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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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161.  モヒカン故郷に帰る 《ネタバレ》 
始めの10分足らずで主要な登場人物たちのキャラが大体わかるという、実にムダのない人物描写はさすが沖田監督。 今回、彼らの趣味は、音楽やスポーツ観戦といった曖昧なものではなく、モヒカン (デスメタル) 、矢沢永吉、広島カープ、なんです。そこ、重要。数多くの中でも、「それじゃなければだめだ」ということ。だから本作ではその趣味について、個人の強い個性、主義 (主張) 、こだわり、または地域のコミュニティや郷土愛を視覚的に具現化したもの、と捉えるべきでしょう。同じ人間同士でも、それは全然違います。もちろん生きていく上で、ぶつかり合うこともあるでしょう。他人同士ならともかく、家族や結婚を通して人や地域のつながりが広がればなおさらで、嫌でも向かい合うことを余儀なくされます。とは言え、生きるということは共存していくことなのだから、他人の "それ" を否定することではなくて、理解し、認め、時には歩み寄ることが大切でしょう。モヒカンと矢沢永吉、デスメタルと吹奏楽、東京と広島 (地方)。ほら、不思議と仲良しこよしに見えてきませんか (笑) みんな、根っこは同じなんです。 ついでに、宅配ピザ屋さんのエピソードは、さも個性を主張するけど、実はどれも大差なく変わらないという「没個性」の象徴ですね、悪しからず。
[DVD(邦画)] 7点(2020-11-12 17:53:33)
162.  オーバー・フェンス 《ネタバレ》 
チャラい感じの恋愛映画と思って敬遠していたが、とてもよい映画だった。 とにかく、函館という街がいい。坂道、人けのない漁港、海の向こう側に見える寂れた工場群、、実に映画映えする風景だ。 登場人物たちもいい。特に近年のオダギリジョーは、本当にいい演技をみせてくれる。軽口の叩き方とか、すごく好きだ。蒼井優はちょっとオーバーだったけど、静かな映画のいいアクセントになっていたように思う。あの鳥の求愛ダンス、うちに秘めた弱さと寂しさを隠すための "虚勢" のようにも見えたが? どうでもいいような若者たちとの合コンの場面に、いい台詞があった。 「20代のうちにたくさん笑ってろ。40代にもなればもう笑えなくなるから」 白岩のこの台詞、心にガツーンときた。もちろん、俺も今まさに彼と同じ年代ということもある。確かに、最近は笑うことも少なくなった。でも、ただそれだけじゃない。この映画のメッセージは、フェンスの中とか外とか、そんなことは関係ない、ということがわかったからだ。 これは職業訓練校という極めて閉鎖的な舞台であり、正しい人生を一歩だけ外れた者たちの物語、と思って少しだけ上から目線で観ていた。 ・・全然、違った。これはぼんやりと目的もなく生きている人全てに対するお説教であり、その背中を押してくれる応援歌だ。 大きな成功ではなくて、自分にとっての起死回生のでっかいホームラン、何とか打ってみたい、、そんな気にさせてくれる映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2020-11-11 10:11:04)(良:1票)
163.  前田建設ファンタジー営業部
実話ベースであり、アニメをモチーフにした映画ですが、この映画自体が実写映画のノリじゃなくて、出演者たちの過剰すぎる演技とか、BGMや演出面の全て、完全にアニメの見せ方を意識してる (笑) でも、それはアクが強すぎて、せっかくよいストーリーなのに、好き嫌いをハッキリさせる決定打にもなっているように思えます。私はハッキリと、この映画のうるさいノリが苦手でした。 エピソード自体はすごく好き。でも、この映画は苦手。なんか、評価難しいな。
[DVD(邦画)] 4点(2020-11-09 11:11:10)
164.  ストロベリーショートケイクス 《ネタバレ》 
本作の面白いのは、彼女たち4人の「部屋」にスポットを当てているところ。その「部屋」を通して、彼女たちという人物を説明しているように思う。実際、部屋というのはその人となりがよく表れるもの。里子は想像した通りの可愛らしい部屋だし、秋代はエキセントリックに棺桶だったり、塔子は部屋一面の「絵」だったり、どんな女性が住んでいるのか、色々と想像に難くありません。対象的に、趣味や生き方にこだわりを持たないちひろは自分の部屋すらまともに描かれない。どうやら表向きは塔子と同居のようだが、部屋を見るかぎりではちひろの自己主張は希薄であり、完全に塔子の住まいにパラサイトしているような感じ。 でも、一つだけ不思議な感覚があった。里子、秋代、塔子の我が道を往く生き方を眺めているうちに、段々と無個性なちひろが三人に負けじと輝きを放ってきた。個性のないこと、実はそれも強烈な個性なのかもしれない。 ありがちな雰囲気映画ではなくて、彼女たちの心境とその変化をしっかりと伝えていると思うし、間違いではない裸も含めて、とても生々しくもありよくできたリアルな恋愛群像劇と思う。そして、みんな恋に人生に不器用だが、本作ではキラキラと輝いていて、この映画はそんな彼女たち (の全て) をやさしく肯定しているようだ。 個人的には、今泉監督 (mellowのラーメン屋笑) や岩井俊二監督の「リップヴァンウィンクル」に少なからず影響を与えているように感じた。
[DVD(邦画)] 7点(2020-10-27 22:06:41)(良:1票)
165.  モリのいる場所 《ネタバレ》 
まるで「モリの家」を舞台装置に見立てた、山﨑努さんと樹木希林さんのお二人による夫婦コントですよね。今回、沖田監督のイメージとして、ロケーションが変わらないことが大前提で、役者たちの見た目も演技も大げさでいい、場合によっては宇宙人が登場したっていい、、言わば、コント (お芝居) に限りなく近い映画があったと思うんです。だから、熊谷守一氏という仙人のように超個性的な人物、そして "自宅" を出ないという人生、これはうってつけの素材だったのでは? もちろん、ドリフネタは表向きは笑いですが、これは監督の密かな「メッセージ」じゃないかな。 監督は過去にも、南極観測基地を舞台装置にしたり、映画の中で映画を撮影したり、色々と実験的な試みをされていますが、まだまだその路線を追及されているように感じました。 演者が客を楽しませる、といった意味では芝居もコントも映画も源流は同じだし、映画としてはその境界線にどこまで迫れるのか、監督の挑戦からますます目が離せません。
[DVD(邦画)] 7点(2020-10-11 11:43:01)
166.  ここは退屈迎えに来て 《ネタバレ》 
「私」が車窓から覗く田舎の風景。 チェーンの飲食店や電器屋が幹線道路に立ち並ぶ、よくある地方の街の風景だ。それは自虐的に言うほど、ド田舎ではない。かと言って、都会ではない。でも「中途半端」だから、なおさらもどかしいのかもしれない。 もどかしいと言えば、いったい友達なのか、恋人なのか、全くハッキリしないティーンエイジャーたちの距離感 (関係性) だ。それをまた、誰に肩入れすることなく、客観的に群像劇風に描いていて、最終的に勝者も敗者もないという、何から何まで中途半端で、なんとモヤモヤする映画なんだ。 そして「私」たちの今は、もう子供でもないが、大人にも成りきれないという、どこまでもモヤモヤさせてくれる。 だから本作は、どこからどう見ても大人たちのマキタさんと村上淳さんが秀逸だ。かつて思い描いた人生とは違うだろう、でもそれを受け入れて自虐的に語りながらも、真剣に今を生きている。実にいい大人たちだ。そんな彼らはもうモヤモヤしてないから、私もモヤモヤが少しは解消された。 きっと「青春」なんてさ、大人になるといつの間にか消えてる、モヤモヤモヤモヤモヤモヤのことなんだわ。
[DVD(邦画)] 6点(2020-10-05 23:03:49)
167.  メランコリック 《ネタバレ》 
ストーリーがあり得ないほどぶっ飛んではいますが、ギリギリ破綻していないと言うか、、まさに新人監督ならではの怖いもの知らずな脚本ですよね。私は好きです。 ありふれた日常と非日常の境界線の曖昧さ、そして、近所の「銭湯」でそれが交差するという滑稽さ。果たして、鍋岡に待ち構えるのは天国か地獄か? ハラハラドキドキする展開の先に待つ何という幸せな結末、、と大げさに言っても、せいぜい等身大の幸せなのが多くの共感を呼びます。 ちなみに、鍋岡にやたら急接近してきて銭湯で働くよう勧めたのは彼女でしたね。ふふふ、わかってるぜ、実は彼女こそ (悪の) 黒幕なんだろう? と私は確信していたのですが、それは考えすぎでした。たぶん、私は何かしら映画の観すぎです (笑) でも、たった一人でもそう考える人がいたってことは、彼女の存在そのものがミスリードとして充分機能しているようには思えました、はい。
[DVD(邦画)] 7点(2020-09-25 11:44:37)(良:1票)
168.  北京的西瓜 《ネタバレ》 
八百春や居酒屋における人々のやり取りは、カメラを意識しない自由さで、ドキュメント調のようなつくりになっています。このあたり台本はつくり込まずに、場面場面において出演者の即興に委ねた印象を受けました。そして超常現象も奇をてらった演出もなくて、およそ大林監督らしくない映画でしたが、、 最後、強烈なのがありましたねえ (笑) 特にカメラに向かって語りかける演出は、近年の戦争3部作を彷彿させます。しかし、確かに画期的な演出とは思いましたが、スタンダードな人間ドラマとして流れが秀逸でしたので、そこは中国で撮影したふりをしてでもそのまま行ってほしかった、という思いが強かったです。 ストーリーとしては、国際交流を描いた美談であるし心温まるいい話です。ただ春三さんは家庭や店が崩壊寸前になるまで中国人に肩入れして、家族に対してその謝罪が最後までなかったのは残念です。店が持ち直して事態が好転したため、そこだけがうやむやになってる。この映画だけを見ると、春三さんよりもむしろ彼を支え続けた美智さんの忖度や忍耐こそ讃えられるべきでは? ・・でもそう考えると本作は、大林監督の妻であり映画プロデューサーでもある大林恭子氏に、感謝の意を込めた映画かもしれませんね。
[DVD(邦画)] 6点(2020-09-23 13:05:19)
169.  ゴンドラ 《ネタバレ》 
主演の少年少女はオーディションで選んだと思われるが、ここまで幸うすそうな二人をよく探し出したものだ。特に女の子は、まだ若いのに人生を諦めたような暗い双眸が印象的。物語にしても、この年代ならではの清廉さとか青春のきらめきとはほど遠く、あまり必要性の感じられない性描写もあるし、全体的にとても生々しくて、都会の空気そのものが二人を突き放すように冷たい感じ。母が在宅なのに、マンションの鍵を開けて中に入っていく少女の姿がとても痛々しい。 でも彼の故郷を訪ねる後半から空気は変わります。少女は田舎の風景に癒され、きっと人生の風景自体も変わって見えただろうし、彼にとってもいつもとは違う色をした一夏の風景だったはず。 タイトルのゴンドラ、そしてプールやブランコは地に足がついていない少年少女の心理の象徴。そしてラストは、まるで果てしない試練のような、見渡す限りの大海原。たった一人では足元のおぼつかない人生でも、二人で力を合わせて舟を漕いでいけば、何とか渡っていけるのだろうか・・。
[DVD(邦画)] 6点(2020-09-19 00:02:01)
170.  夜叉 《ネタバレ》 
侘しい漁村の風景に、目の前は雪の舞う日本海の荒波。もう行き着くところまできてしまった、といったところか。 この寂れた寒村の閉塞感が、足を洗ったヤクザたちの行き詰った人生をそのまま投影しているようで、こういう邦画ならではの情感は味わえました。 でも映画のよさはこの空気だけで、主要な登場人物たちのほぼ誰一人にも共感できないという、たいへん残念な映画ではありました。 私はむしろ、やかましいヤクザたちよりは、健さんに見せた、いしだあゆみさんの静かな怒りの形相に底知れぬ恐怖を感じます。健さんの紋々が夜叉ならば、彼女の表情はそう、、例えるならまるで「般若」だ。
[DVD(邦画)] 4点(2020-09-12 20:36:06)
171.  東南角部屋二階の女 《ネタバレ》 
まるで遠い記憶のように黄色くて、くすんだ色合いの映像美。昭和の名残りを感じさせるアパートの風景。どこか懐かしさを感じさせる映画でしたね。 そして、いくつかの謎めいた要素が手伝ってか、昭和時代の怪奇小説のような趣きもありました。古びたアパートの一室にある覗き穴、頑なに土地を手放そうとしない老人、、その老人の風貌もまた雰囲気抜群なんだけど (笑) 冒頭、お見合いにきた着物姿の涼子は美しくて、でも彼女以上にこの着物がどうしても心に残って、不思議とこの時、なぜか「着物」にまた会えるような予感がありました。だから、はるか戦前の記憶を残したままようやく日の目を見た着物の姿に、やっとまた会えたね、という奇妙な感覚を覚えたものだ。 個人的には、「お引越し」や「台風」といったエピソードから、本作に相米慎二監督作品への想いを感じました。
[DVD(邦画)] 7点(2020-09-11 12:02:24)
172.  釣りキチ三平 《ネタバレ》 
原作漫画は小学生の頃に夢中になって読んだなぁ。 本作は言っちゃあなんだが、「釣りキチ三平」という設定と知名度を借りた、夏休みの小学生向けのネイチャーアドベンチャー映画でしたね。そして、釣りを通して描く家族ドラマの映画。原作の再現度はさておき、童心に帰ったつもりで気軽に楽しむのが吉なのかと。だから、鮎釣りがいちいち説明台詞つきだったり、子供心に憧れたあのクールな魚神さんがチャラ男に成り下がっていたり、一平じいちゃんに吉幾三はナイスキャスティングと思って観ていたら実は渡瀬恒彦さんだったり、そのへんは微笑ましく観れましたよ、私は。 それよりも残念だったことは視覚的な部分。矢口高雄氏の原作は、鬱蒼とした木々や川や湖の水面に映る魚影など、それが実にぞくぞくするタッチで描かれていて、そういった美術的な感性にこそ真骨頂があったとも思っていますが、どうしても実写映画になるとそういった個性が皆無で、どこにでもありそうな普通の邦画 (の風景) になっていました。お魚もそう。CG感ありありで、これにはがっかり。 また、原作にはあれほどたくさんの名エピソードがあるのに、どうして夜泣き谷編だったのだろう? と議論はするべきだろう。ハワイのブルーマーリン編はわかる。これは予算の都合でダメだろう。呪い浮子編もわかる。ホラー映画になりそうだ。現実的な例として、ムツゴロウ編でも面白そうだし、壮大な釧路湿原を舞台にしたイトウ編でもよかった気がする。個人的にはいっそのこと、「O池の滝太郎」編でも面白かったと思うが? 監督が滝田洋二郎だけに。
[DVD(邦画)] 6点(2020-09-08 11:40:42)
173.  ウィーアーリトルゾンビーズ 《ネタバレ》 
「何もないーー」耳に残るわ~このフレーズ (笑) 確かに少年たち四人は (心の) 被害者です。でも最大の被害者は実は死んだ親たちなんですが、どうせなら被害者ヅラして調子に乗ってやれ、という発想の転換がまずあります。初代ファミコンを彷彿させる、シュールなアイコンや単音。それは、悲しみや怒りの感情を強調することなく、あえて虚しい心境 (虚無感) を強調してやれ、という考え方を表しています。そもそもセオリー通りならば、冒頭の火葬場の場面は曇りや荒天のはずですが、雲一つない快晴を選択するという念の入れようです。 だから本作のテーマは、人生の苦境における "発想の転換" なのかと。ありがちな "ポジティブシンキング" とはちょっと違う。そこが、凡庸な映画とはあきらかに一線を画すところ。 シンプルイズベストなのか、「ウィーアーリトルゾンビーズ」のテーマ曲はやたら耳に残るし、前述のファミコン演出も斬新で印象には残ります。「不幸」をオープニングとする少年たち四人のRPGに見立てる発想もいいとは思う。でも、面白かったか? と言われるとそこまで楽しめなくて。皮肉にも僕自身が空虚な心境で、どこか冷めた目で彼らを見てしまったんです。そんな私に彼らは気づいたのか、「どうせ他人事と思ってるでしょう?」と訴えるような少年たちのカメラ目線、その眼差しが心に突き刺さりました。
[DVD(邦画)] 6点(2020-09-04 16:27:03)
174.  12人の優しい日本人 《ネタバレ》 
よく練られた脚本に台本読合せを入念に行ったであろうリハーサル、その努力伝わりました、楽しめました高得点。 いや~~ 実に白熱しましたね。 縁もゆかりもない、この場限りだけの他人同士であること。思えば、この一期一会こそが「議論」することのあるべき理想の姿かもしれませんね。だって、親族集会や会社の会議じゃあ、こうはいかんもの。特に会社の会議なんて、明日からの立場を考えたら、上司に面と向かって「あなたの意見はまちがっています」なんて言えんわい! (笑) ・・・で、結局は被告の女性が登場すらしないあたり、真実うんぬんは本作の焦点ではないように思われました。 そして確かに優しい日本人たちでしたが、あのメガネくんだけは例外。むしろ彼こそ、ストーカー殺人とかやりそうなタイプ。次は彼自身が陪審審理の対象になるかもね~。 最後の解散していくオチは素敵ですよね、あの後味の良さでみなさんの好感度と映画の点数上がります、まちがいなく。
[DVD(邦画)] 8点(2020-09-01 17:49:35)
175.  そらのレストラン 《ネタバレ》 
北海道の風景とおいしい料理でらしい感じにはなっていますが、中身は完全なハリボテです。 まず、料理を題材にした映画でありながら、肝心の料理をする場面は皆無で、出来上がった完成品を並べるだけという芸のなさ。チーズにしても、作られた完成品よりは、それを作る工程 (職人の手作業) がみたいのです。 スポンサーの圧力なのか、まるで新品にしか見えないキレイなお洋服を着回していて、彼らの恰好から生活感を感じない。そもそも、新品同然の作業着や靴を着せられていては、たとえ羊を飼ってもイカを釣ってもトマトを栽培しても、第一次産業に従事する人たちには全く見えません。 (本来はもっと泥臭くて、汗臭いものです) ついでに言うと、いい歳した大人たちが仲良すぎて気持ち悪かったです。この友情ごっこよりは、もっと描くべきものがたくさんあるはずでは? 「狼少女」「半分の月がのぼる空」の深川監督、何だかだんだん悪くなっていくなあ (泣)
[DVD(邦画)] 3点(2020-08-17 21:50:24)(良:1票)
176.  ぼくたちの家族 《ネタバレ》 
最悪な事態にならずに、まずはよかった。そしてこの家族に俊平くん (池松壮亮) がいて本当によかった。彼がいなかったら、ちょっとヤバかったかもね。彼の軽いキャラが、重苦しくて沈没しそうな家族を救っておりました。しかし軽いばかりではなかった、執刀医を探し出した超ファインプレー。 それにしても、家族の連携のよさとは対象的に病院同士の風通しの悪さ、これ何とかならんかね。重病患者の家族にこれほど走り回らせたらあかんだろう、本来なら最初の病院から電話一本かければ済む話だろう、でもこの映画って、これを医療現場の問題提起として伝えようとしている気がする。 映画としては、回想で説明することをせず全て現在進行形で進んでいき、起承転結もわかりやすい。時や人や状況を変えて、映し出される自宅の最寄り駅の光景。とりあえず、前に向かって走り出すお父さん。兄弟が階段を上って見下ろすこの街の風景。母の手術後に、三人が病棟で組んだ涙の円陣。久しぶりに、「家族」を題材にしたよい映画を観た気がする。 なお、家族の難病を機に疎遠だった家族が一致団結して前に進む、これは必ずしも映画に限った話しではない。なぜなら、数年前に私の父が脳梗塞で倒れた時、ほとんど疎遠だった私の家族たちですら集結したからだ。兄とは久しぶりにまともに口をきいた。いつもはおとなしい弟がこんなに頼りになるとは! そんなわけで、本作はとても他人事ではなく感情移入しやすい映画でありました。 ・・あれから父は何とか持ち直し、体は不自由にはなったけど、家族みんなで協力して見つけたバリアフリーの家で、今は何だか嬉しそうだ。
[DVD(邦画)] 9点(2020-08-10 12:06:26)
177.  トイレット 《ネタバレ》 
一度体験して、その素晴らしさを知ってしまったら、それがない生活にはもう絶対に戻れないもの。その例えとしての「ウォシュレット」なんでしょう。 もし今を記憶したまま、とつぜん30年以上前の昔にタイムスリップしてしまった、としよう。僕としては、スマフォもネットもYouTubeもないのはたぶん我慢できる。不便にはなるけど、煩わしさを感じることも多いし、こんなものたちはなければないで何とかなるよきっと。しかし、ウォシュレットは別格。もうこの爽快感と便利さを知ってしまったからには、それがない生活 (ウォシュレットの存在しない世界!) にはもう戻れる気がしません。 だからおそらくは、過剰な便利さよりも本当に一つだけ必要なものとは何だろう? といった問いかけのお話しなんです。 「システムの氾濫と腐敗」 見逃しがちですが、おもちゃ屋の彼が詩の朗読会で読んだこの言葉が意味深だったように思えます。荻上監督らしく、まったりとしたとぼけた味わいでしたが、本作は発展する過度な文明社会に対する監督なりの答えかもしれませんね。 もちろん、ウォシュレットにこだわらず、考えるもよし。 なくても大丈夫なもの、そして本当に必要なもの。 あらら、、なぜか今ある人間関係がたくさん浮かんでしまったわ (笑)
[映画館(邦画)] 6点(2020-07-29 10:45:46)(良:1票)
178.  俳優 亀岡拓次 《ネタバレ》 
観てきました、亀岡拓次の酒場放浪記 (笑) 作風としてはシュールな人情劇、といったところでしょうか。適度にシュールでコテコテの人情劇でもない。横浜聡子監督のこの演出は新感覚であり、過去の作品も観てみたくなった。 居酒屋ムロタでの麻生久美子とのやり取りが面白い。しかし、とぼけた会話の中にも、お互いが相手を探り、値踏みしている様子が見て取れる。結局、女は最後まで心の奥底は表情には出さなかったし、男は恋に恋する自分を演じていた。"芝居" 以上に芝居らしい居酒屋の場面からわかるように、実はこの映画は「俳優亀岡拓次」と亀岡拓次の境界線はほとんどありません。 きっと人生なんて「自分」という人間を演じ続けるお芝居のようなものなのだ。
[映画館(邦画)] 7点(2020-06-18 18:00:21)(良:1票)
179.  Wの悲劇 《ネタバレ》 
三田佳子に三田村邦彦、そして薬師丸ひろ子演じる三田静香によるイニシャルⅯの悲劇、、ではなくてWの悲劇。 ハッキリ言って、前半は退屈でした。静香と昭夫の別れる別れないの押し問答とか、いつまでもやってろ、って感じで。 しかし物語も後半に入ったあたり、静香が羽鳥の身代わりになるところから、ドラマが大きく動きます。面白くなるのはここから。 彼女は勝ち取った芝居の役ともう一つ、"愛人の身代わり" という自分を演じることになります。ステージで演じる役と "悲劇のヒロイン" を演じる静香。皮肉にも、記者会見の演技は舞台よりもはるかに圧巻の「芝居」でしたね。 僕はこの映画を観て心底思いました。女優って恐ろしいわ大キライだわ、だけどすごいというのは認めざるを得ない。 どろどろとした女たちの戦いから一転して、最後は驚くほど爽やかな終わり方。舞台はひとまず千秋楽、でも彼女は「自分」という人間をこれからも演じ続けるのでしょう。 別れ際に涙を浮かべたその笑顔には、女優 薬師丸ひろ子 が多くの人に支持され、愛された理由がわかった気がします。
[DVD(邦画)] 8点(2020-06-18 17:52:59)(良:1票)
180.  理由(2004) 《ネタバレ》 
宮部みゆき氏の原作を先に読んでいます。 高層マンションの一室で殺されていた家族は、実は住んでいたはずの家族ではなくて、しかも他人同士であった・・。 一言で言うなら、現代社会における人間関係の希薄さ、がテーマと思います。そして、こういった事件が起こりえる法律の脆弱性 (抜け穴) という、社会派の一面も持っている。原作はまさに現代ミステリーの最高峰で、必見の名作でした。 しかし映画版は、そのどちらのテーマも取り上げつつ、大林監督らしさが色濃く出た内容となっています。まず登場人物の多さから、ドキュメンタリータッチになったことは理解できます。それよりも、とりわけ印象的なのが、ノスタルジー漂う荒川区の一昔前の風景。どこか尾道を彷彿させるというか、、 とても愛情をこめて撮られていますね。対象的に事件の起きたマンションの冷たいこと。人間の生活感が感じられなくて、無機質な建造物といった感じ。風景にそぐわない億ション、遠目から見た二つの高層タワーの姿は、明らかにこの地域に歓迎されたものではなく、懐かしい風景や下町の人情味を破壊した悪しき土地開発の象徴とされています。 もちろん事件は人間がやったことですが、犯人の動機や心の闇にはさほど言及することなく、むしろ事件の「理由」として、そういった人間を生み出した時代性や環境の変化も背景にあることを見逃すことはできません。 オープニングの軽さや、視聴者に考えさせるべき問題提起を画面上に文字でナレーションしたり (ラストとか) 、やや演出面に難を感じましたが、名作「理由」の映像化としてはこれしかなかったように思えます。
[DVD(邦画)] 6点(2020-06-11 21:31:20)
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