Menu
 > レビュワー
 > 鱗歌 さんの口コミ一覧。2ページ目
鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3876
性別 男性
年齢 53歳

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : スペイン 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  荒野の棺桶
これは要するに「潜入捜査官モノ」の一本、ってコトになるんでしょうかね。しかしそう思って観ると何だか物足りない。強盗団の一味となった主人公が、いかにも容易く安直に、アチラとコチラ、両陣営を行き来して、そのフットワークの軽さはいったい何なんだよ、と言いたくなってきます。人目を忍んで強盗団のアジトを抜け出すサスペンスも何もなく、手っ取り早いことこの上ない。 しかし単なる潜入捜査ではなく、冒頭の歌でも示される通り(正直、冒頭からこんなネタバレソングを流さなくてもいいんじゃないの、と思うけど)、主人公の復讐譚であるところが、マカロニウェスタンのマカロニらしさ。例によって冒頭から銃撃戦を繰り広げてみせ、ラストではついに仇敵の正体が判明して一騎打ちの対決へ。ってのはいいけど、この最後に残ったヤツってのが、何だか雑魚キャラっぽい雰囲気で、あまりこんな対決で引っ張られてもなあ、と。 そもそも、主人公自体がパッとしない顔つきで、強盗団の中に入ってしまうとなんだかフツーに馴染んでいるなあ、ってのが、いかにも冴えないんですけれど、こういうバッチい連中がムダに銃撃戦を繰り広げるのがマカロニの醍醐味、ですから、そのあたりの「らしさ」を楽しめばよろしいかと。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-03-05 09:12:12)
22.  続・荒野の七人
こういうのは、続編というのか、パロディというのか、いんちきコピー商品というのか。とりあえず7人集めて西部劇っぽいことやっといたら、「荒野の七人」になるだろう、と。7人ってのは、必要条件ではあっても十分条件ではないんですがね。 そう思うと、この(ほぼ)ニセモノ映画に、ユル・ブリンナーご本人が出ている、っていうのが、なかなか味わい深いもんです。他のメンバーは俳優が替わっちゃってるって?そんな贅沢言ってはイケマセン。実際、何だかユル・ブリンナーは一層張り切っているようにも見えてくる。他がショボいからだって?そんな図星を言ってはイケマセン。 なんと脚本はあのラリー・コーエン、らしい。結構、真っ当というかヒネリが無いというか。そそくさと7人集めて、これといってキャラクターの特徴も描かず、ひたすらドンパチを繰り広げる短い作品にまとめられてます。若干マカロニ化傾向あり、だけど悪乗りし切れてないので、インパクトはもうひとつ。 そんな中で、ちょっといい味出してるのが神父役のフェルナンド・レイ。こういう部分の味付けは、なかなかよろしいのでは。 ま、それなりにヒドイ作品ではありますが、見どころもまだまだ残ってます。この後、さらにヒドくなっていくので、その過程を眺めるのもまた、楽しいかと。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2017-02-09 21:03:52)
23.  ボーン・アルティメイタム
カッコいい映画、ではあるんでしょう。駅の雑踏の中で携帯電話をつかったコンタクトや、街中で突然展開されるカーチェイス。ただ、正直、ストーリーはもうネタ切れじゃないですか、これは。世界各地を舞台にイロイロやってるけど、オハナシはあまり先へ先へとは繋がっていかず、どうも何を描きたいのかよくわからない。主人公のアクションもそりゃカッコいいけど、建物や自動車のガラスをこうも何度も突き破ってみせられると、他にやることないのかよ、と。 で、どうもこの映画は、ただの追いかけっこ映画であって、これといってストーリーと言えるものがないんじゃないか、と思えてくる。そう思えてきつつも、「自分が誰なのか」というこのシリーズの結末を、最後にはちゃんとつけてくれるんだろう、と思っていたら。 なーんか、とってつけたような結末なのでした、とほほ。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2016-11-19 16:03:11)(良:1票)
24.  エクソダス:神と王 《ネタバレ》 
どうして「神と王」が複数形なのか、わかりませんでしたが、それはともかく、スペクタクル映画。前半にはダイナミックな合戦シーンがあり、後半には「十の災い」がオドロオドロしく描かれたりもするのですが、でもこの場面をパニック映画指数全開で本気で描くんだったら、まずその予兆からジワジワと見せていく方が怖いんでしょうけどね(まず音だけ聴かせて異変を匂わせるとか、カエルの数匹でも見せてから数を次第に増やしていくとか)。このあたり、本作は生真面目というか淡泊というか、工夫が無いというか。みなさんお待ちかねのクライマックスでも、海は割れません。津波の前に一時的に潮が引く、自然現象としての描写。ああ、生真面目だなあ。 しかし実際のところ、本作はあくまですべてを自然現象として描いているのだろうし、だからこそ、モーセにだってどうにもならない。そもそも、ここでのモーセは、結構普通のヒトだったりもします。巨大な脅威を前にした人間の小ささを描くスペクタクル作品。そういやあの崖崩れで無数の戦車が落ちていく場面などは、荒唐無稽なまでにゴーカイでした。そういう意味での見応えは確かにあったかな、と。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-09-28 16:47:30)
25.  ガンマン大連合
一体どこが大連合なのやら、というのはさておいて、これは出色のマカロニウェスタン、シビれます。フランコ・ネロ演じる主人公ヨドは武器商人、彼がメキシコ革命軍のモンゴ将軍から受けた依頼は、トーマス・ミリアン演じるヴァスコとともに、サントス教授なる人物を連れ帰ってくること。このサントス教授という人、非暴力主義を唱えつつも、メキシコ革命において勢力の一角をなす人物で、シンパがいたりする。という訳で、ヨドとヴァスコのつかず離れずの関係に、さらに教授シンパのオネーチャンが絡み、そしてさらには、彼らを付け狙うジャック・パランスの、これでもかというくらいワルそうな顔。さまざまな人物が見事に個性と存在感を発揮し、いろいろなエピソードで映画を盛りあげてくれます。いやホント、みんな、いい顔してるんです。だから盛り上がる。なぜヨドがコインを自分にくれたのかヴァスコがこだわるのも、いくつかの伏線にもなってて(あるいは、大した意味は無いともいえる)、面白いところです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-07-23 22:39:18)
26.  アレクサンドリア
ひと続きの物語ではありますが、前半と後半で2部構成のような作品になってます。そのどちらもが、宗教に基づく人々の対立。それもキリスト教徒が迫害者として描かれ、結果的に迫害される側となるのが、主人公である女性学者。彼女はただ「真理」を追い求め、それが完全な合理性からは外れたところにある(動く船の上で物を落としても船上の人間から見て後ろ方向に落ちない・地球の公転軌道は円ではなく楕円である)ことに気づくワケですが、要するに人間の感じる合理性なんてのは、その時々によるモノなんですな。真理に貫かれたこの宇宙は、彼女が何かに気づこうが、人々が対立し殺し合おうが、微動だにしない。ただそこに冷たく存在し、小さな我々を冷たく見守り続けることを示すように、作品の中に宇宙からの視点、あるいは地面に小さくうごめく人々の姿が、再三登場します。最後に、主人公が見上げる、小さな空。ちっぽけな人間には決して手の届くことのない真理が、遠くに垣間見える・・・。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-04-18 09:45:59)
27.  インポッシブル 《ネタバレ》 
題材が題材ですから、そりゃま「面白おかしいスペクタクル」として撮るっちゅう訳にもいかないんでしょうが、だからと言って、とりあえずリアルです、とりあえず実話です、ってなアプローチだけで、よいもんなんでしょうか。この時、津波に襲われた人にとって、それは突然のものであったから、映画でも前触れなく津波が襲いかかる。主人公の知らないところで津波が発生し、知らないうちにそれが迫りくる様子を我々だけに見せる、という見せ方もありえた(というよりその方が一般的か)と思うのですが、そしてそういう「演出」を通してこそ、災害の残酷さや人間の無力さが浮かび上がると思うのですが。で、その後も、混乱をただ混乱として描こうとする、なぜならこれは真実の物語であり、実際にこの主人公はこの時、混乱の中に置かれたのだから。そして、ケガの描写も、現場の描写も、医療の描写も、きっととことんリアルに仕上げたのでしょう。あとは登場人物たちの顔のクローズアップの連続。その結果どうなったかと言えば、多かれ少なかれ、“家庭用ビデオで撮ったみたいな”雰囲気が漂うことになっちゃう。実際の出来事を実際に目撃したように描く、ってんだったら、「津波の実際の映像」を前にしたときには、本作はどうやったって、負け、でしょう。再現に過ぎないのだから。いや、ホントに再現に徹している訳じゃなく、勿論、ここには演出があり、良さそうなシーンを入れようともしています。長男が、離れ離れの親子を再会させる場面なんか、いかにも良さげだし、主人公家族が再会を果たす直前のあたりなんか明らかに演出を伴うサスペンス。こういう、無難なことは、するのよね。なーんか、胡散臭い。ってそりゃ言われまっせ。で、結局、物語はといえば、主人公一家の個人的レベルの冒険物語に終始してしまい、(最後に少し飛行機からの災害地の俯瞰が登場するとは言え)未曾有の災害の圧倒的規模そのものがもたらす恐怖や絶望といったようなものも、残念ながらあまり感じることができませんでした。こういうのも主人公一家の視点に限定した「リアルさ」の一環なんですかね・・・。
[DVD(字幕)] 5点(2014-10-30 00:02:56)
28.  汚れなき悪戯
子供ってのは、天使の顔をした悪魔な訳で、マルセリーノ君も見事にロクなことしません。そのマルセリーノ君が、修道院の2階にひっそりと打ち捨てられているようなイエス像と、心を通わす。ここで、マルセリーノ君は、イエス様にパンや葡萄酒をせっせと持っていくのだけど、これらを盗んで持っていくのだから困ったもの、自分の食べる分を節約して持っていくのだったら美談なんだけど、とか思っちゃうのが日本人の正直な感想ではないですかね? しかし勿論、(特に最後まで)観ればわかるように、そんな単純なエエ話を描いた作品じゃないし、信心を通じて現世的ご利益を得る教訓噺でもない。ただ、どうしようもないくらいに無垢で美しくてはかないものを、そっと描いた作品ですね。こういう、小さな奇跡。まあ一人の子供が生まれてくること自体が、ひとつの奇跡なんですけれども。それがだんだん、天使の顔をした悪魔になり(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-11 15:43:37)
29.  ワイルド・スピード/EURO MISSION
ストーリーはと言うと、「良い者チームと悪者チームがカーチェイスで戦います」というだけ。両者の間で多少の交換トレード(?)らしきものはあるけれど、ヒネリという程のヒネリは無く、いたってシンプル。ややこしい点があるとしたら、ハゲとムキムキが多いので、誰がどちらのチームだったっけ、と混乱する方もいるかも知れませんが。でも、こんなシンプルなオハナシになっているのは、アクションの凄さに対する自信の裏返しかも知れません。やり過ぎ、走り過ぎ、壊し過ぎ。地面を這いまわる2次元的なカーチェイスが、ここではまるで3次元の空中戦のような。それどころか、もはや、カーアクションは重力を超越し、3次元の立体世界での戦いに向っています。とりあえず、お腹いっぱい。ありがとう。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-03-02 20:38:06)(笑:1票)
30.  サルタナがやって来る ~虐殺の一匹狼~ 《ネタバレ》 
←ネタバレ有、と言いましても、ストーリー上は大してバラすようなネタもないのですが(いや、一応は“意外な真相”なども色々とあるのですが、そう大したものではありません)、ラストに出てくる究極兵器(?)があまりに究極過ぎるので、これに言及する以上はネタバレ表示がエチケットかと。で作品はといいますと、ズームイン、ズームアウト、横振り縦振り、時には傾いたり、ひたすらカメラが躍動しまくって、さすがはマカロニ。物語はといいますと、行方知れずとなった金貨とニセ札の争奪戦。アヤシゲな連中がゴチャゴチャと出てきて何だかゴチャゴチャしており、さほど盛り上がる訳でもなく、ついに真相に辿り着いても、まあ、そんなもんかねえ、という感じ。本作の最大の魅力は、主人公サルタナの繰り出す謎の秘密道具の数々にあります。結構セコい秘密道具ですけど。007風、ということも言われますが、忍者風と言ってもよいでしょう。そして、さあここからがネタバレだ。最後に登場する、秘密道具の親玉とも言うべき究極兵器。一見、小型のパイプオルガンなのだけど、鍵盤の上に並んだ、ストップ(オルガンの音色を変えるレバーです)をいじくると、何とパイプが敵に向って倒れ、そこから銃弾が雨アラレと発射されて敵の大群を薙ぎ倒す!! 別に狙いをつけて発射している訳でもないのに斃されまくる敵、弾の来ない方に避けりゃいいやんか、というツッコミを入れる気も失せる、この世のものとも思えぬアホな光景なのですね。もはや喝采を送る以外に、どうすればよいのでしょうか。パイプを見たら武器と思え、これってかつての過激派左翼の発想ですな。そんでもって、あと、秘密道具としては、ライター人形も忘れちゃいけない。人形とサルタナの間に芽生えた友情(?)。ガジェット好みの人のための映画です。
[DVD(字幕)] 7点(2014-02-08 15:11:03)
31.  増える賞金、死体の山
映画冒頭からいきなり激しい銃撃戦。北軍の部隊が悪党どもに襲われ、大量の武器と軍医の娘が奪われてしまう。その裏には、メキシコで自らを皇帝と名乗る(アホの)ロペス将軍の影が。そこで立ち上がったのが、3人の軍人と、主人公たる謎の賞金稼ぎ“コーラン”。アラーの神を信奉しているらしいけれど、本当にイスラム教徒なのかどうかは怪しいのですが。ま、ストーリーはどうでもよくって、お楽しみは映画に登場する数々のギミックです。まず、主人公愛用の若干オマヌケな日傘。これが実は、マシンガンが仕込まれているという、小学生なら大喜び間違い無しの代物。主人公第2の武器は、やたらに長いライフル銃。いや一種のバズーカ砲みたいなもんで、葉巻のような巨大な弾丸を発射し、着弾すると爆発します。軍人たちも負けじと、水筒爆弾やらパチンコ爆弾やら。ドッカンドッカン、派手にやってくれます。最後は、ハッピーエンドなのやらそうではないのやら、何とも中途半端な気分になる終わり方なのですが、製作者の意向としては基本的に、明るく楽しい痛快作、が狙いなんでしょう。さあ皆さんも頑張って痛快な気分になってみて下さい
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-05 09:10:37)
32.  怒りの用心棒
ガーフィールド大統領暗殺事件を題材にしたマカロニ・ウェスタン、なのですが、題材となっている暗殺事件が、どう見てもコレ、ケネディ大統領暗殺事件やんか(製作のほんの数年前)、というのが売りの作品であります。そういう意味では、いまさらこんな中途ハンパな作品を観なくとも、『JFK』を観れば充分ではないのか、と言われそうですが、いやいやいや。こちらにはこちらの味わいが。何しろ、実に強烈なカメラワークです。「どう撮れば面白いか」を考えるのは大事なことですが、本作、考え過ぎてしまったのでしょうね(正直、横顔ドアップがいかにも暑苦しい)。で、内容はというと、前半は、ジュリアーノ・ジェンマ演じる主人公が、大統領を暗殺者の手から守ることができるか否かに眼目があるのですが、本作の場合、大統領が暗殺されなければオハナシにならないので、とりあえず暗殺されます。で、後半は敵の一味に闘いを挑む、ジェンマ、と来る。正義のためでもあるし、殺害された父の復讐でもあるし、大統領暗殺犯としてデッチ上げられた友人オズワルド(という名前じゃないけれど)の復讐でもある。そこにさらに、亡き大統領の側近の暗躍も絡んできたりして、大いに盛り上げたいところではあるのですが、これがイマイチ。主人公が妙チキリンなルールで決闘を挑むのが、マカロニらしいと言えばマカロニらしいのかも知れないけれど、どうも取ってつけたような感じ。やや社会派的なテーマの本作にそういう要素が合わないのかというと、決してそんな事は無いはずなんだけど、どうもテンポが悪いんですかねえ。ラストの対決も拍子抜けだしなあ。でもラストシーンは素晴らしい。意地を張っていた男たちが、あくまでそれぞれ自分の信じる道を歩いて行くんだけれど、一瞬、歩み寄る。うーむ。何が問題かわかった気がする。本作、ジェンマそもそもミスキャストなのではないだろうか(ひとりだけ不真面目な奴が混じってるように見えてしまうのです)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-07 00:10:25)
33.  マシニスト 《ネタバレ》 
いや何、痩せてる俳優が必要なら、何もクリスチャン・ベールが苦労しなくとも、例えば私がもうちょい痩せた方がてっとり早い。実際、大学入学後に一人暮らしを始めて数か月後には、本作の彼と近い身長・体重になってた時期もあったさ。しかしだからと言って、私にこの映画の主演が務まる訳ではもちろん無くて、私にはこんな内側から滲み出るような狂気は無いのです(……多分)。異常な人間を主人公に、世界を彼の目から見て描いているので、現実とも幻想ともつかぬシュールな内容ではありますが、ちゃんとミステリらしい構成やオチを備えていて、納得感の方もしっかりと。そして衝撃的。この幻想譚が、幻想譚としての恐怖を充分に備えつつも、実は現実の再構成であるということ。その予想を超えた作り込みぶりに、ただただア然、いや参りました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-29 13:50:02)
34.  エル・スール
お父っつぁんには秘密がある。そりゃあるさ。例えばどっかのサイトに映画の感想文モドキを書き込んでるとか(はい、実は家族には内緒なのです。今のところは)。かつて小さかった娘、聖体拝受式で社会への一歩を踏み出した(自分の手から離れ始めた)娘。娘が成長するに従い、親父の存在も相対的に小さくなってしまう。そして。映画がダウジングのペンダントへと回帰したところで、ペンダントが小さなケースにスッと吸い込まれるように収まるシーンに、グッときます。コレ、日本人の感覚で言いますと何だか、故人の体が火葬後に小さな骨壷に収まってしまう、あの感覚を思い起こさせます……。しかしラストは、まるで暗かった音楽が最後に突然転調して主題(=“南”)を明るく提示して終わるように、希望によって締めくくられます。ま、はっきり言いまして、「実は途中までしか映画化できなかった作品」なんてことは露知らず、この唐突なラストの意外性に感激していた訳でして。我ながら、またピンボケの感想を持ってしまったのかも知れぬ。だから家族には内緒なのです。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-04-14 12:32:02)
35.  ミツバチのささやき
ドン・ホセがハンサム過ぎる・・・。一生自由を得ることのない働き蜂について父親が語る時、それは時代の閉塞感と子供たちの暗い未来を語ってもいるのだけど、作品の背景にあるスペイン内乱。大恐慌から世界大戦へと向うその時代の閉塞感というものは、何だかこの、世界が不況にあえいでいる21世紀初頭の今とリンクしている気がしてならない。なりふりかまわぬ通貨安競争、近隣窮乏化政策。そしてTPPの行く末にあるものは、かつて日本を追いつめたブロック経済ではないのか?次に追いつめられる国は?(って、まあ、そりゃ、ねえ) 冷戦下より、まさにこの今こそが、真にヤバいんじゃないのだろうか。とか思いつつ。この映画ではそんな不安の時代(今、まさに我々が抱える不安でもある)を背景に、その軸(大人の世界)と直交するように、子供と“死”との戯れ、という軸が描かれる。これは内乱の不安とは別個に存在する永遠の不安。両者がクロスした時、不安の二乗、どうにもならない閉塞感。イザベルがふざけて死んだふりをすることができるのは、明らかに「生」の側に立ち、「死」というものを知識として把握できているからだろうけど、その点、汽車が来るギリギリまで線路に立っているアナの方が「死」に近いポジションにいるのだろう。火を飛び越えて遊ぶイザベルの行為は確かに危険ではあるけれど、その後、暗くなるまで火を見つめているアナの方が、よほど危険な立ち位置である。ふたりで遊んだ、井戸の横の家は、アナと脱走兵の交流、すなわち死との交流の場となり・・・。直交する軸は二度交わることがない。解を見出すことなく、「どうにもならなさ」だけを残して、映画は去ってゆく。そして今また再び、我々は、見出すことの決してできない解を見出すこと、を求められる時代に生きているのかも知れないのだけど。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-02-04 03:51:28)(良:1票)
36.  ジャーロ
冒頭、字幕が英語で出てきて「おいおいこのDVD不良品か?」と思いつつ、よく聞くと会話がニホンゴで(意外に上手い。変だけど)、ちょっとビックリ。しかし中盤で、我々日本人でも聴き取れないニホンゴをスラスラと聴き取るヤツが出てきて(「オーショク」って言われても、なあ・・・)、もっとビックリ。すしのための魚おいしいです、ハイ。それにしてもこの作品、なんなんでしょ。最初は「さすがアルジェント、雰囲気あるね」と、それなりに作品に対して協力的に(笑)観てる訳ですが、そんな甘っちょろい期待感は見事に粉砕してくれます。変です。ヘンテコです。コレ、ワザとやってるんですかねえ。ワザとやってるんでしょうねえ。ワザとやらないでいいのにねえ。誘拐された女性の姉が警察に捜査を求めに行くが、相手にされず、ただ地下へ行けと言われる。地下にいたのが変人のエイドリアン・ブロディ警部。ここまでは良かった。後はひたすらヘン。暗い過去を抱えたとかいう一匹オオカミの警部もショボければ、猟奇的犯人(Byron Deidraと言うヒト。ヘタなアナグラムもあったもんです)もこれまたショボくて。中途半端にシメっぽく、中途半端にアホらしい、というのがどうにも困ったところ。種々のデタラメさ(あり得ない設定の連続)もさることながら、警部がヒーローでも何でもなく、何も解決しないところ、いわばこの中途半端さが“オチ”でもあるのだけど、だからなんやねん。こんな作品でアルジェントの新境地だの、集大成だのと、JAROに電話しちゃうよ、もう。と言う訳で、なんやかんやと結構楽しめましたです。
[DVD(字幕)] 6点(2012-01-04 09:19:22)
37.  続・黄金の七人/レインボー作戦
正直、さすがにこれはアホ過ぎるとは思いますが。どんな小道具にでもとりあえず「アンテナ」をとり付けておけば、SFチックな「ハイテクマシーン」に見えるでショ、という、この上なくチープな発想。今回も大掛かりな“強奪作戦”が展開されるのだけど、これらアホアホな小道具に頼り切りで、作戦自体は殆どアタマを使っている形跡がみられません、どうしちゃったんだ、教授。風刺っぽい味わいも無くは無いけど、現代のおとぎ話と呼ぶにはいまひとつ。・・・ただ、ねえ。やっぱり憎めないのよね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-07-23 16:21:18)
38.  続・さすらいの一匹狼
偶然出会った古い友人から二束三文で牛を購入し、ホクホク顔のジュリアーノ・ジェンマ。しかし町に到着した彼を待ち受けていたのは、「これは盗まれた俺の牛だ」という非難の声。「いや、確かに買った牛だ」「何を言うこの盗人め」と押し問答の末、銃を抜く騒ぎとなり、彼はその男を撃ち殺してしまう。「牛泥棒の上に、人殺しまでしやがって」と、彼を追いつめリンチにかけようとする町の人々、ジェンマは間一髪抜け出して、「必ず無実を証明してやる」との言葉を残し、牛を売った男の行方を追う・・・映画のあらすじのようですが、さにあらず、ここまでが前置きです。ここでタイトルです。いやあ、濃いですねえ。例によって例のごとく、タイトル明けには、さっそく本題がズレ始めるのですが、心配ご無用、ちゃんと登場人物の枠内に収まるように、物語は都合よく収束していきますから。そんな感じで、「無実を晴らすも何も、牛を盗まれた人を殺しちゃったのは事実でしょうに」「だいたいそんな怪しい牛を買うヤツが悪い」など、“自己責任”ブームの昨今、ジェンマの味方をして映画を見てくれるヒトもあんまりいなくなっちゃったかも知れませんが、いずれにせよ、この“町の人々によるリンチ”ってのが、本作の面白いところですね。盗んだ牛を売った悪人、その悪人を必死で追いかける主人公、さらに主人公がある女性を救出するエピソードもあり、このあたりは「復讐劇」の要素なんですけれど、映画の背景を覆う“町の人々のリンチ”は、それとは一線を画し、もっと無目的で無表情で無軌道な圧力、なんですね。主人公の味方をしてくれる脇役の存在が、かえってそのリンチの不気味さ、コワさをよく出していると思います。クライマックス、大勢を相手に銃撃戦を繰り広げるジェンマ(オマエはランボーか)、このツキヌケぶりは必見です。・・・まあどっちみちマカロニ(しかも所詮はジェンマ主演)なんですけど、何とかホメてみました。はい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-31 22:38:53)
39.  暴走特急 シベリアン・エクスプレス
観始めてナンボもしないうちに「あ~この映画、列車の暴走なんて最後まで起こらないんだろうな」と気づくワケですが。列車を舞台にしたサスペンス映画です。しかし、こんな掟破りの邦題をヒネリ出したヒトの、一人でも多くにこの映画を見せたかった気持ち、わかります。こりゃなかなかの力作です。面白かったです。異国人に囲まれた、異国の列車行において、目の当たりにする光景の目新しさと、勝手の分からない不安感。それをうまくサスペンスにとりこみ、また登場人物たちの配置のうまさも加わって、実にハラハラさせられる展開になっています。巻き込まれ型で追いつめられ型の、じっくり楽しみたい作品。まー結果的に、この邦題でむしろ損してますね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-26 17:13:15)(良:1票)
40.  続・荒野の用心棒
いいですね~ジャンゴ。棺桶を引きずって歩く不吉な姿のヒーロー。棺桶の中には「死」そのものが。ラストの墓場での決闘がこれまた良くって、ジャンゴはもはやほぼすべてを失っている。ガトリング砲も手放した、棺桶も奪った黄金も沼の底、手はリンチで破壊され銃も握れない。絶望的。しかも敵を倒したからと言って何が得られるでもない。しかし彼は決然と死地へ赴く。最後はいかにも、すべてが無に帰し土へと帰る、という感じで、何とも虚無的な世界観に、シビレます。  ・・・ところで、オヤジが気持ちよさそうに弾いているバイオリン。何だか駒が付いていないように見えるんですけれどね~。一種の特殊奏法ですかね。
[DVD(字幕)] 9点(2010-10-04 23:15:52)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS