141. 博奕打ち 総長賭博
松田と音吉のあまりの浅はかさにイライラのし通し。こんな輩を相手に一人もがき苦しみながらも筋を貫き通した中井の生き様が「私怨」と呼ばれる事に、当然だと思いつつもうら悲しさも覚えた。鶴田浩二絶品の一作。惜しむらくは金子信雄のヒゲ。なんか、こう、子供相手の駄菓子屋さんのオッチャンに見えて高ぶった感情がその都度盛り下がってしまった。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-07 21:04:58) |
142. 善魔
三國連太郎は瑞々しさに目を奪われるものの、早口過ぎて聞き辛いのは閉口しました。知性と義侠心を持ってはいるものの、身勝手で酷薄で意気地なしの本性が透けて見える役どころが十八番の森雅之はオーラ全開。淡島千景と繰り広げる澄まし返った会話は名人芸の域。堪能させてもらいました。引っ切り無しのBGMのくどさが鬱陶しくて堪りませんでした。 [DVD(邦画)] 7点(2014-08-25 21:17:28) |
143. 鴛鴦歌合戦
予備知識ゼロ。いきなり歌い出したのに面喰い、そういう映画である事に「変なの借りちゃった」と後悔。そのいじらしさに胸がキクンと痛んだお春ちゃんの存在がなければ鑑賞リタイアでした。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-24 17:29:53) |
144. 王将(1948)
《ネタバレ》 妻との別れの場面が関根に祝いを述べた場である事を考えると感慨がかき消されてしまいました。あっさり名人位を譲った心境も頷けないもので消化不良な作品でした。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-23 20:54:08) |
145. 狐の呉れた赤ん坊(1945)
寅八の一挙手一投足、一言一句に胸を打たれました。質屋の親爺さんの言葉も胸に染み入るものでした。終戦直後の制約の中でこれほどの作品が作りあげられた事にも深く感動しました。 [DVD(邦画)] 10点(2014-07-04 22:16:56) |
146. 羅生門(1950)
初見、原作未読。真相はまさ藪の中。文明や科学が進化しても人の心は1000年前と大差ない事を思わされます。美しい画の中で躍動する役者達に豪華な額縁の名画を鑑賞しているようでした。赤ん坊の件はとってつけた感がありますが、今も昔も変わらぬ、この世は捨てたものではない事を見せてくれます。 [映画館(邦画)] 7点(2014-06-08 05:37:37) |
147. 人情紙風船
《ネタバレ》 無言で懐剣を抜くおたき。その背中は泣いているかのようで鬼気迫る姿に息を呑みました。ひたすら媚びへつらう又十郎の姿と併せて考えさせられる武家のプライド。小悪党新三や長屋の面々のしなやかな力強さとの対比が鮮やか。巧みな展開と見せない演出の見事さと、おたきの意地の象徴が流れ去るラストショットに感服です。 [DVD(邦画)] 9点(2014-06-01 01:48:10)(良:1票) |
148. 舟を編む
《ネタバレ》 日本語の拠り所となる辞書を作り上げる15年の歳月。辞書が完成する過程と編集部の面々が過ごした日々が折り目正しく綴られている所に好感が持てました。一人毛色の違う西岡は物語に奥行きを与えたキャラクターで、広告部へと異動する際の「広告部でも大渡海の力になる」という力強い言葉に、組織人としてのあるべき姿を見せつけられました。題名から時代劇だと思っていたのですが嬉しい見込み違いでした。 [DVD(邦画)] 8点(2014-01-04 02:32:38) |
149. クライマーズ・ハイ(2008)
《ネタバレ》 「題名は聞いた事がある邦画」以外の知識無く鑑賞。あの大惨事に直面した記者達の物語なのだ。全権の息子も犠牲になったのだ。これは気合を入れて観なければと座り直しただけに始終味わい続けた「ポカーン」感が虚しい。犠牲者に対する敬虔な思いが殆ど無い職場の演出過多の罵り合いが不快千万。一点、実話かもしれないと思った、亡くなられた記者の精神が崩壊する迫真の姿に加点。 [DVD(邦画)] 3点(2013-12-21 09:12:43)(良:1票) |
150. 復讐するは我にあり
描かれる交尾の如き交わり並びに人間模様はこの監督特有。服着てサウナに入っているが如き不快さが堪らない。復讐を果したい実父に指一本触れられ無い代わりに赤の他人を騙して殺害する息子。最期の対峙の息苦しさが堪らない。復讐は人ではなく神様がする事と言いますが、実話だけにご遺族の胸中を察するとやるせなさが堪らない。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-14 00:46:28)(良:1票) |
151. 許されざる者(2013)
人斬りは戦争行為においてのみでないならず者十兵衛とサディストな署長の対決。つまらない話で、女性達の描かれ方が半端であるのが奥行きが感じられない作品の要因に思えます。ただ、ならず者なりの気魄を示す渡辺譲は瞠目すべき存在でした。未見の原作に興味が湧いています。 [映画館(邦画)] 6点(2013-10-11 20:04:08) |
152. 日本のいちばん長い日(1967)
理性無き愛国心の恐ろしさを黒沢年男と天本英世の鬼気迫る言動から痛感させられます。戦争を終結させた天皇陛下のお姿に、開戦阻止が叶わなかった残念さをあらためて感じました。陛下は民を思って涙なされた。すすり泣く幹部達は何を思って涙したのか。綺羅星の如き俳優陣。一人一人が歴史の証人として後世に伝えたいという気迫でもって見せた史実に2時間半もあっという間でした。 [DVD(邦画)] 9点(2013-10-07 23:33:55) |
153. 図書館戦争 革命のつばさ
予備知識ゼロ。観終わって面白さにびっくりしています。人が物を言う事をお上が権力でもって制限する国民にとって最も恐ろしく忌まわしき事をデフォルメはあるものの的確に捉えています。作家をめぐる攻防は展開に思わず身を乗り出す手に汗握るものでした。若い二人のロマンスの爽やかさが作品に彩りを添えています。 [DVD(邦画)] 8点(2013-10-01 00:08:26) |
154. ゴールデンスランバー(2009)
《ネタバレ》 降りかかる理不尽な災厄に立ち向かう主人公の人となりが丁寧に描かれていました。しかし、彼を助け支える人々や展開に無理筋が多く見受けられ失笑を禁じ得ず、設定のみで中身が空っぽの「巨悪」に萎えました。一矢も報いることなく生き延びましたが「だから何?」としか言いようがありません。香川、堺コンビは本作のヘビに睨まれたカエルの関係が王道ですね。 [DVD(邦画)] 3点(2013-09-27 01:17:29) |
155. 鍵泥棒のメソッド
良く練られた脚本を体現する香川、広末、堺のアンサンブルが見事。記憶を失くしても気質は失くしていないコンドウがアパートの一室をごみ溜めから整理整頓された居住空間として、購入した本をしっかり読み込む。ノートに記された文字に「自力で着実に生きる」強烈な意志を感じました。健康で努力家な彼と仕事熱心の彼女の顛末に心地良さを味わえました。二人の引き立て役であった桜井演じる堺雅人特有の腑抜け感もいい塩梅でした。 [DVD(邦画)] 8点(2013-09-14 13:38:24)(良:2票) |
156. ビルマの竪琴(1956)
水島上等兵の決意の基となる屍の山に対して牧歌的に過ぎる収容所。悲惨さが胸に迫って来ませんでした。若き三國連太郎の瑞々しさに惚れ惚れしました。 [DVD(邦画)] 7点(2013-09-06 01:08:48)(良:1票) |
157. 相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン
上質なテレビシリーズのファンである私にとってガックリな出来栄えです。突っ込みどころ満載の展開に失笑し、エキセントリックに過ぎる右京さんが痛々しく見るに堪えない姿でした。ただ舞台を大きくするだけの映画化は浅はかです。 [地上波(邦画)] 2点(2013-04-01 01:29:58) |
158. 昭和残侠伝 唐獅子牡丹
しっかりしたストーリーを、強欲ながら石工魂が垣間見られる親爺と知性の「ち」の字もないアホ息子ども(特に山本麟一がいい仕事をしています)の悪方陣が盛り上げています。善人役で特筆するのは三田良子。漂う気品に見惚れました。残念だったのは池部良の役どころで、何時もの厭世観が感じられなかった点です。 [DVD(邦画)] 7点(2013-01-28 02:23:56) |
159. 修羅の群れ(1984)
老母や未亡人の厳しい視線はあったものの、単純な稲原の成長記に惹かれるものはありません。ただただ豪華絢爛のキャストが嬉しい一品。お目当て鶴田浩二の出番の多さに満足。もう一人のお目当て天地茂は流れ星のようで残念。名優達に引き立ててもらっていたのが北島三郎。モロッコの辰は異彩を放っていました。 [DVD(邦画)] 5点(2013-01-27 10:54:01) |
160. 恋と花火と観覧車
抑制ある物語の中に笑いのスパイスが効いたこじんまりとしたラブコメ。史華の薄っぺらいキャラに白けるのを補って余りある澄江の存在感が何とも味わい深い。晴れ姿にこちらの心も晴れ晴れ。心から祝福を。 [DVD(邦画)] 5点(2012-12-30 01:25:00) |