101. 女たちは二度遊ぶ
《ネタバレ》 男からは遊んでいたつもりが、結局女に遊ばれていました、というような話がいくつか集めてある。しかし、チャラい。チャラいだけで、なんとも底が浅い。格別ひねりもなければ、アフォリズムもない。ここに出てくる小説家と同じく、この作品自体、描きたいテーマ、伝えたいテーマに欠乏してしまっているのだ。が、ひょっとすると、こんな人生欠乏症とでもいうようなありさまが、この現代日本のリアルな状況なのかもしれない。 [地上波(邦画)] 4点(2011-02-21 03:33:43) |
102. 竹取物語(1987)
《ネタバレ》 なぜ市川崑が、よりにもよって「かぐや姫」なのか?といぶかしく思いながら、借りてきて観たところ、UFOが登場するシーンで合点した。これは、竹取物語版「未知との遭遇」という企画(たぶん映画会社の)だったのだ。お金をかけて、役者もそろえて撮ってはいるけど、ただそれだけ。特撮がいまいちチャチなのが致命的。はたして市川崑も真面目に取り組んだのか、疑問。おそらく、これをやるかわりに、ほかの本当にやりたい企画を会社に認めさせたのだろう、と想像する。役者たちは市川崑に敬意をはらってか、しっかり演技しているのに、残念。 [DVD(邦画)] 4点(2011-02-06 16:43:29) |
103. GOEMON
わざとらしいが、スタイリッシュな映像美、95点。ドラマ性、薄っぺらくて、20点。メッセージ性、これがおそまつで、5点。足して割って、40点。 [DVD(邦画)] 4点(2010-10-29 01:35:35) |
104. 陰日向に咲く
原作は読んでいないのでわからないけれども、涙ちょうだいの人情ものと、過去と現在、現実と妄想がないまぜになって展開するテント芝居風物語とを、足して二で割ったような、どちらも中途半端な出来あがりで、役者陣はしっかりしているというのに、感動も無理、残念でした。 [DVD(邦画)] 4点(2008-11-09 04:21:22) |
105. ゲゲゲの鬼太郎(2007)
《ネタバレ》 『釣りバカ日誌』シリーズをいくつか手がけてきた監督だけあって、西田敏行が他の出演者を食っちまった。それは許そう。CG効果の迫力を差し引いても、たしかに大泉洋のねずみ男や、田中麗奈の猫娘は絶品だった。間寛平の子泣き爺や、室井滋の砂かけ婆もはまっていた。そこは良かった。けれども、致命的だったのは、人間の家族や人間の生命に対する愛情は描かれていても、妖怪に対する愛が欠落していることだ。作り手に、自然にたいする畏怖につながるような、妖怪にたいする畏怖がまったく欠けているものだから、おどろおどろしい恐怖感など、まるでどこかへいってしまった。なので、あえて厳しい言い方をすれば、これじゃあせいぜい役者陣の仮装ものまね大会であって、鬼太郎ワールドとはとうていいいがたい。くわえて、人間の女子高校生とデートするイケメンの鬼太郎なんて、興ざめだ。作り直しを要求する。 [DVD(邦画)] 4点(2008-06-01 10:45:07)(良:1票) |
106. 松ヶ根乱射事件
昔、小津安二郎は今村昌平にむかって、「おまえはなぜウジムシばかり描く」と言ったそうだ。これもまさにウジムシの映画。今村ファンなら別だろうが、残念ながらあたしゃこんな映画、嫌いじゃわい。この監督、等身大の人間を描くのに秀でた監督とお見受けする。『天然コケッコー』のションベン臭さにも閉口したが、これにも負けず劣らず閉口した。私は嫌いだが、しかしその才能と実力は認めます。とはいえ、反対票で4点にしときます。 [DVD(邦画)] 4点(2008-05-23 05:57:35)(良:1票) |
107. 手紙(2006)
うまくできていると思うが、「うまく」というのは観客を泣かすのにうまいという意味です。日本映画はまたこんな泣かしの映画を作って、観客動員をはかった。見え透いてはいませんか。話としては、登場人物があまりに類型的すぎる。犯罪の動機が、いくら弟思いでも強盗までして大学にいかせようというのは一見美談だが、冷静に考えればひどいエゴだし、もみあううちに手がすべって人を刺したという描き方は、まるで人権派弁護士による筋書きのようだ。そんなわけで、高い評価はあげられません。 [DVD(邦画)] 4点(2007-07-08 04:28:30)(良:1票) |
108. ゆれる
《ネタバレ》 演技・演出以前の問題として、なんでこんな辛気くさい話を撮って人に見せるのか。なんだこの主人公は。一貫してないから「ゆれる」なのか。結局、この男はいざとなって勝手な感情から方向転換して偽証までした。今度は懐かしい子供時代の8ミリを見て、また方向転換だ。いいかげんにしてくれ、こんなつまらない話につきあわせるのは。 [DVD(邦画)] 4点(2007-06-25 06:09:16) |
109. 雪に願うこと
おそらく日本人の琴線に触れる要素がそろっているのだろう、評論家にも受けがいい。華麗な都会でなく陽のあたらない北の雪国、どこにもありそうな変哲もない一般庶民の家庭、家族のあいだの葛藤と愛情、せりふも木訥な北日本の方言。これが名古屋弁だったり関西弁や九州弁ではこうはゆかないだろう。また、話や演出やカメラワークに少しでもけれん味があっては客がひく。実に計算された映画だ。わたしは素直でないのか、計算がすけて見えるようで楽しめず、退屈するしかなかった。 [DVD(邦画)] 4点(2007-02-19 00:53:44) |
110. 珈琲時光
小津安二郎の映画は、淡々としているようで、その実ドラマ展開がぱっぱと速く、間の省略も大きい。その点、この作品は小津とは対極的だ。共通点は親子関係だけのことで、小津作品を観る眼で接したので、失望が大きかった。そうでない眼で観たなら、東京のせせこましい都市空間がよく出ていて、それはそれでよかったのかもしれない。しかし、話が退屈すぎた。 [DVD(字幕)] 4点(2006-01-01 02:34:25) |
111. 嗤う伊右衛門
蜷川幸雄さんというのは、演劇では超一流かもしれないが、映画の作り手としては二流としか思えない。演劇と映画ではちがうのだ。 4点(2004-12-07 03:08:44) |
112. 東京家族
小津安二郎がオリジナルを松竹で撮っていた頃、松竹の若い助監督たちは、小津の作品を「老残な」と評して、高くは評価していなかったという。そのうちの一人だった山田洋次も、例外じゃなかったはずだ。逆に言うと、山田洋次にしても小津ほどの老残さを持ち合わせていないのだ、ということがこのリメイクからはっきりわかる。しょせん映画作家としての資質が違うのだ。だから、部分的にセリフや情景が同じでも、まったく別の映画になっている。時代性の差以上にそうなのだ。なぜ山田洋次は、無謀にもあの古典的傑作をリメイクしようと思ったのか? うまくゆくはずもないことぐらい、はじめからわかっていなかったのだろうか? ところで、オリジナルの『東京物語』は、一見時間がゆったりながれているような印象を受けるけれども、実はとてもスピーディーに筋が展開してゆく、テンポのいい映画です。もう一度御覧になっていただきたい。オリジナルに比べると、本作はなんともテンポが悪い。 [地上波(邦画)] 3点(2014-05-16 04:25:11) |
113. 真夏の方程式
《ネタバレ》 もうちょっとシャープな謎解きものを期待したのに、まるで月並みな人情ドラマ。テレビのなんとかサスペントとかと大差ない程度。血のつながり? 親子関係? あーあ、古くさい。せっかく旬の俳優を並べたのに、これではなあ。もったいない。制作サイドの才のなさが深刻。だいたいが、当初から問題のありかがわかってしまうような筋書きなんて、脚本家の無能の極み。 [DVD(邦画)] 3点(2014-04-25 23:53:28)(良:1票) |
114. さよならドビュッシー
ううむ。このたらーっとして、しらーっとした演出はどうかならんのか。それに話が面白くない。退屈きわまる一本だった。 [DVD(邦画)] 3点(2013-11-20 04:41:05) |
115. ゴールデンスランバー(2009)
最初から最後まで、あまりに作り物くさく、現実味のないファンタジーに終始した。あとに何も残らなかった。 [DVD(邦画)] 3点(2011-10-23 00:32:04) |
116. キャタピラー
悪趣味、最初から最後まで、とことん悪趣味。この左翼の映画作家は、前作『連合赤軍』もそうだったけれども、結局近現代史にかこつけて、要は悪趣味の美学をつきつめたいだけじゃないのだろうか。そう疑問に感じるほど、悪趣味に徹したキワモノ。私はうんざりだ。 [DVD(邦画)] 3点(2011-07-26 03:38:25) |
117. 252 生存者あり
しょせん観客大衆には、この程度の安直な作りでいいのだ、といわんばかりの二級、三級の映画。観る者を侮辱された気分にしてくれる。安っぽい人間ドラマなどいっさい省いて、せめて最初から最後までディザスター・シーンだけで通してくれれば、まだなんぼかましだったろうに......。 [DVD(邦画)] 3点(2009-12-21 06:38:08) |
118. クライマーズ・ハイ(2008)
『金融腐蝕列島・呪縛』 (1999年)、『突入せよ!あさま山荘事件』 (2002年)、『魍魎の匣 』(2007年)、とこの監督の作品を観たけれども、あいかわらずの上すべりな描き方には、いいかげんうんざりしてしまう。結局、この監督は致命的にセンスが悪いのだ、という結論に達した。この監督には、もう一度人間の根本から出直してみることをおすすめしたい。 [DVD(邦画)] 3点(2009-03-24 09:45:21) |
119. ザ・マジックアワー
三谷作品は結局、「ラヂオの時間」が最高傑作だったようだ、少なくともこれまでところは。しかし、だんだん悪くなってきた。ますますお金がかかっていそうなのに、まるで反比例して......。この人の作は、映画というより、本質的にお芝居だ。著名な芝居演出家の撮る映画は、なぜかよくないことが多い。 それにくわえて、おそらくこの作家には、プロットの面白さだけがあって、なにかこれを世に問いたいというような、主張性がないのだ。この映画のつまらなさも、要はそこにあるのだ。 [DVD(邦画)] 3点(2009-03-15 03:20:01)(良:1票) |
120. アヒルと鴨のコインロッカー
退屈で、話に無理があるうえに、登場人物と全体の雰囲気が軟弱なところが、たまらなく嫌だ。好きになれない。 [DVD(邦画)] 3点(2009-02-22 02:19:37)(良:1票) |