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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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721.  龍三と七人の子分たち 《ネタバレ》 
「アウトレイジ」シリーズとは一転して引退した元ヤクザの老人たちを描いているが、「アウトレイジ」と違い、かなりソフトな娯楽作という印象で、コメディー映画として肩の力を抜いて最後まで楽しく見られた。殺された仲間の一人であるはばかりのモキチ(中尾彬)の仇討ちに京浜連合に殴り込みをかける後半の展開は東映の任侠映画そのままなのだが、モキチの遺体も殴り込みに参加させるというギャグはいかにもたけしらしいブラックユーモアだし、キャバクラのママ(萬田久子)のマンションから龍三(藤竜也)が女装姿で逃げるシーンもバカバカしくて笑える。主演の藤竜也をはじめ、近藤正臣や小野寺昭といったベテラン俳優たちが楽しそうに演じているのも印象に残る。こちらとしては「座頭市」で飲み屋のオヤジを演じていた樋浦勉が座頭市を思わせる仕込みステッキを持った老人を演じているのが小ネタ的配役で楽しかった。ただ、面白かったのは事実だけど、最初に書いたようにかなりソフトな作風で、「アウトレイジ」や初期の監督作にはあった緊張感や危うさといったものがなく、それがたけしのヤクザ映画として考えた場合は若干の物足りなさを感じなくはないのも確かではある。 (まあ、比べたらいけないかもしれないが。)たけし自身は主役ではなく、脇の刑事役で出演していて、初期の「3-4X10月」を見たときも感じたことだが、やっぱりたけしが自身の監督作で一歩引いたような脇役を演じているのは新鮮に感じられた。
[DVD(邦画)] 6点(2016-03-19 22:42:43)
722.  昭和残侠伝 死んで貰います 《ネタバレ》 
シリーズ第7作で、マキノ雅弘監督が手がけたこのシリーズとしては最後の作品となる。今回の花田秀次郎(高倉健)はヤクザ稼業から足を洗い、身分を隠して実家の料亭で働くという設定なのが今まで見たこのシリーズではちょっと異色な気がするのだが、任侠映画でありながらホームドラマの様相もあり、それがけっこう斬新に感じるし、これが本作の中で利いている。マキノ監督のこのシリーズの監督回はこれですべて見たことになるのだが、前の二本とも雰囲気の違う作品になっている印象を受けるのはこのせいだけではないかも知れない。冒頭の初めて会う秀次郎と幾江(藤純子)の木の下でのやりとりから既にマキノ監督の演出は冴えており、とくにこのシーンで降っている雨はこのあともこの二人の重要な場面で降っており、なにか暗示的で、二人が言葉に出せない何かを代弁しているようで効果的で、本作はこの二人の数年間にわたる恋物語としてもよく出来ている。風間重吉(池部良)も今回は舞台となる料亭で働いている堅気の設定であるが、幾江に手を出したヤクザの客に殴り掛かった秀次郎を止めるために図らずも秀次郎を殴ってしまうシーンはやるせなさがあり、また、重吉がそれを詫びると秀次郎がさらに詫びるというシーンはただカッコイイというだけでなく、「男」とはなにかということを考えさせられる名シーンで本作の中で最も印象に残る。荒木道子演じる盲目の料亭の女将も泣かせるし、彼女の抑えた演技も良かった。作品全体としては堅気に戻ったヤクザがさまざまなしがらみから結局元の道へ戻ってしまう哀しみがシンプルかつ丁寧に描かれていて、任侠映画としてだけでなく、人間ドラマとしてもちゃんと見ごたえがあり、まだこのシリーズ見るの4本目だけど本作がシリーズ最高傑作と言われているのに異論はない。コメディーリリーフの長門裕之も物語がシリアスになりすぎないようなスパイスとして重要な役割をはたしているなど、全体的なバランスもいい。それともう少し言わせてもらえればカメオ出演的な津川雅彦もマキノ監督の微笑ましいお遊びで楽しかった。秀次郎にだし巻き卵をもらう坊ちゃんを演じる子役時代の真田広之(最初、面影がなさすぎて気がつかなかった。)も可愛らしい。
[DVD(邦画)] 9点(2016-03-12 21:23:48)(良:1票)
723.  彼のオートバイ、彼女の島
原田貴和子のデビュー作で、妹である原田知世の映画デビュー作である「時をかける少女」と同じ大林宣彦監督が手がけている。確かに主人公の青年とヒロインが出会う冒頭のシーンから文芸作品のような雰囲気で、ナレーション(石上三登志)の語りもそれっぽく、本当に名作文学が原作の映画のような錯覚を覚える。久しぶりに見た大林監督の映画だったのだが、白黒とカラーを交錯させた映像表現は大林監督らしく実験的で、この監督の独特の世界に久しぶりに浸れた気がした。しかし、つまらなくはないが、物語としては特に惹かれるものがなく終わった感じで可もなく不可もなくというところか。主人公の青年を演じるのがこれがデビュー作の竹内力なのだが、後年のいかつい顔のVシネ俳優というイメージは微塵もなく、さわやかに好演しているのが印象的。思えば初めて見た彼の出演作はこの次の大林監督の作品である「野ゆき山ゆき海べゆき」の小学校教師役で、その時の印象もさわやか系イケメンという感じだったのだが、これがのちにああいう風になるとは本当に信じられない。
[DVD(邦画)] 5点(2016-03-05 23:39:41)
724.  日本侠客伝 関東篇 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。このシリーズ見るのもかなり久しぶりなのだが、いかにもマキノ雅弘監督らしいお祭り的な明るい作風で、とにかく楽しい映画だった。この前まで同じ高倉健主演の「昭和残侠伝」シリーズを見ていたのだが、それとはまた違った面白さがある。高倉健演じる主人公も多弁で陽気なキャラクターで、こういう健さんもいいし、冒頭の長門裕之との喧嘩のやりとりなど微笑ましく、後年の出演作では見ることのできない健さんの魅力というものが感じられる。健さんだけでなく、やはりほかの登場人物たちが賑やかなのもマキノ監督印で、みんなイキイキとしている。前回見たマキノ作品である「昭和残侠伝 唐獅子仁義」が暗めな作風だっただけにこれは嬉しい。ラスト、虐げられていた魚河岸の人々が団結して悪玉と乱闘を繰り広げるという展開は今まで見た東映任侠映画ではなかったもので、新鮮だし、このクライマックスのガヤガヤした雰囲気もマキノ監督らしいところ。主題歌も担当している若き北島三郎演じる寿司屋のアンちゃんがいい味を出している。ラスト、悪の親玉にとどめを刺すのが健さんではなく、鶴田浩二であるのも意外だった。健さんとともに逮捕されていく鶴田浩二が言う言葉が重みがあって印象に残る。しかし、このラストは健さん主演作にも関わらず、鶴田浩二がいいところを全部持って行ってしまったような気もするのがちょっとと思うところもある。でも、まあいいか。
[DVD(邦画)] 8点(2016-02-20 17:50:11)
725.  忠臣蔵(1958) 《ネタバレ》 
大映オールスターによる忠臣蔵映画。これで忠臣蔵映画見るの三本目だけど、大映だけあって出演者はもちろん、セットも豪華で凝っていてこれぞ大映!という感じの映画になっていて数ある忠臣蔵映画の中でも特に名作とされているのもうなずける。次から次に出てくる豪華な俳優陣の中でもやはりのちにNHK大河ドラマ「赤穂浪士」でも同じ役を演じる長谷川一夫の大石と滝沢修の吉良が見事なはまりぶり。それに群像劇のようにエピソードてんこ盛りで描いているが、166分間、決してだれることなく見せきっているのはうまい。そのエピソード群は泣かせるものが多いが、とくに時間を割かれている鶴田浩二演じる岡野と若尾文子演じる大工の娘との恋のエピソードがやっぱり印象に残り、吉良邸の絵図面を手に入れるために最初から自分に近づいたのかと問う若尾文子に対し、鶴田浩二が本気で惚れていると告げるシーンは良いし、ふたりの別れのシーンも良かった。川崎敬三と志村喬のエピソードも泣ける。すべてのエピソードが史実とは限らないのだが、忠臣蔵はこのように浪士ひとりひとりの物語として見ても面白いものなのだとあらためて気づかされたし、これがこの物語の人気の理由のひとつなんだなと思う。男優陣だけではなく、先ほど書いた若尾文子をはじめ、京マチ子や山本富士子など女優陣も魅力的に描かれていてその点でも満足できた。冒頭に登場する浅野役の雷蔵もうまく、むしろこういう出番の少ない役なのは勿体ない気がするが、それもオールスター映画の贅沢なところ。それにもし、雷蔵がもっと長生きしていれば彼の大石役が見られたかもとつい思った。勝新演じる赤垣源蔵の別れのエピソードもいいのだが、やはり勝新はもっと後年のほうが好きだな。なにはともあれ、大映時代劇自体をかなり久しぶりに見た気がするのだが、じゅうぶんに大映らしさを堪能できる娯楽大作で、最後まで楽しめた。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-02-18 00:21:01)(良:1票)
726.  昭和残侠伝 唐獅子仁義 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。この間見た山下耕作監督の「人斬り唐獅子」と比べるといかにも娯楽作といった感じなのがマキノ雅弘監督らしいところなのだが、話自体はけっこう暗く、同じくマキノ監督が担当した「血染の唐獅子」(このシリーズ、はじめて見た作品。)に比べると快活さが足らないような気がしたし、最後の殴り込みシーンで助太刀に入る待田京介もなんか浮いてしまってる印象だった。それでも面白くないということはけっしてなく、楽しめるし、藤純子がヒロインを演じているのも見ていて安心感がある。今回、志村喬が親分役で出演している。東映任侠映画で志村喬のこういう役柄を見るのは意外な気もするが、新鮮だったし、さすがに重厚な存在感のある演技で映画を引き締めていて、あっけなく殺されるシーンも無情感があって印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2016-02-11 16:48:33)
727.  昭和残侠伝 人斬り唐獅子 《ネタバレ》 
山下耕作監督が手掛けた「昭和残侠伝」シリーズの一本。このシリーズ自体を見るのがまだ二本目で、しかもかなり久しぶりだったのだが、見ごたえがあり面白かった。山下監督ならではの美しさや障子の影なども丁寧にしっかりと作り込まれていて、監督の代名詞ともいえる花もここぞというシーンで印象的に使われていて、重厚さを感じさせる作風も山下監督らしい。主演のふたり、高倉健演じる花田秀次郎と池部良演じる風間重吉もカッコよく、義理と人情の葛藤がうまく描かれているが、中でも風間の葛藤が印象深く描かれている。山下監督の「戦後最大の賭場」で主人公の妻を演じていた小山明子がヒロインを演じているのもやっぱり新鮮な感じがする。それに千恵蔵演じる親分も存在感があり、いい味を出していてよく、とくに殺されるシーンの静かな演技が印象に残る。そのほかの脇役たちもそれぞれイキイキとしている。そんな脇役たちの演出がしっかりとしているからこそ主演のふたりがひきたつのだ。クライマックス近くで風間が組を抜け、秀次郎とともに殴り込みをかけるシーンも美しさがあり、たまらないし、「死ぬときは一緒だ。」という秀次郎のセリフに秀次郎の風間に対する深い思いを感じられるし、殴り込みで負傷した風間に「死ぬときは一緒だっていったじゃねえか。」と声をかけ、風間に肩を貸し、二人去っていくシーンも美しさやぐっとくるものがあり、感動的だった。
[DVD(邦画)] 8点(2016-01-23 22:50:59)
728.  拳銃は俺のパスポート 《ネタバレ》 
カルト映画と呼ばれる宍戸錠主演のハードボイルドガンアクション映画。モノクロの画面が渋い独特の雰囲気を醸し出していて、やはりこういう映画にはモノクロの映像がよく似合うとあらためて感じる。冒頭の組長暗殺シーンも緊張感にあふれていて、見せ方も手を抜かずリアルでこれだけでもう見てよかったと思える。暗殺の標的になるこの組長をこういう雰囲気の映画にはあまり似つかわしくないようなアラカンが演じているのが意外に感じるが、同時にそこがツボだった。(一言もセリフがないというのがまた良い。)そのあとは主人公たちの逃避行とそれを追うヤクザたちの攻防が描かれているが、それも見ていてハラハラドキドキさせられる展開で飽きさせない脚本が良い。途中で出会うヒロインを演じる小林千登勢も可愛らしく魅力的だ。冒頭のタイトル部分から西部劇のような音楽が流れているのもカッコいいが、クライマックスの決闘シーンは本当に西部劇を思わせる演出で、なるほどと思った。それにリアルタイムで見る宍戸錠というのは西部劇にかぶれた人という印象があるのだが、それも妙に納得。ラストこの主人公は殺されるのではと思わせておいての大逆転劇も(確かに敵が少し油断しすぎのようにも見えるのだが。)見事。これがデビュー作となる共同脚本の永原秀一はこの後、加山雄三や松田優作主演のハードボイルド映画を手がけることになるのだが、その片鱗はじゅうぶんに感じられる作品になっている。少し甘めなのだが8点を。
[DVD(邦画)] 8点(2016-01-15 23:50:39)(良:1票)
729.  LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 《ネタバレ》 
「峰不二子という女」に続く「ルパン三世」のスピンオフシリーズ第2弾。前作を未見なため、このシリーズは初めて見るが、ファーストシリーズを意識したようなおちゃらけ感0のひたすらハードボイルドに徹した作品で、テレビスペシャルのようなぬるさもなく最初から最後まで楽しめた。ルパンを演じるクリカンの声も低くシリアスで、今までと違う感じが出てて良かったし、渋みのある作風もいかにも大人向けのアニメという感じで、こういうのが本来の「ルパン三世」の魅力なのだろうとあらためて思う。次元を主軸に置いたストーリーで彼と殺し屋・ヤエル奥崎との対決がみどころになるが、このヤエル奥崎のキャラクターも手を抜かず作り込んでいて印象的で、だからこそこの二人の対決が盛り上がる。レギュラーの五右衛門が終盤写真でしか登場しないなど、登場人物たちが絞られていて、これが作品をよりテンポのいいものにしているのも良い。でも、後編のエンドロール後の銭形とマモー(西村晃が既に亡くなっているので、声優は違うはずだが、まったく違和感がなかったのは良かった。)の登場シーンは必要だったのかどうか。
[DVD(邦画)] 7点(2016-01-15 20:39:04)
730.  ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!<TVM> 《ネタバレ》 
「ルパン三世」テレビスペシャルの第1作。後の作品のように特定のレギュラーキャラを主役に据えた作品ではなく、それぞれの見せ場がそこそこあるような作風は1作目ならではか。でも、出来としては既に微妙な感じでどこか散漫な印象。ゲストキャラの小生意気な少年がいい味を出している。この少年と母親の再会がドラマとして描かれているが、その母親が色仕掛けを使う敵組織の幹部というのはいただけなかった。そのため、親子の再会シーンは何か急にお涙ちょうだいな雰囲気になってしまったのは見ている側としてはすごく冷めてしまい、もっとこの母親を違う設定で描いていればもうちょっとは良かった気がする。それと五右衛門は既に女に利用されるだけされるというヘタレキャラで、テレビシリーズの頃から徐々にそうなっていったとは思うけど、本当にこのテレビスペシャルではこんなんばっかな気がする。少年の声を田中真弓が演じているが、彼女はクリカンが初めてテレビスペシャルでルパンの声を担当した作品にも出ていたことを思い出した。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-26 10:37:20)
731.  恋山彦 《ネタバレ》 
マキノ雅弘監督による大川橋蔵主演の時代劇。仇討を描いたマキノ監督らしい娯楽映画でそこそこ面白いし、橋蔵が二役を演じているが、一方がもう一方を助けるために命を捨てるという展開もベタはベタだが、良かった。主人公を匿う絵師の男を演じる伊藤雄之助はやっぱり出てくるだけで印象に残る。マキノ監督の映画ではどちらかと言えば平均的な作品でやや物足りない部分もあったが、久々に見た東映時代劇で最初から最後まで安心して見ることができた。
[DVD(邦画)] 6点(2015-12-26 08:23:21)
732.  ごろつき(1968) 《ネタバレ》 
高倉健とまだ東映に入って間もない頃の菅原文太が共演するマキノ雅弘監督の任侠映画。任侠映画には違いないのだが、前半は任侠映画というよりはキックボクシングを題材にした青春スポーツ映画のようになっていて、いつもの東映任侠映画とは毛色が違うが、それがかなり新鮮だったし、こういうのもいいなと思う。菅原文太はこの頃まだ東映では売出し中の頃なので、チョイ役なんだろうなと見る前は思っていたが、高倉健と一緒に田舎から上京する友人役で、完全にもう一人の主人公という立ち位置で描かれていて、これが本作最大のみどころではないだろうか。中でも、高倉健が流しの歌手として菅原文太のギターで「網走番外地」と「昭和残侠伝」の主題歌を歌うシーンは珍しく、今となっては貴重すぎる映像で、もちろん、マキノ監督の東映任侠映画ファンに対するサービス心のようなものも感じられる。ヒロインとなるボクシングジムのトレーナー(大木実)の妹を演じる吉村実子、決して美人というわけではない、どちらかと言えばバタ臭い感じのする女優だが、ボクシングジムという男臭いところにいる女性としては美人女優よりもこういう感じの女優が演じているほうがしっくりくるかもしれない。脇役たちが光っているのもマキノ監督らしいところだが、とくに主人公ふたりを何かと気に掛ける男を演じた石山健二郎が良い。当時のキックボクシングのスター選手だった沢村忠も出演しているなどしているのは当時のキックボクシングの人気をうかがい知れる。任侠映画なので仕方がないが、個人的にはヤクザを絡めずにボクシングの話だけで終わっていても良かった気はする。でも、久しぶりに見たマキノ監督の映画で、見ていて単純に楽しめたし、今年何本か見た高倉健と菅原文太の共演作の中ではいちばん気に入った映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-12-10 07:47:51)(良:1票)
733.  ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE 《ネタバレ》 
「ルパン三世」と「名探偵コナン」のコラボ第2作となる劇場アニメ。前作のテレビスペシャルを見ていたため、取りあえず本作も見た。前作は「ルパン三世」の世界観をベースにしながらも「名探偵コナン」にルパン一行がゲスト出演したような印象の作品だったのだが、本作は「名探偵コナン」の世界観をベースに作られていて、米花町が舞台となっている。なので前作にも増してコナンにルパンがゲスト出演という感が強くなり、コナン側のレギュラー陣の登場も多く、普通にコナンの劇場版を見ているような感じ。ストーリーもけっこうゴチャゴチャしている上、前作ともつながりを持たせているので、よく分からない部分も多く、まったく期待してなかったのだがやっぱりあまり面白くない。せめて登場人物をもっと整理して(とくにカズが声を担当しているキングが登場するシーンは明らかに無くてもいい。)前作の話は絡めずに完全に独立したストーリーにしていれば印象はまだ違っていたかもしれない。ただ、冒頭でルパン側の登場人物の紹介をコナンがしているが、そのあとに流れるコナンシリーズの概要の解説(コナンの劇場版では冒頭に毎回流れる。)をルパンの視点からしているのはかなり新鮮だった。双方とも前作から何人かレギュラー声優が交代しているが、前作と続けて見たらさすがに違和感がありそう。それにしても次元の声、老けたなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-07 21:28:30)
734.  神戸国際ギャング 《ネタバレ》 
高倉健の東映専属時代最後の主演映画で、菅原文太とも最後の共演作となるアクション映画。なのだけどなんかバタバタしすぎていて落ち着かない印象で、高倉健の演じる役柄も彼のイメージとかけ離れていて違和感を覚える。(どっちかというと文太が演じてしっくりくるような役柄。フリーになるのを前にイメチェンを図ったのか。)それに文太との共演も同年の石井輝男監督「大脱獄」のほうが良かったように思うし、クライマックスの二人の対決もあっけない印象でイマイチ。登場後、すぐに殺されてしまう丹波哲郎や、この後、健さん映画の常連俳優となる大滝秀治が変な日本語を喋る中国人を演じているのもなにかもったいない感じしかしなかった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-04 22:04:51)
735.  戦後最大の賭場 《ネタバレ》 
鶴田浩二と高倉健の共演する山下耕作監督による任侠映画の一本。ついこの間、山下監督の「博奕打ち外伝」を見たばかりで、一週間ほど間を開けて見たのだが、タイトルに「戦後」とあるように製作当時の近現代(昭和37年)が舞台で、この頃の東映任侠映画といえば明治時代あたりが舞台というイメージが強いので少し異質に感じてしまうのだが、面白かった。山下監督の演出はやはり重厚感があり、話としてはよくある任侠映画のパターンのように思うのだが、それをドラマとして飽きさせずに見せていく手腕はやはり見事だ。東映の悪役俳優の一人である山本麟一が主人公に子供のためにこの世界から足を洗えと説得される仲間を演じているのが珍しく、とくに彼が岩佐(安部徹)のところへ殴り込みに行くシーンで堅気の親子とすれ違うシーンは何とも言えない哀愁が漂い、本当は妻や子供と平穏に暮らしたいと思っているであろう彼の悲しみがたまらなく印象に残る。裏切られ、虫けらのように殺されてしまう高倉健の最後の言葉が兄弟分である鶴田浩二を思っての言葉なのがグッとくる。ついに殴り込みをかけることになった鶴田浩二に離縁を切り出された妊娠中の妻(小山明子=大島渚監督の映画以外で見るのはけっこう新鮮。)が言う「女は嫁いだらその家が死に場所なんです。」というセリフがいつまでも耳に残る。岩佐と菊池(金子信雄)を倒してエンドではなく、主人公もまた無残に殺されてしまうという結末はやりきれないものがあり、切なさが残る。そのシーンの鏡を使った演出も良かった。ところで、金子信雄は「博奕打ち外伝」ではコミカルな医者を演じていたが、やはりヤクザ映画ではこういう憎たらしい悪役のほうがハマっている。
[DVD(邦画)] 7点(2015-11-30 00:02:43)
736.  博奕打ち外伝 《ネタバレ》 
山下耕作監督による鶴田浩二主演の任侠映画。今月一周忌を迎えた高倉健や菅原文太も出演するなど豪華なキャストで、ストーリーも対立する二つの組のドラマを対等に描き、明確な悪役の存在はなく、ドラマに重きを置いた内容で、ただの勧善懲悪にはなっていない。「博奕打ち 総長賭博」もそうだったが、誤解やしがらみによる争いが本作でも描かれていて、あの映画には及ばないものの見ごたえのある映画でなかなか面白かった。ストーリーのカギとなるのが若山富三郎率いる組の代貨し(松方弘樹)で、彼の親分を思っての勝手な行動がやがて悲劇を生むという展開なのだが、終盤近くの若山富三郎と松方弘樹のやりとりは、そこまでして親分である若山富三郎を思う松方弘樹の気持ちが伝わってきて本作の中ではとくに印象に残る。鶴田浩二と若山富三郎のどちらにも恩義があり、なんとか争いごとを避けたい高倉健の苦悩はもう少し掘り下げていても良かった気がしてしまうが、まあ仕方ないといえば仕方ないか。(でも、この役を高倉健が演じていることによって安心感はある。)誤解から鶴田浩二の弟たち(菅原文太、伊吹吾郎)が殺されてしまう展開も悲劇的なのだが、最後まで自分の弟を守ろうとする文太には思わず感動させられた。とはいえ健さんと文太、一緒のシーンが一回もなかったのは残念だし、既にこの時期藤純子も引退してるせいか、出演しておらず、浜木綿子(冒頭で鶴田浩二が彼女に向かって「見ない顔だな」というシーンがあるが、東映任侠映画では本当に見ない顔。)が芸者役で出演しているが、この役を藤純子で見たかった気もする。東映任侠映画としては最末期の作品(本作から約半年後に「仁義なき戦い」が公開され実録路線へ。)で、モヤモヤが残り、あまり後味がいいとは言えない本作のラストは物語の終焉だけでなく、10年近く続いた東映任侠映画そのものの終焉を感じさせている気がして、よけいに物悲しく、そして印象的だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-11-21 18:40:50)(良:1票)
737.  バカヤロー! 私、怒ってます 《ネタバレ》 
第1話は相楽晴子演じる主人公が恋人からダイエットを命じられる話だが、相楽晴子がそんなに太ってるふうには見えないからかちょっと話に無理があるように思うし、伊原剛志演じる恋人にも今から見ればこんな男、どこがいいんだと思わなくもないが、渡辺えり子が監督を手がけているというのがきいていて、それを思うと妙におかしい。でも、もし、主演まで渡辺えり子だったら自虐的すぎて見るに絶えない代物だったかもしれないのでやはりこのキャスティングで良かったのだろう。主人公とその家族が家で食卓を囲んでいるシーンがいかにも脚本を担当した森田芳光監督らしかったのが印象的だった。第2話は中島哲也監督の担当で、この話を目当てに本作を見たのだが、やはり「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」のような強烈さはないものの、歌を歌いながら帰宅する主人公にどことなく川尻松子の面影を見ることができるし、早くも中島監督の女優の魅せ方のうまさを感じることもできる。今まで気にも留めなかった主演の安田成美がとても魅力的で印象に残り、朝ドラ主役を途中降板した女優というイメージしかなかったのだが、なんか今までとイメージが少し変わりそう。(四半世紀以上前の映画なのに。)話自体はたいしたことないのだが、本作の中ではこの話がいちばん印象に残った。第3話はタクシー運転手にとっては切実な話で、今見るとこの話がいちばんリアリティーが感じられる話のように思う。タクシーの乗客のひとりとして成田三樹夫が出ていたのはちょっとサプライズだった。最後の話は堤幸彦監督の担当で、英語のできない会社員がシカゴに出向することになり、英語の勉強に悪戦苦闘する姿を描いているが、本作の中ではいちばん中途半端に感じる話であまり面白くない。でも、それも堤監督らしいと思えるのがこの監督のすごいところか。全体としては見る前にはもっと退屈するのではと思っていたが、4話とも時代を感じる部分がさすがに多いものの、そこまで退屈するほどでもなく最後まで見れたのは良かった。でも、当時これがシリーズ化されていたことにいちばん時代を感じる。こういうのがウケル時代だったのねと。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2015-11-19 23:10:22)
738.  花と竜(1962)
舛田利雄監督による裕次郎主演のアクション映画だが、基本的に現代劇という印象がある日活アクション映画では珍しく明治時代が舞台の任侠映画っぽい雰囲気の作品になっている。ストーリー自体はそこそこ面白いと思うし、浅丘ルリ子扮するヒロインの技もインパクトがあって強烈で、裕次郎演じる玉井金五郎のタフさにも驚かされるのだが、いかんせん初めて見る着流し姿の裕次郎には違和感がつきまとい、見慣れた東映の鶴田浩二や高倉健の着流し姿と比べてしまうとその似合わなさが際立って見えてしまい、この役に裕次郎というのはちょっとミスキャストに感じ、もっとほかにいなかったのだろうかと考えてしまった。もちろん裕次郎主演ということがウリな映画ということは分かってはいるけれど。
[DVD(邦画)] 6点(2015-11-14 16:57:36)
739.  本日休診 《ネタバレ》 
冒頭からテンポが早く、コメディタッチなのだが、反面、シリアスな社会派作品でもあり、戦後の貧しさや傷跡といったものが痛切に描かれている。医者である三雲先生は本日休診の札をかけて休もうとしているが、そういう貧しい人たちを放ってはおけず診察に応じる。この三雲先生のキャラクターがなんとも飄々としていて魅力があり、演じる柳永二郎といえば「座頭市物語」などで悪役のイメージがあるだけにこのギャップはすごいが、こういう善人役もうまく演じられるのはやはり名優の証拠で、主演で見るのはもちろん初めてだが、本作は彼の代表作といっていいのではないだろうか。出演者クレジットのトップは柳永二郎ではなく鶴田浩二なのだが、指を詰めるのが痛いからと麻酔を打ちに来る若いヤクザ役というのが後年の東映任侠映画での彼を知っているとものすごく笑える。でも、まだ若すぎて貫ろくは足らない。本作で戦争の傷跡をいちばん感じさせるのが三國連太郎演じる気のふれた男で、コミカルに描写されてはいるが、重く、戦争の愚かさについて考えさせられるし、この男の敬礼の下、雁をみんなで見守るラストシーンも、戦後の復興に向けた力強いメッセージのようなものを感じられ、とても印象に残る。しかし、渋谷実監督の演出はコメディとシリアスのバランスもよく、この監督の映画を見るのは初めてだったが、雰囲気としては川島雄三監督の映画に近いものがあり、もっと渋谷監督の映画は見てみたいと思った。それにしてもこの映画、作られた時代の空気というものがよく出ているのも良い。それはこの時代だから出せるものであって、後の時代では決して出せるものではない。そういうのを見るのも昔の日本映画を見る醍醐味である。
[DVD(邦画)] 7点(2015-11-09 22:15:07)
740.  いつでも夢を(1963)
橋幸夫の代名詞的な代表曲をモチーフにした日活の青春映画で、いかにもそれらしいカラッとした明るさがあり、安心して見ていられるプログラムピクチャーの一本。橋幸夫本人もメインで出演していて「いつでも夢を」のディエットの相手である吉永小百合(どうでもいいが、「あまちゃん」を見た後だとこの曲のディエットの相手と言えば宮本信子を思い浮かべてしまう。)と浜田光夫の日活青春映画黄金コンビに橋幸夫が加わっているというキャスティングだが、違和感は特になく、スッと入っている感じなのが良かったし、演じるトラックの運転手のチャキチャキした江戸っ子なキャラクターもよくハマっていて、強引にねじ込んだ感は0。タイトルの出演者クレジットで橋幸夫が吉永小百合と浜田光夫を差し置いてトップ表記なのも彼が当時いかに人気があったかを物語っている。(出番の少ない松原智恵子が吉永小百合よりも先に名前が出るのは確かに謎だ。)映画の印象としてはやはり平凡だが、リアル三丁目の夕日といった雰囲気があり、あの映画を見るよりは実際に当時作られた映画を見ているほうが有意義な気もする。(あのシリーズ、決して嫌いというわけじゃないけど。)橋幸夫演じるトラックの運転手の母親が田舎から出てくるくだりは、母親を演じているのが飯田蝶子のためか、小津安二郎監督の戦前の名作「一人息子」を思い出した。ひょっとしたら意識してやっているのかもしれない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-11-08 14:29:30)
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