目ともなれば、このシリーズはこういうものというイメージが出来上がっているせいか、たいして気にはならなかった。二部作の後編のような位置づけなので、このシリーズはこれで完結なのだろうけど、シリーズ2作ともちょっと昭和のプログラムピクチャー時代劇を思わせるような単純明快な内容で、現代の時代劇映画ではちょっと貴重な存在かも知れない。前作のレビューでも書いているが、やはりこのシリーズのような作風はけっこう好きだ。
[DVD(邦画)] 6点(2018-03-28 22:40:39)
610.  クレージーだよ 天下無敵 《ネタバレ》 
植木等と谷啓がいがみ合ってばかりいる二人の男(役名が猿飛と犬丸というのが既に笑える。)を演じてダブル主演をしている東宝クレージーキャッツ映画の一本。ライバル同士の隣どうしの会社のサラリーマンである二人が互いにスパイになり、それぞれの会社の新製品についての情報を得ようとするのだが、もうこの二人のバカなやりとりを見ているだけで楽しいし、とくに植木等の豪快で明るいキャラクターを見ていると自然と疲れや悩みなんかぶっ飛んでしまって元気が出てくる。やはり無責任シリーズやその他のクレージー映画での植木等のポジティブな演技は大好きだと感じられたのが嬉しい。植木等の会社の新製品であるモデルハウスの近未来的な感じが今から見るとすごくレトロに感じた。国際的産業スパイが登場する終盤の展開も無茶苦茶だが、この無茶苦茶さがクレージー映画、田波靖男脚本作品の良いところである。後半は立体テレビをめぐる話になるが、今から見ればこの時代に立体テレビというのはかなり時代を先取りしている印象を持ってしまうのは仕方がないか。(当時はもちろんギャグでやってると思うけど。)二人がクビになり会社を去っていくラスト近くのシーンは坪島孝監督らしく少しペーソスも感じさせるものになっているのが良い。かなり久しぶりに見たクレージー映画だったのだが、やっぱり面白かったし楽しかった。こういう映画は肩の力を抜いて気楽に見るのがいいね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-03-26 17:35:44)
611.  映画ドラえもん のび太の恐竜2006 《ネタバレ》 
「ドラえもん」リニューアル後の最初の劇場版となる「のび太の恐竜」のリメイク版。以前にも地上波で放送されたときに見ているが、ノーカット版を見るのは今回が初めて。以前に見た時はオリジナルをあまり覚えていなかったのだが、今回10年以上ぶりに見返すと本作も覚えていない部分が多かった。(笑)でも、そのおかげか新鮮な気持ちで見れたのは結果として良かったと思う。冒頭ののび太が恐竜(正確には首長竜)の卵の化石を見つけるくだりが今になって見ると都合が良すぎる気がしないでもないが、前半は卵から生まれたピー助とのび太の交流が丁寧に描かれていて微笑ましいし、のび太が化石を卵にして羽化させた目的はいつものようにスネ夫を見返すためというのを忘れるほど見入ってしまった。大きくなりすぎたピー助が風邪をひいたのび太に会いたいばかりに家まで来てしまったことにより、世間が騒ぎ始めるという展開は翌年の映画である原恵一監督の「河童のクゥと夏休み」を彷彿させているが、あの映画もやはり旧作からの影響があったのだろう。誤ってピー助をアメリカ大陸へ送っていたことが判明したことから始まるレギュラー5人の冒険はすっかり親世代(未婚で子供もいないけど。)になった今見てもけっこう面白く、またジャングルなどの作画もキレイで丁寧でアニメーターの仕事ぶりも秀逸だった。以前に見た時はラストの展開がオリジナルと違うような気がして、少し違和感を感じた覚えがあるのだが、今回はそれをあまり感じず、むしろ、タイムパトロールの力を借りずに目的地である日本まで自力でたどり着くという結末は他人の力を借りずに目標を成し遂げることの素晴らしさを主たる支持層である子供たちに伝えるメッセージとしてはじゅうぶんだと感じる。恐竜ハンターの雇い主である恐竜コレクターのドルマンスタインの出番が意外に少なくてビックリしたのだが、オリジナルでもこんな感じだったかな。はじめて見た時はまだ新しい声優陣に若干の違和感を感じていたのだが、10年以上たった今では現在のメンバーのほうがしっくりくるようになってる。今では劇場版シリーズは旧シリーズを見ていた世代が監督を手掛けていることが多いのだが、本作は旧シリーズに関わっていた渡辺歩監督が手掛けており、ドルマンスタインの声を野村道子の夫であり、旧シリーズ劇場版の常連悪役だった内海賢二が担当するなど、まだどこか手探りで旧シリーズに引っ張られているような感じがある。でも、映画としてじゅうぶんに面白かったし、これからも「ドラえもん」はずっと続いていてほしいと心から思う。(2018年3月24日更新)
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-03-24 20:28:03)(良:1票)
612.  骨までしゃぶる 《ネタバレ》 
借金のカタに廓に売られたヒロイン お絹(桜町弘子)の目を通してその地獄のような廓の実態を描いた加藤泰監督の映画。最初は天国のように見えた廓の仕組みをお絹が理解するに連れ、見ていてこちらまで居心地の悪さを感じるし、様々な事情で廓にやってきた女郎たちの生きざまも胸に迫るものばかりで、逃げようとして連れ戻されて拷問を受けたり、客に理不尽な理由で殺されたりといった女郎たちの末路を見るとやり切れない思いに駆られる。加藤監督はそんな廓の実態をリアリティを重視して描いており、ドラマとしてかなり見ごたえのある映画になっているし、加藤監督の映画の中でも傑作と呼ぶ声があるのもうなずける映画だ。廓の主人夫婦をを演じるのが三島雅夫と菅井きんというのは裏があるのが分かりやすすぎるキャスティングだが、この二人の悪役ぶりが実に良いからこそ、廓の恐ろしさもじゅうぶんすぎるほど伝わってくる。そして何と言っても主演の桜町弘子。東映時代劇でよく見かける脇役女優で、本作が唯一の主演作(本人は自分の名前が最初に単独でクレジットされるのを見て感動したという。)とのことだが、見事に熱演していてそれを感じさせず、本作は加藤監督の代表作であるとともに、桜町弘子にとっても間違いなく代表作だと感じる。ラストの恋人(夏八木勲)と一緒に橋を渡って廓を出ていくお絹のなんとも言えない明るい表情はこれまでの彼女の苦労を思うと、お絹がやっと幸せをつかめたことがわがことのように嬉しく、思わず良かったねえという気持ちになり、このラストには泣かされた。舞台が洲崎にある廓であり、思わず「洲崎パラダイス 赤信号」を思い出したが、あの映画でも舞台の少し先にある遊郭はひょっとしたらこんな状態だったのかもしれないと想像してみるのも楽しい。
[DVD(邦画)] 8点(2018-03-16 22:13:45)(良:1票)
613.  ゲゲゲの鬼太郎(2007) 《ネタバレ》 
「ゲゲゲの鬼太郎」の実写映画版。続編は9年前に見ているが、1作目である本作をまだ見ていなかったことに気づき、見る必要もなかったかもしれないが、今更ながらに鑑賞。やはり本作も2作目を見たときも感じたのだが、普通のファミリー向け映画という感じで、そこを逸脱したようなものは感じられないし、輪入道役で顔だけ登場する西田敏行など、出演者たちのコスプレショー感は2作目よりもこちらのほうが増しているが、ストーリー性を求めて見る映画でもないのでそれはそれでいいし、大泉洋のねずみ男や田中麗奈の猫娘など相変わらずハマっているのは見ていて安心できる。(本来はこちらが1作目で以前見たのが2作目なのでこの言い方は少々変かもしれないが。)本作の鬼太郎は両目がある設定で、その説明がされる2作目を先に見てしまっているために自然と受け入れられたが、今になって見るとクレーム対策かと思えてしまうところもある。監督は「釣りバカ日誌」シリーズを手がけていた本木克英監督で、妖怪役で谷啓やさっきも書いた西田敏行が出演してるが、冒頭に登場する建設会社の社長役で鶴田忍(「釣りバカ日誌」では鈴木建設次期社長になる常務役。)が出演しているのがなんか笑える。そういえばこの実写版シリーズは東映じゃなくてなぜか松竹の映画じゃないか。
[DVD(邦画)] 5点(2018-03-10 21:22:24)
614.  網走番外地 吹雪の斗争 《ネタバレ》 
シリーズ第10作で1作目から2年間にわたってずっとこのシリーズの監督と脚本を手がけていた石井輝男監督(この手のシリーズものをローテーションを組まずに2年で10本も一人の監督でというのはけっこうすごい。)による最後のシリーズ作品で、健さん演じる主人公の名前が「橘真一」である最後の作品でもある。しかし、今回は石井監督最後の登板(シリーズ自体を終わらせるつもりだったとも聞く。)ということもあって今までと違うことをしようとしたのか、時代設定が変わるなどこれまでと雰囲気の異なる作品になっている。前半は刑務所に入れられた42号こと真一が脱獄するまでを描いているが、同じく前半刑務所が舞台だった「大雪原の対決」と比べると、ムショ仲間が一新されたこともあってか、真面目だがやや地味で、なにか物足りないし、今年になってずっとこのシリーズを連続で見ていたせいか、やはりこれまでレギュラーだった大槻(田中邦衛)や鬼寅(嵐寛寿郎)がまったく登場しないのはさびしい。前半のエピソードが後半にちゃんとつながっていくという構成も「大雪原の対決」のほうがうまかったような気がする。それでも後半は「荒野の対決」あたりから始めた西部劇のようなアクションシーンなどこのシリーズらしい活劇としての楽しさはちゃんとあり、やはりこの部分はそれなりに楽しめる。前半登場する真一のムショ仲間の一人として東映に入ってきたばかりの菅原文太が出ていて、明らかにほかの連中よりも風貌的に目立っていて、オーラも既にある感じだが、あくまでチョイ役なのが惜しい気がする。でも、この翌年にマキノ雅弘監督の「ごろつき」で健さん演じる主人公の友人役としてメインキャストで登場し、やがては健さんと同様に東映を代表する俳優のひとりになっていくんだなと考えるとなにか感慨深いものがある。
[DVD(邦画)] 5点(2018-03-10 16:53:56)
615.  サバイバルファミリー(2017) 《ネタバレ》 
ある日、電気(をはじめとするライフライン)が地震など前触れがなにもなく突然一斉に停止したらというこの設定自体はシミュレーション映画として見た場合、もしこういう風になってしまったらと考えるとゾッとするものがあった。被害を免れているとの情報を信じて徒歩や自転車で大阪を目指す人々が高速道路にあふれているシーンなどは圧巻でよけいにそういうことを考えずにはいられない。そういう状況の中、主人公一家が東京から奥さん(深津絵里)の実家がある九州まで自転車で向かう姿を描くロードムービーでもあるわけだが、この家族の道中にもっと緊迫感があっても良かったのではというのが本当のところで、そういう部分が物足りないし惜しい。だからといってコメディーの部分に矢口史靖監督らしい突き抜けた部分があるのかと言われればそうでもなく、逆に増水した川を自転車と一緒に渡っていた父親(小日向文世)が自転車の重みに押しつぶされて沈み行方不明にという展開にはなんでそうなるのと唖然とするしかないし、その後、残された三人が線路を歩いていて野犬に襲われるところも何やらシリアスすぎて、ひょっとして矢口監督、作風変わったかと思うほどだったのにはビックリ。でも、良かったところをあげると終盤近くまで劇伴音楽を使わなかったのは良く、このおかげでさっき書いた二つのシーンも必要以上に煽られることなく落ち着いて見ていられたのは良かった。それに農家の件もなんか心地よかった。(「神去なあなあ日常」やって矢口監督がスローライフに目覚めちゃったか?それはさすがにないか。)一方で最後のライフラインの復旧が唐突だったりして消滅の原因は結局最後までよく分からなかった(太陽フレアがどうとか言ってるけど。)のはもやもや感が残る。それに全体的につまらなくはないものの、やはり矢口監督にはこういう話がシリアスな方向にいく映画は似合わないなと思う。笑いどころもいつもに比べて少ないが、頼りない父親に対して文句を言う娘(葵わかな)に対して母親がかける「お父さんはそういう人なのよ。」というセリフには思わず大笑いさせられ、このセリフが本作中でいちばん印象に残った。
[DVD(邦画)] 6点(2018-03-04 12:38:54)
616.  江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 《ネタバレ》 
石井輝男監督の映画は「網走番外地」シリーズを中心に10本以上見ているが、今まで石井監督の手掛けたカルト映画を見る機会がなかった。(初めて石井監督の名前を聞いたのがカルト映画の有名な監督としてだったにも関わらず。)この映画で初めて石井監督のカルト映画を見たことになるのだが、冒頭の精神病院のシーンからもう怪しさ満点ですぐに引き込まれた。主人公(吉田輝雄)が精神病院を抜け出してからの前半のストーリーだけを見ればミステリーによくある展開で、この部分はそこまで過激かなあと思いながら見ていたら、後半の島が舞台になるあたりから雰囲気がやばめになり、その後はこれぞカルト映画という展開で目が離せなくなった。とにかく孤島で奇形人間を作り出した主人公の父親(土方巽)の完全にイってしまっているキャラが強烈でインパクトがあり、彼が作り出した奇形人間という発想自体が衝撃的で、冒頭の精神病院のシーンを含めていろいろ狂っているとしか言えない映画だ。(もちろん誉め言葉。)江戸川乱歩の複数の小説をミックスさせて書いた脚本らしいが、今まで見た乱歩原作の映画がどれもカルト映画的だったのである程度予想していたのだが、これは想像以上で、石井監督のカルト監督としてのすごさはコレ一本見ただけでじゅうぶんすぎるほど理解できるし、実際、すごく面白かった。(しかし、他人に薦めようとはぜんぜん思わないし、今までソフト化してなかったのも納得できる。)それに石井監督の「網走番外地」シリーズをすべて見終わってすぐに見たせいか、監督の両方の側面を期間を置かずに見られたのは良かったと思う。回想シーンでカニを踊り食いするシーンもなかなか衝撃的だった。ラストの花火のシーンは悲しいシーンなのに笑えるとのうわさを聞いていたのだが、見た直後は笑わなかったものの後からなぜか笑いがこみ上げてきた。明智小五郎も登場しているが、演じているのが井上梅次監督の「黒蜥蜴」と同じ大木実なのはちょっと嬉しい。7点にしようか迷ったが、やっぱり初めて見た石井監督のカルト映画ということで敬意を表して8点を。DVD化ありがとう。
[DVD(邦画)] 8点(2018-02-25 22:25:33)(良:2票)
617.  家族はつらいよ2 《ネタバレ》 
山田洋次監督が「東京家族」のメインキャスト全員を起用して手掛けた喜劇映画シリーズの2作目。前回が単純明快な喜劇だったのと比べると無縁社会がテーマの今回はちょっと湿っぽくなってしまったような気がするが、それでも(前作までとはいかないまでも。)けっこう楽しめた。家族から運転免許の返納を薦められた周造(橋爪功)のその後の態度など今回も前回同様に「男はつらいよ」シリーズを思わせる部分もあるのだが、今回はそれ以上に寅さん以前のハナ肇が主役をつとめていたころの山田監督の映画のようなブラックな笑いが多く、まだ山田監督にそういう部分が残っていたのかとちょっと驚いた。とくに周造が家に泊めた友人(小林稔待)が翌朝突然死していたあたりからの展開が死体を使ったギャグなど「運が良けりゃ」や「喜劇 一発勝負」を思わせるブラックな笑いが中心になっていて、個人的には山田監督の寅さん以前のこういうブラックな面も好きなので、この部分も面白かったし、ちょっと嬉しい面もある。だが、反面、やっぱり今更そこまで戻るのかという気がしないでもないし、そのブラックな笑いが独居老人の孤独や、交通事故につながる高齢者ドライバーの問題という「死」を意識したどちらかといえばシリアスなテーマとはどうしても相容れない気がしてしまうのも正直なところではあった。(シリアスなテーマを喜劇で描くこと自体には抵抗はない。)前回で登場しなかった次男(妻夫木聡)の妻(蒼井優)の家族(母親と祖母)が登場しているが、この妻の実家の家庭環境が平田家とまったく逆なのはいかにも対比的な感じがした。(無いと思うけど、このシリーズをずっと続けていくなら、次男夫婦が主人公になるんだろうなあ。)前回はキレイに終わっていたのだが、今回は終わり方が唐突で、とくに前半の主題だった周造の運転免許返納の話が解決されないままだったのがちょっと不満だったりもするのだが、まあいいか。それにしても「男はつらいよ」シリーズで満男役でレギュラーだった純(=吉岡秀隆)に続いて蛍(=中嶋朋子)も山田監督の喜劇映画のシリーズのレギュラーになるとは思ってもみなかったなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-02-05 19:47:43)
618.  網走番外地 望郷篇 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。今回は「網走番外地」というよりは完全に「日本侠客伝」のような任侠映画のような雰囲気で、見ていて何か違和感を感じるものの、これはこれで面白い。橘(高倉健)と混血の少女との交流がいいアクセントになっていて、これが本作を印象に残るものにしていると思うし、健さんのカッコよさも前作より今回のほうが出ている。「七つの子」を口笛で吹きながら登場する敵側ヤクザの用心棒を演じる杉浦直樹のキャラがどこかぶっ飛んでいて、ここらへんがマキノ雅弘監督の任侠映画とは違う石井輝男監督の持ち味なのかもしれない。(石井監督の映画を見るのもこのシリーズ見るのも3本目なのであまり大きなことは言えないかも知れないが。)前作では全く刑務所が出てこなかったが、今回は1作目の回想というかたちで少し登場するのでちょっと安心。アラカンが前作までと違う役柄を演じているのは先週に前作を見たばかりのせいか、ものすごく違和感を感じたが、「緋牡丹博徒」シリーズ同様にこういう親分役の彼は様になっておりカッコイイ。ただ敵側の親分がまたしても安部徹で、そこに3作目にして早くもマンネリを感じ、すぐに4作目を見るかどうするか少々迷うところ。
[DVD(邦画)] 6点(2018-01-27 17:39:19)
619.  網走番外地 南国の対決 《ネタバレ》 
シリーズ第6作。高倉健といえば北国、雪というイメージが強く、このシリーズもタイトルどおり舞台は北海道なイメージだが、今回は「南国の対決」というサブタイトルで「網走番外地」シリーズなのに沖縄が舞台、というところに突っ込まずにはおれないが、当時返還前だった沖縄でロケをしているという点でシリーズでは初めての海外ロケということになるのかな。まあそれはおいておいて。今回は橘真一(高倉健)が組長の不審な死がきっかけで沖縄に真相を探りに行くといういかにもな任侠映画定番の筋立て。先週見た「荒野の対決」が任侠映画という感じがあまりしなかったのと比べると対照的だ。健さんと沖縄というのが見る前はミスマッチな感じがしていたのだが、実際見てみるとそれがむしろ新鮮な感じがした。真一と子供の友情を絡めているのもこのシリーズらしく、今回は船の中で出会った少年の母親探しというエピソードがサイドストーリーとしてあり、少年と母親との再会というのがハイライトになっているが、見つけた母親(三原葉子)のけばい姿を見て逃げてしまい、(気持ちは分かる。)真一が母親を説得するのだが、真一が真顔でさりげなくギャグを言い放つもんだから本当はしんみりしないといけないシーンなのに思わず笑えてしまった。それに谷隼人と大原麗子が敵に捕まって大ピンチというときにどこからともなく現れる鬼寅(嵐寛寿郎)。パターンではあるが、今回鬼寅の出番が前半になかっただけに思わずお前どっから現れたんだと笑いながら突っ込んでしまった。それでも演じるアラカンの殺陣は老いていても素直にかっこいいと思えるところがすごい。健さんももちろんかっこいいのだが、今回はクライマックスの対決シーンがえらくあっさりとしているのが物足りないといえば物足りない。でも、少年の父親である悪の親玉(河津清三郎)が少年に真実を告げぬまま死んでいくシーンはありがちなお涙頂戴シーンではあるが、やはり少しほろっとさせられる。でも、この映画、やはり沖縄が舞台のせいか見ていて途中から「網走番外地」シリーズの一篇であることを忘れそうになる部分もあった。さっき書いたように健さんと沖縄という組み合わせは新鮮だったんだけど。
[DVD(邦画)] 6点(2018-01-27 15:35:31)
620.  大殺陣 《ネタバレ》 
「十三人の刺客」のコンビである工藤栄一監督と脚本の池上金男が再びコンビを組んで製作された東映集団抗争時代劇。面白くないことはないのだが、なにか全体的に分かりにくい感じで前半からごちゃごちゃしててなんかイマイチだった。主演の里見浩太郎は「十三人の刺客」にも出ていて、そのときはなにも思わなかったのだが、このようなリアリズムを意識した時代劇で主役を演じているとなにか違う気がする。それにヒロインと思しき宮様の存在も重要な役どころなのかもしれないが、やたらと男に襲われ(こういうシーンを入れてくるあたりはいかにも東映らしい。)最後はほとんど筋と無関係なように絞殺されるという見ていていてもいなくてもいいような存在に映ってしまい、存在がかなり浮いてしまっているように思う。ただ、「大殺陣」というタイトルどおりクライマックスの乱闘シーンの迫力はじゅうぶん。(でも、「十三人の刺客」には劣るか。)三池崇史監督のリメイク版「十三人の刺客」に出演していた平幹二朗が工藤監督の集団抗争時代劇である本作に出演しているのはなにか興味深かった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-01-23 19:15:53)
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