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no oneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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1.  ハプニング 《ネタバレ》 
多少の顰蹙は承知で、自分勝手な解釈を書きます。  おそらく毒素を出す植物が反応していたのは「人間の集団」ではなく、人間の集団に発生しやすい「憎悪」の方だったのです。  老婆が死んだとき、彼女は集団で行動こそしていないものの、直前までエリオットを罵っていました。また草原を2班に別れて移動していたときに兵士が錯乱したのは、先頭を歩いていた男性陣が激しい喧嘩を始めた直後。集団行動していれば否応なく軋轢は生じますから、エリオットが初めに立てた仮説は身を守るのにある程度は有効でした。だからてっきり正解だと思い込んだ。  毒素が「憎悪」への反応だとすると、直接的な原因は植物ですが、引き金を引いたのは人間自身。つまり集団自殺現象は、そのメカニズムにおいても文字通りの自殺行為、お互いへの憎悪で己の首を絞める、人類という種の自殺だったのです。  このように考えると、テーマとしてもしっくりきます。主人公のエリオットは情緒不安定な妻と行動を共にし、友達の娘も励ます優しい人物です。草原の移動中に高まりかけたパニックの気配を抑えて理性的に振る舞うし、妻のちょっとした裏切りにも寛大に接します。常に冷静で、人間関係の和を保とうとする性格なのです。  孤独な生活を送っていた老婆は生き延びていましたが、狂気の淵にあり、人と接した途端にあっさり破綻してしまいます。エリオットが最後に取った行動は老婆とは正反対。孤立した状況でも人と繋がり続けようとし、誰といても安全ではないことを知っていてなお、一人で死ぬくらいなら妻とともにあることを選ぶのです。  最後にエリオットが嵌める指輪が示した色は「愛情」でしょう。「憎悪」によって自滅しかけた人間の危機に、彼が生き残るのは必然でした。エピローグでの懐妊は予定調和にも見えますが、つまりは彼らこそが新しい世代を育み、人類を担っていくのだという象徴でしょう。  実のところ欠点がない作品とは言えませんが、批判は山ほどあるようなので自分は控えておきます。グロテスクなだけの場面もありましたが、集団の飛び降り、銃を手渡しての連鎖自殺などは、映像的にも鮮烈。首吊りの画なんかは残酷な宗教画のようで(不謹慎ですが)荘厳ですらありました。いかにもシャマランらしい、信仰心が滲んだ作品だと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-21 20:38:14)(良:2票)
2.  落下の王国 《ネタバレ》 
子役の子どもらしい可愛らしさを巧みに引き出しているのが好印象。自殺志願の青年もごくありふれた青年という感じで、大人と子どもの会話がなかなか噛みあわない場面や、錯乱した女性を目撃した女の子が怖がる下りなど、割とリアリティ重視の作りとなっている。青年のバックグラウンドが描かれないのは、ほぼ全編を子どもの視点で描こうとしたからだろう。  空想世界は言うまでもなく、幻想的なプロローグからトーキー映画の引用を集めたラストまで目が離せない美しさだった。自殺を図るための方便でしかなかった作り話が、聞き手の少女の干渉によって、いつしか青年を救う道標となる。虚構の物語が人を救うというテーマに、作り手の映画への姿勢がそのまま重なって見える。  インドの国民的作家、タゴールの代表作に『もっとほんとうのこと』という短篇小説がある。これもやはり老人が孫娘に物語を聞かせる形式を取った作品で、老人は途方もなく壮大でロマンチックなおとぎ話を語る。しかし「これはほんとうよりもっとほんとうの話」で、けっしてただの作り話じゃないんだよ、と孫に言って聞かせるのである。ターセムがインド人だからというだけで影響を読み取るのは考えすぎかもしれないが、やはり似ていると思う。空想物語のなかに込められた真実の欠片が、人間にとってどれだけ大切なものかを教えてくれている。  ラストの喜劇映画の場面集は、落下に次ぐ落下で、むしろ飛行するような高揚感があった。『落下の王国』という題名は不評なようだが、個人的には好きだ。それは青年の空想世界だけでなく、自由な想像力の結晶である、映画そのものを示す暗喩でもあるように思う。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-03 14:42:43)(良:2票)
3.  ガンジー
映画としての出来はともかくとして、ガンジーという人物像に圧倒されてしまう。冒頭で引かれている「このような人物が存在したことを後世に伝えても人は信じないだろう」というアインシュタインの言葉はもっともである。  非暴力・不服従というほとんど非現実的とすら思える手段が力を持ち、やがては英国を退けてしまう過程は圧巻、脱帽だ。おそらくガンジーは、無闇に理想を唱えただけではなく、戦略を練り、十分な勝算を持った上で運動に身を投じていたのではないかと思う。イギリスの第一次大戦への参戦を支持したり、日本の太平洋戦争の会戦を支持したりと、必ずしも絶対の暴力反対を主張していたわけでもない。非暴力という手段が英国人に与える心理的影響もまた計算していたに違いない(そして相手がナチスドイツであれば違う手段を取ったのではないか)。つまりガンジーはずば抜けた知性と、高潔な人格の両方を兼ね備えた稀有な存在だったからこそ、歴史を大きく動かしたのではないか。甘っちょろい理想主義者であると同時に、鋭い知性を兼ね備えた現実主義者でもある。  ガンジーは言う、「私は楽観主義者なんだよ」。そう、この映画を観ると何よりもまず楽観主義者になれる。非暴力・不服従が現在の世界でどれだけ通用するかは定かではないものの、この映画を見るとその可能性を信じたくなる。高潔な精神が、暴力を超越するという、甘ったるい理想を信じたくなるのだ。
[DVD(字幕)] 7点(2005-12-08 16:30:10)(良:1票)
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